特集 2014年10月17日

「降水量○○ミリ」を確かめる

すごく地味な写真しかありません。
すごく地味な写真しかありません。
猛暑は例年「記録更新」され、豪雨は「経験したことのない大雨」と言われ、台風がやってくるたび「今年最大」。
出掛ける時は天気予報を信じて準備をするけれど、天気に関する話題について「それホント?」と思ってしまうことがたまにあります。

別に天気予報や気象庁を疑いたいわけではありませんが、言っていることが本当に正しいのかどうか、ふと確かめてみたくなったのです。
1980年北海道生まれ。
気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。


前の記事:行列の末に入ったパンケーキ屋は楽園だった


お天気の真偽を確かめたい

たとえば、本当に豪雨が「経験したことのない大雨」なのか、台風が「今年最大」なのか、本当に今日は全国的に晴れの一日だったのか、何の知識も観測機器も持たない一般市民 に調べる術はなく、その言葉を信じるしかありません。

ですが、「降水量200mm」なら自分にも調べられるのではないでしょうか。
というのも、先日の台風19号の際、天気予報で「関東甲信越の降水量はおよそ100mm、多いところで200mm」と言っていたんです。

「およそ100mm、多いところで200mm」って、ざっくりしすぎじゃないですか?2倍になってるじゃないですか。
もしかして適当言ってない?
ていうか20cmも降ったら半身浴くらいできちゃうんじゃない?
と思ったけど、それ程度では半身浴はできませんね。
と思ったけど、それ程度では半身浴はできませんね。
ということで、降水量を測ってみることにしました。

降水量観測器の設置

正しいやり方で測るべきだろうと考えて降水量の測り方を調べてみたところ、『降水を濾水器で受ける』『ふたつのますがシーソーのような構造になっている転倒ます型雨量計』といった単語を目にして、正しいやり方は早々に諦めました。

高さを測るので底の面積が一定である必要はあるでしょうが、多分水が溜まりさえすれば問題ないでしょう。
三角フラスコとじゃなければいけるんじゃないかと思うんですよ。
三角フラスコとじゃなければいけるんじゃないかと思うんですよ。
念のため、2カ所に観測器を設置することにしました。
よく撮影に使う公園に
よく撮影に使う公園に
ひとつめを設置(A)
ひとつめを設置(A)
たまに使う公園付近に
たまに使う公園付近に
ふたつめ設置(B)
ふたつめ設置(B)
ぱっと見でお分かりかと思いますが、観測器はバケツです。
観測地Aには10月13日午後9時頃、観測地Bには同日午後9時30分頃に設置しました。

雨が降り出す前にやっておけばよかったのですが、諸事情により雨脚が強まった頃に行ったためずぶ濡れになりました。

『バケツの水をひっくり返した』という表現がしっくりくるような雨でしたが、そのおかげで人目につかずに設置できたのは、不幸中の幸いでした。
不審者として通報されなくてよかったです。
不審者として通報されなくてよかったです。

観測結果

翌日、台風一過で気持ちのいい秋晴れとなった10月14日。

設置のおよそ12時間後、午前9時頃に降水量を測定しました。
見事な晴天。
見事な晴天。
まずは観測地Aから。

この公園では散歩や日光浴をする家族連れの方々をよく見かけるのですが、晴天に恵まれたこの日も散歩に来たらしきお母さんと女の子の先客がありました。
私が計測し始めると、親子連れが逃げていきました。
私が計測し始めると、親子連れが逃げていきました。
だいたい21mmあたり。
だいたい21mmあたり。
写真が分かりにくくて大変申し訳ないですが、水位はおよそ21mmほど。

計測器、というかバケツに細かいゴミや木の葉、枝などが浮いていて、最初に降水量の測り方を調べた時に出てきた『濾水器』の必要性を改めて感じました。

続いて計測地B。
こちらは人目に付かずに計測できました。
こちらは人目に付かずに計測できました。
だいたい13mmでした。
だいたい13mmでした。
計測地BはAよりも周りに木が多かったため、水面に浮かぶ木の葉・枝の存在感が半端なかったです。

A地点よりも水位が低いのが、もともとの雨量のせいか木の葉が水を吸ったせいか木々が傘代わりになったのか、いずれの原因によるものか断言できないので、こうした実験において同一の環境下で実験を行うことの大切さが分かりました。

あと、濾水器は確実に必要です。

降水量100mmとか200mmとか言っていたのに全然少ない!気象庁は嘘をついている! とまとめる前に調べたみたところ、私の住む神奈川県横浜北部の降水量は13日6時から14日6時までの24時間で40.5mmでした。
A地点の12時間21mmと、ほぼ一致しています。
結論:世間に向けて発表されることは、やっぱりだいたい正しかった。あと、こんな原始的な方法でも意外と正しい数値に近いものが出せる。

ところで、「バケツをひっくり返したような大雨」ってどんなの?

さきほど「バケツの水をひっくり返したような大雨」という言葉を使いましたが、実際にバケツの水をひっくり返したらどの程度になるんだろう?

そう思ったことありませんか?

そんな感じのチャレンジも一時期流行りましたが、それとは関係なく、好奇心でやってみました。
バケツの水を
バケツの水を
かぶります。
かぶります。
ずぶ濡れです。
ずぶ濡れです。
大雨の場合はシャワー状に分散されて水が降りかかるので冷たさや水の重さも均等になり、そこまでつらいとは思いませんでした。

実際にバケツの水をひっくり返した場合は冷たさと重さが一気に体にのしかかり、雨よりも体に数倍の負担がかかります。

水が普通の水だったからまだよかったのですが、これが氷水だったりしたらもうひとたまりもありません。あのチャレンジが自分に回ってこなくて本当によかったと思いました。
結論:バケツの水をひっくり返したような大雨は、バケツの水をひっくり返すよりは辛くない。
あと、バケツの水をかぶった翌日、何故か肩と太ももが筋肉痛になりました。

体力に自信の無い方は、あまりやらない方がよさそうです。お気を付け下さい。

天候に関する謎が少し解けました。

自分が気になっていた事象について、少し謎が解けて満足しました。
これからは、お天気ニュースを安心して信じることができます。

次に雨が降った時には、もうちょっとちゃんと降水量を測ってみたいと思います。
水をかぶっただけなのに、すごく疲れた顔をしてました。
水をかぶっただけなのに、すごく疲れた顔をしてました。
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