特集 2014年3月15日

与那国島でパクチー嫌いは克服できるのか

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日本最西端の与那国島に行くとパクチー嫌いが克服できると聞いたことがある。本当に克服できるのか検証してみた。
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与那国島でパクチー嫌いを克服したい

【パクチー】
英名はコリアンダー 。中国ではシャンツァイ(香菜)。パクチーはタイ語。
和名ではカメムシソウ 、コエンドロ(爬虫類っぽい)。中国パセリと呼ばれることも。
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みなさんパクチー好きですか?好き嫌いがハッキリと分かれる食べ物ではないでしょうか?
ちなみに私は大の苦手。料理に1mmの切れ端が入っているだけでわかるくらい苦手。あの独特な香りが何とも苦手なんです。
和名であるカメムシソウ。誰が名づけたのか知りませんが、まさにカメムシの匂いではないですか。こんな名を付けるくらいだから命名した人もパクチー嫌いなんじゃないかと思います。

さて、何年か前に与那国島出身の知人に、「島ではパクチーが雑草のように生えている」「サラダにしてモリモリ食べる」 と聞いて、そんなバカな!と思ったことを覚えています。
また「パクチー嫌いな人が与那国のものを食べれば好きになるよ」という話も。

そんなバカな。

え、本当に?

ということで、パクチー嫌いな私が与那国島へ行くとパクチーが好きになるのか?
克服すべく沖縄県の最西端の島、与那国島へ行ってきました。(以下、コリアンダーのことはパクチーで統一します)
普通に道端に生えてる長命草
普通に道端に生えてる長命草
島にある畑の3割くらいは長命草の畑に
島にある畑の3割くらいは長命草の畑に
島に着いて、雑草のように生えているというパクチーを探しますが、まったく見つかりません。あるのは雑草のように生える長命草と呼ばれる草ばかり。

昔から与那国島では長命草をよく食べているそうで、刺身のツマが長命草だったりします。島に自生しているものなので、あちらこちらにワサワサ生えています。与那国島だけではなく八重山諸島では比較的よく目にします。
近年、某大手化粧品会社が与那国島産の長命草を使った商品を開発販売し始めたり、加工食品の工場ができたりした影響で、島では長命草の畑が増えてきているそうです。おじいおばあもお小遣い稼ぎで始める人もいるのだとか。

『パクチー』ならぬ『クシティ』

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「パクチー嫌いな人が与那国のものを食べれば好きになるよ」与那国島では、パクチー のことをクシティ と言います 。はっきりした品種の違いなどはわかりませんが、本土などで売られているものとは少し違う気がすると聞きました。パクチーであることは間違いないんですけど。

収穫されるクシティのほとんどは島内消費。島外に住む家族や親戚、知り合いに手土産として持って行くことがあるくらい。与那国島でしか食べることができないものなんです。
島のJAやスーパーで売られていることも
島のJAやスーパーで売られていることも
袋いっぱいに入ったクシティが売られている日もある(真ん中)
袋いっぱいに入ったクシティが売られている日もある(真ん中)
雑草のようにワサワサ生えていると聞いてやってきましたが、実はちゃんと種を撒いて収穫するとのこと。
10月頃に種まきして、11月から1月下旬、遅くても2月上旬までが収穫ピークの冬野菜。この日でも遅いくらいでした。
手前の緑色の葉は全部クシティ
手前の緑色の葉は全部クシティ
これもクシティ
これもクシティ
知らない人からすると雑草に見えるかもしれない
知らない人からすると雑草に見えるかもしれない
見た感じ、売られているものより葉っぱが小さく茎も細い。触ってみるととても柔かいんです。
クシティの花。小さくてかわいい
クシティの花。小さくてかわいい
花が咲き始めたら食用としてはそろそろ終わりで、収穫時期は結構短い。島の人でも「クシティ出た?!」と冬の味覚を楽しみにしている人も多いとか。
ちなみにたまたま同じバスに乗り合わせ、祖納集落の案内をしてくれた少年に「クシティ好き?」って聞いたら、「いや。。アレは。。ちょっと。。匂いが。。。」と困っていました。島で生まれ育っていても、子供には不人気なのでしょうか。

