はっけんの水曜日 2014年3月12日
 

いいね!されるグルメレポートを書く技術

個人的に一番好きなとんこつラーメン。
個人的に一番好きなとんこつラーメン。
みんなあれだろう、なんか食べる時に写真を撮ってSNSにアップするだろう。いいね!ってたくさん言われると嬉しいだろう。でも、味について書こうとすると「普通に美味しい」とか書いちゃうだろう。

味について書くのって結構難しい。という事で、今回は食べ物の味を文章にする方法を書いてみようと思います。これでも、8年くらい雑誌で食べ比べの連載やってたんだぜ。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。 1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。
> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

定型パターンがあるんですよ

食べ物の味について文章を書く場合、大体はパターンがある。それに従って書けばいいので慣れちゃうと難しい作業ではない。では、とんこつラーメンを例にして1つ書いてみよう。
しばらく日本橋店の『だぶるらーめん』、720円。
しばらく日本橋店の『だぶるらーめん』、720円。

日本橋しばらくのだぶるらーめん720円

(起)まだまだ寒い日が続く今日の頃。お昼に入ったのは、水天宮の近くにある博多ラーメンの『しばらく』。鉄で出来た重い引き戸を開けて店内へ。

2階にテーブル席、1階はカウンター席である。カウンターには紅ショウガ、スリゴマ、柚子胡椒、スープのタレなどが常備されている。

(承)食券で注文したのは『だぶるらーめん』720円。名前の通り麺が2玉入っている。途中で替え玉を頼む面倒がないし、なぜか替え玉を頼む場合より10円安い。

(転)3分ほどでカウンター越しに到着、まずはスープをすする。白く濁った豚骨スープは脂少なめ、豚骨臭はしっかりしてあるがアッサリしている。飲み干したいスープである。

麺を引き上げた写真は麺類の定番構図。斜め上から撮る。
麺を引き上げた写真は麺類の定番構図。斜め上から撮る。

麺は細めでストレート。とんこつラーメンはこうでなくちゃ。ザクザクした食感が心地良く、スープとの相性も良い。

博多ラーメンは替え玉前提でボリューム抑えめなのが普通だが、替え玉をするとどうしてもスープの味が薄くなる。その点、最後まで一定の味で食べられるだぶるらーめんは素晴らしい。

具をアップにする構図も良い。
具をアップにする構図も良い。
具はチャーシュー、キクラゲ、青ネギ。チャーシューは脂身少なめだがよく煮込まれて柔らかい。キクラゲはコリコリして食感にアクセントを与えてくれる。

スープ、麺、具、全てが僕好みの博多ラーメンである。どんぶりの端に柚子胡椒を乗せておいて、後半は柚子胡椒とすりごまで味を変化させながら食べるのが好きだ。

(結)昨今、旨味レベルが上がりすぎているラーメン業界からしたら普通の豚骨ラーメンと捉えられるかもしれない。が、このアッサリしたとんこつラーメンこそ食べ続けられる味なのだ。ランチタイムに通いたくなる名店である。

要は起承転結である

今更起承転結かよ!というくらい文章の基本中の基本だが、やっぱり基本は大事である。全体の構造は起承転結としたい。

1.店やメニューの情報(起)
2.何を注文したか(承)
3.味など食べた物の情報(転)
4.まとめ(結)

転の部分が核心なので長くなってしまうのは仕方ないところだろう。だが、fecebookに投稿するのはよくてもTwitterには載せられない。その場合は大胆に短くしちゃえばいいのだ。
右上の添えているのが柚子胡椒。本来は餃子用みたいだが、僕はラーメンにも使っている。
右上の添えているのが柚子胡椒。本来は餃子用みたいだが、僕はラーメンにも使っている。

Twitter用に短くするとこんな具合

『豚骨ラーメンなら水天宮前の『しばらく』が好き。豚骨臭のわりにアッサリした白濁スープにストレートの細麺が最高だ!だぶるらーめんならザクザク食感の麺を通常の2倍楽しめちゃって720円。具はチャーシューとキクラゲ、あと青ネギ。今日のお昼に食べたけどまた行きたい!』

これで130文字である。起承転結を分解するとこうなる。

(起)
豚骨ラーメンなら水天宮前の『しばらく』が好き。

(承)
豚骨臭のわりにアッサリした白濁スープにストレートの細麺が最高だ!

(転)
だぶるらーめんならザクザク食感の麺を通常の2倍楽しめちゃって720円。具はチャーシューとキクラゲ、あと青ネギ。

(結)
今日のお昼に食べたけどまた行きたい!


短い文章にまとめる場合は、理路整然と論理的に書くのではなく感情的に書いた方が良い。その方が短くまとまる。

ラーメンのパターン

大枠の構造は起承転結だが、転の部分で味について書く文章にもパターンがある。書くべき事は大体決まっているのだ。

例えばラーメンの場合は、スープ、麺、具、トッピング、カウンター調味料について書けば、大体全ての要素を網羅できる。

下の写真は、らあめん花月嵐の『嵐げんこつらあめん』620円である。

これを題材にして、ラーメンのパターンを説明してみよう。
嵐げんこつらあめんに半熟味玉をトッピングして720円。
嵐げんこつらあめんに半熟味玉をトッピングして720円。

