チャレンジの日曜日 2014年9月7日
 

カーナビとア・イ・シ・テ・ルが、怖い 第3回 こまかすぎて伝わらない“こわいもの”

TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」との連携企画です
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」との連携企画、大好評すぎてもう1本お届けすることとなりました。では構成作家の古川 耕さん、お願いします!
高所恐怖症や閉所恐怖症といったメジャーな“こわいもの”ではなく、「え? これがこわいの!? なんで!?」といつも聞き返されてしまうような、マイナーでニッチな「Myこわいもの」。

8月30日に「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で特集され、全国津々浦々から寄せられた「Myこわいもの」報告(別名「症例」)に大変な盛り上がりを見せました。

この連載では、時間の都合上どうしても放送で紹介できなかったメールを特別公開! 当初は先週で最終回のつもりだったのですが、捨てるに惜しい投稿があまりに多かったため、泣きのワンスアゲイン!と相成りました。

今回が本当の本当に最終回です! どうぞ!
(左・宇多丸)ヒップホップグループ「ライムスター」のラッパーにしてラジオパーソナリティ。映画の知識と敬語、低姿勢に定評がある。
(右・古川 耕)構成作家。文房具ライターとしても活動し、お気に入りボールペンの投票企画「OKB48総選挙」の総合プロデューサーもつとめる。

TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(土曜日22:00〜24:30)

ファミレスやマクドナルドなどの店舗の前でゆっくりと回転している看板が怖いです。
回転していることから、ねじのような構造を想像して、いつか回りきって外れてしまうことを想像してしまうのが1つ。

また、台風などの時にあれをどうやって制御するのか。強風にあおられた看板がどのような挙動をするのか、ということがアタマをよぎって恐怖に変わります。
あの回転する看板の高さと大きさの割に、それを支えている柱が細いというのも恐怖です。

あの看板の下を通るときは、どうかあの上の部分がすっぽ抜けて落ちてこないでくれ、いま強風が吹かないでくれ、支えている柱がたったいま限界を迎えないでくれ、と祈るばかりです。
そんな事故、聞いたこともないんですけどね。

(みなせナルウ さん)
「看板がねじのようにクルクル回ってスポっと抜ける」というのはむしろちょっとかわいいなと思ってしまったのですが、人によってはそれが「こわい」という箱の中にしまわれてしまうのですね。街角には危険がいっぱいです。
わたくしの怖いものは、ずばり
「自分の右手で左手首をつかむ、もしくは触れること」
です。

利き手である右手で左手首の、ちょうど手と腕の境目にあたる部分を触ることが、なにしろこわいです。触ろうとすると、背中にいいようのない寒気が走ります。もう覚えていないぐらい小さいときから怖いです。少なくとも小学生のころ、徒競走の後などに先生から「脈拍を取るように」といわれたとき、手首にさわるのがあまりにもこわすぎて、首でとった覚えがあります。当時は手首をさわると、もげそうな気でもしたのか、「わーー!」と叫びたくなるぐらいこわく、震えが止まらなかったのを覚えています。一方当時から、時計やブレスレットをつけることは平気で、今も左手首によくはめています。

小さい頃その部分をけがしたという話もきかないし、血が出る映画映像はきらいなので映画トラウマはないし、周囲にリストカットなどをする人も小学生のころはいなかったので、自分としては「こりゃ前世の因縁だ」と思って勝手に納得したことにしてます。何代か前の前世で、手首から吊られて処刑されたとか、もしくは手首を切って自殺したとか。ちなみにほかの人に左手首をもたれたり、ほかの人が、右手で左手首を触っているのを見ても、なんともありません。こりゃまあ、スピリチュアルやで!

(甘夏 さん)
わからない! 圧倒的にわからない。なにせ当人でさえなにもわかっていない! 完璧なる「伝わらない“こわいもの”」です。人はこういうとき、精神世界に頼ってしまうのだということだけはよく分かりました。
個人的には怖い話なのに、友人に話すとポカ−ンとされる恐怖体験談があります。
それは、今から20年ほど前、私が学生時代のころの話です。

私は女友達と夕暮れの飲み屋街を歩いておりました。
とある飲み屋の前を通りかかると、その店は大きないけすがあり、道行く人にいけすの中を見せるようにガラス張りになっておりました。
女友達が「あっ、イカが泳いでる」と無邪気に言うので、私のその方向に目を向けた瞬間!
そのイカがすいっと網ですくわれたのです!

私は何故かその時言いようのない恐怖感を味わいました。
友人の顔を見ると彼女も恐ろしいものを見た表情をしているではありませんか。
「今の、怖かったよね」
と、私がきくと彼女もうんうんと何度もうなずきました。
その時の自分の感情を映画に例えると『ファイナル・デスティネーション』でいきなりトラックに撥ねられて死ぬ女の子を間近で見た友人みたいな気分だったのです。
何か、日常生活を送っている者が非日常の超自然的な力によって命を奪われるみたいな。

怪談話が好きな私は、色々な怖い話をやるときにこの話を混ぜるのですが、決まって「はぁ?」という顔をされます。

(平戸良樹 さん)
「はぁ?」という反応もむべなるかな。なぜって、いけすとは、まさしく泳いでいる魚やイカを「すいっとすくう」ためにあるものなのだから。いや、投稿者だってそんなことは重々承知でしょう。それでもなお、イカがすいっとすくわれている様を突然目の当たりにすると「こわいスイッチ」が作動してしまう……脳のやることは意味が分かりません。
私が怖いものは、「昔から長く続いているアニメがリニューアルなどで絵柄が変わり、それによって以前よりも異様に目がキラキラしてしまっているキャラ」です。

