特集 2014年11月25日

生ハムメロンパンは意外といけた

サンドイッチの新機軸あらわる
サンドイッチの新機軸あらわる
「焼きたてメロンパンブーム」があったのはもう7、8年前だろうか。
現在ではもうかなり少なくなったが、当時はワゴン車の出張店舗も含めてあちこちで焼きたてメロンパンの店を見かけたものだ。

メロンパン、美味しいのに。なぜここまで見かけなくなってしまったのか。
もしかして、みんな飽きてしまったのか。やはり単に甘いだけのパンでは飽きられるのか。

ならば、バリエーションを増やせばメロンパンの復権はあるかもしれない。考えてみよう。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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メロンパンでサンドイッチを作る

パンでバリエーションを増やすとなれば、やはりサンドイッチだろう。
中の具を変えるだけで、いくらでも新しいメロンパンが生まれるはずだ。
普通に食べても安定して美味いよね、メロンパン。
普通に食べても安定して美味いよね、メロンパン。
焼きたてのメロンパンにアイスクリームを挟んだものがいま金沢で人気らしく「それは美味いだろう」と思う。
だが、ここはあえて甘い物+甘い物の必勝ルートを避け、しょっぱい系を挟みこんでいきたい。

例えば、サンドイッチの定番、おなじみ卵サンドのあれはどうだろう。
サンドイッチ買うときは絶対にはずさない卵サンド、をメロンパンで。
サンドイッチ買うときは絶対にはずさない卵サンド、をメロンパンで。
メロンパンを真ん中からスライスして、間にゆで卵をつぶしてマヨネーズで和えた、あのいつもの美味いやつをたっぷり塗る。これだけで卵メロンパンサンドの完成である。
卵メロンパンサンド、見た目はかなりイケてそうな気がしないか。
卵メロンパンサンド、見た目はかなりイケてそうな気がしないか。
チョコレートがけポテトチップやハチミツさきいかなど、ニューウェーブな甘じょっぱい系の味もおやつ業界でかなり定着してきた感がある。
うまくいけば、メロンパンサンドイッチもそこに潜り込めるのではないか。
…美味い、ことはないけど、まずいと言うほどでもないな。
…美味い、ことはないけど、まずいと言うほどでもないな。
味に関しては、僕の表情を見て察してもらうしかない。
そう、ふつうだ。

びっくりするほど美味いわけではない。しかし、はっきり否定するほどがっかりなわけでもない。ふつうより、ちょっといいかな、ぐらい。
卵の味つけが少し薄かったせいか、味のメインはほぼメロンパン。で、遠くで卵とマヨネーズの味がふわふわ漂ってる。

この時点で正直に言うと、今回のトライアルは全体を通してこんな感じだった。
全部、美味くもないけどまずくもない。

総菜パンの新機軸、焼きそばメロンパン

ということで、今回は美味しさの評価を「ふつう」の部分に大きく幅を持たせたゲージで評価してみよう。
「ちょっといいけど普通」と「ちょっとがっかりだけど普通」の間でゆれうごく評価を読み取っていただきたい。
メロンパンをタテにすっぱりカットして、焼きそばをイン。
メロンパンをタテにすっぱりカットして、焼きそばをイン。
次は、ザ・お総菜パンの誉れも高き焼きそばパンをメロンパンで作ってみよう。
これまた特に工夫もなく、カットしたメロンパンにどかどかと焼きそばを詰め込むだけである。
そんなに悪くない見た目なんだけど、どうだろう。
そんなに悪くない見た目なんだけど、どうだろう。
焼きそばとメロンパン、かなりショッキングな見た目になるのではないかと想像していたが、実際に見ると意外とすんなり受け入れられる。

肝心の味の方はどうだろうか。
…うーん。表現しづらいけど、ふつうだな。
…うーん。表現しづらいけど、ふつうだな。
ふつうだ。
相対的に見ると卵メロンパンサンドよりがっかり味ということになるが、あくまでも僅差だ。(ふつう部分を拡大表示しているので差が大きく見えてるだけ)

焼きそばの食感にメロンパンのザクザクな歯触りが面白いが、味はほぼメロンパン。
ここにきてようやく、メロンパンの味の強さに気付かされる。
焼きそばのソース味がかき消されるぐらいに甘いのだ、メロンパン。
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意外な伏兵、生ハムメロンパン

