特集 2014年9月3日

デング熱感染源となったあの代々木公園は今、どうなっているのか?

蚊に襲われた
蚊に襲われた
先週あたりからデング熱という感染症が流行している。

日本では長らく患者が発生していなかったが、先月末(2014年8月末)約70年ぶりに患者が確認されたとしてニュースになった。

しかも、数名いる患者の感染源がいずれも「代々木公園のヤブ蚊」だという。

いつも記事の撮影でおせわになっているあの代々木公園である。これは大変だ。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

前の記事:日本一鮭を食べる町とshakeという町~ここはどこでしょう?特別編~

> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

ぼくらの代々木公園が危ない!

代々木公園は使用許可がとりやすいので、デイリーポータルZの撮影でよく利用している。

数年前、セレブ撮影会をおこなったりしたのもこの公園だ。
2011年のセレブ撮影会
2011年のセレブ撮影会
そんな思い入れのふかい代々木公園が、デング熱ウィルスをもったヤブ蚊によって存亡の危機にひんしている。

これは捨て置けない。

なんなら住んじゃってもいいと思っているほど愛してやまないぼくらの代々木公園が、いまどんな状態なのか、もしかしてひと気が無くなって静まり返っているのではないか? これはぜひ確かめておかなくてはなるまい。

デイリーポータルZの有志数名で代々木公園がどうなっているのか取材に向かった。

でも、感染症はこわい

デング熱は、デングウィルスをもった蚊にさされることによって感染し、潜伏期間の4~7日を経て発症すると、高熱、頭痛、関節痛、発疹などの症状が出る。

ただ、幸いな事に、重症化することはまれで大抵の場合は1週間程度で快復するという。

しかしながら、症状は軽いといえども、感染症はこわいので事前に蚊対策だけはしておきたい。

代々木公園に向かうにあたり、東急ハンズに立ち寄り蚊対策グッズを購入。
東急ハンズのランドリーグッズのコーナーに蚊取り線香があった
東急ハンズのランドリーグッズのコーナーに蚊取り線香があった
蚊対策はバッチリ
蚊対策はバッチリ
夏の守護神、蚊取り線香。蚊取り線香を腰にぶら下げ、寄ってくる蚊に一泡吹かせてやろうという魂胆である。

公園近くのコンビニでは防虫グッズが売り切れ

蚊取り線香だけではいささか心もとないので、他のメンバーは虫除けグッズで感染症を完全ブロックしたい。

代々木公園近くのコンビニエンスストアに立ち寄り、防虫グッズを物色。
あ、残り少ない!
あ、残り少ない!
肌に塗るタイプの虫除けジェル、虫を寄せ付けないためのスプレーがそれぞれ残りひとつ。

電源が必要なものや、火を使うものは売れ残っていたものの、体に直接塗布するタイプの防虫グッズは軒並み売り切れていた。

デング熱のニュースが報道されてから、殺虫剤メーカーの株価が暴騰してストップ高になったらしいけれど、コンビニの防虫グッズコーナーもストップ状態である。
気持ちはわかるけど、今このタイミングで公園でビールなんか飲んだら蚊にさされやしないか?
気持ちはわかるけど、今このタイミングで公園でビールなんか飲んだら蚊にさされやしないか?

果たして人はどれぐらいいるのか?

公園の前で、それぞれの防虫グッズで虫除け対策を行い、代々木公園に向かう。

気分は完全にアマゾンの奥地に人食いワニを探しに向かう川口浩探検隊である。
蚊取り線香装着OK
蚊取り線香装着OK
いざ、代々木公園へ!
いざ、代々木公園へ!
悲壮感が出ててなんかちょっとかっこいい
悲壮感が出ててなんかちょっとかっこいい

いつもと違ってひと気が……

さて、デング熱報道で代々木公園の様子は実際はどうなのか? あれだけニュースで報道されているため、人がいなくなっているのではないか?
少ない……のかな?
少ない……のかな?
あれ? 人は……いるな。

ひっそり静まり返っているというわけではない。ダンスの練習をしているグループもいるし、どこからか太鼓の音も聞こえてきている。

そこそこ人はいる。
普段と比べてどうなんだろう?
普段と比べてどうなんだろう?
これ、立入禁止に使ってたフェンスだ
これ、立入禁止に使ってたフェンスだ
デング熱発生を受けて、東京都が殺虫剤を散布したときに使ったフェンスがそのまま置かれている。変わったところといえばそれぐらいだろうか?

