特集 2014年11月18日

ご当地キャラと抱擁…いきなり天国

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人はいろんなものに救われる。
友人、恋人。面白いテレビ。小説、ゲーム、アイドル、ネット。
その中で、いま、たくさんの人を救っているのは、ご当地キャラだ。
「カワイイは正義!」というフレーズは、女性の内面を無視した大変アレな言葉だと個人的には思うが、ご当地キャラに至っては「カワイイは正義!」は、そのまんまの意味だと思う。基本的にはディズニーやサンリオを愛でる気持ちと、同じである。
ご当地キャラの現場の、全員が笑顔の、とんでもなくピースフルな感じ……。
4年前「注目ゆるキャラに、直撃インタビュー!」させて頂いた「うなりくん」(成田の観光キャラ、ゆるキャラグランプリ、本年度の千葉キャラでは1位獲得)仕切りの成田市イベントがあるというので、久々に行ってみた。
現場は、どう変わっているのか?
埼玉生まれ。電子書籍『初恋と座間のヒマワリ』(リイド社刊)発売中。最近、ほぼ毎日ブログを更新していますので、良かったら読んでください。

前の記事:埼玉・鴻巣で川幅うどんを食べない紀行

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ご当地キャラ 成田詣というイベントなんだが、
ご当地キャラ 成田詣というイベントなんだが、
基本的には、通常のお祭りのオプションとして、ご当地キャラを集めた、という形態である。
基本的には、通常のお祭りのオプションとして、ご当地キャラを集めた、という形態である。
ほんとに。ほんとに! 動員があった。
その日は47キャラ出演するということもあって、首都圏のゆるキャラファンが、集っていた。
いや、ぶっちゃけ成田って遠いですよ。飛行機乗る人なら分かると思いますが。
しかしそんなことは関係ない。でも行くんだよ、成田へ。

やはり女の子が多い。
しかも、自作の「うなりくん帽子」とか、自作の「ウチワ」とかを持っている女性が多い。なるほど、行きどころの無い愛が「手づくりグッズ」になってしまっている。
基本、アイドルに対する態度と似通っている。「ハリボテ」という発想は、そこにはない。
可愛い生き物に会う、その思いに、皆が賭けていた。
ゆるキャライベントは、それぞれキャラが、10-15分で地元アピールをする。曲を持っているキャラは強い、それだけで時間がもつから。
ゆるキャライベントは、それぞれキャラが、10-15分で地元アピールをする。曲を持っているキャラは強い、それだけで時間がもつから。
うなりくんステージでは、うなりくん推しのアイドル、ひよももさんが出演していた(マネージャーさんに許諾頂いたので写真掲載いたします!)。
ひよももさんほか、ゆるキャラのアテンド(ゆるキャラは構造上、単体で動くのは難しいので、お付きの人が必要)は、美人さんが多い。っていうか、美人アテンド増えた。激増。
しかも「ミスなんとか」レベルの美人さんが! スキルパスになるのかもしれない。実際、某キャラの元アテンドさんは、タレントとして活動している。

しかしゆるキャラファンは、ゆるキャラのみを撮るのだ。お姉さんは、オマケ。おっさんよりは美女がいいかな、程度のノリである。もったいない!
ひよももさんとのステージ。ずうずうしく前列に行ったので写真だと分かりにくいけど、ステージ前は、とんでもなく大人数が来ています。
ひよももさんとのステージ。ずうずうしく前列に行ったので写真だと分かりにくいけど、ステージ前は、とんでもなく大人数が来ています。
ステージ裏の民家のおっちゃんらが、不思議そうに見ていた。
ステージ裏の民家のおっちゃんらが、不思議そうに見ていた。
しかしこのイベント、人気キャラと寄り寄りになれるのが嬉しい。
しかしこのイベント、人気キャラと寄り寄りになれるのが嬉しい。
チェキ!? …………買う!
チェキ!? …………買う!
そして成田山の参道名物、うなぎも食うぜ。
そして成田山の参道名物、うなぎも食うぜ。
参道はうなりだらけ。灰皿も……。
参道はうなりだらけ。灰皿も……。
グッズも……。
グッズも……。
うなぎ屋も……。
うなぎ屋も……。
消防も……。
消防も……。
どの場で写真撮っても、椎名林檎「無罪モラトリアム」のジャケット写真にしかならない。
どの場で写真撮っても、椎名林檎「無罪モラトリアム」のジャケット写真にしかならない。
成田の参道(坂道)を、パレードが始まった。
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うなりさんが、パレードの先頭を歩いて来る。
うなりさんが、パレードの先頭を歩いて来る。
う、うなりさん……うなりさん! と思っていたら、私のところにドーンと来て、ハグしてくれた!
ハ、ハグ!? いわゆるファンサ? 混乱! 歓喜! パニック!
(ファンサ=ファンサービス。自分のファンだと分かっている人に、手を振ったりする行為。そのためにアイドルファンはウチワとか作る。)

