特集 2014年7月8日

長篠鉄砲三段撃ちに着想をえた名刺交換

私たちはときどき名刺交換の際に長篠鉄砲三段撃ちのようになる
私たちはときどき名刺交換の際に長篠鉄砲三段撃ちのようになる
大勢の打ち合わせのときに初対面の方がいたりして、私たちはときどき名刺交換の列をつくるときがある。

この状況あれに似ているなとみなさまはお気づきだろう。そう、長篠の戦いにおける鉄砲三段撃ちである。
2006年より参加。興味対象がユーモアにあり動画を作ったり明日のアーという舞台を作ったり。

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> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

長篠鉄砲三段撃ちとは

鉄砲をとりいれ戦国の世に躍進した織田信長。その前にたちはだかるのは武田軍の騎馬隊である。

昔の鉄砲は弾丸をこめてから発射するまでに30秒かかったそうだ。これでは次から次へとやってくる騎馬隊に対処できない。

そこで信長は鉄砲隊を3列にわけて順繰りに撃っていくことにした。これが長篠の戦いにおける鉄砲三段撃ちである。
織田信長がこれで武田騎馬軍を破ったという三段撃ち
織田信長がこれで武田騎馬軍を破ったという三段撃ち

現代における鉄砲といえる

もうお気づきであろう。私たちは名刺交換をする際にしばしば列をつくる。そして準備のできてない者は後ろに位置して準備をしながら前に進む。

この状況、長篠鉄砲三段撃ちだ。
この状況、似ている
この状況、似ている

現代の鉄砲が名刺なのではないか

社会人にとっての大きな武器、それが名刺なのだろう。大勢であっても短時間で名刺を渡し終えることができる。私たちは現代における鉄砲隊なのだ。

これをより長篠鉄砲三段撃ちスタイルでやるとどうなるだろう。交換したものが下がってまた列に加わる形である。
GIFアニメにするとこうなる。長篠鉄砲三段撃ちのようにすると永遠に名刺を交換することになる。
GIFアニメにするとこうなる。長篠鉄砲三段撃ちのようにすると永遠に名刺を交換することになる。

永遠の交換となった

従来、名刺交換とは一回が原則である。しかしこの長篠鉄砲三段撃ちに着想を得た名刺交換では永遠に名刺を交換することが可能である。

それがメリットかデメリットかはここでは置いておこう。ただ永遠が生まれる。

実際にやってみるとこのループは徐々に早くなる現象も確認された。動作に慣れて効率化していくのである。
動画にするとだんだん速くなる様子がわかる。人間は同じ動作を繰り返すと学習して進歩するのだ

現代に三段撃ちをとりいれよう

実は近年では、この長篠鉄砲三段撃ちはなかったという説が有力である。だがこれほどまでに後世にインパクトを与えているのである。これがアイデアとして優れているという証拠ではないか。

時間がかかることを3段階にわけて繰り出していくこのアイデアを現代に応用してみよう。

たとえば打ち合わせ中に検索して見せようとしてまごついたことはないだろうか。
「あ~これこれ、これですよ」
「あ~これこれ、これですよ」
PCを立ち上げる⇒検索⇒見せる と3段階ある
PCを立ち上げる⇒検索⇒見せる と3段階ある

打ち合わせ中の検索は時間がとまる

気心知れた仲ならいいが、営業ツールとしてPC画面を見せることもあるだろう。

ここでPCの立ち上がりが遅くて「買い換えようと思ってるんですけどね」と焦りからどうでもいいことを口走ってしまったり……これは騎馬を前にした鉄砲隊と同じ心境である。

そこで三段撃ちにならい「PCを立ち上げる」「検索をする」「見せる」の3つにわけてみる。

すると次々と画面を見せることができて相手も納得の嵐、なるほどに次ぐなるほどのなるほどラッシュである。
これを三人で分担すると次から次へと画面を見せられる。相手は永遠になるほどすることになる
これを三人で分担すると次から次へと画面を見せられる。相手は永遠になるほどすることになる

