土曜ワイド工場 2014年6月28日
 

車の屋根から木が!沖縄の不思議な車

目を疑う光景
目を疑う光景
沖縄に屋根の上に木を生やしたまま走る車がある。

いったいこの車はなぜこんなことになっているのか、そして持ち主はどんな方なのか、お話を伺ってきました。
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持ち主の知念さんにインタビュー

こちらが車の持ち主の知念満二さん。
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― いきなりですが、なぜこんな車にされたんですか?

6年前に横浜から故郷の沖縄に帰ってくるときに車を持ってきたんだよ。そのときエアコンが壊れていて、どうしようかと思って。直そうかと思ったけどお金もかかるし。そのときに「そうだ、木陰を走っている環境を作ればいいじゃないか!」と思いついて。
今はエアコンは直しているけどほとんど使ってない。
4年間ぐらいはエアコンなしでやっていたから。渋滞にはまると厳しいけど、窓を開けて走っている分には本当に涼しいよ。

―3年ほど前から噂を聞いていたんですが、そのときは芝生カーって呼ばれてましたよね?今は芝生って感じではないですけど。

そう、最初に植えたのは芝生だったんだよ。
いつの間にかガジュマルが生えて本当に木陰になっちゃった。こんなになる予定じゃなかったんだけど(笑)
「すごいねー!」と人を寄せ付ける車
「すごいねー!」と人を寄せ付ける車
―草木はご自分で植えているんですか?

ちがうちがう。みんな勝手に生えてくるの!
僕が植えたのは最初の芝生と、ヒマワリの種だけ。
マツバボタンは、2年ぐらい前に浜比嘉島で海を見ていたら、知らないおばさんが「これ刺そうね、すぐ根付くよ」って言って刺してくれた。それが本当に根付いて。
木はガジュマルとアコー。これも勝手に生えた。
ピンク色の花が浜比嘉島でおばさんが指してくれたマツバボタン
ピンク色の花が浜比嘉島でおばさんが指してくれたマツバボタン
―植物は何種類ぐらいあるんですか?

ベゴニアでしょ、ユリの仲間でしょ、インパチェンスでしょ。何種類ぐらいなのかな。10種類ぐらいかな。
雑草を入れたらもっと多いだろうけど。って言ってもどこまでが雑草かはわかんないけどね(笑)
全部自然に生えてきたので沖縄の植物。
屋根だけではなく、パッキンからも生える植物。生命力の強さに驚く
屋根だけではなく、パッキンからも生える植物。生命力の強さに驚く

土は使っていない

―手入れはされるんですか?

水は3〜4時間に1回かけないとすぐ蒸発してしまうんで、ペットボトルをいつも車に詰んでいる。
冷たい水をね。ぬるい水をかけるとすぐに枯れちゃう。
台風も問題ないですよ。一度台風の塩害で全部茶色くなって枯れそうになったことがあったけど、すぐ復活してきた。

2ヶ月前にはラジオが全然入らなくなって、なんでだろう?と思ったらオオタニワタリにアンテナが喰われていた。
それはさすがに剪定したよ。
オオタニワタリにアンテナが飲み込まれたこともあった
オオタニワタリにアンテナが飲み込まれたこともあった
手入れは水やりのみ
手入れは水やりのみ
―土台はどんな構造になっているんですか?

6層構造になっているんですよ。
よく聞かれるんだけど、土はまったく使っていないから。
苔が生えてくれたことで土の代わりになっている。
一番下には100円ショップのオムツのシートをひいて、その上にココナツシートをしいて、いろいろ敷いて6層。なにを敷いているかは誰かに特許を取られたら僕が続けられないから言えないけれど。費用は全然かかっていない。
いつの間にか苔むした土台
いつの間にか苔むした土台

車検は通るのか?

―車検は通るんですか?

これをはじめてから今までに2回車検があったけど、最初は高さが5cmぐらいしかなかったから外さなくてもクリアできたんだけど。
2回目の車検のときは従兄弟が車検工場をやっているから相談しに行ったら、こっちではできないから陸運局に行ってと言われて。
陸運局に相談しに行ったら、あそこは個別に相談にのってはいけないというルールがあるから相談にものれないし、車を見ることもできないと言われて。
僕はこの状態で車検を通したかったんだけど、車のキャリーと同じで乗せたままでは車検は通らないということがわかって。

これ外枠だけを釣り糸で止めているわけではなくて、全体を少しずつ塗って止めているんだよね。万が一どこかが外れても飛んでいかないように。
2回目のときは草木も高くなっていたし、外したら同じ状態で取り付けることはできないと思っていたから。どうすればいいんだろう、と寝ている間もずっと考えていたんだけど。
明日車検に出さないと間に合わないぞという前日の夜4時ぐらいに夢の中の僕が「こうやればいいじゃないか!」と教えてくれて。ガバッと起きて「本当だ、その手があった!」と思って。
それで外して車検に通して、もう一度取り付けることができた。

いままで何度かメディアに取材してもらっているけど、そのときに調べてくれたのは「取り外しができるものは、外して車検を通した後に付ければ良し。高さは3m80p以下で、車幅よりもはみ出なければ法的にも問題なし」と言っていたよ。

実は来月また車検なんだけどね(笑)
前は一人で外して取り付けができたけど、今回は前よりも木が大きくなってるから一人ではできないだろうな。
車検のときは上の草木は外して、再度取り付ける
車検のときは上の草木は外して、再度取り付ける
―木はどんどん成長していってるんですか?

