特集 2014年9月15日

もんじゃに駄菓子を入れると超うまい

東京・下町「駄菓子もんじゃ」
東京・下町「駄菓子もんじゃ」
東京の下町には、もんじゃ焼きが食べられる駄菓子屋がある。懐かしい昭和の文化が今も残っているのだ。

せっかく両方あるなら、もんじゃに色んな駄菓子を入れてみたら楽しいんじゃないか?
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

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駄菓子屋もんじゃを求めて下町へ

数少ない東京の名物料理のひとつ「もんじゃ焼き」。今では月島もんじゃが有名だが、昭和40年くらいまでは下町を中心に数多くの店があったそうだ。

また、駄菓子屋の奥には大抵もんじゃ焼きの鉄板があり、子どもたちのおやつとして親しまれていたという。

僕自身が子どもの頃に通っていた駄菓子屋では残念ながら食べられなかったが、『こち亀』に駄菓子もんじゃが登場する話があって、その存在は知っていた。
下町・荒川区にやってきた。もんじゃと並ぶ下町名物・都電が走る
下町・荒川区にやってきた。もんじゃと並ぶ下町名物・都電が走る
荒川区はもんじゃ焼き発祥の地という説があるらしく、「もんじゃのふるさと」ののぼりもあちこちに立つなど、街ぐるみでもんじゃを押していた。
都電・荒川遊園地前駅から徒歩3分の「こどもの家」
都電・荒川遊園地前駅から徒歩3分の「こどもの家」
訪れた「子どもの家」こと、きくやは、典型的な駄菓子ともんじゃのハイブリッド店舗。中をのぞくと、おばあちゃんと子どもたち、家族みんなでやっているようなアットホームなお店だった。
駄菓子ともんじゃのスペースが半分ずつくらい
駄菓子ともんじゃのスペースが半分ずつくらい
けっこうメニュー豊富。もんじゃ以外にやきそばもあった
けっこうメニュー豊富。もんじゃ以外にやきそばもあった
お店の半分が駄菓子屋、もう半分が食事スペースになっていて、鉄板のあるテーブル席が4卓。他のテーブルには、家族連れと、ビールを飲みながらもんじゃをつつく年配のご夫婦がいた。子ども相手というより、昔を懐かしんで訪れる大人のほうがメインなのかもしれない。
うれしいことにビールも飲めます
うれしいことにビールも飲めます

駄菓子を選ぼう

ではさっそく、もんじゃに入れる駄菓子をピックアップしよう。
チョイスしたのはおなじみの駄菓子たち。しめて190円。安い
チョイスしたのはおなじみの駄菓子たち。しめて190円。安い
御覧の通り、今回は幅広い世代におなじみのスタンダードな駄菓子をチョイスした。どれも、もんじゃに合いそうなものばかりで、食べる前からうまいことは想像がつく。申し訳ないが、今回は最初から勝ちの決まった勝負である。

ちなみに、「買った駄菓子をもんじゃに混ぜていいですか?」と店のお父さんに聞いたら、快くOKしてくれたばかりか、「入れるんならちょっとソースは少な目にした方がいいよ」とアドバイスしてくれた。たぶん、そういう食べ方をする客も多いんだろうな。
というわけで、まずはプレーンのもんじゃをオーダー。とりあえず1/3くらい焼く
というわけで、まずはプレーンのもんじゃをオーダー。とりあえず1/3くらい焼く
プレーンのもんじゃをベースに、色んな駄菓子でカスタマイズしていく。もんじゃはうどん粉を水で溶いたものにキャベツや紅ショウガを入れただけのシンプルなもの。それだけに駄菓子の存在感が際立ちそうだ。

まずは「ベビースター+もんじゃ」で小手調べ

最初はスタンダードにベビースターラーメンでいこう。普通にもんじゃ焼き屋にもあるメニューなので、これこそ食べる前からうまいことは確定しているのだが、駄菓子もんじゃは自分でカスタマイズすることに醍醐味がある。
上からぱらぱらっとベビースターを振りかけるだけ
上からぱらぱらっとベビースターを振りかけるだけ
もんじゃというのは、どの段階が完成なのかがよく分からない食べ物なのだが、個人的にはうっすらおこげができたくらいのタイミングでヘラでガリガリすくって食べるのが好きだ。
もんじゃ+ベビースターという約束されたうまさ
もんじゃ+ベビースターという約束されたうまさ
うすくおこげができたところで、くるっと巻いて
うすくおこげができたところで、くるっと巻いて
ソースをたらして食べる。幸せだ
ソースをたらして食べる。幸せだ

