フェティッシュの火曜日 2014年3月11日
 

かまぼこのプロトタイプはナマズが材料

かまぼこっていうかちくわですが
かまぼこっていうかちくわですが
ある日、魚介類に関する雑学本を読んでいると面白い記述を見つけた。

現代では色々な魚で作られているかまぼこは、元々川魚のナマズを材料としていたというのだ。

ナマズのかまぼこ…。かまぼこの元祖…。どんな味なんだろう?
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。

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おいしい?それとも下品?

その本によると、「ナマズはかつてカマボコの材料にする高級魚だった」とされている。

なんでも、今からおよそ500年前の「宗五大草紙」という書物にかまぼこの材料はナマズであったと書かれていたのだとか。
ナマズのかまぼこなんて、現代ではまず売られていないよな。
ナマズのかまぼこなんて、現代ではまず売られていないよな。
かまぼこらしき食品は平安時代からあったらしいが、その材料について記されたのは、これが初めてのことのようだ。

ちなみに、現代人が「かまぼこ」と聞いてイメージするような板付きかまぼこはわりと最近登場したもので、ナマズを用いた元祖かまぼこは焼きちくわだったという。
しかし、蒲鉾本舗
丸濱の「かまぼこ豆知識」によると、1697年に書かれた文献ではナマズの蒲鉾は下品なものとして扱われていたらしい。
しかし、蒲鉾本舗 丸濱の「かまぼこ豆知識」によると、1697年に書かれた文献ではナマズの蒲鉾は下品なものとして扱われていたらしい。
例の雑学本は、当時のかまぼこといえば高級品で、その材料なんだからナマズも高級魚だ!という論調であった。しかし、老舗かまぼこ店などが公表している資料でよくよく調べてみると、17世紀末には「海の白身魚を使ったかまぼこが高級で、ナマズ製やサメ製は下品!」 という風潮があったという。

おい、ナマズ。お前、下品とか言われてるぞ。

泥抜きしてすり身に

まあ、下品とされている食品にも、ジャンクなおいしさがあったりするものだ。

なんにせよ自分で再現して確かめてみなければ。
ナマズの捕獲はルアーを使った釣りが一番簡単だ。
ナマズの捕獲はルアーを使った釣りが一番簡単だ。
そうと決まればまずはナマズを獲る。ナマズは田んぼの用水路や町中の川など、人の暮らしに密着した水辺にもたくさん生息している。

かまぼこを作り始めた当時の人々にとっても入手しやすかったことだろう。
ナマズは動くものなら何にでもとりあえず食いつくので、針を着けた木片やコーヒースプーンでも釣れる。あー、そういうとこは下品かもね。
ナマズは動くものなら何にでもとりあえず食いつくので、針を着けた木片やコーヒースプーンでも釣れる。あー、そういうとこは下品かもね。
捕まえたナマズはすぐには調理せず、綺麗な水を張った生簀でしばらく泥抜きをする。こうすることで臭みを抜いてやるのだ。
生簀。この写真だと濁っているけど、実際はちゃんと綺麗な水で泥抜きしたよ。
生簀。この写真だと濁っているけど、実際はちゃんと綺麗な水で泥抜きしたよ。
本来はこの工程に10日以上かけるべきらしいのだが、今回は時間が無かったので1週間しか費やせなかった。でもまあやらないよりはマシだろう。

いよいよ三枚におろし、すり身にしていく。
ぬめりを徹底的に落としてから捌いていきます。
ぬめりを徹底的に落としてから捌いていきます。
黒くぬるっとした姿は人によってはグロテスクに思うかもしれない。だが、いざ包丁を入れてみると、その肉はほんのりピンク色を帯びた白身。なかなかおいしそうだ。
皮を剥いでしまえばナマズとはわからないだろう。
皮を剥いでしまえばナマズとはわからないだろう。
すり潰す前に、いったん細かく刻んで氷水にさらす。こうすると余分な血や脂が洗われて臭みやクセがなくなるのだとか。
ナマズの肉には若干、独特の臭いがある。
ナマズの肉には若干、独特の臭いがある。
確かに、このナマズの肉は泥抜きが甘かったせいか少し臭う。アナゴやウナギのようでもあり、コイやフナのようでもあるが、どれとも違う独特のにおいだ。

ナマズと並んでサメも蒲鉾材料としては下品とされていたが、もしかすると単に臭みのある魚が嫌われるという話なのだろうか。
氷水にさらすと、少し油が浮く。ウナギほどではないが、川魚にしては脂の乗りがいい方かもしれない。
氷水にさらすと、少し油が浮く。ウナギほどではないが、川魚にしては脂の乗りがいい方かもしれない。
最後に塩を加えてフードプロセッサーにかけたらすり身の出来上がり。昔の蒲鉾職人は汗を流しながらすり鉢でこの作業をこなしていたのだろう。昔の蒲鉾職人もフードプロセッサーを発明した人も偉い。
すり身、完成!
すり身、完成!
今回はあくまで最初期のかまぼこの再現なので、すり身は蒸さずに竹に塗って焼き、ちくわにする。
確かにガマの穂みたいだ
確かにガマの穂みたいだ
この姿が蒲(ガマ)の穂に似ていたことから、「蒲鉾(かまぼこ)」と呼ばれるようになったのだという。

つまり、今となっては板付きかまぼこにその名を奪われたちくわこそがかまぼこオブかまぼこだったのだ。食べ物に歴史ありだ。

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