特集 2014年6月13日

日本唯一の淡水に浮かぶ島に行く

日本唯一の淡水の有人島に行きます!
日本唯一の淡水の有人島に行きます!
「島」と言われると、多くの場合、海に浮かぶ島を思い浮かべる。海風にヤシの木が揺れ、綺麗な砂浜で、ピニャコラーダ的なものを飲むのだ。それが島だ。

しかし、淡水に浮かぶ島もある。そんなものはいくらでもある気がするが、実は淡水に浮かぶ人が住む島は日本には一つしかないのだ。それが「沖島」。ぜひ行ってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

淡水に浮かぶ有人島

「島出身」と言われると、もう迷わず海の島だと考える。沖縄の方かな、瀬戸内海かな、などと候補も浮かぶ。しかし、淡水に浮かぶ島という可能性もあるのだ。日本にも琵琶湖や霞ヶ浦など、大きな湖が存在する。
琵琶湖
琵琶湖
ただし日本には淡水の有人島はたった一つしかないそうだ。それは琵琶湖にある「沖島」。淡水の島だけれど、郵便局があり、小学校がある。漁師が多く、一家族で1、2艇の船を持っているそうだ。海の島とほぼ一緒だ。
ということでまずは「近江八幡駅」にやってきました!
ということでまずは「近江八幡駅」にやってきました!

沖島への道

沖島へは堀切港から出るフェリーに乗る。堀切港までは近江八幡駅からバスが出ている。「近江鉄道バス」と「あかこんバス」の二つがあるが、あかこんバスの方が安い。ただしバスというよりは車だ。
あかこんバス
あかこんバス
約30分ほどバス(車)に揺られる。最初こそ乗客がいたが、半分も行かないうちに私の貸し切りバス(車)となってしまった。窓に流れる景色は田んぼで、やがて湖が見える。琵琶湖だ。私の人生で2度目の琵琶湖である。海みたいと月並みのことを思う。
堀切港に到着
堀切港に到着
到着した堀切港には多くの船があった。ここから沖島に行くフェリーが出る。また自動車も多く止まっている。バスの運転手さんの話では、沖島の人がここに車を止めているそうだ。船で来て、ここから車に乗り買い物にでも行くのだろう。
私は沖島に渡る定期便に乗って、
私は沖島に渡る定期便に乗って、
沖島を目指す!
沖島を目指す!

淡水の有人島に上陸

沖島へのフェリーは10分程度。琵琶湖は広いので海を走っているみたいだ。ただし、潮風ではないので、べたつくことがない。爽やかな風と言えるだろう。日本海のように荒々しい私だけれど、その風は一瞬の癒しを与えてくれる。
沖島に到着!
沖島に到着!
海の島と変わらない
海の島と変わらない
到着した沖島はやっぱり海に浮かぶ島のようだった。漁に出る多くの船が港には止まり、目の前には漁協もある。今まで淡水の島に行ったことがないが、大きさも含め、海の島とは変わりない気がする。
あ、淡水だわ!
あ、淡水だわ!
漁協には名物としてフナ寿司が紹介されていた。淡水だ。間違いなく淡水だ。その他にも「沖島よそものコロッケ」が売られている。このコロッケに使われるのは琵琶湖産のブラックバス。目の前にある湖で捕れたバスである。うん、淡水だ。
琵琶湖産のこれが、
琵琶湖産のこれが、
こうなりました!
こうなりました!
二年ほど前から販売されているこのコロッケ。ジャガイモは使わず、おからで作られている。またバスが使われているが、淡水魚特有の臭みのようなものは一切ない。甘みもあるが塩味も強い。これは海に対する憧れなのだろうか。暑い日だったので、特別に美味しく感じた。
中はこんな感じ! 美味しいです!
中はこんな感じ! 美味しいです!
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三輪自転車

