コラボ企画 2014年3月20日

女子力の高すぎるロボを作る

まがまがしいまでの女子力。
まがまがしいまでの女子力。

「女子力の高いロボを作って」と当サイト編集部の安藤さんから連絡をもらった。
なにやら「メイテックネクスト」というエンジニア専門の転職支援会社とのタイアップ記事らしい。
「自由に作っていいですよ」と伝えられた。

そもそも、エンジニア専門の転職支援会社と、女子力の高さにどういう関係があるのだろう。
女性ユーザーを獲得したい、という思惑があるのだろうか。
悩んでいても仕方ないので、自由に女子力の高いロボを考えてみよう。

父は数学教師。母は国語教師。姉2人小学校教師という職員室みたいな環境で育つ。普段はTVCMを作ったり、金縛りにあったりしている。(動画インタビュー)

前の記事:22世紀のお墓、おはカー


女子力の高いロボってなんだ。

とりあえず自走式であって欲しい。
そして、何か発射してほしい。
話す能力もほしい。
目も光ればいいかな。
変形なんてできたら最高だ。
でもメカニック的なことが一切わからないので、そこらへんのメカをはりつけて作ることにする。

ロボ開発開始だ。
今までに作った工作で使ったメカを再利用して作ろう。
おはカー」に使ったラジコンなら、自走式にできるだろう。
海亀産卵銃」に使ったピンポン球配球機があれば、発射機能がつけられそうだ。
動力はパワフルなタミヤのラジコン。
動力はパワフルなタミヤのラジコン。
海亀の中身は、アイポンという製品。
海亀の中身は、アイポンという製品。
弾丸には、女子力の高いものを詰め込みたい。

ピンポン球では何も詰めることができないので、何か代用できるものはないか探す。
ガチャガチャのカプセルなんてどうだろうか。
ピンポン球の直径は、40mm。
調べてみると、なんとぴったりのサイズのカプセルがあった。
でも最少セットで100個らしい。
う~ん。仕方ない。発注する。
届いた。
届いた。
これでこのカプセルに詰められるものならば何でも弾にできるようになった。
最終的なイメージはこんな感じだ。
かわいい~。
かわいい~。
弾丸は確保できたので、ロボの体を作る。
家にあるものをいろいろと持ち出す。
頭部分は会話機能を持たせるために、iPadにしたい。固定するためのホルダーを買う。
ドリンクホルダーに固定するタイプです。
ドリンクホルダーに固定するタイプです。
多分ロボはこけて、落ちて、割れる。
そして、Appleセンターに液晶が割れましたという旨の電話をすると、
「お客さまに、お怪我はありませんでしたでしょうか」という宇宙一心のこもっていない定型文で心配をされる。
そんなのは嫌なので、頑丈そうなiPadケースもそろえた。
本来の倍ぐらいの重さになったけど、頑丈!
本来の倍ぐらいの重さになったけど、頑丈!
足りないパーツは、ホームセンターと100円均一で揃える。
部品がそろったので、L字金具と結束バンドを使って仮組みする。
既製品にネジ打ち込むのって背徳感あります。
既製品にネジ打ち込むのって背徳感あります。
iPadを本体に固定してみるも、重すぎてばいんばいん揺れる。
しばらく揺すって強度を確かめていると、iPadホルダーのプラスチックが割れてもげた。
これ、あかんやつや。
これ、あかんやつや。
頭をiPadにするのは、無理があったようだ。
安藤さんに、それとなくロボのデザインをちょっと変えてもいいですか?と連絡する。
OKがもらえた。
よし、軌道修正しよう。iPadがなくても成立するロボにしよう。
ついでに腕も邪魔だし諦めよう。
形状が決まったので、色を塗る。
大まかに新聞でマスキング。
大まかに新聞でマスキング。
女子といえば、ピンクである。
うちの姉も、とにかくピンクが好きで日用品のほとんどをピンクで統一していたのだが、ケータイを機種変するとき、ラインナップにピンクがなかった。
結局、さつまいもみたいな色のケータイを買っていたのだが、これはピンクだと言い張っていた。
女子はとにかくピンクが好きなのだ。

素材や色がバラバラなので、サーフェイサーで下地を作る。
近未来感出てきた。
近未来感出てきた。
続いて色を塗ってゆく。

スプレー缶は、40℃くらいのぬるま湯で少し温めてから使うとキリが細かくなっていいらしい(熱湯だと爆発するそうなので気をつけてください)
この記事で唯一役立つ情報です。
この記事で唯一役立つ情報です。
何度か重ね塗りする。
何度か重ね塗りする。
色が塗れたので、再度組み立てていく。

何か寂しい。女子力が足りない。
100円均一に売っていた、ちょっとモコモコしていてラブリーなシールを貼る。
おぉ、かわいい。女子が喜ぶやつじゃないですかこれ。
おぉ、かわいい。女子が喜ぶやつじゃないですかこれ。
さらなる女子力の高みを目指すため、物置の段ボールをひっくり返す。
すると、あるものに目が止まった。
大量のエリちゃんである。(エリちゃんはダイソーのリカちゃん的な人形だ)
大量のエリちゃんである。(エリちゃんはダイソーのリカちゃん的な人形だ)
30体以上はあるだろうか。

