特集 2014年3月28日

ジャンプとポエムを袋とじにする

袋とじで誰でもドキドキできます!
袋とじで誰でもドキドキできます!
雑誌には「袋とじ」というものがある。購入して切らなければ見ることのできなページだ。秘められたものを見るという、背徳感のようなドキドキがある。

ということは、本来は袋とじにしていないものでも、袋とじにしてしまえば、通常では味わえなかったドキドキを味わうことができるのではないだろうか。やってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

袋とじのドキドキ

成人向けのピンクの風が吹く雑誌や、ゲームの攻略法が書いてある雑誌にはよく「袋とじ」というものがある。立ち読みでは見ることができず、購入して切り取り線に従い、刃物を入れなければ見れないページだ。
袋とじ
袋とじ
我々は人生という時間の中でいくつかの方程式を作り出す。風呂上がりにはビール、夏の浜辺には白いワンピースの少女、などがそれだ。そして、袋とじにはなんだかピンクの風、というのもまた方程式。だからこそ我々は袋とじにトキメキ、ドキドキするのだ。
この切り取り線の向こうにドキドキが!
この切り取り線の向こうにドキドキが!
つまりである。袋とじにすることで、我々は条件反射にドキドキするのではないだろうか。バブロフの犬だ。たとえ内容が硬派でも袋とじにすることで、ドキドキを手に入れることができるのだ。人生は袋とじでトキメキ始めるわけだ。
ジャンプを袋とじにします
ジャンプを袋とじにします

ジャンプを全部袋とじに!

少年ジャップという雑誌がある。友情、努力、勝利がキーワードの熱い内容だ。週刊少年漫画雑誌で最大部数を誇る。しかし、この雑誌にはないものがある。背徳感というドキドキだ。これがあればジャンプは新たなステージに上がるはずだ。
ページの端にノリをつける
ページの端にノリをつける
マンガ雑誌であるため、もちろん袋とじは存在しない。これが背徳感をなくしている。袋とじにして、友情、努力、勝利という既存のキーワードに、「背徳」という大人向けの4つめのキーワードを足すのだ。
袋とじを作る
袋とじを作る
袋とじを作り出す方法は簡単だ。ノリ付けすればいいのだ。せっかくなので全てのページを袋とじにした。これで背徳感の嵐だ。

袋とじ制作は2時間弱かかった。買ったばかりでまだ読んでいないのに初めてジャンプに飽きた。袋とじを作ることは大変なのだ。しかしすべては背徳感というドキドキのためだ。
完成!
完成!

大人のジャンプ

袋とじはすぐ開けるのではなく、まずは上下の隙間から覗き込む。これが袋とじの醍醐味である。走り幅跳びで言えば助走の段階。袋とじはもう始まっているのだ。より素晴らしい袋とじにするために、人はのぞくのである。
その後、開ける
その後、開ける
そもそも袋とじを開けるとい行為が楽しい。そして、開けばジャンプ漫画。袋とじ計画はいいのではないだろうか。1ページ開いては読み、また開いて読む。この繰り返しがドキドキとジャンプの読破時間を倍にしている。
橋の下でやるとなぜか背徳感が増す
橋の下でやるとなぜか背徳感が増す
あえて難点を挙げるとすれば、だんだんと飽きることである。マンガは楽しいが、開ける行為に飽きるのだ。あんなに楽しい袋とじが。多くの袋とじが数ページで終わるのには理由があるのだ。面倒くさいからだ。
だんだんこの行為が面倒に!
だんだんこの行為が面倒に!

俺のポエムを読んで

上記で分かったことは数ページの袋とじは有効であることだ。それがたとえピンクの風を感じない内容でも、トキメキと背徳感というドキドキを間違いなく与えてくれる。袋とじは可能性に満ちているのだ。
ポエムを書く
ポエムを書く
これを利用すれば、私の書いたポエムだって興味を持って読んでもらえるのではないだろうか。通常は他人のポエムほど興味をそそらないものはない。

他人の子供の運動会、知らない家族の家族旅行、と同じレベルで他人の書いたポエムには興味が持てないのだ。しかし、袋とじならば読みたくなるのではないだろうか。
ポエムを書いた「君と温泉」(作・けイすケ)
ポエムを書いた「君と温泉」(作・けイすケ)
「ビールの彼女」(作・けイすケ)
「ビールの彼女」(作・けイすケ)
片方(ビールの彼女)を袋とじにした!
片方(ビールの彼女)を袋とじにした!

袋とじパワー

知人を呼び出して「どっちが読みたい?」と先の二つのポエムを差し出した。袋とじの方かな、と知人は言った。やはり袋とじには秘められたものを見たい、という作用があるのだ。本来なら両方読みたくなんてないはずなのに。
楽しいらしい
楽しいらしい
袋とじを開ける作業は楽しいらしい。問題はそこをピークにポエムを読む顔が険しくなったこと。ただし、その流れで袋とじにしていないポエムも読んでくれた。本気で書いたポエムだったので、私は恥ずかしかった。
読む時は険しい
読む時は険しい
彼の感想では「袋とじ」は確かに惹かれた。しかし、ポエムとしては、袋とじではない方がいいポエムだった、とのこと。嬉し恥ずかしかった。

しかし、これで分かった。何でも袋とじにすれば読みたくはなるということなのだ。背徳感をみな感じたいのだ。ラブレターでも何でも袋とじにすれば読んでもらえるのだ。世界は可能性に満ちている。
これがあると本当に袋とじが楽しい!
これがあると本当に袋とじが楽しい!

袋とじがいま危ない

本屋さんに聞いたら最近は袋とじが減ってきているそうだ。残っているのは成人向け雑誌くらい。袋とじとなっていた部分の多くは現在「投げ込み(はさんである小さな本)」になっているとのこと。袋とじというよき文化をなくさないように、今後も袋をとじて生きて行こうと私は思う。
袋とじ作業は手が黒くなる
袋とじ作業は手が黒くなる
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