特集 2014年3月3日

埼玉・八木橋デパートに行ってみたかった

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埼玉には有名なローカルデパートが2つある。
八木橋と丸広だ。

私の初バイト先は、丸広川越店の、社員食堂のバイトだった。
受験が終わって、ちょうど、いまぐらいの季節。なんとか合格したので、ファンジン(同人誌)を作りたくてお金をためたくて、短期バイトに入った。
いつも優雅なデパートガールたちは、休憩室ではやさぐれていた。いや、客前で優雅にしなければいけないからこそ、裏側では思いっきり力を抜いていた。喫煙率もかなり高かったと思う。
私はそこで、コーヒーとパンとアイスクリームを売り、クリームソーダを作った。
私は、コーヒーはカップにたっぷり、アイスはてんこもりで売った。そうしたかったから。
そのうち、デパートガールたちに「あの子は、てんこもりの子」と覚えられ、目配せで(ありがとうね)と言われるようになった。

丸広には、今でも、たまに行く。
でも、八木橋には行ったことがない。
ローカルデパートのパラレルワールド、八木橋。もし私が熊谷に住んでいたら、八木橋でバイトしたかもしれない。

八木橋に行ってみよう。そう決めた。
埼玉生まれ。電子書籍『初恋と座間のヒマワリ』(リイド社刊)発売中。最近、ほぼ毎日ブログを更新していますので、良かったら読んでください。

前の記事:埼玉・加須うどん食べ歩き!

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そして熊谷に行く、取材日。
私は体調をおもいっきり崩してしまっていた。
前日、ひやかしでメイドバーに行ったのがいけなかったのか。サントリーバーでいい気になって飲みまくったのがいけなかったのか。それとも焼き鳥屋で強いお酒を飲んだせいなのか。……目眩でふらふらしながら移動した。
当初、フツーの電車で行こうと思っていたのだが、ついカッとなって、新幹線乗っちゃった。
新幹線!!
新幹線!!
新幹線です!!
新幹線です!!
まあ乗車時間は10分くらいなんだけど。
まあ乗車時間は10分くらいなんだけど。
贅沢な10分です。
贅沢な10分です。
ついたぜ、熊谷。
ついたぜ、熊谷。
ああ、熊谷!! 人生で始めて来た。
埼玉って、路線別にカルチャーが違う(東京に向かってのびている線ばっかり)ので、自分のところと関係ない路線だと、
なかなか遊びに行く機会ってないんです。
熊谷駅にはスイカペンギンさんいたよ。
熊谷駅にはスイカペンギンさんいたよ。
初期型のデザインだね。
初期型のデザインだね。
とりあえず、観光案内所へ。
……行ったけれども、とくに何の資料ももらわなかったです。
……行ったけれども、とくに何の資料ももらわなかったです。
八木橋は、歩いて17分くらいの場所にある、ということだったので、とにかく歩くことに。
それにしても歩いている人が少ない!
それにしても歩いている人が少ない!
うわあ、ここらへん、みんな、車社会らしいけれど、歩いている人、少な過ぎ。日曜日の午後なのに!
……いや、私の実家のある、鶴ケ島市一本松駅もぜんぜん人いないけどもさ!
魅力的な名前の食堂があった。調べたらマンガ『20世紀少年』のロケ地らしく、昭和昭和した食堂であったらしい。現在は営業してないみたいだったけれど……?
魅力的な名前の食堂があった。調べたらマンガ『20世紀少年』のロケ地らしく、昭和昭和した食堂であったらしい。現在は営業してないみたいだったけれど……?
フラー、フラー、と歩いていたら、
八木橋が見えてきた。

