特集 2014年9月15日

世界が輝いて見えるメガネ

!
メガネをある方法で加工すると世界がものすごく輝かしく見えることがわかりましたので、ご報告させていただきます。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変わった音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。
『雑に作る ―電子工作で好きなものを作る近道集』(共著)がオライリーから出ました!

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俺の世界は輝いている

数週間前に、急に気づいた。
俺、世界が輝いて見えている。
通常の世界
通常の世界
俺の世界
俺の世界
いま載せた写真はレンズに特殊なフィルタをつけて撮ったものではないし、カメラも一眼ではなくコンデジである。
ただひとつ、特殊なフィルタは使っていないが、これをレンズに当てている。
毎日かけてる、愛用のメガネ
毎日かけてる、愛用のメガネ
どうやら、これを通すと、何でもめちゃくちゃ輝いて見えるようなのである。
街灯のこの輝かしさ!
街灯のこの輝かしさ!

気づかなかった

これはもちろん写真に撮ったときだけではなくて、肉眼で見たときも同様に輝いてる。(写真の方がちょっとオーバーに輝く気はするけど、程度問題である)
オフィスビルが高級ホテルに見える
オフィスビルが高級ホテルに見える
しかし冒頭にも書いたんだけど、驚くべきことに、僕は毎日このメガネかけてるのに、数週間前までこの事実にまったく気づいていなかったのだ。
気づいた瞬間は本当にびっくりした。

「うわ、景色がめちゃくちゃ光っている!」

あなたが見ている世界は本当の世界ではない

最初にまず目の病気を疑い、ネットで検索してみたのだが特に似たような症状の病気は見つからない。ふと思いついてメガネをはずしてみたら、世界がいつもの世界に戻った。
なーんだ、オフィスビルか
なーんだ、オフィスビルか
この「気づいていなかった」という感覚がとても奇妙である。
まえから僕の目にはこういった光が星型になった世界が映っていたはずなのだが、だからといって僕は「街頭の光は星型だ」と思って生きていたわけではない。記憶の中の街頭の光は、ずっと丸型である。

目に映っているものと、脳で見えているものは違うのだ。

脳の仕業だ。網膜から入った星型の光は、脳のなんとか野まで到達するまでの間に、丸い光に補正されてしまう。きっと僕が「街頭の光は丸い」と思っていたからだろう。

その証拠に、「光が星型に見えてるぞ!」と気がついてからは、全ての光は脳に達するまで一切まるくなることはなく、星型に見えるようになった。

……正直、うっとうしいことこの上ない。気がつかなければよかった……。

もともと特別な……

そんなわけで、メガネ屋に持っていった。レンズ交換のためだ。どのグレードのレンズにするか選んで、どのくらいの期間がかかるかを聞いて。でも、いざお金を払う段階になって、急にもったいなくなってしまった。

こんなに世界が輝いて見えるメガネ、他にないかもしれないのだ。
ナンバーワンであり、オンリーワンでもある
ナンバーワンであり、オンリーワンでもある
お店で、何でこんなことになったんですかね、と聞いたところ、傷ですかねーと言われた。
光を当ててみると縦横無尽に細かい線が入っている。これか……
光を当ててみると縦横無尽に細かい線が入っている。これか……
と、ここまでが筆者の近況報告である。(えっ)
いったん広告です
はい皆さんこんにちは。こちらはニフティ株会社がお送りしております、デイリーポータルZというおもしろ読み物サイトです。

間違えて僕の日記ブログにきてしまったかと思われたかもしれませんが、間違ったのは僕のほうでした。すみません。

今日のテーマは、実験「輝くめがねを作ろう」です。

本編

僕のメガネでこんなに世界がキラキラになってしまったので、この体験をみなさまにシェアさせていただくべく、輝くメガネを意図的に作ってみよう、というのが今回の企画である。
100均のサングラス買占めました
100均のサングラス買占めました
今わかっている原因としては「レンズに傷が入っている」ということだ。新品のメガネにも傷をつけることによってあの状態を再現できないだろうか。いろんな道具を試して、ちょうどいい傷を作ってみたい。

サンドペーパー

傷をつける道具、真っ先に思いついたのはこれだ
写真で見ると普通の紙に見える
写真で見ると普通の紙に見える
#2000という、店頭でいちばん目の細かいものを買ってきた。これでレンズを擦ってみよう。
すごい背徳感……
すごい背徳感……
ギャー!
ギャー!
この「ギャー」感はメガネ愛用者にしか伝わらない「ギャー」ではないだろうか。あなたがメガネをかけていない場合、カメラ好きの人なら愛用のカメラのレンズに、それ以外の人はスマホの画面にでも置き換えて考えてみてほしい。この「ギャー」感が伝わるだろうか。
これもうどんなに拭いても消えませんから
これもうどんなに拭いても消えませんから
視界の輝きは、天井の電球でチェックしてみよう。
これが平常時
これが平常時
僕のメガネです
僕のメガネです
サングラスに少し傷をつけたところ
サングラスに少し傷をつけたところ
ゴシゴシやったところ
ゴシゴシやったところ
輝いた!