なんでこんなものがあるのかというと、頭がタコ焼きのエリちゃんが踊るストップモーションアニメを以前作ったからである。
大阪をアピールするCMコンテストか何かに送った気がする(もちろん落選だった)
だから、ところどころにソースがついている。

これぞ女子力の塊ではないか。さっそく結束バンドで取り付けていく。
結束バンドがベルトみたいでかわいい。
結束バンドがベルトみたいでかわいい。
ひたすらつける。
ただつける。
あれ、なんかこれ。
あれ、なんかこれ。
だめなやつだ。
だめなやつだ。
あかん、どうしよう。取り返しかがつかない。
女子力が高すぎて、髪の毛とか伸びるやつだコレ。

絶望のさなか、安藤さんから連絡がきた。
「撮影は東京で、メイテックネクストさんも来られますっ!」

無理である。

僕はそんなたくましい心臓を持っていない。
「僕の住む大阪から東京はちょっと遠いのもあって…平日は仕事あるので…ちょっと撮影を代わりにお願いしたいんですけど…」

ロボの現状は濁しつつ、お願いする。
なんと、代わりにやって頂けることになった。言ってみるものである。
大阪、東京間に横たわる距離をこんなにも頼もしいと感じたことは今までなかった。
「僕は、怒られない」という事実。
なんだか勇気がわいてくる。
鈴とかつけちゃおう。
鈴とかつけちゃおう。
頭にバラついてたらいいよね。
頭にバラついてたらいいよね。
無敵である。今僕に恐いものはない
弾に中身を詰める。
女子力の高いものを詰め込んでいく。
女子力の高いものを詰め込んでいく。
完成した!
かわいい~
かわいい~
名前は何がいいだろうか。
「科学」と「女子」のイメージだから…
そうだ、「はるこ」にしよう!(2001年宇宙の旅のHALをイメージしています。それ以外の意味はありません)
はるこは闇で目が光る。
はるこは闇で目が光る。
宅急便でロボを送り出す。
いっておいで~。
いっておいで~。
いったん広告です

はるこ、東京に降りたつ。

はるこを送り出してから、待つこと数日。
安藤さんから、届きましたとメールがあった。

内容を要約すると、こういうことであった。
髪の毛が乱れているはるこ。
髪の毛が乱れているはるこ。
・ 編集部の古賀さんが引いている。(第三者を介して怒られている感じがとても怖い)
・ クライアントからNGが出そう。その時は人形を外してもいいか。
やっぱりね~。
やっぱりね~。
だって、相手は大人だし、これ広告だもんね~。
仕方がない。了解しましたと返事をする。
待つこと数時間。

安藤さんから連絡がくる。
そのまま通ったらしい。

えぇーうそー。
どうやってメイテックネクストに説明したのだろうか。
そもそも完成図と違うだけで、厳しいはずだ。
メイテックネクストの弱みを握っているに違いない。(もしくは、社長の息子とかだ絶対)
恐い。はるこより安藤さんが恐い。
恐い。はるこより安藤さんが恐い。
そして1GBの動画と写真ファイルが届いた。
開いてみるとその中には、クライアントを陵辱するはるこの姿が。
いったん広告です

はるこ、クライアントと遭遇。

はるこ vs クライアント。
はるこ vs クライアント。
ここから先は、届いた写真から状況を想像することしかできない。
何とも言えない空気が伝わってくる。この場にいなくて本当によかった。
何とも言えない空気が伝わってくる。この場にいなくて本当によかった。
心なしか安藤さんの撮ってくれた写真がこのあたりだけブレている。

分かりやすくするため、撮影に協力してくれたメイテックネクストのキャリアアドバイザーの人を「マモル」という名前にして状況を分析してゆきたい。

抗えない力により、公園の蛇口で手を洗わされているマモル。
まだまだ春は遠く、水は刺すように冷たい。
まだまだ春は遠く、水は刺すように冷たい。
蛇口を閉めて立ち去ろうとした時、気づいた。チッと舌打ちをする。
ハンカチを忘れてしまった。
ハンカチを忘れてしまった。
このまま濡れた手のままでいたら、凍傷になって死んでしまうかもしれない。
するとどこからか、シャンシャンシャンという鈴の音ともに、唸るモーター音が聞こえてきた。
振り返るとそこには、ピンク色のロボットがいた。
振り返るとそこには、ピンク色のロボットがいた。
ロボットは、マモルに向けて弾丸を発射してきた。