そんな強烈なメロンパン味に対抗できる食材があった。
生ハムである。
小洒落たカフェめし感あるぞ、生ハムメロンパン。
小洒落たカフェめし感あるぞ、生ハムメロンパン。
作ったときは「メロンパンに生ハム入れたらお手軽生ハムメロンになるんじゃないか。ハハハ、ウケルー」ぐらいの軽い気持ちだったのだが、これがなんと、悪くない。
名前だけでオチにしようと思っていたのに、意外な伏兵である。
あと一息で「うまい」と言えそう!ふつうだけど!
あと一息で「うまい」と言えそう!ふつうだけど!
そのまま食べるにはちょっと塩辛い生ハムだが、その塩気がようやくメロンパンの甘みに拮抗しうるところまで来た。

まだ「ふつう」の域は抜けないが、でももう少し改良を続ければ甘じょっぱいフードとして立派に独り立ちできそうな予感がする。
彩りに添えたレタスもわりと爽やかでいい。

勢いに乗ってカツメロンパンサンドにも挑戦

ようやくひとつメロンパンサンドの可能性が見えたところで、大きなチャレンジもしてみよう。
キングオブサンドイッチ、カツサンドである。
ソースをかけたヒレカツに、レタス。メロンパンにはマスタードを塗ってみた。
ソースをかけたヒレカツに、レタス。メロンパンにはマスタードを塗ってみた。
味を強くする、という方向性は見えたので、カツにはたっぷりめにソースをかけ、さらにメロンパン側にはマスタードを塗るという甘味対策を施した。
これならいけるのではないか。
「モスバーガーの新製品です」と言ったら信じる人もいるんじゃないか。
「モスバーガーの新製品です」と言ったら信じる人もいるんじゃないか。
見た目もかなりいいぞ。
メロンパンのふっくら加減がプラスに作用している。
期待度が高かっただけに表情が曇っているが、味はふつうです。
期待度が高かっただけに表情が曇っているが、味はふつうです。
ふつうだった。
あれだけソースをかけたのに。マスタードも塗ったのに。味の大元はメロンパンだったのだ。
どれだけ強いんだ、メロンパン。

とはいえ肉のボリュームがある分、焼きそばよりははるかに甘じょっぱさを感じられる。
もっとソースをどぶどぶにかけておけば、いけたのかもしれない。

もう一つのキング、メロンパンホットドッグ

カツサンドにチャレンジしたからには、もう一つのサンド界の雄、ホットドッグにも挑戦せねばなるまい。

味を濃くするため、マスタードを塗ったパンにソーセージ、さらにとけるチーズを乗せてトースターで焼き、ケチャップをオン。
ここまでやればメロンパンに勝てるのではないか。
これまでのフォトジェニックぶりが嘘のような、なんだか辛いビジュアル。
これまでのフォトジェニックぶりが嘘のような、なんだか辛いビジュアル。
あっ、これはメロンパンに勝ったか!
あっ、これはメロンパンに勝ったか!
ひとくち食べた瞬間、ソーセージとチーズの味がメロンパンの甘みにまじって程良い甘じょっぱ味に。

これはやった。ついに「うまい」と言えるぞ!
…いや、勝ってなかった。
…いや、勝ってなかった。
いや、ふつうでした。
最初の一口ははみ出たソーセージが大きかったためにメロンパンとの比率が整っていたのだ。
二口目以降はメロンパンの圧勝。もうほぼメロンパン。

なんでこんなに強いんだ、メロンパン。

あと、中途半端にトースターで加熱したため、染み出してきた糖分で表面がしっとりしてしまうという問題も発生した。
持ち味のザクザク感が損なわれるとすごく残念な気分になるので、メロンパンはあまり焼かない方がいいと思う。

とにかく、メロンパンの予想外の強さにしてやられた、という結果である。
そのまま食べると気付きにくいが、ほぼ全てのしょっぱい物件に圧勝する甘さ。
中身はふわふわであるにもかかわらず約470kcal、というハイカロリーぶりは伊達ではないのだ。

こうなればいっそ、塩だけたっぷり振りかけて勝負するしかないかもしれない。
塩メロンパン。いずれ挑戦するつもりだ。
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