特集 2014年11月5日

一頭身のキャラクターが愛おしい

街で見つけた一頭身のキャラクター達
街で見つけた一頭身のキャラクター達
お店の看板やチラシに描かれた一頭身のキャラクター。

モチーフとなるモノに手足だけが付け加えられただけの単純なキャラクターなのだが、よ~く見るとキャラ設定なんかもあったりして、見過ごすのはもったいない。

今回、一頭身キャラクターを見つければ写真に収め続けた私の膨大なコレクションの中から一部を紹介していきたいと思う。
1982年生まれ。奈良県出身。元・牛乳配達員の放送作家。水道修理のマグネットを集めるのが趣味です。

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一頭身キャラクターの祖

まず、本題に入る前に一頭身キャラクターの事についてもう少し説明しておこう。

一頭身キャラクターとは顔から手足が生えていて、胴体がないキャラクターの事で、人に説明するときは「バレーのバボちゃんみたいなやつ」と言えば、簡単にわかってもらえる。

一頭身キャラクターの条件

・ 顔から直接手か足が生えている。
・ 胴体がない
おそらくこの分野の一番最初に世に出てきたのもバボちゃんで、Wikipediaによると、1977年に初登場したと書いてある。有名人で言えば中田英寿と同い年だ。

37年も前から活躍していて、今なお現役のバボちゃん。そろそろ「バボさん」と呼ばれてもおかしくないキャリアだ。

そして、みんな真似をした

バボちゃんはご存知の通り、単純なフォルムだ。
モチーフとなっているバレーボールから手足が生えているだけで、誰でも簡単にその絵を描くことができる。
うろ覚えバボちゃん。ブロックしている所です。
うろ覚えバボちゃん。ブロックしている所です。
だが、そこに大きな落とし穴があった。
単純なフォルムであるが故、後追いのキャラクターが大量生産されすぎてしまい、バボちゃんを越えるような人気キャラクターが出てきていないのだ。

「かわいいは作れる」
そんなキャッチコピーがあったけれど、「かわいい」が作られ過ぎて、見向きもされなくなったのである。

前フリが長くなってしまったが、そんな後追いのキャラクターをバボちゃんのパクリと一蹴せずに深く味わっていこうというのが今回の趣旨である。

一頭身キャラクターはアイデア命!

何にでも手足をつければ一頭身キャラクターにはなる。

単純に手足をつけただけのキャラクターも好きだけど、そこに1つ「〇〇を××に見立てる」といったアイデアが加わっていると、もっとポイントが上がるのだ。
ぶどうっぽいけどブルーベリーです。
ぶどうっぽいけどブルーベリーです。
わかりやすい所で言えば、こちら。
これはブルーベリーのキャラクターなのだが、ちゃんとブルーベリーのヘタをスカート?に見立てているのだ。

こういうちょっとしたアイデアを見つける事が出来るととても嬉しい。
どうですか!ゆでたまご先生!
どうですか!ゆでたまご先生!
こちらは手書きのキャラクター。
エレキギターのスイッチ部分が目になっていて、くぼみの部分が口になっている。非常に完成度の高いキャラクターでキン肉マンの超人にいてもおかしくないレベルだ。
口がURLになっている!
口がURLになっている!
こちらはテニスボールのキャラクター。ボールの回転を表現する線が髪の毛に見立てられているのだ。目に見えないものを想像して、体の一部にしてしまう。すごいアイデアだ。

これを見た時、かつて手塚治虫が無音の状態を「シーン」と表現したという逸話を思い出してしまったほどだ。
立体化はほぼ実現不可能!
立体化はほぼ実現不可能!
こちらは一応船のキャラクターなのだが、船を擬人化する事に必死になりすぎて「船」感がなくなってしまっている。だが、船の頂上部分を帽子にしたり、船底の色が変わった部分をズボンに見せたりと芸が細かくて、好感が持てる。

要は、キャラクターの完成度というより、デザインした
人が何をしようとしているかを感じ取る事に意味があるのだ。
パソコン教室のキャラ
パソコン教室のキャラ
別のパソコン教室のキャラ
別のパソコン教室のキャラ
これは全く別の所で写真に収めたパソコンのキャラクターなのだが、奇跡的に共通点がある。そう、両方ともマウスを左手に見立てているのだ。