例を出すと「ドラえもん」や「ルパン3世」などもそうです。
昔から良く知っているあのキャラクターが、ある日突然に異様に目をキラキラさせ、瞳孔の開ききった表情に変わってしまう様は恐怖としか言えません。

目がキラキラ=可愛い、というキャラデザイン変更なのかもしれませんが、私には突然宗教にハマり、狂信的な信者に変わってしまった人の目つきような、あるいはいけない薬をキメて異常に目をギラギラさせているような、とにかく知っていたあの人が、以前とは違う異様にハイな状態になってしまっている様がとても怖いのです。

この件では、周りの友人などに共感を得れた事はありません……。

(TA楠本 さん)
「リニューアルでアニメのキャラの目がキラキラする」というのはいわゆる「あるあるネタ」ですが、それが「こわい!」となると、途端にグッと間口が狭い話になります。その間口の狭さに我々はなぜだか惹きつけられてしまうのです。
私が怖いのはカーナビです。

目的地を設定すると道案内をしてくれるのですが、道を間違えた時は新たにルート検索をしなおして再び案内をしてくれます。
私は運転の仕事をしているのですが、カーナビをセットしつつも道が混んでいたりしたら案内を無視して裏道を使ったりすることがあります。
そうするとナビがいちいち見つけて教えてくれる新たなルートを全部無視して進んでいることになり、その時に無感情なナビの機械音声がだんだん怒っているように聞こえてくるのです。

「右に曲がってください」の音声のあとに「どうせてめえはまた曲がんねーんだろーけどな!」と思われてる気がしてきて怖いのです。

最終的に目的地についた時「目的地付近です。案内を終了します」とほっぽり出される時のつれなさも、「ああ…やっぱり怒ってるわ」と憂鬱になります。

(キャベツボーイ さん)
機械にさえ引け目を感じる人生。他人ごとじゃありません。自動改札のドアにバーン!とされたとき、自販機から札を突き返されたとき、「怒られた!」とビクっとしたことは誰にでもあるはずです。
私が怖いのは「未来予想図2」です。

もちろんDREAMS COME TRUEの名曲の「未来予想図2」です。
あの曲の中にある「バイクのメットを五回ぶつけてた」という歌詞が怖くて怖くて。

初めて聞いた小学生の頃になぜか、DV男が女性をヘルメットで殴っている映像が浮かんでしまったのです。
のちにその五回がアイシテルという意味だと分かるのですが、尚更「ア!イ!シ!テ!ル!」とヘルメットを五回フルスイングし女性にアイシテルと言う事を強要するという映像にグレードアップする始末で、この歌詞以外の部分でも「未来予想図2だ!」と認識するたびゾワッとします。

そんなに怖いなら聞かなければいいのにと言われそうですが、もちろん聞いていません。
どんな曲かも、ほぼサビ以外うろ覚えです。
ですが、テレビやラジオなどでちょくちょくかかるのです。
しかも、うろ覚えなぶん、気づく時はもう大方曲が進んだ、「未来予想図2」という沼に腰まで浸かった気分で、すぐさまあの絵が浮かびゾワッとしてしまいます。

ちなみに、この勝手な脳内映像のラストシーンは女性が無表情で「ア・イ・シ・テ・ル。」と呟き終わります。

(ミッシェルガンエレファントカシマシ男 さん)
送り手が作品に込めた意図や想いなど、勘違いや思い込みの前ではなんの役にも立たないのですね。投稿者さんにもドリカムさんにとっても気の毒な話ですが、文章を読んでいて本当に大声で笑ってしまいました。
私のこわいものは「老人の笑ってる様」です。

幼い頃から自分の祖父や祖母の笑う姿にさえ少し恐怖感を持っていた記憶がありますが、おそらく老人の見た目やイメージと、笑うエネルギーとのアンバランスに不気味さを覚えるのだと思います。

また先日、運転手も含め乗車してる6人くらいが全て老人で、車内が爆笑に包まれているワンボックスを見ましたが、あの異様さには笑ってしまうほど恐怖しました。
映画でも不気味さの演出で笑う老人のシーンがあったりするので、共感する人も少なくなく、企画趣旨とは完璧に合致しないかもしれませんがご検討お願いします。

(きしでんぼうや さん)
僕のこわいものは、「老後の記憶力」です。

現在、20代後半ですが、既に忘れっぽいので年をとった時にどうなってしまうのかと、時々不安になります。
以前、勤めていた会社に60才ぐらいのおじいさんがいたのですが、仕事がなかなか覚えられなくてよく怒られていました。
すると、休憩時間に話している時に、

「ワシは仕事を覚える気はない!」

と言い出したのです。

僕はそこまで男らしく言いきれるようになる自信はないので、ただただ自分の老後の記憶力が心配です。

(兵庫太郎 さん)
最後は老人二連発。大友克洋の『童夢』的な恐怖とは趣の異なる、大変そそられる光景がここにあります。爆笑する老人満載のワンボックスカー、見たい! 仕事を覚える気がないおじいちゃんは、実は老いとは無関係の可能性もあります。

TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で8月30日に放送された「こまかすぎて伝わらない“こわいもの”サマーフェス」のポッドキャストが公開されています。

番組とデイリーポータルZで募集した「Myこわいもの」について、パーソナリティの宇多丸さんと、「こわいものコンサルタント」(無認可)のマイコ赤木が興奮しながらしゃべっています。

30日限定公開ですので、ご興味ある方はお早めに!

「こまかすぎて伝わらない“こわいもの”サマーフェス」(音声が出ます)

「ウィークエンド・シャッフル」とはこの後もデイリーポータルZラジオへのジングル提供などで連携していく予定でおりますよ。

宇多丸さん、古川さん、ありがとうございました!(編集部 古賀)
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