昭和っぽい町並みの中に、ピカピカのデパート。
見えてきたぞ。
見えてきたぞ。
おお、立派。確かにこれは、熊谷の人は自慢する感じのデパートだ。
おお、立派。確かにこれは、熊谷の人は自慢する感じのデパートだ。
入り口。夏期は温度計が設置されるらしい(熊谷は暑いのが売りだから……)。
入り口。夏期は温度計が設置されるらしい(熊谷は暑いのが売りだから……)。
中を歩いてみると、中高年にもヤング層にも優しい、普通のいいデパートだった。
そして、雰囲気が丸広に似ていた!
ローカルデパートの、ゆるいけとピリッとしている、独特の雰囲気。
やることがないので、八木橋特別食堂へ。
やることがないので、八木橋特別食堂へ。
うん、なんでもあるね。
うん、なんでもあるね。
お子様ランチ、大人でも食べられるといいのになあ…。
お子様ランチ、大人でも食べられるといいのになあ…。
テレビ埼玉とコラボなんかもしてるんだなあ。
テレビ埼玉とコラボなんかもしてるんだなあ。
窓際に座ったら、熊谷の街を手中に収めることができた(大袈裟)。
窓際に座ったら、熊谷の街を手中に収めることができた(大袈裟)。
五目そば食べました。
五目そば食べました。
しかしこのラーメン……。
ほんのちょっと、ほんのちょっとぬるくて、
「きっと、お年寄り向けに、全体的にぬるくなってるんだろうな」と、思い込もうとした。

だって「ぬるいです」って言って、バイトさんを困らせるのが面倒くさいから。
あのバイトさんは、過去の私でもあるのだから……。
地下に、埼玉のご当地キャラ「コバトン」のショップがあったので、今川焼買いました。
地下に、埼玉のご当地キャラ「コバトン」のショップがあったので、今川焼買いました。
味? フツーに美味しかったです!!
味? フツーに美味しかったです!!
八木橋は屋上遊園地などもないので、やることもなく、
周辺をポテポテと歩いてみました。
看板のイラスト、イカスー。
看板のイラスト、イカスー。
そしたらものすごく行列のある店が!!
埼玉ナンバーワンスイーツに輝いたこともあるかき氷屋さん「慈げん」ですって。
大雪のあとの雪が残っている時期に、かき氷に並んでいるなんてシュール、と思いましたが、
噂によると、味は異次元レベルに美味しいらしいですよ。
並ぶには体調がしんどいので今回は諦めました。
並ぶには体調がしんどいので今回は諦めました。
そういえば、熊谷に詳しい友人に、教えてもらったホルモン焼屋さんがあった、
地元の人ばっかり来るらしい、行ってみよう! と思い、
水よし!
水よし!
ホルモンの1本くらいだったら食べられるだろうと思ってノレンをくぐったら、
全テーブルに七輪が設置されていて………。

ガ、ガチの焼肉じゃないかあ!
サラっと来るような店じゃないじゃないかあ!

友人のおすすめの、カシラなどをたのみ、結局、飲むことに。
熊谷のホルモン屋さんで、ぐったりしながら、一人焼肉する女、40代。こんなんでいいのだろうか……。
安かった。
安かった。
焼いて焼いて~。
焼いて焼いて~。
ミソにつけて食べます。
ミソにつけて食べます。
うん、うんまい!

レモンサワーを飲みながら考える。
埼玉……。
埼玉に県民性などあるのだろうか?
世間では「埼玉県民は、温厚でマイペース」と言われているらしいが、果たしてそれは合っているのだろうか。
日本全国から人が集まっている場所だ。ベッドタウンである埼玉だから、他県民と他県民が結婚して、埼玉に所帯をもつケースが多い。
例えばお正月には、両親どちらかの地方の伝統のお雑煮を作る。埼玉式のお雑煮が一体どんなものか、興味を持つことすらない。
「埼玉愛? 住むのには便利な場所だけど、愛せる部分はとくに無いなあ」……そんな調子なので、親は出身県にアイデンティティを持ち、子供すら、親の故郷にアイデンティティを求める始末。埼玉県民プライドが希薄で、そこに県民性は生まれない。
そして、他県出身者を羨ましがる。
「香川県出身? うどんが最高だよね! 一度食べに行ったことがあるけど、あれは小麦粉の刺身だね、芸術的だよ!」と、他人のソウルフードに思いをはせる。
埼玉にも日本中に自慢出来るソウルフードがあったらいいのになあ、プライド持てるのになあ、と妄想したりする。
東京出身でも、特色ある地方出身でもない、中途半端な立ち位置の自分。それにいら立っている。

埼玉に生まれるって、面倒くさいことだよなあ。
そう思う。

体調の良い日にまた来るよ、熊谷。
八木橋に行くし、慈げんにも行くし、水よしにも行く。3つも用事があったら行くよ。

ああ、埼玉出身だけれど、埼玉で行ったことがない場所、いっぱいあるよ……。
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