特集 2014年11月14日

暗視スコープを使って夜の山を登る

暗視スコープの映像です!
暗視スコープの映像です!
夜は暗い。当たり前のことだけれど、山の中にある村などに行けば、その暗さを嫌というくらい感じることができる。民家も街灯も少なく、本当に真っ暗なのだ。

そこで「暗視スコープ」である。真っ暗な中でも、暗視スコープを使えば、周りの様子を知ることができる。これを使い夜の山を登ってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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暗視スコープとは

暗視スコープというものが存在する。夜間や暗所でも視界を確保できる装置のことだ。一般に暗所で視界を確保するには松明や懐中電灯を使うが、暗視スコープでも、暗闇を見渡すことができる。
暗いところと言えば懐中電灯!
暗いところと言えば懐中電灯!
松明や懐中電灯と暗視スコープの大きな違いは、第三者に見えるような光を発するか否かだ。暗視スコープは覗く者だけが、視界を手に入れることができる。誰にも気づかれずに、暗闇を歩けるのだ。
暗視スコープです
暗視スコープです
ということで、暗視スコープを買った。本格的なものは軽く万はするので、おもちゃの暗視スコープを買った。しかし、8000円とおもちゃとしては高価だ。懐中電灯ならば100均でも買えるが、暗視スコープは8000円。これが大人の買い物だと思う。
カッコいい気がする
カッコいい気がする

暗闇生活

夜に電気を消し、家の中で暗視スコープを覗いてみた。するとどうだろう、おもちゃの暗視スコープとはいえ、驚くほどに視界を確保できることができた。見えるよ、見えるよ、父さん、と言いそうだったが、私は一人暮らしだ。
本当は暗いが、
本当は暗いが、
暗視スコープなら見える!
暗視スコープなら見える!
暗くて何も見えなかったけれど、暗視スコープを覗けば、玄関に干された洗濯物が見えた。靴下の柄までくっきりと見えている。生活感溢れる感じなので、別に見たくはないが、見えてしまうのだ。
明るいとこんな感じ
明るいとこんな感じ
ちなみにこの暗視スコープは両方の目で見るもので、撮影機能もないので、片方の覗く穴にカメラをくっつけて撮影している。そのため暗視スコープの写真は少し不鮮明だ。ただ本当はくっきり見えている。生活感溢れる映像がくっきりなのだ。
こうやって使うもので、
こうやって使うもので、
無理矢理撮影しています
無理矢理撮影しています

暗闇食事

夕食をとる時は一般的には照明をつける。みな明るいのがいいのだ。間接が過ぎる間接照明のレストランみたいなものもあるが、それだって少しは明るい。食べるものを見たい、と多くの人が思っているのだろう。
そこで暗くしてみました
そこで暗くしてみました
暗視スコープなら見える!
暗視スコープなら見える!
普通のカップ麺より安い「ホームラン軒」を夕食にした日、照明をつけないでみた。ホームラン軒は好きだけれど、見なくてもいい気がしたのだ。しかし、暗視スコープならホームラン軒が見えた。8000円の暗視スコープで、85円のホームラン軒がくっきりだ。
豪華に魚肉ソーセージを入れてみました!
豪華に魚肉ソーセージを入れてみました!

都会は明るい

家の中で暗視スコープを使ってみたが、彼のポテンシャルはもっと広い場所で発揮されるはずだ。そう思い、夜の街に繰り出してみたが、東京の夜は明るかった。眠らない街なのだ。
東京の夜は明るい!
東京の夜は明るい!
暗視スコープが逆に見にくい!
暗視スコープが逆に見にくい!
明るいところで暗視スコープを見ても、そもそも裸眼で十分に見渡せているので、楽しくない。この暗視スコープは視野が狭くなるので、逆に不便だ。暗闇が必要だ。ということで、山の中にある村に向かった。
暗い!
暗い!
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小菅村に来ました

本当の暗闇を求めて山梨県の小菅村にやってきた。この村には最近仕事でよく行くのだけれど、本当に暗くて驚く。そして、クマなどの野生動物もたくさんいるので、夜の村はとにかく怖い。
暗すぎる
暗すぎる
暗視スコープだとこんな感じ
暗視スコープだとこんな感じ
照明をつけるとよく見える
照明をつけるとよく見える
この山の中にある村の山の中にある神社を登ってみようと思う。上までは結構な距離がある。本来は近づきたくない神社だ。だって暗いのだ。明かりがないのだ。暗視スコープだけが頼りだ。東京の夜とはまるで違う。
暗視ゴーグルだけが頼りだ
暗視ゴーグルだけが頼りだ
狙ったわけではないが、月明かりもない日だったので、辺りは暗く撮影用の照明を消すと何も見えない。暗視スコープの少し緑っぽい映像だけが全てだ。安い暗視スコープを買ったので、視野が狭いので、見えていても少し怖い。
ずっと同じような景色!
ずっと同じような景色!

感覚が鋭くなる

視野は確保されても、足下は見えなかったりするので、全体的に感覚が鋭くなる。枝を踏む音、何かが触れる感覚などが敏感になりすぎて、進むスピードが遅い。本格的な山を登ったら朝が来るレベルだ。
こんなに暗いから歩くスピードが遅くなるのは当たり前!
こんなに暗いから歩くスピードが遅くなるのは当たり前!
暗視スコープで見えてはいるが怖い!
暗視スコープで見えてはいるが怖い!
視野は狭いけれど、暗視スコープで登るのは楽しい。時代はLEDだ。そんな時代に真っ暗な山を登る。古い時代にタイムスリップした現代人みたいな気がしてくる。問題は野生動物よ、どうか出ないでくれ、という点。それだけは本当に怖い。
こんな感じで、ゆっくりと登っています!
こんな感じで、ゆっくりと登っています!

自分を見る

暗視スコープを使えば、道だけではなく、歩いてる自分も分かってしまう。暗闇に身を隠しているつもりでも、バレてしまうのだ。もっとも暗闇に身を隠す必要はないけれど、向こうから見えているのが恥ずかしい。
歩いている私
歩いている私
明るいとこんな感じ
明るいとこんな感じ
たまに撮影用に照明をつけるので、暗闇に目が慣れることはなく、暗視スコープだけを頼りに山頂までを歩いた。山を登るのは大変と思っていたが、暗視スコープを使うとアトラクションのようで楽しい。
もうすぐ山頂
もうすぐ山頂
たいした山ではないのだけれど、暗視スコープを使うことで、たいした山に感じた。山頂での達成感は、富士山級だ。富士山に登ったことはないのだけれど、そんな気がする。これが大人の遊びだと思う。大人の夜遊び。そんなことを暗闇で感じた。
山頂で手を合わせた
山頂で手を合わせた

もっと本格的な山を

本当はもっと本格的な山に登ろうと思っていたのだけれど、基本的に話さないし、懐中電灯のような光も発しないので、クマと出会ったらどうしようと思い、手軽な山に登った。暗視スコープで見えたところで、クマと出会ったら手の打ちようがない。次は体を鍛えようと思う。
「ホームラン軒」の文字も確認できる
「ホームラン軒」の文字も確認できる
撮影協力:多摩川源流大学
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