この島ならではの変わった風景がある。普通、我々が乗る自転車と言えば、基本的には二輪だ。しかし、この島のスタンダードは3輪。もちろん子供が乗る三輪車ではなく、大人用の三輪車だ。
この島のスタンダード自転車
この島のスタンダード自転車
島に住むおばあさんにお話を聞いた。30年ほど前から、この三輪自転車がこの島のスタンダードになったそうだ。その方の話では近江八幡に住む人から勧められて買ったら便利で、それを見た島民の方がどんどんと購入したらしい。後ろと前に荷物がのるので便利だそうだ。
三輪のある風景
三輪のある風景
さらにあまり見ない風景がある。自転車のサドルにはもれなく、缶がかぶさっているのだ。これは三輪自転車が普及する前から行われているライフハックらしい。雨が降ってもサドルが濡れないのだ。
サドルが濡れないライフハック
サドルが濡れないライフハック
缶がない場合は鍋で代用できる。とにかくサドルが濡れないことが重要なのだ。また鍋の場合は、盗まれるのを防止してか、紐が付いているものもあった。私の母がサドルにスーパーの袋をかぶせていたが、コチラの方がスマートだ。
これで鍋は盗まれない!
これで鍋は盗まれない!

僕らがいた証的なもの

淡水に浮かぶ島だからなのか、水辺のギリギリまで畑がある。育てる作物にもよるが、海の島で同じことをすれば育たないのではないだろうか。土地をギリギリまで使えるのが、淡水のいいところだ。
ギリギリまで畑!
ギリギリまで畑!
この島には信号がない。自動車も走っていないそうだ。みな自転車なのだ。道も少し進むと、一夏の思い出みたいな道になる。僕らがここにいた証に何かを作ろう、のような道。探検に来たみたいで楽しい。
この桟橋とか一夏の思い出すぎる
この桟橋とか一夏の思い出すぎる
小学校もあるが生徒は両手で足りるほど。運動会は小学生だけでは成立しないので、島民も参加した島民運動会になるらしい。

私が行った時は音楽の授業が行われているようで、リコーダーの音が聞こえた。聞いたことがある曲だけど、何の曲が分からず、今もモヤモヤしている。
タータータタッターみたいな曲でした
タータータタッターみたいな曲でした

猫もたくさんいる

この島は猫も多いらしい。「らしい」というのは、私が訪れた時は、いるのはいるのだけど、特別にたくさんというわけではなかったからだ。しかし、漁師さんにお話を聞けばたくさんいるとのことだった。
猫!
猫!
この島では23時頃に船で漁に出かけ、朝6時頃に港に戻る。この6時こそが猫タイムらしい。漁師と猫の戦いの時間だ。猫が魚を狙ってやってくるのだ。猫は網の魚を網ごと噛み付くらしく、網に穴があく。また船で糞をしたりもする。結構、迷惑らしい。
猫によってあいた穴
猫によってあいた穴
犯猫の一匹
犯猫の一匹
漁師の手を煩わせるのは猫だけではない。トンビやカラスも以前と比べれば増えた。昔のカラスは魚を食べなかったそうだけれど、最近は食べるらしい。時代の変化により食生活が変わったのかもしれない。また漁師さんのお弁当を食べたりもする。きっと魚に含まれるDHAで賢くなったのだ。
猫は昔から多かったらしい
猫は昔から多かったらしい

べたつかない島

淡水の島はやはり海風がなく、いつもでも爽やかな私を維持してくれた、と思ったけれど、暑くて汗で結局べたついた。爽やかの維持は実に難しい。

ちなみに記事中で私が持っていたブラックバスは、いかにも私が釣った、みたいな写真になっているが、近くにいた人に頼んで写真だけ撮らせてもらったものだ。私はバス釣りを10年していたが1匹しか釣ったことがないのだ。
船の待合室での飲食禁止のポスターがピンポイント!
船の待合室での飲食禁止のポスターがピンポイント!
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