気絶しそうになる。4年前、取材した時のことを覚えてくれてたのかしらん。それとも気まぐれ……?
そんなことはどうでもいい。あの可愛い物体が私に、私に、私だけに向かって「どーん」と体当たりしてくれたことが重要なんである。
ジョンヒョン(私の好きな韓流アイドル)があんなことしてくれたら泡吹く。いや、ジョンヒョンと同じくらい嬉しい。

……そう、ゆるキャラとは「付き合いたい」とは思わない存在、愛でたいだけの関係性なのだ。要するに「萌え」?
みんな、アニメキャラとか、工場とかダムに萌えるでしょ? アレに近い。近づきたいけど、それ以上、何か起こるわけでもない。しかも人間と違って、人格がないから、いくらでも好き勝手に愛情が注げる。相手も傷つかない。
かわいこちゃんが、どんどんくるぜ。
私の推しキャラ、ぴーにゃっつ。こいつ、クルぜ。
私の推しキャラ、ぴーにゃっつ。こいつ、クルぜ。
私の推しキャラ、山形のキャラ、ペロリン。こいつ逆立ちするんだぜ? 信じられないでしょう?
私の推しキャラ、山形のキャラ、ペロリン。こいつ逆立ちするんだぜ? 信じられないでしょう?
ゴールは成田の名所、新勝寺だ。
新勝寺、行ったことある人は分かると思いますが、とんでもない長い階段の上にあります。
そこをサックサクとのぼっていく、うなりくん。
慣れてるのかな……。
慣れてるのかな……。
他キャラが一体も登れてないのに、余裕のうなりくん。
他キャラが一体も登れてないのに、余裕のうなりくん。
歩けるコは、のぼってきますよ。
歩けるコは、のぼってきますよ。
無理なコは、エレベーターで。
無理なコは、エレベーターで。
すばらしい菊展やってたのに、だれひとり、見ない。
すばらしい菊展やってたのに、だれひとり、見ない。
ゆるキャラにロックオン。
ゆるキャラにロックオン。
撮影待ち。
撮影待ち。
わー! キャラが出て来た!
わー! キャラが出て来た!
ぬおおおおおおおおおおお!
ぬおおおおおおおおおおお!
みんな、新勝寺に参拝中。
みんな、新勝寺に参拝中。
撮影中。
撮影中。
「ハイ、撮影タイムに入りマース。右方向に。5、4、3、2、1、ハーイ。今度は正面で。5、4、3、2、1、ハーイ。左で。5、4、3、2、1、ハーイ。」

コスプレイヤーの撮影、もしくは芸能人の記者会見と同じ仕切りであった。
ただのハリボテ。ハリボテなんだけど、彼らは半分、芸能人なんである。

人生初のツーショットチェキ。
人生初のツーショットチェキ。

今回同行してくれた、ゆるキャラ友達と話す。
「しかしアレだね。かわいさと、ゆるキャラグランプリ順位は比例しないね。」
「それはまあ、いろんな事情があるのでしょう。予算投入とか。」
「しかし、ゆるキャラグランプリって名古屋のセントレアに誘致されたけど、ゆるキャラさみっとはそれとは別に、埼玉でやるんだよね。」
「ゆるキャラ界のコミケみたいになってるよね。」
「俺ら、行ったことないよね。」
「渋滞とか混み過ぎてヤバイってきくと、50キャラ出演くらいの快適なイベントがいいなって思ってしまうんだよねえ……。」
「でも今年、埼玉のは、世界キャラクターさみっとに改名して、チェブラーシカとかも出るらしいよ。」
「チェブラーシカ!? ゆるくないじゃん、ガチキャラじゃん!」
「ガチだよねえ……。」
「カワイイって何だろうねえ。」
「例えば、猫はかわいいよ。」
「猫はかわいいけど、猫そっくりの着ぐるみは、さほど可愛くないでしょ。」
「だよねえ。」
「着ぐるみ、着てみたいよねえ。」
「私はそうは思わないけど。」
「ねえ、中から見える人々が、全員笑顔っていう状況になるんだよ……?」
「人生観は変わるかもね。そりゃ知らない人にもハグするわ。」

ゆるキャラになりたい。
努力なく、愛されたい。
限りなくファンサして、人の笑顔が欲しい。
んー。変?
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