フェティッシュの火曜日 2014年6月17日
 

ホヤ養殖場の再出荷が始まりました!

東日本大震災から3年。ようやくホヤ養殖場からの再出荷がはじまりました。
東日本大震災から3年。ようやくホヤ養殖場からの再出荷がはじまりました。
ホヤという食べ物をご存じだろうか。三陸地方を中心に愛されている謎の多い海産物で、好きな人は大好きだが、嫌いは人はこれだけは食べられないという、極端に賛否の分かれる食材だ。

このホヤの養殖場が、2011年の東日本大震災で起こった津波によって、ほぼすべて流されてしまった。

それから3年の月日が経ち、ようやく今年になって再出荷できるようになったそうなので、現地へ行って食べてくることにした。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

石巻市の寄磯港にやってきました

獲れたてのホヤを求めてやってきたのは、宮城県石巻市にある寄磯という港。

2008年にホヤの養殖場を見学させていただき、獲れたてホヤホヤのホヤを浮かれながら食べた思い出の地である(こちらの記事参照)。
2008年の寄磯港。
2008年の寄磯港。
震災の翌年、2012年の夏に私が来たときは、港に並んでいた船や小屋がすべてなくなっていて、堤防は地盤沈下で満潮時に浸かってしまう状態で、ホヤ養殖場があった名残りは、一つも残っていなかった。

もしかしたら、あの時にお世話になった漁師のサイトウさんに偶然会えたりしないかなとも思ったが、いった時間が悪かったのか、人の気配すらなかった。
2012年の寄磯港。
2012年の寄磯港。
ホヤは成長がとても遅く、出荷まで最低3年も掛かってしまう。

すべてが津波で流されてしまった寄磯のホヤ養殖場だが、震災後すぐに復活に向けて動き出しており、ゼロの状態から育て始めたホヤが、ようやく今年になって出荷できる大きさになったのだ。

そして6月1日、この寄磯の港で復興感謝祭がおこなわれることになったのである。多少なりとも縁のある寄磯のホヤが復活したのだ。そりゃ少しくらい遠くても(家から440キロくらい)、現地に行ってお祝いの一言でもいわせていただきたというものだ。

まあそれは建前半分で、とにかくあの新鮮なホヤが、また食べたいのである。
2014年の寄磯港!
2014年の寄磯港!
久しぶりにやってきた寄磯の港は、臨時駐車場ができるくらいまでは盛り返しており、そして復興祭にはたくさんの人が訪れていた。

ものすごくアクセスの悪い場所にもかかわらず、寄磯のホヤを目当てに多くの人が集まっていることに驚きつつも、「やっぱり夏はホヤだよな」という、ホヤ好き同士の連帯感のようなものを感じてしまう。

もちろんホヤは苦手だからと、ホタテ目当ての人もいるかもしれないが(同行した山形の友人がそうだったりする)。
人がいっぱいいる!
人がいっぱいいる!

とりあえずホヤを食べよう

会場についてまず目指したのは、当然ホヤとホタテの試食である。でもその前に、その隣で無料配布していたムール貝のゴロゴロ入った浜汁をゲット。

ムール貝というとヨーロッパあたりの貝というイメージだが、外来種として日本にもしっかり定着しており、寄磯ではホタテの養殖棚などに勝手に生えてくるそうだ。和名はムラサキイガイ。

一口すすってみると、これが絶品の汁だった。やっぱり寄磯まで来てよかった。貝のダシってうまいよね。
身もダシもうまいのです。
身もダシもうまいのです。
さあさあさあ、浜汁で喉を潤したところで、お待ちかねのホヤである。天気は今年一番とも思える絶好のホヤ日和!

ホヤの味は鮮度によって大きく変わるので、本当においしいホヤは水揚げしてすぐでないと味わえないのだが、試食用に用意されたホヤは、誰がどう見ても文句なしに新鮮。今日の朝、そこの海で獲れたばかりのものなのだろう。

何度でもいわせてもらうが、これぞ獲れたてホヤホヤのホヤなのだ。
ようやくホヤが食べられる!
ようやくホヤが食べられる!
なにもつけずに食べてもうまい!ホヤ味としか言えない味!
なにもつけずに食べてもうまい!ホヤ味としか言えない味!
新鮮なホヤというのは、他のどんな食べ物にも似ていない、鮮烈な磯の風味をたっぷりと楽しませてくれる。

口に入れた瞬間は、ちょっとした苦みと爽やかな磯臭さがあるのだが(注:褒めています)、食後に口の中に甘さが広がる不思議な味で、これがクセになるのだ。

磯臭くはあっても生臭さはまったくのゼロ。寄磯の海を凝縮したような味なのである。

これだこれこれ、これが本当のホヤの味だ。ホヤが苦手という人は、収穫してから数日経った「ホヤではない何か」を食べたのだとしか思えない。

それでもどうしてもホヤが苦手だという人はいる(一緒に来た友人は絶対に食べようとしない)。そんなときは、無理矢理食べさせてももったいないだけだから、好きな人がおいしく食べるといいと思う。
友人がどうしても食べないので、私が酢醤油でいただいた!
友人がどうしても食べないので、私が酢醤油でいただいた!

蒸しホヤもうまかった

無料で試食できるのは、なんと生のホヤだけではなかった。殻つきのまま蒸された「蒸しボヤ」も用意されていたのである。

蒸しボヤは、ソフトビニール製の怪獣の一部みたいな謎の見た目だった。
円谷プロが喜びそうなヴィジュアル。「ご当地ゆる怪獣ホヤドン」とか出ないかな。
円谷プロが喜びそうなヴィジュアル。「ご当地ゆる怪獣ホヤドン」とか出ないかな。
ゴツゴツとした皮の中には、綺麗なオレンジ色の身が詰まっていた。生のホヤを熟した柿に例えるならば、これは干し柿といったところだろうか。あるいはフレッシュなマンゴーとドライマンゴーの関係。

旨味がギュッと凝縮され、歯ごたえが加わっている。そしてやっぱり食べた後に口の中が甘い。この甘さがいい。

この後に車の運転さえなければ、口の中に広がっている旨味と甘味を宮城の地酒で追いかけたいところである。
見た目から味が想像できないと思うけれど、この味を例える言葉を私は知りません。
見た目から味が想像できないと思うけれど、この味を例える言葉を私は知りません。
その姿から、よく「海のパイナップル」と言われるホヤだが、個人的には「海のマンゴー」とか、「海のドリアン」の方が近いような気がする。ドリアンは食べたことがないけれど。

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