人が少ないといえばすくないかもしれない、といった程度だ。思ったほどどうってこと無いふだんの代々木公園が、そこにはあった。

あまりきにしてないひとが多いのでは?

そんななか、持参のビールをのんでくつろいでいるグループを発見。

飲むと蚊が寄ってくるというあのビールを、今この時期のここで飲むのか! と驚いたので話をきいてみた。
きさくな若者たちでした
きさくな若者たちでした
――デング熱のニュースはご存知ですか?
「あ、しってます! こわいですよねー」

――ビール飲むと蚊にさされやすくなるっていいますけど、大丈夫ですか?
「大丈夫じゃないかなー、このへんはそんなに蚊もいないし」
ビール大丈夫か?
ビール大丈夫か?
――防虫対策はしてきました?
「いやー、とくには……」

――ぼくは蚊にさされたらやだなと思って蚊取り線香持ってきたんですけど……そんなにいないですね
「そうですか……(苦笑)」

そう、ベンチのあるあたりなどは、そんなに気になるほど蚊がいないのだ。

きのうまでに公園を管理する東京都が蚊の駆除を行ったため、蚊はもういないのかなー。なんてのんきに思っていたのもつかの間……。

やっぱり蚊いる!

蚊取り線香の火が消えてしまったので、着火するためにしげみにいった、ほんのわずかな時間……。

あ、蚊飛んでる! と気づいた時は時すでにおそし、数匹の蚊が足にまとわりついていた。
あー! 蚊だ!
あー! 蚊だ!
ほらここ! 三箇所!
ほらここ! 三箇所!
ぎゃー! 血吸われてる!
ぎゃー! 血吸われてる!
3匹同時である。盆と正月と、あともうひとつ適当なのが一緒にきたような、そんな慌ただしさである。

さらに、ぼくが蚊に襲われたようすを撮影してくれていた、ライターの地主くんも蚊に襲われ始めた。遠慮というものをまったくしない。蚊が。
南洋の民族舞踊を御覧ください
南洋の民族舞踊を御覧ください
血をすわれる前になんとか3匹とも退治したものの、さされてしまった。いまさらどうこう言っても仕方がないが、不覚だった。

デングウィルスをもった蚊かどうかはわからないけれど、しげみやヤブの中はけっこう蚊がいる。油断は禁物だ。
一方そのころ、編集部藤原くんは鶏の唐揚げを食べていた
一方そのころ、編集部藤原くんは鶏の唐揚げを食べていた

取材に行ったつもりが……

蚊にもさされたし、これ以上ここにいてもしょうがないので帰るか……と取材を切り上げ、出口に向かって歩いていたところ、待ち構えていたTV局に取材されてしまった。
取材に来たはずだったのになんで取材されてるのか
取材に来たはずだったのになんで取材されてるのか
腰から蚊取り線香をぶら下げながら公園内をふらふら歩いてるのはよっぽど珍しかったようだ。

翌日、放送された番組を確認すると、インタビュー素材はしっかり使われていた。
蚊取り線香ぶら下げてたらインタビューしたくなるわなー
蚊取り線香ぶら下げてたらインタビューしたくなるわなー
この蚊取り線香が決め手
この蚊取り線香が決め手
取材した情報を他のメディアにペラペラしゃべる
取材した情報を他のメディアにペラペラしゃべる
代々木公園に、蚊の取材に行ったら、蚊の取材をされたという、早口言葉か回文みたいな状況になった。

「コンビニの防虫グッズが売り切れていた」という自分で取材した情報もペラペラとしゃべってしまうほどにメディアとしての自覚はうすい。

まだ熱は出ていない

いま現在、普段より人出が少ないかな? という以外は代々木公園はわりといつもの平静さをたもっている。

蚊にさされてしまったぼくも、熱がでるようなことにはなってない。

ヤブ蚊は相変わらず多いので、防虫対策はしっかりしたほうがいい。蚊にさされたら普通にかゆいし。
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