特集 2014年5月14日

合戦や古典文学を店頭ボード風にまとめるとわかりやすい

違和感ない
違和感ない
店頭ボードっていまやどこにでもある。

15年ほど前にはお洒落なカフェぐらいにしかなかったが、今や業態に関係なく様々な店舗の店先にボードがある。

あの店頭ボード「伝えたいことを簡潔にまとめてわかりやすく伝える」フォーマットとして意外と使えるのではないだろうか?
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

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店頭ボードを色々と観察してみた

店頭ボード(スタンド看板)については当サイトでは何度も取り上げている。その奥深い世界についてはこちらの記事が詳しい。
やはり、飲食店のものが多い印象がある
やはり、飲食店のものが多い印象がある
ぼくも、独自に街角の店頭ボードを集め、その特徴を分析したところ、以下の5点が浮かび上がった。

(1) 言いたいことはデカくかく。(店名は小さいか、無いぐらい)
「500円のランチがある」ということがしっかり伝わっている、店名はない
「500円のランチがある」ということがしっかり伝わっている、店名はない
(2) 段落ごとに色をかえて見やすくしている。
まとまりごとに注目しやすいので、若干文章が長くてもわかりやすい
まとまりごとに注目しやすいので、若干文章が長くてもわかりやすい
(3) すきまを適当な絵で埋める。
適当な絵で賑やかさを演出、絵は上手くなくてもいい
適当な絵で賑やかさを演出、絵は上手くなくてもいい
(4) 語りかける感じでかく。
分かりにくいメニューを話し言葉で解説
分かりにくいメニューを話し言葉で解説
(5) 勘どころで横文字を使う。
「持ち帰り」や「従業員」を「take out」とか「staff」などと表記してオシャレな感じに
「持ち帰り」や「従業員」を「take out」とか「staff」などと表記してオシャレな感じに
以上の点をまとめると、店頭ボードは『“伝えたいこと”を簡潔にまとめてわかりやすくかき出している』ということがわかった。

高札を店頭ボード風にしてみる

店頭ボードの特徴がわかったので、ここからは実践に移ってみたい。
買っちゃった
買っちゃった
店頭ボードがAmazonで3980円で売られていたので購入した。予想外にデカい。ふだん屋外にあるものを家に持ち込むとデカく感じるという言い伝えを今更ながら噛みしめる。

さて、この店頭ボードで何を実践するかが問題である。
『“伝えたいこと”を簡潔にまとめてわかりやすくかき出している』ものといえば何があるのか?

そう「高札」だ。
時代劇の関所とかでよく見るやつです(浜島書店「プロムナード日本史」より)
時代劇の関所とかでよく見るやつです(浜島書店「プロムナード日本史」より)
高札とは時代劇などでよく見る、法度(決まり)や罪人の罪状などを書きだした板のことだ。歴史の授業で習った「五榜の掲示」というのが一番有名だと思う。

今回は、五榜の掲示の中でも第三札のキリシタン禁制の高札というものを店頭ボード風に再現してみたい。

ちなみに、第三札にはどんなことが書かれていたかは以下のとおりである。

一 切支丹邪宗門ノ儀ハ堅ク御制禁タリ若不審ナル者有之ハ其筋之役所ヘ可申出御褒美可被下事
慶應四年三月 太政官
分かりにくいので、読める漢字だけ読んでぼくなりに大雑把に意訳するとたぶん下記のようなことを書いているのだと思う。

一 キリスト教と邪宗門は禁止。もし、怪しいやつを見かけたらその筋の役所に届け出ること。ご褒美あり。

慶應四年三月 太政官
というところだろうか?
以上の点を踏まえ、五榜の掲示キリシタン禁制を店頭ボード風にかくとこんな感じになった。
店頭ボード風、五榜の掲示
店頭ボード風、五榜の掲示
かなりそれっぽいものができてしまって、戦慄している。

「キリシタン禁止」の一番伝えたいことはデカく、あやしい奴を見かけたらご褒美がある。という点は語りかけるように。そしてハートマークや箱の絵で適当にすきまを埋めてみた。もちろん、店名(太政官)は小さい。