すげえ。もうできた。
実験時間3分。早くも結果が出てしまった。

傷の方向=光の方向

ここまででわかったこととしては、レンズに傷をつけるとその方向に光が伸びるようだ。
さっきと同じ写真ですが横に傷をつけたところ
さっきと同じ写真ですが横に傷をつけたところ
レンズを90度回転させたところ
レンズを90度回転させたところ
くるくる回すとこうなる
くるくる回すとこうなる
で、サンドペーパーで縦横無尽にグリグリやると、いろんな方向に傷がついてこうなる
超新星タイプ
超新星タイプ
ただ問題があって、サンドペーパーでこするとレンズがキズキズになってしまうのだ。

……いや、もともと傷をつけるのが目的なんだけど、それはあくまで光が反射する程度の傷であって、視界まで濁ってしまうのは困る。
目指すところの僕のメガネは、光はピカーってなるけど視界は良好なのだ。

もっと、細かい傷をつける必要があるのかもしれない。
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徒労の記録

というわけで試行錯誤が続くのですが、最初に白状すると道具を変えてもいい結果が出るものはなかったので、NG集として軽く紹介しておきたい。
サンドペーパーより目の細かい、研磨フィルム。#10000という数字のものを買ったところ、擦っても擦っても傷がつかなかった。むしろ研磨されてツルツルになったかもしれない。
サンドペーパーより目の細かい、研磨フィルム。#10000という数字のものを買ったところ、擦っても擦っても傷がつかなかった。むしろ研磨されてツルツルになったかもしれない。
いっそのことコピー用紙でメガネを拭いてみてはどうか。これ1時間くらい粘ったのですが…
いっそのことコピー用紙でメガネを拭いてみてはどうか。これ1時間くらい粘ったのですが…
なんかボヤーンとにじむような効果は得られたものの、あの鋭い光彩は出てこなかった。今度は傷が細かすぎるか
なんかボヤーンとにじむような効果は得られたものの、あの鋭い光彩は出てこなかった。今度は傷が細かすぎるか
紙がだめなら毛で。歯ブラシ「かため」でシャカシャカ磨いてみるも、毛が柔らかすぎるのか変化なし。
紙がだめなら毛で。歯ブラシ「かため」でシャカシャカ磨いてみるも、毛が柔らかすぎるのか変化なし。
しかし歯ブラシの投入は前置きに過ぎなかった!最終兵器「スクラブ入り歯磨き」の登場である。
しかし歯ブラシの投入は前置きに過ぎなかった!最終兵器「スクラブ入り歯磨き」の登場である。
磨かなきゃいけないのはレンズの中心部なのだが、フレームぎわの溝になっている部分が「隅々までよく磨けている」感が心地よく、ついつい磨いてしまう。
磨かなきゃいけないのはレンズの中心部なのだが、フレームぎわの溝になっている部分が「隅々までよく磨けている」感が心地よく、ついつい磨いてしまう。
で、特に変化なし
で、特に変化なし
これでだめだったらもうおしまいにします。タワシ
これでだめだったらもうおしまいにします。タワシ
うーん、悪くないけど、ぼんやりしてるなー
うーん、悪くないけど、ぼんやりしてるなー
というわけで、いずれもサンドペーパーを超えるパフォーマンスは得られなかった。残念。

まごころで解決する

最後に、ふたたびサンドペーパーを、今度は丁寧にやってみることにした。
アイテムを変えて散々試したあげく、行き着いたのは「丁寧にやる」という革命
アイテムを変えて散々試したあげく、行き着いたのは「丁寧にやる」という革命
白くなるのは避けられないものの、傷を最小限に抑えました
白くなるのは避けられないものの、傷を最小限に抑えました
最初からこれでよかったのでは…
最初からこれでよかったのでは…
おお、レンズ自体を見ると傷が目立つものの、装着してみると意外に視界はにごらない。いいぞ。
より強い光で、ということでスマートフォンのフラッシュライトでも試してみた。
メガネなし
メガネなし
僕のメガネ
僕のメガネ
丁寧にサンドペーパーをかけたもの
丁寧にサンドペーパーをかけたもの
かっこいいぞ。オリジナルを超えるほどの、シャープな光彩になった!
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夜景を堪能する

