特集 2014年6月13日

理想の「線路沿いの道が終わる場所」を求めて

こういう場所の感じがなんかいいなあ、って話です。分かってくれる人いるかなー。
こういう場所の感じがなんかいいなあ、って話です。分かってくれる人いるかなー。
今回はぼくの記事史上でも最高に分かりづらい好みを綴ったものだと思う。でも「こういうのいいよなー!」って心底思うので、世界にひとりだけでもいいから同好の士を探したい。

きっとひとりはいると思うんだ「線路沿いの道が終わる場所」好きが。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

前の記事:庭になりたいガレージ「庭ガ」を鑑賞する

> 個人サイト 住宅都市整理公団

命名:「沿ンドウ」

こういう風景に惹かれる人いませんかー!
こういう風景に惹かれる人いませんかー!
どういうことかというと、もう上の2枚の写真のような道、としかいいようがない。「しばらく線路のすぐ脇に続いてきた道が、家屋にはばまれて、線路から離れる箇所の風景」だ。自分で言ってて、わかりづらいなーと思う。

でもぐっとくるのだよ、こういう場所に。
自転車に乗ってる人に興奮しているかのような矢印になってしまいましたが、そうじゃなくて道が「線路沿わなく」なっているこの箇所のことです。
自転車に乗ってる人に興奮しているかのような矢印になってしまいましたが、そうじゃなくて道が「線路沿わなく」なっているこの箇所のことです。
上のものなど、かなり理想的な風景だ。いい。すごくいい。
惜しむらくは正面はガレージじゃなくて家屋であってほしかった。
惜しむらくは正面はガレージじゃなくて家屋であってほしかった。
もういまこの文章書いてて「いったい誰がこの趣味を理解してくれるんだろうか」とすごく不安なのだが、他に説明しようがない。
特にこの事例の良さに関しては、このコンクリートの柵も一役買っていると思う。いいよなー、この柵!枕木再利用だったらもっとよかったと思うけど!
特にこの事例の良さに関しては、このコンクリートの柵も一役買っていると思う。いいよなー、この柵!枕木再利用だったらもっとよかったと思うけど!
ただ、線路沿わなくなった道ならなんでもいいというわけではなく、いろいろ条件がある。ただでさえ理解しがたいのに条件て、と思わなくもないがしょうがない。

たとえば線路と道は同じ高さにあってほしい。つまり高架沿いの道じゃあだめなのだ。
向こうのほうで建物に阻まれて道が線路から離れて右に曲がっている。でもなー、線路が土手なんだよなー。
向こうのほうで建物に阻まれて道が線路から離れて右に曲がっている。でもなー、線路が土手なんだよなー。
ほら。土手じゃなきゃかなりいい感じなんだけどなー。惜しいなー。
ほら。土手じゃなきゃかなりいい感じなんだけどなー。惜しいなー。
上の例のように土手だとちょっと愛せない。道と同じ高さに線路があって、それが泣き別れになるのがポイントなのだ。

ほんと誰かいませんかね、分かってくれる人!

あと「線路沿いの道が終わる場所」という呼び方はまどろっこしいので「沿ンドウ」と名付ける。もちろん「沿道」が「終わる(=エンド)」ので「沿ンドウ」だ。

ただでさえわかりにくいのにこの命名はどうかなと思わないでもないが、もうやぶれかぶれだ。
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理想の「沿ンドウ」を求めて

確かに線路沿わなくなっているのだが、正面が公園っていうのはちょっと…
確かに線路沿わなくなっているのだが、正面が公園っていうのはちょっと…
2ページ目まで読んでくれて本当にありがとうございます。いまこれを見てくれている人一人ひとりに握手を求めたい気持ちですよ。

さて、開き直って理想の「沿ンドウ」の条件を考えてみよう。

上のもののように「正面が公園」とかはいまひとつだ。やはり「阻まれ感」がほしい。建物が建っててほしい。

あと前ページの「高架・土手NG」にも通じるが、線路と道の間に距離があると興ざめだ。緑地帯とかいらない。牧歌的な柵がいい。
これは柵はいい感じなんだけどなー。もったいないなー。
これは柵はいい感じなんだけどなー。もったいないなー。
もし「いや、土手でも愛せるぜ!」っていう「沿ンドウ好き」がいたら申し訳ない。いるのかそんな人。

踏切あるのもだめだと思う

踏切があっちゃうと「線路から離れる感」というか「阻まれ感」が損なわれると思う
踏切があっちゃうと「線路から離れる感」というか「阻まれ感」が損なわれると思う
あと、今回「沿ンドウ」を探し回っていて、非常に多く見かけたタイプが上のような踏切とセットになっているケースだ。

