ひらめきの月曜日 2014年7月28日
 

遊び方がわからないおもちゃで遊びたい

見る者を試してくるおもちゃ
見る者を試してくるおもちゃ
あるお菓子会社が商品のおまけにしていたおもちゃの生産中止を発表したというネットの記事を読んだ。
メーカーの発表によると、その理由は「遊び方が分からない等のお問い合わせが多数ございましたので」とのこと。なんとなく意外な理由だ。

遊び方がわからないという問い合わせがたくさん寄せられるおまけ。どんなものか逆に気になる。入手してその謎のおもちゃと向き合ってみよう。
1973年東京生まれ。今は埼玉県暮らし。写真は勝手にキャベツ太郎になったときのもので、こういう髪型というわけではなく、脳がむき出しになってるわけでもありません。→「俺がキャベツ太郎だ!」
> 個人サイト テーマパーク4096 小さく息切れ

もう会えなくなる君に会いたい

おまけの生産中止を発表したのはコリス株式会社。ドーナツ型の穴部分を吹くと音が鳴る「フエラムネ」などが主力の菓子メーカーだ。

今回生産中止なったのは、そのフエラムネについていた「クッキーマン」と呼ばれるおもちゃだ。(コリスからのお知らせを参照)
今まで全然知らなかったのになんとなく悲しくなる
今まで全然知らなかったのになんとなく悲しくなる
こうした生産中止の理由としてよく聞くのは、危険性の発見やリニューアルを図るためだろう。しかし今回は「遊び方が分からない」という問い合わせが多かったため。聞いたことがない。
1年ちょっとの短命おもちゃ
1年ちょっとの短命おもちゃ
なんとなく釈然としない理由。それゆえに、そのおもちゃの実体が気になってくる。

生産中止の告知には写真が載っているので、どんなものかはわかるのだが、実際に手に取ってみたい。
まだ売ってるんだね
まだ売ってるんだね
ちょっとした大人買い
ちょっとした大人買い
そういうわけで、店で買ってきた。子供のころに遊んで食べた覚えはあるが、何十年ぶりだろうか。今でもスーパーやコンビニで普通に並んでいるのが意外に思えた。

フエラムネのおまけは男女別になっており、それが箱に書いてあるので選んで買える。クッキーマンは女の子用の1種類として入っているとのことなので、とりあえず5つ買ってみた。
これは子供ときめくだろう
これは子供ときめくだろう
わくわくを演出するデザイン
わくわくを演出するデザイン
まず、おまけの箱に「おもちゃばこ」と書いてあるのがいい。「これはおもちゃばこなんだ!」という子供への真っ直ぐなメッセージ。

描かれている絵もかなり気を持たせる。いい年こいた大人でも開けるのが楽しみになってきた。1つ目を開けてみよう。
これは、なんだろう
これは、なんだろう
クッキーマンではなかったが、いきなりわかんない現実に直面した。そして、そのモヤモヤを解消すべく、頭に浮かぶ疑問符をなんとか解こうという気になってくる。解釈しようと燃えてくるのだ。

手足(?)の生えた(?)ハート(?)が、車輪の上に乗っている。ハート(?)の中には人物の影(?)も読み取れる。

うわー、全然疑問符が消えない。
命名を迷いながら遊ぶ
命名を迷いながら遊ぶ
ただし、遊び方ははっきりわかる。車輪の軸に回転するおもりがついているので、指で押すとユラユラとバランスを取りながら転がっていくのだ。

正体不明でも遊び方は明快なのだ。そういう点で、クッキーマンとは違うようだ。
わかる、わかるぞ!
わかる、わかるぞ!
血が止まりそう
血が止まりそう
2つ目の箱からはリボン型の指輪が出てきた。そう、すぐにそれが何なのか名前も目的もわかるのだ。

一番細い小指にはめても途中までしか入っていかず、それが子供用であることを実感。

それにしても、ここまでクッキーマンは登場せず。生産中止がアナウンスされているのだから、もう会えないかもと心配になってきた。

やっとの出会いに戸惑う気持ち

不安を抱えつつ3つ目の箱を開ける。
これまでと違う雰囲気
これまでと違う雰囲気
フタを開ける瞬間に緊張感が走る。子供の頃ってこういうことでいちいちドキドキできていたのを思い出す。

3つ目の箱の影に潜む姿は、これまでと様子が異なるではないか。ついに登場だろうか。
出ましたクッキーマン
出ましたクッキーマン
2015年5月が賞味期限の商品
2015年5月が賞味期限の商品
おおーっ、中から登場したのは今回の目的であるクッキーマン。生産中止が発表されたものの、現時点で出回っている商品にはまだ入っているようだ。
磔にされてるようにも見える
磔にされてるようにも見える
フォーメーションを変えて直立
フォーメーションを変えて直立
そして、出てきた瞬間「おおーっ」と高まったテンションは、自分の中でじんわり下がっていくのがわかる。写真で知っていたものなのに、手に取ってみると圧倒的な「なんだこれ感」がやってくるのだ。

2つの部品が組み合わさっているのを取り外し、イルカ型の台座(?)の出っ張りに刺して立たせてみる。

胸に去来するのは「それが何か?」という思い。いや、こんなはずじゃなかった。想定していたのは「クッキーマン、なんだか楽しいじゃ〜ん」という気持ちだったのだ。

答えを急がず、次の箱を開けてみよう。
今度はやれやれバージョン
今度はやれやれバージョン
4つ目の箱からも登場したのはクッキーマン。ポーズと表情が1体目と違う。2体目ということで、これでクッキーマンコレクションになったではないか。
はい、つなげてみました
はい、つなげてみました
こちらの台座はキャンディ型。台座の上下は軸と切り欠きになっているので、複数あればつなぎ合わせられるのだ。