ラーメンのパターン

まずスープだが、『あっさりかこってりか』を書けばいい。あとは旨味が濃いか薄いか、透明度、温度、何か浮いてないか、脂の量辺りを観察して書く。

嵐げんこつらあめんの場合だと、『背脂が浮いたこってり味。豚骨と野菜のスープは旨味が深く、見た目のわりにまろやかである。』って感じだろうか。

最近のラーメンスープは大体旨味が強いので、旨味に関しては強いとか濃いとか深いとか書いておけばいい。味が薄いと感じた場合は『ぼんやりした味』とすればいい。不味いと書くよりはマシだ。

脂については白い粒なら背脂、透明な場合はごま油だったりするので匂いで判断する。熊本ラーメンなどに入っている黒い油の場合は『マー油が香りとコクを深めている』とでも書いておけばいいだろう。

麺とスープの相性は悪い場合がほとんど無いので『麺とスープの相性も良い』とか書けば大体外さない。相性ほど抽象的なものはない。

温度については、熱すぎたりぬるすぎたりしたら書けばいいが、普通に食べやすい場合は書く必要はないだろう。
ラーメンの写真は、全体、アップ、麺を引き上げたとこの3枚を素早く撮って伸びないうちに食べるのが鉄則。
ラーメンの写真は、全体、アップ、麺を引き上げたとこの3枚を素早く撮って伸びないうちに食べるのが鉄則。
麺は太さと縮れ方、噛んだ時の感触について書けばいいだろう。極細麺、細麺、中細麺、中太麺、太麺、極太麺の6種類。中細麺、中太麺については正直違いが判らない事もあるが、なんとなくで分ければいい。

縮れ方は、ストレート、縮れ、超縮れの3種類くらいで良いと思う。『ストレート細麺』とか、『縮れ中細麺』とか書けばいい。嵐げんこつらあめんの場合は多分『縮れ中細麺』である。

食感については、ザクザク、モチモチ、パツパツ、ツルツル、シコシコなど擬音を上手く使えば綺麗にまとまる。
麺を引き上げた写真はラーメンの場合定番。
麺を引き上げた写真はラーメンの場合定番。
カウンター調味料の激辛壺ニラ。カウンター調味料についてもどう使うかなどを書くと広がる。
カウンター調味料の激辛壺ニラ。カウンター調味料についてもどう使うかなどを書くと広がる。
具は、『チャーシュー、メンマ、海苔、ゆで玉子』と種類を列挙してから『チャーシューは薄いがトロリとしていて好みだ』なんて書けば良い。脂身の具合、厚さ(あるいは薄さ)、柔らかさなんかを書けば良い。他の具は特徴があれば書くが、無い場合は書かなくてもいい。『普通』と書くのは意味がない。

基本的には、食感(触覚)、味(味覚)、歯ごたえ(触覚と聴覚)、匂い(嗅覚)、見た目(視覚)について書くと大体描写できる。味覚だけに頼らず五感を使うのがコツである。

途中でカウンター調味料などを使う場合は周辺情報として書いておくと親切だ。前述のとんこつラーメンなら柚子胡椒とすりごま、花月嵐なら『注文時に頼めば生ニンニクをもらえる。にんにく潰し器で潰してラーメンに入れればスタミナが付きそうな味に変身。また、終盤は酢と激辛壺ニラで味変すれば最後まで飽きずに食べられる』とでも書けばいいと思う。

あと大事なのは『美味い』と安易に書かないことだ。『美味い』は主観であり、好みの問題なので書いてもあんまり意味がない。また、『美味い』と書くとそれで文章が終わってしまう。

絶対にダメではないが、出来るだけ少ない回数で留めたい。ただし、文字数制限が厳しい場合は使ってもOKとする(『美味い』を別の言葉で書くのは文字数を要するので)。
ラーメン花月の冷やし中華。味の言語化が苦手な人でも言語化出来る派手さである。
ラーメン花月の冷やし中華。味の言語化が苦手な人でも言語化出来る派手さである。
ラーメンの味を書く方法についてまとめるとこんな具合だろうか。

メニューの名前、値段を書いたら各パーツについて書く。


麺の種類と食感


ザクザク、シコシコ、モチモチなど。擬音を使うと伝わりやすい。

スープの種類と味
色、透明度、ダシの種類、アッサリ、こってり、旨味の濃さは濃いとしておけば外さない。

具について
載っている具を列挙、チャーシューは厚さ、柔らかさ、味などを書く。判れば肉の部位も。

大体パターンの組み合わせなので、ラーメンの味を言語化するジェネレータとか簡単に作れそうな気がする。

言語化しやすい味の店に行けばいい

余談をダラダラと書く。

らあめん花月嵐のラーメンは味がハッキリしており、味の文章化が苦手な人でも書きやすいと思う。最近の人気ラーメン店はどこもそうだが、どんな味音痴の人が食べても味の違いが判るようなクッキリした味付けになっている。

要するにSNSなどで口コミを生む人気店とは、『言語化しやすい味の店』である。うどんかよ!みたいな極太麺とか魚粉とか、本来隠し味に使うような素材をもっさり盛るロックさが口コミを生むのだ。

つけ麺なんかは麺がやたら太くて、スープはつけ汁だけあって濃い旨味の塊だ。非常に言語化しやすく、口コミを生みやすい。だから東京では流行ってるんだと思う。適度にぬるくなるのも味が判りやすくなって良いのだろう(個人的にはあんまり好きじゃないけど)。

他のメニューにも広げよう

判りやすいかと思ってラーメンを題材に説明してきた。次のページでは他のメニューについても書いていきたい。

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