せっかくできた新しいメガネをかけて、外に出てみよう。普通のメガネ、僕のメガネ、サンドペーパーで作ったメガネ、それぞれ同じ場所で写真を撮り比べてみた。

ビル横の足元照明

ふつう。まあ何の変哲もない。
ふつう。まあ何の変哲もない。
僕のメガネ。強い光がレンズの曲線に沿ってビヨーンと伸びるのが特徴。日食っぽくもありかっこいい。奥は十字型。
僕のメガネ。強い光がレンズの曲線に沿ってビヨーンと伸びるのが特徴。日食っぽくもありかっこいい。奥は十字型。
これがサンドペーパー。光の足が鋭く、そして長い。十字型でなく何本にも伸びているのもかっこいい。
これがサンドペーパー。光の足が鋭く、そして長い。十字型でなく何本にも伸びているのもかっこいい。

夜の道路

こちらは通常時。
こちらは通常時。
僕のメガネ。遠くの車が光の塊のようになってしまった。
僕のメガネ。遠くの車が光の塊のようになってしまった。
サングラス。遠くの光は光彩が抑えられ、こちらのほうが解像度が高い感じがする。
サングラス。遠くの光は光彩が抑えられ、こちらのほうが解像度が高い感じがする。

マンションの門灯

普通。なんか雰囲気ある写真になってしまった
普通。なんか雰囲気ある写真になってしまった
僕のメガネ。やっぱりこの三日月形の光は独特だ
僕のメガネ。やっぱりこの三日月形の光は独特だ
サングラス。マンガみたいにきれいな効果線
サングラス。マンガみたいにきれいな効果線

青信号

普通の写真
普通の写真
僕のメガネ。パワーアップアイテムを取って高速移動ができるようになった感じだ
僕のメガネ。パワーアップアイテムを取って高速移動ができるようになった感じだ
サングラス。こちらは瞬間移動のアビリティを手に入れたようだ
サングラス。こちらは瞬間移動のアビリティを手に入れたようだ

ビル

普通。1ページ目に掲載したこの写真だけど、
普通。1ページ目に掲載したこの写真だけど、
僕のメガネが、剣山みたいなメタリックな質感であるのに対して
僕のメガネが、剣山みたいなメタリックな質感であるのに対して
サングラスはシルク糸で覆ったかのような繊細さがあるのではないか
サングラスはシルク糸で覆ったかのような繊細さがあるのではないか

電光掲示板

まずは普通
まずは普通
僕のメガネ。もはや文字が読めない(最後のは「顔」です)
僕のメガネ。もはや文字が読めない(最後のは「顔」です)
サングラス。これどことなく東京ドームでライブやるときのステージ照明っぽくないですか
サングラス。これどことなく東京ドームでライブやるときのステージ照明っぽくないですか

交差点

普通。
普通。
僕のメガネ。こうやって見ると光が全部同じ方向に曲がっていて、レンズの曲面に沿っているのがわかる
僕のメガネ。こうやって見ると光が全部同じ方向に曲がっていて、レンズの曲面に沿っているのがわかる
サングラス。傷のつき方にムラがあって、右の交番の光はあんまり伸びてなかったりする。
サングラス。傷のつき方にムラがあって、右の交番の光はあんまり伸びてなかったりする。
比べてみるとわかるのだが、サングラスはよく光ってはいるものの、直線的で、僕のメガネとはちょっと違う気がする。

元々が度入りレンズではないのでそれが原因かもしれないし、何人かの人に話したら、レンズのコーティングが関係しているのではという意見もあった。

なんにしろ、メガネを軽く磨くだけで、光あふれる世界に行けることが明らかになったのだ。最近、日常にハリがないなーと考えている方は、ぜひ試していただきたい。輝かしい日常が待っているから。

さっさとレンズ変えよ

僕のメガネの話に戻ろう。

なんだか手放すのがもったいない気がしてレンズ交換しないで持って帰ってしまったのだけど、写真を見て「やっぱりさっさと交換しよう」と思い直した。

というかよく考えたら、交換後に古いレンズをもらってくればいいじゃん、ということに気づきましたので、もうさっさとメガネ屋さんに行こうと思います。
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