コラボ企画 2014年3月17日
 

むかしの絵葉書に写っている場所を探す

庭園は一体どこなのか?

自転車に乗って10分ほど、野球場が見えてきた。
けっこうでかい、本気のやつだ
けっこうでかい、本気のやつだ
「二河公園」へ到着したものの、絵葉書1や絵葉書2のような場所はいったいどこにあるのか?

公園内に入ってみると、東屋があるような大きな池や、灯籠のある大きな道などがありそうな雰囲気は、ない。
池は現在水抜き作業中だった
池は現在水抜き作業中だった
小さな回遊式庭園の池のようなものはあったけれど、絵葉書1の雰囲気とはまるで違う。
この子たちが物心ついたときからここはトラックだったらしい
この子たちが物心ついたときからここはトラックだったらしい
野球場のとなりのトラックで練習している高校生に話を聞いてみたが、やはり「こんなところは見たことがない」という。いったいどういうことなのか?

その時、トラックの先にあるものを発見。
あれは!
あれは!
絵葉書1に写ってる塔だ!
絵葉書1に写ってる塔だ!
たしかに、絵葉書1の右上に写ってる塔だ。絵葉書の場所がここだということはほぼ間違いない。
間違いない!
間違いない!
しかし、絵葉書に写っている池や東屋らしいものは一切ない。

トラックでグランドゴルフに興じる年配の方にも話をきいてみた。
これどのあたりから撮影したものだと思いますか?
これどのあたりから撮影したものだと思いますか?
ーーこれ、むかしの絵葉書で、二河公園って書いてあって、この塔があの塔だと思うんですけど、どのへんから撮影したものだとおもいます?
「うん? こりゃえらい古い写真だなー、いつ頃の写真じゃこれ」

ーー大正時代から昭和はじめごろだと思うんですけど。
「おぉ〜い、これどこかわかるか?」
どんどん集まるおじさんたち
どんどん集まるおじさんたち
えらい古いのー
えらい古いのー
おじさんが別のおじさんをよび、次々に集まってくる。おお、頼もしい。 しかし、三人寄れば文殊の知恵……というわけにはいかなかった。

「この公園はむかしから運動場だったけえなぁ、むかしは海軍の練兵場だったんよ、たぶん昭和のはじめぐらいには(庭園を)潰しちゃったんじゃないかな? ほれ、呉はひろいとこがないけえ」

いくらおじさんたちが年配だといっても、みんな昭和うまれ。明治大正のことなんて生まれる前の話なのだ。

塔に近づいてみる

いったい、絵葉書に写っていた塔は何の塔なのか。近づいて確認してみた。
デーン「殉職者招魂碑」でした。
デーン「殉職者招魂碑」でした。
プレートを読むと、呉にあった海軍工廠(海軍の軍需工場)で亡くなった工員のための慰霊碑で、大正11年に建立されたものらしい。

となると、絵葉書1は少なくとも大正11年以降の写真だろう。

碑の隣にあるスポーツセンターのひとに話を聞いてみたい。
招魂碑のすぐとなりにあります
招魂碑のすぐとなりにあります
これどこから写したものかわかります?
これどこから写したものかわかります?
これ、どこで写したものかわかりますか? といって絵葉書を見てもらったところ、お仕事中にもかかわらず、職員総出で見てくださった。

職員のおじさんによると、絵葉書1は招魂碑のエンブレムとランプの向きを見ると、スポーツセンターと道を挟んで向かいから撮影したのではないか? とのこと。

なるほど、たしかにそうだとすると、右端の後ろに写ってる山と招魂碑の向きの整合性がとれる。
ランプとエンブレムの向きが違う、後ろの山が高い
ランプとエンブレムの向きが違う、後ろの山が高い
ランプが前後についてるうえに、後ろの山が低い
ランプが前後についてるうえに、後ろの山が低い
最初、高校生やおじさんたちに話を聞いた場所からだと、後ろに写る山の形がどうも微妙に違っているのだ。

そしてもう一枚の絵葉書2は、おばちゃんの推測だと、真ん中に山が描かれていないので、スポーツセンターのある場所から、南西を向いて撮影したのかもしれない。という。

たしかにこの絵葉書、高い山が写っていない。
絵葉書2・高い山がまったく見えない
絵葉書2・高い山がまったく見えない
二河公園は、北西に山、東に小高い丘が迫っており、背景に山が写り込まない方向と言えば南西しかないのだ。

より大きな地図で 呉市二河公園 を表示
スポーツセンターのおじさんおばちゃんの推理に畏れ入る私
スポーツセンターのおじさんおばちゃんの推理に畏れ入る私
ただ、絵葉書2に写っているような灯籠のある広い場所は今はどこにもない。この広い道が海軍の練兵場になったのでは? と考えると現在のトラックを南西に向かって見ているのではないか? との推理だった。

実際に確認してみる

スポーツセンター職員のみなさんの名推理を元に、外にでて風景を確認してみたい。

まずは絵葉書2の現在の風景がこちらだ。
左側の丘の端っこがそっくり!
左側の丘の端っこがそっくり!
実際に見て比べてみて驚いたのが、左端の丘の斜め具合が絵葉書2のそれとそっくりなのだ。
やはり、左の丘がそっくりだ
やはり、左の丘がそっくりだ
絵葉書2については確実にここだ。 と言い切る自信はないけれど、正解にかなり近いのではないだろうか?

続いて絵葉書1の場所。

こちらはスポーツセンターの裏手の道から見るとそのままの形である。
ランプとエンブレムの向き、山の高さ、絵葉書1とほぼ同じ
ランプとエンブレムの向き、山の高さ、絵葉書1とほぼ同じ
ランプが前後についてるうえに、後ろの山が低い
ランプが前後についてるうえに、後ろの山が低い
スポーツセンターの向かいには道を挟んで庭園のなごりがちょっと残っている場所があった。
夏場は水が満たされ、蛍が生息するらしい
夏場は水が満たされ、蛍が生息するらしい
位置関係を図解するとこう
位置関係を図解するとこう
この庭園のどこかにむかし東屋があったと考えると、招魂碑の向きなどからピッタリなのだ。

庭園の位置から招魂碑の方向を向いて写真を撮るとこんな感じだ。
木が生い茂って碑が見えにくいけど、たぶんこの位置であってる
木が生い茂って碑が見えにくいけど、たぶんこの位置であってる
先程の絵葉書2とは違い、こちらは招魂碑の位置や後ろの山の形がほぼ同じなので、かなり確実にこの位置からの写真ということができる。

道路の向かい側に、この庭園を見つけた時は40も手前になのに思わず「おぉー」と叫んでしまった。

「思わず声がでる絶景」なんてよく言うけど、なにも絶景じゃなくても声がでる風景ってあるのだ。

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