身構えるマモル。
しかし、けたたましいモーター音とは裏腹に、弾丸はやわらかい放物線を描いてマモルの足下にコロコロと転がった。
着弾した瞬間、弾が2つに割れた。
着弾した瞬間、弾が2つに割れた。
どうやら弾の中に何かが入っている。
拾い上げてみる。
中には、折り畳まれたハンカチが入っていた。
中には、折り畳まれたハンカチが入っていた。
使え、というとなのか。疑問を抱きつつもハンカチで手をぬぐうマモル。
このロボットは何を考えているのだろう。
反応がないので、そろそろ会社に戻ることにする。
反応がないので、そろそろ会社に戻ることにする。
「クシュンっ」
手を冷水に長時間さらしたせいか。鼻水が出てしまった。
手を冷水に長時間さらしたせいか。鼻水が出てしまった。
そのとき、ロボットから次の弾が打ち出された。
中身はティッシュだった。
中身はティッシュだった。
広げてみる。
クッシャクシャだ。
クッシャクシャだ。
既に誰かが鼻をかんだ後のものかと一瞬疑ったが、どうやら未使用品らしい。
ロボットに害意はないようだ。
ロボットに害意はないようだ。
もらってばっかりでは悪いので、何か恩返しをしよう。

と言ってもここは公園。砂ぐらいしかない。
喜ぶかな、砂…。

そうだ!
花だ!頭にバラがついてるんだから、花が好きに違いない。
花だ!頭にバラがついてるんだから、花が好きに違いない。
お花をプレゼントしよう。
公園の花を摘みとろうとしたその時…。
痛っ!トゲがささった!
痛っ!トゲがささった!
そんなマモルに対し、ロボットから絆創膏弾が発射された。
キズはひとつなのに、大量に発射された。
キズはひとつなのに、大量に発射された。
みつめあう二人。
みつめあう二人。
僕の名前は、マモル。君は…?

しばしの沈黙の後、ロボットは弾を撃ちだした。
中には「はるこ」と書かれた紙きれが入っていた。
はるこ…。
はるこ…。
それから、マモルは昼休みの度にこの公園を訪れるようになった。
はるこはいつだって、マモルを待っていた。
マモルを見つけるやいなや、突進してくるはるこ。
マモルを見つけるやいなや、突進してくるはるこ。
上司に何だかよく分からない広告記事を作れと言われ、ムシャクシャしているときは、アロマキャンドル弾を撃ちだしてくれた。
匂いをかぐだけでリラックスして、絶頂に達するマモルだった。
匂いをかぐだけでリラックスして、絶頂に達するマモルだった。
仕事で徹夜明けに訪れた時は、コエンザイムQ10、ビタミンC、ヒアルロン酸の錠剤が詰まった弾丸を撃ちだしてくれた。
!
一発に10日分くらい詰まっていた。
一発に10日分くらい詰まっていた。
パックも用意してくれていた。
!
肌がモッチモチになるマモルだった。
肌がモッチモチになるマモルだった。
仕事がつらい時も、はるこのおかげでがんばれた。
マモルにとって、はるこの存在は日に日に大きくなってゆくのだった。

ある日、マモルはまたハンカチを忘れてしまった。
いつものようにはるこが近づいてくる。
しかし、はるこはガスンガスンと異音を発するだけで、弾を発射してこなかった。
おかしい、と思ってかけよってみると、どうやら弾詰まりを起こしているようだった。
発射口に指を突っ込んで弾を取り除くマモル。
発射口に指を突っ込んで弾を取り除くマモル。
すると、再び小気味よいリズムでハンカチ弾が発射された。
弾の補給は、頭からするらしい。
マモルとはるこはお互いのことをもっと知りたいと願うようになった。
マモルとはるこはお互いのことをもっと知りたいと願うようになった。
そして、抱き合うマモルとはるこ。
二人の視線が重なる。
二人の視線が重なる。
キスしてもいいかな…?

うなずくはるこ。
ふたりの距離がさらに、近づく。
ふたりの距離がさらに、近づく。
二人の唇が重なると思った瞬間…。
二人の唇が重なると思った瞬間…。
はるこから弾が発射された。ひろげてみると…。
しまった。発射口が口だと思っていたが、どうやら違ったようだ。
しまった。発射口が口だと思っていたが、どうやら違ったようだ。
改めてはること向き合う。

しかし、どうも様子がおかしい。
何だかはるこが熱い。故障だろうか。
はるこはぶるぶる震えだすと、一発の弾を吐き出した。
興奮すると変形しちゃう!
興奮すると変形しちゃう!
バンザーイ!
バンザーイ!
以上である。

おそらくこのような設定でメイテックネクストの人は、寒空の中写真を撮られていたのだと思う。
あらかじめ言っておくと、ラブストーリーのくだり、僕は全くお願いしていない。
おそらく安藤さんが犯人である。

送られてきた1GBの半分は二人のラブロマンスだった。
メイテックネクストの人は雰囲気でやらされていたのだと思う。なんていい人たちなんだろうか。
安藤さんもまた、加害者なのだ。

最後に動くはるこをぜひご覧ください。

はるこを作って。

今回の企画では、メイテックネクストの海より深い心意気について知ることができた。
ロボに割烹着を着せて「HAL子」にするという考えもあったのだが、もしかしたら通してくれたかもしれない。

広告制作の現場では、広告をつまらなくしているのはクライアントだなんて思いがちだが、本当は制作サイドなのだろう。
今はクライアントより何より、安藤さんに怒られるのが恐い。
変形途中。
変形途中。

!
この企画を許してくれたメイテックネクストには足を向けて眠れない。

!
他にも無駄に技術力の高いロボたちを作っています。
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