特集 2014年11月14日

土器型クッキーで歴史をねつ造したい

土器から分かる人類の風習、『壁ドン』。
土器から分かる人類の風習、『壁ドン』。
先日、土器型クッキーをいただく機会があったのですが、何というか、それはもう土器でした。いや、クッキーだけど。

考古学者の方が『クッキーを土器っぽく見せる方法』を考えて作りだしたそうですが、その技術を利用すれば、ありえないようなモチーフでも土器のように見せることができるのではないでしょうか。
新たな歴史を作る気持ちで、土器型クッキーを作ってみました。
1980年北海道生まれ。
気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。


前の記事:「いろはすみかん」は香りと甘さと酸味の絶妙なバランスでできている


土器型クッキーとの出会い

土器型クッキー自体はTwitterで話題になっていたり、デイリーポータルZとも縁のあるWebマガジン『コロカル』で紹介されていたりして、すでにご存じの方も多いかもしれません。
左が本物の土器、右がクッキー。
左が本物の土器、右がクッキー。
横浜市歴史博物館で行われた『土器を食べちゃえ!』というイベントで配布されていたのですが、素人目には本物と区別がつかないくらいでした。

本当に食べても大丈夫?と不安になるようなリアルさでしたが、食べたら甘くておいしかったです。
美味しいクッキーでした。
美味しいクッキーでした。
レシピも配布されていたのでもらってみました。
レシピと参考資料
レシピと参考資料
これらを参考に、私も土器クッキーを作ってみようと試みました。

先に言っておきますと、作り始めるまですっかり忘れていましたが私は不器用な人間でして、調理は切る・焼く・煮るくらいしかできないし、お菓子なんて混ぜて焼くだけのプリンしか作れません。
土器の表面に文様を付けたり形を整えたりと、出来ないなりに頑張ったつもりです。

以上を踏まえた上でご覧ください。
なんていうか、微妙。
なんていうか、微妙。
あからさまにダメってわけでもないけど、土器そっくり!っていうほどでもない。
皆さんが感じたことを端的に表すなら、おそらく「微妙」の一言に尽きるのではないでしょうか。私もそう思います。

なので、ちょっとロケーションを変えてみます。

背景に頼るとそれっぽい

普通、一般家庭には土器のかけらなんて無いと思います。
家で見ると微妙に感じるのは、きっとそのせいです。
土器にふさわしい場所で見れば、きっと大丈夫なはず。
ということで、手頃な遺跡公園にやってきました。
ということで、手頃な遺跡公園にやってきました。
何かを探す。
何かを探す。
私が発掘しました。
私が発掘しました。
背景のおかげで、何だかいわくのありそうな土器片のように見えてきませんか。
ひどいフォルムの土器クッキーたち
ひどいフォルムの土器クッキーたち
何となくそれっぽい感じがする。
何となくそれっぽい感じがする。
何か意味ありげ。
何か意味ありげ。
社会科図説の縄文期のページを参考にした、草創期の土偶と儀式に使っていた土面です。
ここは弥生時代の古墳を再現した遺跡公園ですが、そんな年代の違いなど地球46億年の歴史の前では誤差みたいなものです。

地元の小学生やお子さん連れの方などがよく散歩したり遊んだりしている公園なのですが、私が撮影しはじめたら、遊んでいた少女たちがそそくさと立ち去っていきました。
不審者だと思われたのかもしれません。

土器から考察する、弥生時代のねつ造の歴史

何もかもがひどい。
何もかもがひどい。
これらの土器から、当時の文化・風習について考えてみよう。

まず、左上にあるチーズがのったハンバーグみたいなフォルムのこれ。
ハンバーグではない。
ハンバーグではない。
これは人類最古のスマートフォンを模したものと考えられており、およそ紀元前100年頃のものである。おそらく、なかなか手に入らないスマートフォンの代わりとして、祭儀などの場で使われていたものと思われる。
現代のスマートフォンと、古代のスマートフォンのモック。
現代のスマートフォンと、古代のスマートフォンのモック。
裏面がちょっと違いますね。
裏面がちょっと違いますね。
また、人をかたどったと思われるものがあり、それらを組み合わせると興味深いことが見えてくる。
ブレましたが、これらを組み合わせていくと
ブレましたが、これらを組み合わせていくと
こういうペアに。
こういうペアに。
ここから分かるのは、当時の求婚時における風習である。
求婚時の習わし。
求婚時の習わし。
女子高生の選ぶ今年流行したものランキングの上位らしい『壁ドン』、その起源については諸説あるようだが、実は弥生時代にまでさかのぼる。
「求刑は無期懲役だ」(って日経トレンディに書いてあった)
「求刑は無期懲役だ」(って日経トレンディに書いてあった)
紀元前200年頃から始まり2世紀半ばまでは行われていたが、古墳時代には見られない。ヤマト王権の成立により淘汰された風習のひとつである。

また、別の史料から、当時の風習として大変興味深いことが分かっている。
発掘の際に割れてしまったが、復元するとこのようになる。
発掘の際に割れてしまったが、復元するとこのようになる。
4つの柱で区切られた空間に二人がもみ合う構図。
4つの柱で区切られた空間に二人がもみ合う構図。
これは祭儀の際に行われていたと思われる催しで、現在の奉納相撲に近い存在である。

ただ、空間の区切られかたや闘っているふたりの体勢から、相撲よりはプロレスに近いルールであったようだ。
柱にそれぞれ3つずつ、キズのようなものがある。
柱にそれぞれ3つずつ、キズのようなものがある。
このキズは空間を区切る紐のようなものが通っていたことを表すのではないかと考えられ、その点もプロレスに近い。
詳細なルールがどうだったかは、未だ不明な点が多い。


という妄想をしたいがために、土器型クッキーを焼きました。
大満足です。
そして大量のクッキーが残った。
そして大量のクッキーが残った。

ほぼ妄想でした

土器の忠実な再現を追求するのは手先の器用な方々にお任せして、私は思う存分妄想させていただきました。
土器に見えるかどうかはさておき、ねつ造の歴史を考えるのがとても楽しかったです。
皆さんも家族のだんらんやお友達とのティータイムの際、土器型クッキーで妄想話を膨らませてはいかがでしょうか。

プロレス妄想を語ったところ、妹に「家族か恋人を降りしきる火山灰から守ろうとするポンペイ人かと思った」と言われました。人の数だけねつ造歴史は生まれますね。

クッキーの詳細なレシピが知りたい方は、作者のヤミラさんがcookpadでレシピを公開されていますので、そちらをご覧ください。
土器型クッキー「Dokkieドッキー」レシピ
竹炭パウダーが残ってるから、また作ろう。
竹炭パウダーが残ってるから、また作ろう。
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