人を待たせる状況で有効である

このように相手を待たせている状況において長篠鉄砲三段撃ちは大変有効である。

たとえばこんなときもそうだ。だれかと移動していて改札前で「あ~、SUICAの残高ないんですよ」とあわててチャージしにいくあれである。
「あ~、SUICAチャージしてなかった」こんな状況も
「あ~、SUICAチャージしてなかった」こんな状況も
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三人で長篠鉄砲三段撃ちスタイルをとると時間が短縮される。そして永遠がまた生まれた。
三人で長篠鉄砲三段撃ちスタイルをとると時間が短縮される。そして永遠がまた生まれた。

3段階であることを生かして

相手を待たせる以外にも三段撃ちの「三段」部分に注目して現代に生かしてみよう。

「Aして、Bして、Cする」といえばあれだ。

そうだ「きざんで、つけて、もむだけですぐ食べられる♪」の浅漬けの素である。
「きざんで、つけて、もむだけ!」と書いてある
「きざんで、つけて、もむだけ!」と書いてある
「きざんで」
「きざんで」
「きざんで」「つけて」
「きざんで」「つけて」
「きざんで」「つけて」「もむだけ!」すぐ食べられる
「きざんで」「つけて」「もむだけ!」すぐ食べられる
三人で長篠鉄砲三段撃ちスタイルをとると時間が短縮される。そして永遠がまた生まれた。
三人で長篠鉄砲三段撃ちスタイルをとると時間が短縮される。そして永遠がまた生まれた。

多段階であっても可能

浅漬けが3段階に分けられることはわかったが、これはべつに3段である必要はない。

3つ以上の手順がある場合でも3つにわけて順にやればいいのである。たとえが手品はどうだろうか。長い手品でもエッセンスを抽出し、3つに分けることで長篠鉄砲三段撃ちスタイルをとることができる。
「ここに一本のロープがあります」
「ここに一本のロープがあります」
「手の中に折り込んでいくと…」
「手の中に折り込んでいくと…」
「なんと結び目ができている!」
「なんと結び目ができている!」
三人で列を作って手品を見せる
三人で列を作って手品を見せる

手品を次々と見せること

これで手品を次々と見せることができた。

だが一体なんのために? そうした疑問が突然頭をもたげる。しかしとにかくやってみよう。良いか悪いかの判断はやってみてからである。
長篠鉄砲三段撃ちスタイルでの手品である
最終的には効率を求めて円形になり、ちびくろサンボの虎のようになった
最終的には効率を求めて円形になり、ちびくろサンボの虎のようになった
見せられる側が困惑することも考えられる
見せられる側が困惑することも考えられる

永遠が生まれるということ

長篠鉄砲三段撃ちとはその効果が3分の1になるものの、時間を短縮して次々と繰り出す場合に効果的である。これを現代のいろいろなことに応用してみるとたしかに有効な一面もある。

だが大きく見落としていたのは鉄砲三段撃ちによって永遠が生まれることである。

ある者は名刺を山のように持たされ、ある者はきゅうりの浅漬けで腹一杯にさせられ、またある者は手品を永遠に見ることになる。

これは悲しい。

想像してみよう。腕には栄養が点滴され、排泄物は管を通して処理される、そして目の前に120インチが広がるヘッドマウントディスプレイで延々ロープに結び目ができる手品を見せられる。それがあなたの老後だとしたら。

それは生きながらにして死んでいるとさえ言えるのではないだろうか。

むこうから白いシャツにジーパンをはいたメガネの三人がやってくる。手にはロープを持ってやってくる。

長篠鉄砲三段撃ち、それは現代における悲劇でもある。
白シャツ、ジーパン、メガネの三人がやってくる
白シャツ、ジーパン、メガネの三人がやってくる
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