汝の髪を愛せよ
僕のささやかな悩みをきっかけに、様々なクセっ毛ピープルに話を聞いた。皆さん一様に苦労はしているものの、そこは自分の髪である。長い付き合いの中で、それぞれの髪とのよい関係を醸成しようとしていることがわかった。梅雨のさなか、すてきなヘアライフをツーユーということで、現場からは以上です。
湿気の中では往々にして七三分けに
僕の場合、理想の髪型はワイルド＆ポップを意識した無造作ヘアーだ。しかし、生まれながらのクセっ毛である。
梅雨はまだまだ続く
従って、ワイルド＆ポップを意識した無造作ヘアーのはずが、湿気の中では往々にして七三分けになってしまう。
ワイルドでもポップでもない
化粧をしてもキマらない
サラリーマンなのにパーマかけてチャラい
同じクセっ毛の皆さんは、この梅雨の時期をどう過ごしているのだろうか。街に繰り出して、同志たちの悩みを聞くことにした。一人目は須藤さん（27歳）。
涼しげな浴衣だが…
角度を変えるとダイナミックなウェーブ
「『サラリーマンなのにパーマかけてチャラい』と言われるのが悩みです。寝癖も大変で、ひどい時は蒸しタオルを使わないと収集がつきません。雨とか湿気がある日はとくにクルンクルンになりますね」
そんな須藤さんのクセっ毛を1本抜いて見てみると、高次曲線のような複雑なうねりがある。
そんな須藤さんのクセっ毛を1本抜いて見てみると、高次曲線のような複雑なうねりがある。
曲点は3カ所以上
しかし、世間には直毛の人もいる。たとえば、下の足立さん（33歳）。
高円寺「LAMAS IRISH PUB」店長
「帽子が浮くぐらいのストレートな剛毛です。雨粒も髪の上に乗るぐらい」
花を活けたくなる直毛
「シャワーを浴びても5分で乾いて、こうなります。雨も湿気も関係ありませんね」
透徹したまっすぐさ
クセっ毛は頭皮の毛穴の問題
なぜ、こうも髪質に違いが出るのか。専門家に話を聞いてみよう。訪れたのは、高円寺の美容室「アマンガール」。
ビールが100円で飲める名店である
スタイリストの村山さん
「クセっ毛は頭皮の毛穴の問題なんです。この内部が曲がっていればいるほど、ウェーブは強くなります。ところてんと同じで、押し出す穴が曲がっている
と、表面に出た時に髪も曲がるんです」
そういえば、子どもの頃に「丸坊主にすると、その後クセっ毛になる」という都市伝説もありましたが…。
「それは関係ありませんね。遺伝による影響がほとんどです。ちなみに、日本人は8割がクセっ毛だといわれています」
また、毛髪内部のタンパク質結合の度合いも左右するようだ。
そういえば、子どもの頃に「丸坊主にすると、その後クセっ毛になる」という都市伝説もありましたが…。
「それは関係ありませんね。遺伝による影響がほとんどです。ちなみに、日本人は8割がクセっ毛だといわれています」
また、毛髪内部のタンパク質結合の度合いも左右するようだ。
「さらヘア.COM」より
続いて、こんな人もチーム・クセっ毛である。「デイリーポータルZ」のライターとしてもおなじみの玉置さん（37歳）だ。
ガッツ！ クセっ毛！
「最初はストレートだったんですが、中学生ぐらいから曲がってきましたね。内面の反抗心が髪に表れたんでしょうか。それに伴って寝癖もほんとにひどいです。だんだんと上を向いてくる、向上心の強い髪質なんです」
3時間ぐらいパーマをかけたような寝癖
そんな玉置さんが編集部の人々に寝癖相談をしているラジオはこちら。
CS（Customer Satisfaction＝顧客満足）はやや低い
外を見ないでも、雨が降っているかどうかわかる
一方で、女性にもクセっ毛で悩んでいる人がいる。高円寺の「Cafe＆Bar Luccy」オーナーの中村さんだ。
好きな作家は乱歩や安吾です
「朝起きたら顔が2倍になったんじゃないかと思うぐらい、髪が膨張しているんです。外を見ないでも、その髪のくるくる具合で雨が降っているかどうかわかります」
意志を持つかのようなハネ
「雨の日は自然に前髪が上がるから、『髪切った？』ってよく聞かれますね。サラサラヘアーへの憧れ？ そりゃあ、ありますよ」
仲のいい友達3人で「天パーズ」と呼ばれていたという
続いて、お子さま部門からは北林さん（2歳）がエントリー。
アイスおいしい
「おばあちゃんの隔世遺伝みたい。みんなが『かわいい』って言ってくれるからとくに気にしてないけど、時々お菓子のくずが絡みついているので恥ずかしい」
やわらかなウェーブである
「好きな食べ物？ ママが作ったラーメンかな。醤油とんこつがとくに好きです」
ト音記号のような風情
タダでパーマをかけたと思えば得した気分
最後に、クセっ毛大賞をご紹介したい。塩月さん（27歳）である。
写真ではわかりづらいが…
「完全にパーマだと思われますね。でも、タダでかけたと思えば得した気分です。毎朝落ち着かせるのに10分ぐらいかかります。これをしないと、爆発現場から帰ってきた人みたいになっちゃうんです」
よく見ると刈り上げ部分も奔放な動き
「子どもの頃は親が僕の髪のカール具合を見て、『明日は雨かねえ』なんて言ってました。でも、付き合いも長いのでこれはこれで納得していますよ」
納得のスマイル
「髪様、ありがとう」の精神で