まあ、冷静に道路としての利便性を考えれば、道が阻まれちゃった以上踏み切るのがスジってもんだろうが、「沿ンドウ」ファンとしては歯がゆい。

あたらせっかくの「沿ンドウ」がこれではだいなしだ。やはり「線路とのお別れ感」あっての「沿ンドウ」だと思うのだ。
これも踏切の存在以外はかなりいい感じなのにもったいない!
これも踏切の存在以外はかなりいい感じなのにもったいない!
あれ!踏切あるけどでもこれはいい感じだぞ!なぜだ!ぼくにも分かりません!
あれ!踏切あるけどでもこれはいい感じだぞ!なぜだ!ぼくにも分かりません!
ただ、踏切ケースがすべてだめかというとそんなことはなくて、上の作品などはすばらしい「沿ンドウ」だと思う。

いいよねえ、これ。

なんでいいんだろう、これ。道の狭さかな。正面の建物による「阻まれ感」のせいかな。

ぼくにも分からない。今後の課題としたい。

「沿ンドウ」の奥深さを感じる一件である。
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現段階でベストの沿ンドウ

(だれか読んでくれてますかー?)

「地面と同じ高さの線路」「踏切はだめ」などの条件にかなう「沿ンドウ」となると、少し巡ったぐらいではなかなか見つからない。もっとたくさん愛でることができるだろう、と思っていたのだが。

そんななか出会った貴重なすてき沿ンドウをご紹介しよう。
これはすばらしかった!直角に線路から離れていく潔さもポイントだと思う。
これはすばらしかった!直角に線路から離れていく潔さもポイントだと思う。
上のものはかなりよかった。30分ぐらい愛で佇んでいたせいで、蚊に刺されまくった。

何がいいんだろう。ひとつは線路から直角にお別れしていく道の潔さだと思う。あとは線路沿っている部分は木陰だが、離れていく道は陽ざしの中、というコントラストも良い。

そしてなんと言っても正面のアパートの屋根の色だ。正面の柵と庭がなければもっとよかったと思うが、そこまで完璧だともう30分は滞在することになって痒くてたいへんだっただろうからこれで良かったのだと思う。
これはもう正面の建物の雰囲気勝ちだ。
これはもう正面の建物の雰囲気勝ちだ。
一方上の事例は、線路から離れていく道の角度が浅く「お別れ感」でいうといまひとつな感じだが、それを補って余りある正面のクリーニング店の佇まいがすばらしい。

「沿ンドウ」というネーミングだが、道だけが重要なのではなく、やはりどのような建物に阻まれているかも大事なのだ。

けだし沿ンドウの奥深さよ。

ほら!ぼくだけじゃないみたいだぞ!

そして1ページ目冒頭のこの作品。すばらしい。
そして1ページ目冒頭のこの作品。すばらしい。
しかしベストは冒頭の上の写真の事例だ。正面の建物が工事中らしく覆われちゃってちょっとトリッキーなのがアレだが、直角に分かれていく道といい、カーブミラーと植栽の佇まいといい、完璧である。これのプラモデルがあったら買う。

で、なんでこれだけ夜の写真なのかというと、下の作品を見つけたからだ。
これは!「沿ンドウ」ではないか!(劇場版アニメ「涼宮ハルヒの消失」より(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団)
これは!「沿ンドウ」ではないか!(劇場版アニメ「涼宮ハルヒの消失」より(C)2009 Nagaru Tanigawa・Noizi Ito/SOS団)
今回この分かりづらい内容の記事を、それでも書こうと思ったのは、上の場面を見たからだ。過日の記事『現代の「ドラえもんの空き地」は屋上である』に関連して屋上が舞台として印象的に使われている作品を探しては観ているのだが、そのひとつが「涼宮ハルヒの消失」だった。で、観ていたら上のようなシーンがあった。びっくりした。

この「沿ンドウ」シーン、ここでなにか起こるわけではなく、いわば心象風景として挿入されたものなのだ。ということは、やっぱり「沿ンドウ」には何かぐっと来る要素があるのではないか!と思ったのだ。

そして、もしかしたら夜の沿ンドウ風景ならいいってことか?と思って上のベスト事例はあえて夜中に撮ってみたという次第だ。

どうだろう。昼とか夜とかそういう問題ではなかったか。

いい「沿ンドウ」があったら教えてください

いやほんと、最後まで読んでくれた方ってどれぐらいいらっしゃるのだろう。ひとりぐらいいると思うんだけど「沿ンドウ」いいよね!って思ってくれる人。

もしいたら連絡ください。良い「沿ンドウ」見に行きましょう!
「線路沿いの道が阻まれる」で言うと、こういうふうに陸橋の橋脚が道の真ん中に立ってる、っていうのもいいなー!って思った。
「線路沿いの道が阻まれる」で言うと、こういうふうに陸橋の橋脚が道の真ん中に立ってる、っていうのもいいなー!って思った。
こういうさ、陸橋は線路越えていくんだけど、下の道はここでおしまい、っていうのもいいよね。いつかこれについても書きたい。今回以上にわかりづらいと思うけど。
こういうさ、陸橋は線路越えていくんだけど、下の道はここでおしまい、っていうのもいいよね。いつかこれについても書きたい。今回以上にわかりづらいと思うけど。
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