これのいいところは、字がへたでも、それはそれでそれっぽいというのがいい。

生み出したものは、やはりハレの舞台に立たせてやりたい。と思うのが親ごころというもの。せっかくなのでコンビニの前に置いてみた。
違和感はない
違和感はない
「恵方巻きの予約受付開始」と同じ感覚で「キリシタン&邪宗門の禁止」の内容が理解できてしまう。これはいい。

ちなみに、このボードは30分ほどでかけてしまった。文言とレイアウトを考えた時間と合わせても1時間かかってない。店頭ボード、手軽すぎて悶絶ものである。

まとめのフォーマットとしてうってつけではないか?

この店頭ボード風まとめは、歴史上のできごとを整理してかき出すフォーマットとして使えそうなきがするのだ。

例えば「三方ヶ原の合戦」について考えてみる。

ぼくが考える三方ヶ原の合戦のポイントはこれだ。
(1)武田信玄と徳川家康が戦い、家康が大敗。
(2)家康は敗走するさい、馬上でウンコを漏らしてしまう。
(3)家康は自分の負けた姿を絵に描かせた。(しかみ像)
(4)浜松城に逃げ帰った家康は、湯漬けを食べて寝てしまった。
徳川家康「しかみ像」
徳川家康「しかみ像」
以上の点を踏まえ、店頭ボードのまとめ方に沿って「三方ヶ原の合戦」をまとめてみた。
雰囲気としては薬局だろうか?
雰囲気としては薬局だろうか?
家康が負けたことを大きく、ワードごとに色をかえつつ適当な絵(文字で書きにくい所)を入れ、横文字でオシャレにしてみた。死角はない。完璧だ。
完璧である
完璧である
ちなみに、この店頭ボードのデザインには元ネタがあり、それはこちらである。
完璧である整骨院の店頭ボードである
完璧である整骨院の店頭ボードである
町でこの店頭ボードを見かけたさい「あ、これは家康のしかみ像にしたい!」とビビビッっときた。

せっかくなので、近所の花屋の店先に置いて写真を撮ってみた。
あれ? なんか変だ
あれ? なんか変だ
この写真を撮ってから、文字を書き直したので、ボードの内容が最初にあげたものとはちょっと違うが、そこはかとない違和感は否めない。

2014年、花屋に家康は似合わない、ということが判明した。

歴史以外のことでもまとめられそう

今まで歴史上のできごとをボードにまとめたが、それ以外のこともたぶんいける。今度は植物細胞と光合成についてまとめてみたのがこれだ。
頑張って書きました
頑張って書きました
光合成無料・営業時間日の出~日の入とか、呼吸24時間、というのは事実である。嘘偽りはない。

古典文学も店頭ボードに

歴史、生物ときたら、古典文学を取り上げないわけにはいかない。枕草子である。能書きは抜きにして、ご覧頂きたい。
タイトルかっこ良くしてみました
タイトルかっこ良くしてみました
Pillowbook、すなわち枕草子。草子を辞書で調べたら「綴じ本のこと冊子」とあったので、Book。pillowのbookのmy favorite。でおしゃれさをアップ。

筆記体はさっぱりわからないので、妻に書いてもらったものをまねして書いたので間違いや読みにくい場所があってもご勘弁頂きたい。

本文の「春はあけぼの、夏は夜、秋は夕暮れ、冬はつとめて」は、箇条書きにしてわかりやすくした。
レディースディってこんな感じ?
レディースディってこんな感じ?
近所の居酒屋の前に置いてみたが、違和感はなかった。レディースディにこんな雰囲気の店頭ボードが出ててもおかしくはない。気がする。

なんでも店頭ボード風にまとめるとわかりやすい

さて、この店頭ボードどうしたものか……
さて、この店頭ボードどうしたものか……
店頭ボード。自分でレイアウトを考えて絵を描いて文言をきめてかく工程が殊のほかおもしろい。文字の書き方やイラストのバリエーションなど、描き方の工夫や技を考えるのもおもしろい。

完全に趣味として描く店頭ボード、流行らないかな。
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