クシティ料理を出す居酒屋に行って、パクチー嫌いを克服したいと思います。

クシティとツナのサラダ

1軒目。「旬が過ぎると固くなるから」とメニューにはありませんでしたが、聞くとクシティはあったのでお願いして作ってもらいました。
クシティとツナのサラダ 時価
クシティとツナのサラダ 時価
どっさりと盛られたクシティとツナ、醤油ベースのドレッシングで和えた一品。
こんなパクチーだけの料理とか見たことありません。テーブルまわりに充満するあの香り。これで克服できれば、パクチーを気にせず生春巻きを一口でかぶりつくことができます(今までは中身を確認していた)。
今までの人生で葉っぱ1枚分くらいしか食べたことはないでしょう
今までの人生で葉っぱ1枚分くらいしか食べたことはないでしょう
「.............。」
「.............。」
ダメだ...
ダメだ...
残念ながら1軒目では一口だけしか食べることができませんでした。

クシティとツナのサラダ(2軒目)

翌日、クシティがあることを確認して2軒目のお店に。
初めてならクシティってなんですか?って聞くことでしょう
初めてならクシティってなんですか?って聞くことでしょう
居酒屋では、地元の人や観光客、他の島から仕事で来島していると思しき人のほとんどが注文しているくらい、クシティのツナサラダは人気でした。
ツナとクシティ 450円
ツナとクシティ 450円
この量には驚かされた
この量には驚かされた
いくらなんでも多いだろこれ...
いくらなんでも多いだろこれ...
うわ....。...ん?
うわ....。...ん?
おおお?食べれ...るよ?
おおお?食べれ...るよ?
さすがに全部は無理だが結構食べることができた
さすがに全部は無理だが結構食べることができた
食べることができた!ツナを多めに絡めてですけど。でも食べることができました...!あんなに嫌いだったのに。
なんというか香りがマイルド。葉や茎がとても柔らかい。ツナと食べると香りが和らぐ気がします。

パクチー嫌いは克服出来たのか

パクチーの欠片が入っているだけで避けていた私。与那国のクシティを食べることができました。
しかしこれは、島で島のものを食べているからという雰囲気もあって食べることができただけなのではないのでしょうか(オリオンビールを本土で飲むと何か違うというのに似た感覚)。

ということで、県外産のパクチーを買ってきて生春巻きに入れ食べることができるのか検証してみたいと思います。果たしてパクチーを食べられるようになったのか…?!
パセリじゃなくパクチー。いつも間違えてる
パセリじゃなくパクチー。いつも間違えてる
茨城産のパクチー。与那国で買ったクシティの1/3しか入っていなくて198円。高い
葉っぱが大きく香りが強い
葉っぱが大きく香りが強い
3~4枚いれた
3~4枚いれた
生春巻きに3~4枚入れて食べてみましたが、

無理でした。

一口で終了です。クシティとは別の何かと思うくらい香りが強いし固い。余計にパクチー嫌いになりそう。
左が与那国産クシティ。右が茨城産パクチー。
左が与那国産クシティ。右が茨城産パクチー。
大きさの違いはありますが、見た目と味がまったく違います。

クシティは、葉の切れ込みが細かく茎が細い。1本の茎から多く枝分かれしていて葉がたくさん 付いています。葉や茎が柔かいのでとてもフワフワしています。香りは強すぎず、喉元過ぎればスッと消える感じ。

パクチーは、葉が大きく切れ込みも少ない。1本の茎から枝分かれは少なく太い。葉や茎も固くシャキシャキ食べる感じ。フーチバー(よもぎ)に似た感じ。香りはとても強く、いつまでも口の中に残っている感じがします。

収穫時期に違いがあれど、ここまで違うってことは品種が異なるんでしょうね。

クシティが食べたいなら冬に

残念ながらパクチーを食べられるようにはなりませんでしたが、クシティなら食べられるようになりました(少し)。クシティとパクチーは、コリアンダーであることは一緒ですが、完全に別の何かだと思います。
2月では旬が過ぎてしまい、葉や茎が固くなっているそうですが、市販されているパクチーと比べるとまだまだ柔らかい。

パクチー大好きな方は、冬(12月か1月)の与那国島をオススメします。モリモリ食べることができますよ!
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