「餅太郎+もんじゃ」はどうだ

この調子でどんどん駄菓子を入れて行こう。次はこいつだ。
歯の裏にくっつきがち、でおなじみの「餅太郎」
歯の裏にくっつきがち、でおなじみの「餅太郎」
これをもんじゃにのせまして
これをもんじゃにのせまして
七味をふりかけて
七味をふりかけて
巻いて食べる。はい、うまいの確定
巻いて食べる。はい、うまいの確定
しゃきしゃきのキャベツと、もんじゃの汁気でしっとりした餅太郎、それに七味がピリリと効いて素敵な三重奏を奏でている。ベビースターを上回り、今のところ暫定一位のうまさ。
次は少年の永遠の友達「よっちゃんいか」
次は少年の永遠の友達「よっちゃんいか」
ひと袋をでーんと入れてしまいます
ひと袋をでーんと入れてしまいます
もんじゃと絡まり、一段と艶っぽくなったよっちゃん
もんじゃと絡まり、一段と艶っぽくなったよっちゃん
もんじゃ焼きの衣をまとうことで、よっちゃんいかの強烈な酸味がマイルドに抑えられている。あの男勝りのよっちゃんが、中学に入ってしっとり大人っぽくなった感じの味だ。
よっちゃんの姉妹品「タラタラしてんじゃね~よ」はどうだ
よっちゃんの姉妹品「タラタラしてんじゃね~よ」はどうだ
もんじゃとよく絡め
もんじゃとよく絡め
ほんのり焦げ目がつくまで焼く
ほんのり焦げ目がつくまで焼く
「タラタラしてんじゃね~よ」の刺激的な激辛味がもんじゃによっていい具合にまるめられ、上品なピリ辛味に仕上がっている。もんじゃというより、東南アジアの屋台料理でこんなのありそうだ。
ビールが超すすむ
ビールが超すすむ
ここでもんじゃのタネがなくなってしまったので、新たにカレーもんじゃを注文。ほんのりカレー風味のもんじゃに合う駄菓子はどれだろうか。
カレーもんじゃ400円
カレーもんじゃ400円
そんなカレーもんじゃに合わせるのはこいつ「ポテトフライ」
そんなカレーもんじゃに合わせるのはこいつ「ポテトフライ」
まずはふつうにカレーもんじゃを焼いて
まずはふつうにカレーもんじゃを焼いて
のせちゃう
のせちゃう
アツアツのカレーもんじゃをポテトフライにのせてみた。おいしそうなだけでなく、パーティー感もアップした。
さらに、はさんじゃう
さらに、はさんじゃう
もんじゃバーガーの完成である。ほおばるとサクサクのポテトフライにスパイシーなカレーもんじゃが最高に合う。これまでの駄菓子もんじゃの中でも、ワンランク上のおいしさだ。

こんなにうまいのに、材料費はたぶん15円くらいしかかかってないんじゃないだろうか。
これは、うますぎた
これは、うますぎた
テーブルに駄菓子を並べ、革命的なもんじゃを次々生み出していく僕。周囲の子どもたちも、うらやましそうに見つめている。少年たちよ、マネしたっていいんだぞ。
子どもたちの尊敬を集めつつ、闘いは続く。お次はビッグカツ
子どもたちの尊敬を集めつつ、闘いは続く。お次はビッグカツ
カレーもんじゃとカツの融合。つまりカツカレーもんじゃである。ホントのトンカツだと、おそらくカツの主張にもんじゃが負けてしまうと思われるが、うすいビッグカツならもんじゃとの相性もいいだろう。
カツカレーもんじゃ
カツカレーもんじゃ
カツにほんのり焦げ目がついたところで、もんじゃの上にのっける。
お、おいしそ~
お、おいしそ~
さらに七味をふってみた
さらに七味をふってみた

ぜんぶうまい

焦げ目のついた香ばしいカツにまとわりつくカレー風味。これも期待通りにうまい。ビールのお供にもいいが、ごはんの上に乗せて食べたい。
では、うまい棒だとどうなるのか
では、うまい棒だとどうなるのか
トリを飾るのは駄菓子界永遠のスター、うまい棒。なかでも一番好きなチーズ味をもんじゃに投入してみた。
あ~これはないかもな~と一瞬思ったが
あ~これはないかもな~と一瞬思ったが
ほどなくするとトロ~っと魅力的なビジュアルに
ほどなくするとトロ~っと魅力的なビジュアルに
しんなりとろけたうまい棒がもんじゃの汁気と相まってトロットロに。それをおこげでからめとって食べるともう最高。今年食べたものの中で一番うまい。
というわけで、駄菓子もんじゃナンバーワンは、うまい棒もんじゃに決定
というわけで、駄菓子もんじゃナンバーワンは、うまい棒もんじゃに決定

もんじゃの万能ぶりに驚嘆

ちなみに会計は、ビール大びんと、もんじゃ2杯、駄菓子7個で1390円。あれだけ食べても笑っちゃうくらい安い。これからは居酒屋じゃなくて、駄菓子屋に飲みに来ようと思う。

それにしても、どんな駄菓子ともケンカせず合わせられる、もんじゃの万能ぶりには恐れ入る。
ぼくもいつかそんな懐の深い男になりたい。
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