特集 2014年7月31日

野良ノマド

おちつく…
おちつく…
少し前にノマドワーカーという言葉が流行った。
カフェやコワーキングスペースなどで働くワーキングスタイルである。

たまにカフェで仕事するが、なんとなく長居するのがためらわれたり、トイレにいくときに果たしてパソコンを持っていくべきかどうか悩む。ノマドといっても気を使うことがあるのだ。

もっと自由で気持ちのいいところはないものだろうか。

(写真に全て日付が入っているのはそういう設定にしたままだったからです)
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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家庭内ノマド=バルコニー

きっかけは知人のfacebook であった。
暑いので屋上にデスクを持ちだして働いているという。なるほど探偵物語みたいでかっこいい。
探偵物語は屋上に事務所を構えている設定だった。今なら違法建築なので「CM上の演出です」と注意書きを出されてしまいそうだがハードボイルドである。
さっそくバルコニーに机とイスを出してみた。
さっそくバルコニーに机とイスを出してみた。
かなり快適だ。僕の記事ではおかしなことをしているが話の流れ上、快適だと書くことがあるが、これは本気で快適だ。
机は去年ヒカリエにデイリーポータルZ編集部があったときに展示に使っていたもの、イスは6月に「パイプ椅子を持って旅に出よう」という記事で使ったものである。うちにあったじゃまなものですぐできた。
このオフィスの仲間を紹介します。コガネムシ。
このオフィスの仲間を紹介します。コガネムシ。
そしてよくわからない、虫
そしてよくわからない、虫
数年前、バンコクに行ったときに、屋台で焼きそばみたいなのを食べながらパワーポイントの資料をがつがつ作っている男がいた。これぞ躍進するASEAN、という光景だったが、ちょっとうらやましかったのだ。
ああいうことがしてみたかった。
翌日、昼にバルコニーを掃除するぐらい本気
翌日、昼にバルコニーを掃除するぐらい本気
涼しくなったら夜はノマド。グレープフルーツサワーとともに
涼しくなったら夜はノマド。グレープフルーツサワーとともに
夜の風、蚊取り線香のにおい、自分好みの濃さのグレープフルーツサワー。ネットにもつながっていて、コンピュータは僕の好きな音楽しか鳴らさない(なぜならおれのライブラリだからだ)。
リア充 西東京大会があったらベスト16ぐらいまで行ける自信がある。
たとえグレープフルーサワーに小さい虫が落ちていたとしてもだ。

この快適さをもっと拡大したい

ノマドといいながらバルコニーから出ていない。これでは夫婦喧嘩で追い出された夫である(昭和のまんが的な演出)。

このオフィスを外に持ち出してみよう。持ち出しやすいようにタイヤをつけることにした。
ドリルで穴をあけて
ドリルで穴をあけて
自転車の補助輪をつけた
自転車の補助輪をつけた
この角度ならたたんだときにタイヤが接地して運びやすくなる。
しかし、なんだかおばあちゃんが押している買い物カートっぽさが出たのは否めない。
テーブルの方はキャスター付きのすのこを利用
テーブルの方はキャスター付きのすのこを利用
近所のホームセンターはなぜかこのキャスタ付きのすのこが一押しなのだ。複数のサイズ展開でいつも入り口近くのいい場所に並べてある。
裏返すとひっくり返した昆虫のよう
裏返すとひっくり返した昆虫のよう
すのこは机にゴムで固定。
すのこは机にゴムで固定。
急にピントが甘くなったのは夜に撮影しているからである。ブレた。暑いので昼は家から出ない。このあたりも東南アジアスタイルである。
夜に完成。ノマドワーカーズデスク
夜に完成。ノマドワーカーズデスク
なんだろう。リア充西東京大会ベスト16の面影はない。
こういうのは経験がある。途中まですごくうまくいってて、こうしたらもっとよくなるんじゃないかと思って工夫したら一気にだめになること。
経験があるぞというレベルではなく、いつもそうだ。常に蛇足を超えて蛇をムカデみたいにしている。
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外に出よう

僕のノマドセットは一晩開けてもカッコ悪いままだった。それを持って外に出た。
こんにちは。在野のノマドワーカーです
こんにちは。在野のノマドワーカーです
補助輪はガラガラと大きな音を立てて、すこし恥ずかしい。そういえば子どもの頃に補助輪をつけた自転車乗っていたときも同じ気持ちだった。
ここでわかったのは補助輪が40年近く進化してないことだ。
いいスペース発見
いいスペース発見
緑道のちょっとしたすきまにオフィスを設置してみる。
これはいい!すごくいいオフィスになった
これはいい!すごくいいオフィスになった
では午前のウランの取引を始めようかな
では午前のウランの取引を始めようかな
外の空気に触れていると仕事をしているときに陥りがちな視野狭窄になることもなく、常に広い気持ちで判断ができる。
「お前マターでいつまで待たせんだよ」という内容をビジネスライクに書いたメールを受け取っても平気だ。圧倒的な草いきれや小さな虫たちの生命の息吹のなかではそんな話はさざ波である。おれはいまガイアと一体だ。
「可及的速やかに着手します」と書いて返信するガイア
「可及的速やかに着手します」と書いて返信するガイア
日が強くなってきたので涼しい木陰を探して移動する。ひまわりのようだ。
パワースポット的な場所にオフィスを設置
パワースポット的な場所にオフィスを設置
「消防車に目玉をつけるという企画はいかがでしょうか」と目の前にあるままの企画を書いて送る
「消防車に目玉をつけるという企画はいかがでしょうか」と目の前にあるままの企画を書いて送る
ノイズのような蝉の鳴き声が切れ目なく響き、蝶が舞っている。木の根元に捨ててあった紙袋を覗いたらエッチな本が詰めてあった。どこをどう見ても夏だ。
このワークスタイルは続けよう
このワークスタイルは続けよう

大人は自由だ

緑道から家に戻る途中、草むらのなかでものすごく真剣に虫をとっている大人がいた。平日の昼に虫をとってもマックブック開いててもいいのだ。大人は自由だ。

そして全く関係ない話だが、イスにタイヤをつけているときに着てたTシャツが10年前の記事で着てたTシャツだった。
意外にものもちがいい。
意外にものもちがいい。
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