土曜ワイド工場 2014年3月22日
 

50年前のスーパーのチラシを見せてもらった

思う存分見せていただきました。
思う存分見せていただきました。
スーパーのチラシといえば、日常生活に溶け込み過ぎた「ザ・チラシ・オブ・チラシ」であり「チラシ界の雄」もしくは「ドン」と呼べる存在である。わざわざ手元に残しておく人は、まずいないだろう。

しかし、これが50年前のチラシとなれば途端に話は変わってくる。古いパンフレットは古本屋等で入手可能だが、スーパーのチラシとなるとそうもいか ない。身近すぎるあまり保管しようとすら思わないせいか、新聞紙と一緒にちり紙交換に出されるパターンがほとんどだと思われる。

そんな絶滅危惧種レベルに貴重な大昔のチラシを、大量に見せてもらえる機会に恵まれた。じっくり読み込んでみたい。
高瀬克子 高瀬克子(たかせかつこ)
1968年秋田県生まれ。食べたり飲んだりしていれば概ね幸せ。興味のあることも飲食関係が中心。もっとほかに目を向けるべきだと自覚はしています。

スーパーマーケットミュージアムにて

ことの発端は、とある休日たまたま出かけた「スーパーマーケットミュージアム」なるイベントでのことである。
首都圏を中心に展開するスーパー「サミット」が50周年を記念して行ったイベント(※終了しています)
首都圏を中心に展開するスーパー「サミット」が創業50周年を記念して行ったイベント(※終了しています)
サミットの第1号店が世田谷区野沢にあったことから、この地で「スーパーのしくみ」や「流通」について学べるイベントが行われていたのだ。
スーパーに売ってない商品を探せ! というクイズもあって楽しい。
スーパーに売ってない商品を探せ! というクイズもあって楽しい。
流通が一目で理解できるコーナー。24時間の時間の流れが分かる仕組み。
流通が一目で理解できるコーナー。24時間の時間の流れが分かる仕組み。
スーパーの店内を模したジオラマまで。
スーパーの店内を模したジオラマまで。
お惣菜を作ってる人もいる! 細かい!
お惣菜を作ってる人もいる! 細かい!
子どもが実際に「ピピッ」と擬似レジ体験(機械は本物)できるコーナーが大人気。
子どもが実際に「ピピッ」と擬似レジ体験(機械は本物)できるコーナーが大人気。
ちゃんとレシートまで出てくるという芸の細かさよ!
ちゃんとレシートまで出てくるという芸の細かさよ!
全体的に子ども向けの内容ではあるのだが、付き添いの大人がつい夢中になってしまうような素晴らしいイベントであった。

そしていきなりチラシがあった

「ほほう」とか「へえ〜」と感心しながら会場を見て回っていたのだが、とある一角で私の足が完全に止まった。

あったのだ。いきなり50年(正しくは51年)前のチラシが!
「うわー!」と声が出た。そりゃあ出る。出るともさ。
「うわー!」と声が出た。そりゃあ出る。出るともさ。
すっかり興奮してチラシの前に立ち、穴があくほど見入ってしまった。なんという情報量だろうか。今のスーパーのチラシとはだいぶ様子が違うのもまた興味深い。

まだ生まれる前の、東京のスーパーの品揃え、その価格、そしてチラシ自体のデザイン…。

どれをとっても珍しすぎる。面白すぎる。

だいたいハムが220円で、大正えびが17円って、一体どういうことだ。
よく見るとハムは500グラムだし、えびは1尾の値段なのだな。ふむふむ。
よく見るとハムは500グラムだし、えびは1尾の値段なのだな。ふむふむ。
こうして見ると、肉に比べて魚介がとても安い。特にサバとくじら! 鯛なんて1尾10円だ。ブリは1切れで45円もするのか。ああ…いくら見ていても飽きない。いつまでも見続けていたい。そして当時の台所事情を想像していたい。
さらに「お待たせしません」や「完全セルフサービスです」という表記に「そうか、スーパーという販売形態自体がまだ珍しい時代だったのだな」とハッとさせられる。
どうです、当時の生活が垣間見えるようじゃないですか…。
どうです、当時の生活が垣間見えるようじゃないですか…。
東京オリンピックが1964年だから、これはその前年のチラシということになる。

戦後18年しか経ってないというのに、これだけ東京のスーパーには物が豊富にあったのだなぁ。
さらに3年が経過した頃のチラシがこちら。椎名町店の開店記念チラシですね。
さらに3年が経過した頃のチラシがこちら。椎名町店の開店記念チラシですね。
一気に写真が増えた。この3年で一体何があったのか…と思わせるような劇的な変わりっぷりである。