つなげてみて胸に去来するのは、またも「それが何か?」。なんだろうこれ、わかりたいのにわかれない。ものすごくもどかしいのだ。
意匠はわからない
意匠はわからない
でも使い方はわかる
でも使い方はわかる
5つ目から出てきたのは、クジラの何か。下部が輪になっていて、ちょうど鉛筆がはまるくらいのサイズだ。

実際に鉛筆にくっつけるとちょうどいい。そういうわけで、これは「鉛筆の飾り」と判断した。ああ、遊び方がわかるって安心する。別に鉛筆を飾りたいわけではなくても、意味がわかるとほっとするのだ。

意味と意味不明の間で

男としてはこっちも気になる
男としてはこっちも気になる
ここまで女の子用のおまけを5つ開けたが、試しに1つ男の子用も買ってきておいた。クッキーマンが出てこないのはわかっているが、どんなものが入っているのだろう。
男であることを誇らしく感じるわかんなさ
男であることを誇らしく感じるわかんなさ
女子向けも相当わからなかったが、男子はさらにしびれる不明度。今回最高のなんだこれ。

名前をつけるとしたら、まあ「宇宙人」ということになるのだろうが、命名という人類最大の発明の意義すら吹き飛ばす存在感。21世紀の現在、こうした物体がおもちゃ箱から飛び出してくるのがすごい。
癖になってきた
癖になってきた
宇宙人の登場で、わからなさが突き抜けて面白くなってきてしまった。おまけが気になる気持ちが高まって、女子向け5つと男子向け1つを追加購入してきた。
ハート車が2つ出てきて計3体に
ハート車が2つ出てきて計3体に
指輪のデザイン違いも出てきた
指輪のデザイン違いも出てきた
クマの何か
クマの何か
おそらく髪留めで、意味が解明
おそらく髪留めで、意味が解明
ダブりやデザイン違いの他、髪留めという実用的なものも登場。どれも意味がわかるものばかりで安心できる。そして、意味がすぐにわかってしまって寂しい気持ちにもなる。
やっぱり磔みたいに見える
やっぱり磔みたいに見える
5つのうち1つはクッキーマン色違いが登場。他のが意味のわかるものばかりだったので、クッキーマンのやっぱり今ひとつわかんない感じは嬉しい。
解釈しやすいトラック
解釈しやすいトラック
なんとなく自慢げにJAPAN
なんとなく自慢げにJAPAN
男子用からはわかりやすくトラックが出てきた。ちゃんとタイヤが回るようになっていて、押すと転がって遊べる。ひっくり返すと誇らしげに「JAPAN」と書いてあるのがチャーミングだ。

クッキーマンVS宇宙人

どうしたものか
どうしたものか
さて、これでクッキーマンは3体集まったが、どう遊ぶかの問題は解決していない。
うーん…
うーん…
なんか違うな
なんか違うな
いろいろとコネコネしてみるのだが、これだという遊び方が見出せない。

クッキーマン生産中止の発表を読んだ私は、「遊び方がわからないという意見もあるかもしれないけど、そりゃ想像力を働かせて楽しむところだろう」と思っていた。そして手にしたら楽しく遊べるだろうと思っていた。

しかし、実際手にしてみると、本当に遊び方がわからない。クッキーマンが禅問答のように迫ってくるのだ。
こいつはいつも陽気
こいつはいつも陽気
意外と手強かったクッキーマン。その点、宇宙人はただそこにいるだけでキャラが立っていて、存在そのものがファニー。トラックに乗せてじっと見ていると、さらにノリノリになってくる。
「ワレワレハ宇宙人ダ、って俺1人だな…」
「ワレワレハ宇宙人ダ、って俺1人だな…」
宇宙人パワーは絶大で、クッキーマンと一緒に並べると自動的にドラマが生まれる。
つなげてブレスレット?
つなげてブレスレット?
いや、こっちの方が面白いな
いや、こっちの方が面白いな
なんとかクッキーマンたちだけでなんとかしようと試みたが、つい宇宙人に頼ってしまう。宇宙人がいてくれて本当によかった。

意味がわからなくて戸惑ってしまうクッキーマンと、意味がわからないままに楽しい宇宙人。妻は「断然クッキーマンの方がかわいいし、なんとなく楽しい」と言っていたので、性差や個人差もあるのだと思う。

 いきものがかりと立ち位置が違うな
いきものがかりと立ち位置が違うな

遊び方がわからないという声のため生産中止になったクッキーマン。この話を聞いて、私は「遊び方なんて自分の頭で考えるものでしょ」と思っていた。

しかし、クッキーマンを前に実感したのは「遊び方なんて自分の頭で考えるものでしょ」ということを、頭で考えていただけの自分だ。戸惑いは今も解決できていない。

もちろん楽しく遊んだ子供たちもたくさんいただろう。しかし、今回クッキーマンと向き合って、ほぼ何もできなかった自分の柔軟性のなさに驚かされた。

そして宇宙人の威力。今もデスクのはじにあって、ふと見るたびに「なんかこいつ楽しいな〜」と思う。人形という点ではクッキーマンと同じはずなのに、この違いは何なのか謎のままだ。
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