最初にガジュマル2本が生えて、次にアコーが生えたんだけど、1年ぐらい前にまだアコーの木が5cmぐらいだったときに、知らないおじさんが「あんた、これ大変なことになるよ!アコーはあっという間に伸びるよ!」って。
たしかにガジュマルは4年かかったのにアコーは1年で同じぐらいの高さになった。

これガジュマルの根だよ。
ガジュマルもこの2ヶ月でも20cmぐらい伸びた。
さすがに、大きくなりすぎたので木は剪定しようと思っている。

(※この取材のあとすぐに70cmほど剪定したそうです。)
太い金属かと思ったらガジュマルの根らしい
太い金属かと思ったらガジュマルの根らしい

毎日子供の笑顔が見られていいけど・・・

―やってて良かったことと悪かったことを教えてください

一番良かったのは毎日子供の笑顔が見れること。
悪かった点はひき逃げができないこと(笑)
悪いことはできないよね。
目立ちますもんね
目立ちますもんね
―この車で走っているときはどんな気持ちなんですか?

めちゃくちゃ恥ずかしい!
最初芝生をやってから、1年ぐらいは止めたんですよ。もう、あんまりにも恥ずかしくて。

僕の計画では車の上に花が咲いたらアートになるだろうと。あと涼しくなるだろうと。その中には人に指を指されて笑われるのは入ってなかったんです。人の反応はまるっきり考えてなくて。
涼しくなればいいと思っていただけなのに、指差して笑われるからつらくてつらくて。

今でも月に1日ぐらいは「え!これに乗るの!?こんなの乗れるわけないだろう!」と恥ずかしくてのれない日があるんです(笑)
ふと、正気に戻るというか。

せっかくなので車に乗せてもらいました

―車に乗ったら屋根の上のことを忘れてしまいますね

そう、自分では見えないでしょ。
だから指をさされて笑われて初めて「あ、今日はこの車に乗ってたんだ!」と思う。
仕事をしているときは違う車に乗っているので余計忘れる。

僕はこの車でよくヤンバルに行くんです。一番落ち着くから。
無意識に、木を隠すなら森にいけってことを実践しているのかも(笑)
ダッシュボードに写る木陰
ダッシュボードに写る木陰
―高速には乗れるんですか?

高速は乗らない。念のために。
だから沖縄の高速が無料のときの恩恵も、僕はまったく受けてないんだよね。

―やっぱり人に見られますね。
対向車の人に見られる
対向車の人に見られる
歩いている人にも見られる
歩いている人にも見られる
母親には人に後ろ指を指されないように生きなさいと言われて育ったのに、今では後ろどころ前からも2階3階と上からも指をさされて(笑)

交通量の多い交差点が一番嫌。こっちは止まっているから余計に目立つ。
通り過ぎる車がみんな見てくるでしょう。恥ずかしい。
今日みたいに横に人が乗っていると安心する。恥ずかしさが紛れるから。

親族には「恥ずかしいからやめて!」って言われるし、実際僕も恥ずかしいけど、今はやめようとは思ってないよ。

―絶対続けてほしいです!

この車が実際走っているところを僕は見たことがないんだよね。どういう状態になっているのかなーといつも思う。
花って飛ばないんだなーとしみじみと。
風圧でハンドルが取られることもないし。台風のときに見ていても、木はあまり揺れていない。

前に友だちが後ろを走っていたときに言われたんだけど、「ちょうど運転席の知念さんの頭の上が一番密集してますよ!」って。たしかにガジュマルもこの上だし(笑)
運転席の上がもっとも密林地帯。 知念さんから何かが出ているのか!?
運転席の上がもっとも密林地帯。 知念さんから何かが出ているのか!?

指すならグーにして!

ということで、知念さんのインタビューをまとめると

・エアコンが壊れていたので、屋根に木陰を作れば涼しくなると思ってはじめた。実際に涼しい。
・芝生は植えたが、他の草木は勝手に生えた。どこから種が運ばれてきたのかはわからない。
・車検のときは外す。再取り付け方法は夢の中の自分が教えてくれた。
・目立ちたいわけではなく、本当は恥ずかしい。今でも月に1回は乗れない日がある。

―最後にこの記事を読んでいる人になにかメッセージがあればもらえますか?

「指すならグーにして!この記事を読んでくれた方と分かりますから。そしたら僕はパーで返します」

車を見たら幸せになれるという噂もあるようですが、本当にすれ違う人、車を見に来る人がみんな笑顔でした。
走っているだけで人に感動と笑顔をもたらす知念さんの車。

ぜひ見かけたら笑顔をもらったお礼にグーで手を振ってみてくださいね。

走れ!ガジュマル兄妹 Run!Little Banyans

知念さんが写真と言葉で発信する物語があるので紹介します。

Facebookで連載中の『走れ!ガジュマル兄妹』。
自動車の屋根に根を下ろしたガジュマルの幼木、ガジュとマルーが唄う木を探しに行く冒険物語です。

まだ何もなかった初期からが見られる実際の物語。
すべてはここからはじまった。『走れ!ガジュマル兄妹』より
すべてはここからはじまった。『走れ!ガジュマル兄妹』より

屋根の上で育ったので、どこにでも行けるガジュマル兄妹。
兄妹が沖縄を冒険する物語は、とても優しい気持ちになれてオススメです。
ぜひご覧くださいませ。
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