はっけんの水曜日 2014年2月12日
 

大洗町でボラが大量発生している

大漁すぎていらない
大漁すぎていらない
茨城県の大洗町でボラが大量発生しているという。

デイリーポータルZの、大量発生に対するモチベーションは高い。(例:「ボラ大量発生」、「横浜でクラゲ大量発生中」、「エスカルゴは大量発生しているのか?」)

はたしてどれほど大量発生しているのか、見に行った。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。
> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

ほんとに大量発生してるのか?

東京から高速バスと電車で約2時間、茨城県の大洗町にやってきた。
ボラを退治してくれよう
ボラを退治してくれよう
とりあえず「大洗町でボラが大量発生している」という曖昧な情報のみでここまでやってきた。

大洗の一体どこに行けばボラが大量発生しているのか?

観光案内所で聞いてみた。
戦車とか戦艦のアニメ多いな
戦車とか戦艦のアニメ多いな
大洗町は戦車を題材にした萌えアニメの舞台になったことで、町を挙げての戦車押しで、観光案内所はボラどころではなく、戦車が大量発生していた。
戦車も大量発生していた
戦車も大量発生していた
しかし、今は戦車よりボラである。

ボラの件を恐る々々おばちゃんに切り出してみたところ、おばちゃんはぼくの持っている網をみて「獲るつもりなの! アハハ〜」と豪快に笑った。

ただ、観光案内所でも、どのへんでボラが大量発生しているのか、よく把握していないようで、さぁ……? となってしまった。

奥から出てきたおじさんに涸沼川(ひぬまがわ)への行き方を教えてもらったので、とりあえず、そこへ向かう。

誰も知らないボラの大量発生

観光案内所のおじさんに教えてもらったとおり、鹿島臨海鉄道の高架をくぐり、涸沼川に出る。
あ、川が見えた!
あ、川が見えた!
涸沼川だ
涸沼川だ
しじみ漁を眺めるおじいちゃんにボラの大量発生情報を聞いてみる。

おじいちゃんは「さぁ……ボラ釣りは涸沼の方にいけば……」と、明らかに大量発生とは違う情報を教えてくれた。

懇ろに礼を言い、涸沼の方へ向かって川岸を歩いてみる。

涸沼川は静かである
涸沼川は静かである
しばらく、川岸を歩く。ボラどころか、生き物の気配がない。足元には犬の糞ばかり、おかしい、どこにボラがいるというのか?

通りがかりのおっちゃんにも話を聞いてみた。しかし「ボラが大量発生ってきかねえなぁ?」と要領を得ない。
通りがかりのおっちゃんに聞いてみる
通りがかりのおっちゃんに聞いてみる
とりあえず、ボラを釣りたかったら、涸沼の方へ行け。ということだけは分かった。しかし、ぼくはボラを釣りたいわけではない。

地元のひとたちの、ボラ大量発生に対するモチベーションの低さはわかった。こちらの欲しい情報と地元のひとたちの与えたい情報がマッチングしてこない。こまった。

ボラのいそうな場所を推定

本当に大洗でボラは大量発生しているのか? だんだんと心細くなってきた。

ネットで見たニュースをもう一度よく見てみる。ボラが大量発生している写真の背景をよく見ると「後ろに列車の高架が見える窪んだ船だまり」にボラが大量発生している。

地図でそれらしい場所を探す。
あれ、ここか?

地元の人が言っていた涸沼とは逆の方向だ。引き返して、あやしい船だまりに急行する。
確かこの辺り……
確かこの辺り……
水面に目をやると……
水面に目をやると……
すこし小さな漁港のようになっている船だまりに到着すると、すでに水面を見つめる何人かの人を発見。水面を見てみると……。
あれ? これってもしかして
あれ? これってもしかして
わわっ! これぜんぶボラだ!
わわっ! これぜんぶボラだ!
うわー、ボラの大群だー
うわー、ボラの大群だー
大量発生のボラは確かに大洗にいた! 
この細かいさざ波、これ全部ボラの大群
この細かいさざ波、これ全部ボラの大群
常に4、5人の見物客がいる
常に4、5人の見物客がいる
ボラは、水面をうめつくすように船だまりの中を右に左にうねるように泳いでいる。もう何匹いるのかまじめに考えるのが馬鹿らしいぐらいたくさんいる。

むかし、スイミーという話を国語の教科書でよんだことがあるけれど「大量発生のボラ」というなにか一つの生き物がそこにはいるようだった。スイミーはボラだったかもしれない。

見物するおっちゃんおばちゃんに話を聞いてみると、みんなテレビのニュースで見て大量発生を見に来たらしい。

見上げると、カモメが船だまりの上をずーっと旋回している。

ボラが来たかとカモメに問えば、わたしゃ立つ鳥波に聞け。ソーラン節の世界観が、ボラで再現された瞬間だ。

網ですくってみた

もう、船だまりの中は全部ボラといっても過言ではない。それぐらいいる。網を差し込んですくうとどれほどボラがとれるのか?

網を入れてみた……。
うぉー、重い!
うぉー、重い!
なにもせずにさっとすくっただけで網の中に大量のボラが捕獲できた。濡れ手に粟である。

ボラ大漁!
ボラ大漁!
活きが良い
活きが良い
網ですくうと活きが良い15センチから20センチていどのボラがたっぷり網にかかる。

見物に来ていたおっちゃん、おばちゃんも何事かと寄ってくる。わざわざ網を持ってきているのはぼくだけだったので、この船だまりではボラを網ですくえば人気者になれる。

おっちゃんの話によると、ボラは特有の臭みがあり、食べ方によってはおいしくない場合もあるため、こんなに大量にいるけど誰もとらないのだそうだ。

ただ、唐揚げにすればおいしいらしい。という話は複数人のおっちゃんから聞いた。

トドのつまり、オボコだった。

ボラとり放題だけど誰もとらない
ボラとり放題だけど誰もとらない
さらに、おっちゃんは続ける。

ボラは出世魚で、これぐらいの大きさのボラは関東ではオボコというらしく、さらに大きくなると「イナ」最終的に「トド」になるらしい。「粋でいなせ」の「いなせ(鯔背)」や「トドのつまり」の語源がそれだ。

上記のトリビアを、おっちゃんはわざわざ携帯で検索して教えてくれた。

わざわざ検索して教えたくなるトリビアを持ったボラの魔力とはいったいなんなのか? ぼくは純粋に知らなかったので「へー」と感心してしまったが。

ボラのおかげで、地元のおっちゃんたちと、ハートウォーミングなふれあいのひとときを過ごせた。

おっちゃんはこんなにいるなら明日休みだから、網持ってきてとって食べようか真剣に悩んでいた。

大量発生の現場を見ることができて満足

網ですくうだけで大漁
網ですくうだけで大漁

ニシンだと御殿が立つほど大量発生しているボラだったが、誰にも見向きもされず、食べられもせず、ただ、大量にいる様子を見物されるだけで、地元のひとは全く関心を寄せず、ただ「いるね」ぐらいのテンションだった。

興奮してるのはテレビをみてやってきた水戸や日立の物好きなおっちゃんたち(ぼく含む)ぐらいだった。

見物に行くつもりのひとがいたら、網は持っていった方がいい。

すくうだけで、ボラのビチビチ跳ねるあのプレステのコントローラーみたいな感触を楽しむことができる。

あと、持って帰って食べたい人はクーラーボックスを持って行こう。
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