片手がフックやサイコガンというのはあるが、現代は片手がマウスというのが主流になっているようだ。

躍動感を出したい場合は足の裏側を見せる

一頭身キャラクターは手足が短いという特徴があるのでポーズが限られている。そこで採用されているのが足の裏側を見せて躍動感を出すポーズだ。

(よく見れば、上のパソコンのキャラクターも足の裏側を見せている。)

写真を撮られる時は足の裏側を見せる。
これは足の短い人も使えるライフハックかもしれない。
通常時
通常時
躍動感!
躍動感!

掲示板を見たら一頭身キャラクターがいると思え

ここで一頭身キャラクターの見つけ方を紹介したいと思う。店の看板を見て回るのはもちろんだが、意外となかなか見つからないものだ。

そんな場合は公園の前とかにある掲示板を見ると、手っ取り早く見つける事が出来る。
こういう掲示板には絶対ひそんでいる。
こういう掲示板には絶対ひそんでいる。
やっぱりいた! 人間がゴミを拾う絵を描くのが面倒くさかっただけじゃないのか?という位、手抜きのキャラクターだが。
やっぱりいた! 人間がゴミを拾う絵を描くのが面倒くさかっただけじゃないのか?という位、手抜きのキャラクターだが。

常に立ちはだかる「オバケのQ太郎」問題

淡々と一頭身キャラクターを紹介してきたが、微妙な位置づけのキャラクターも結構いて、その度に頭を悩ませている。
こんなのとか。
こんなのとか。
こんなのとか。
こんなのとか。
これらは最初に決めた定義(顔から手足が生えていて、胴体がない)に当てはまるキャラクターではあるのだが、果たして一頭身と決めつけてよいのだろうか?このオバQのような2キャラクターは布?の下に胴体があるのでは?と思うのである。

だが、その布の下を確かめる術がない。

なので私は都合のいいように、彼らの口より下の部分は胴体ではなくアゴが異常に発育したんだと思うことにしている。

無理矢理感が際立っているキャラクター達

そして今までに出会った「無理矢理一頭身にしました!」というキャラクターを紹介していこうと思う。
漢字の“ハネ”の部分を桃で表現。
漢字の“ハネ”の部分を桃で表現。
老人ホームの看板に描かれていた漢字のキャラクター。
「寿」という漢字をモチーフにキャラクターを作ろう、という無謀なチャレンジ精神に頭が下がる。

顔を線と線が交わる部分にちょこんと配置するという手法が許されるのなら、ほとんどの漢字をキャラクター化する事が出来るだろう。そういう意味では一頭身キャラクターにさらなる可能性を感じさせる一作だ。
「パンツ覗き込んでもバレねーぜ!」 と言ってるようにも見える。
「パンツ覗き込んでもバレねーぜ!」 と言ってるようにも見える。
エスカレーターの一頭身キャラクター。
さすがにエスカレーターに手を生やすのは無理があるだろう。

小さい字で「サンダルが挟まれる事故が発生しています」と書いてあるけど、サンダルより先にその親指を立てた右手が挟まれるんじゃないのか!?
これ、どうなってんの!?
これ、どうなってんの!?
レストランの看板に描かれたキャラクター。
もはや一頭身と言っていいのかすらわからない。

口でフォークを咥えているようにも見えるし、手から直接足が生えているようにも見える。
どっちにしろ、どうかしてるデザインだ。

でも、冷静に考えたら顔から手足が生えているだけでも十分どうかしているのだ。

だから、この上の写真のような手から足が生えたようなキャラクターも掲示板のポスターに描かれる日が来ないとも言い切れないのである。


一頭身のキャラクターを探しているときに見つけたこの看板。アルファベットの「K」を顔に見立てるのではなく体に見立てているのだ。

作画が崩壊しているとか、そんなレベルでは語れない圧倒的なインパクトを持ったこのキャラクターを見たとき、何でもキャラクター化してしまう日本人の執念を感じたのである。
何と言う名前のフォルダに入れるか未だ悩み中である。
何と言う名前のフォルダに入れるか未だ悩み中である。
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