文字量が減り、写真と価格がバーンと目に飛び込んでくる視覚に訴えたデザインは、まさに私たちがよく知っているチラシのパターンである。
こちらは1969(昭和44)年の若林店開店記念のチラシ。
こちらは1969(昭和44)年の若林店開店記念のチラシ。
2色刷りだが、価格が非常に分かりやすく表示され、安さが強調されている。

それにしても鮭2切れ97円って、今とたいして変わらないじゃないか。ポッキー(もうあったのか!)が88円(通常110円)というのもあまり違和感がない。途端に当時の生活に親近感が湧いてきた。
1971年のチラシ。ついに70年代に突入。ミニスカブームの波はチラシ界にも。
1971年のチラシ。ついに70年代に突入。ミニスカブームの波はチラシ界にも。
花柄の魔法瓶が「時代」ですよねぇ。そしてティッシュペーパーが79円とお高い。
花柄の魔法瓶が「時代」ですよねぇ。そしてティッシュペーパーが79円とお高い。
この頃のティッシュはまだカサが高く、バラ売りだったことが分かる。

そして「ピアスフローラ」なる商品がなんなのか分からない。が、分からないのがまた楽しい。
キユーピーマヨネーズのデザインが今と一緒! つくづくいいデザインです。
キユーピーマヨネーズのデザインが今と一緒! つくづくいいデザインです。
それにしても、40年以上前だというのに肉の値段が今とそれほど変わってないのがすごい。ということは、肉は高価だったんだろう。豚肉100グラム93円とか、今のチラシにもありそうだぞ。

それに比べ、筋子が100グラム390円とはなにごとだろう。超高級食材じゃないか。当時は「いくら」的な立ち位置だったのだろうか。
イラストに味がありすぎる。モデルのポージングもいい感じ。
イラストに味がありすぎる。モデルのポージングもいい感じ。
1972(昭和47)年。だんだんデザイン的に今と変わらなくなくなってきたような。
1972(昭和47)年。だんだんデザイン的に今と変わらなくなくなってきたような。
毛ガニ79円の時代に、筋子380円て! あと白砂糖のデザインも今と変わってないな〜
毛ガニ79円の時代に、筋子380円て! あと白砂糖のデザインも今と変わってないな〜
1973年。青果は安いが、やはり肉の値段は今とたいして変わらない。そして船。
1973年。青果は安いが、やはり肉の値段は今とたいして変わらない。そして船。
1977年、また斬新なレイアウト。
1977年、また斬新なレイアウト。
開店時間が目立つという奇抜なデザイン。
開店時間が目立つという奇抜なデザイン。
そして時代は80年代に。紙パック飲料が登場したり、だいぶ今っぽくなってきました。
そして時代は80年代に。紙パック飲料が登場したり、だいぶ今っぽくなってきました。
一気に牛肉が高くなった印象。そしてインスタントコーヒーが598円とは! 高級品!
一気に牛肉が高くなった印象。そしてインスタントコーヒーが598円とは! 高級品!
80年代に入ると、魚介も肉(特に牛肉)も一気に値上がりした感がある。この頃は日本経済に勢いがあったんでしょうな。

ちなみに1981年といえば「ガリガリ君」が50円で発売された年だそうだ。

…うむ。もう全体的に違和感がなくなってきた。このチラシは知ってるやつだ。
かと思えば、ブリをどどーんと前面に出したデザイン。すごい。5000本てのもすごい。
かと思えば、ブリをどどーんと前面に出したデザイン。すごい。5000本てのもすごい。
1993(平成5)年ともなると完全に「チラシってこういうのだったよね」な雰囲気に。
1993(平成5)年ともなると完全に「チラシってこういうのだったよね」な雰囲気に。
そして2011(平成21)年。これはもう「現在」といっていい品揃え&価格帯。
そして2011(平成21)年。これはもう「現在」といっていい品揃え&価格帯。
50年分を駆け足で一気に見ていただいたが、いかがだったろう。私は、連れていった子どもそっちのけで見入ってしまうほど興奮してしまった。昔のチラシってこんなに面白いのか!

それにしても、この興奮のやり場がない。一体どこへ持っていけばいいのか…と思案した結果、思い切ってサミット本社へ取材を申し込むことにした。

もっとたくさんチラシを見たい! こんな機会、二度とないに違いないぞ!


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