ひらめきの月曜日 2014年12月8日
 

技術力の低い人限定ロボコンMini(通称:ミニヘボコン)レポート

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ロボットなんて作れない人だけが参加できるロボット相撲大会「ヘボコン」。7月に開催した第1回大会が、なんと文化庁のメディア芸術祭、審査委員会推薦作品に選ばれました。ワー!ワー!

その後もCNET米GIZMODOをはじめ各国のメディアにこぞって取り上げられるなど快進撃を続けておりますが、そんなさなかの11月、早くも次の大会を開催しました。それがこの、ミニヘボコン。

今回は8体のミニトーナメントですが、2日間の日程で6大会を一挙開催。出場者はのべ47組。

そんな濃密にヘボかった2日間の様子を、ここにレポートいたします。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。

前の記事:「Make: vs DPZメディア対抗ヘボコン対決!」
人気記事:「ゆるキャラに支配される熊本と脳」

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ローテクのオアシス

今回の会場は、DIYの祭典「Maker Faire Tokyo」の一角。イベントの雰囲気は昨年のレポートを見るとわかっていただけるのではと思いますが、自作ガジェットあり、ロボあり、電子工作ありのハイテクノロジー空間である。
そこに突如現れる工作スペース
そこに突如現れる工作スペース
棚には電気関係なさそうな文具
棚には電気関係なさそうな文具
箱に100均の雑貨がびっしり
箱に100均の雑貨がびっしり
そして手前のテーブルには土俵(という名目の板)
そして手前のテーブルには土俵(という名目の板)
ここが今回の、戦場なのである。まだロボットが一体も出てきてないのにすでににじみ出るヘボさ。

Maker Faireという見渡す限りのハイテク砂漠に湧き出した、不器用のオアシス。それがヘボコンなのである。

現場でのカスタマイズが勝敗を分ける

今回のミニヘボコンの特徴は、その場でロボットの改造が可能なことだ。さきほどのラックに積まれているのはそのための資材である。
試合前のこの時間が最も真剣な表情(試合中はなんとなくみんなヘラヘラしてしまうため)
試合前のこの時間が最も真剣な表情(試合中はなんとなくみんなヘラヘラしてしまうため)
子供たちはさらに真剣(マジ)
子供たちはさらに真剣(マジ)
大会の進行は、くじで対戦順決定→ロボットの改造→試合、の順で行われる。改造する時点で最初の対戦相手がわかっているのだ。つまり、相手のロボットの弱点を狙ったり、攻撃を防ぐような改造ができるということ。
ドリルで攻めてくるロボが相手なら(ドリラーイノグチ(えきどな・第2回))
ドリルで攻めてくるロボが相手なら(ドリラーイノグチ(えきどな・第2回))
巨大な楯で防ぐのはどうか(きらみん(おおかわゆいこ・まさし・第5回))
巨大な楯で防ぐのはどうか(きらみん(おおかわゆいこ・まさし・第5回))
相手が女子高生だったとしたら(10話のアレ。(わわわQ・第3回))
相手が女子高生だったとしたら(10話のアレ。(わわわQ・第3回))
甘いスイーツを内蔵しておびき寄せてはどうか(募集中(はむ&たこ・第4回))
甘いスイーツを内蔵しておびき寄せてはどうか(募集中(はむ&たこ・第4回))
上の例は実際の対戦順ではないが、なにしろこういった感じで戦略的に戦うことができるのだ。

すばらしいロボの数々

そんな改造タイムを経て、土俵に上がるロボットたち。戦いの様子は記事後半で見てみることとして、まずは印象に残ったロボットの一部をこちらでご紹介しよう。

ネタ系

技術的に凝るスキルのない我々。ならばネタに走る、というのはひとつの手だ。
素材にこだわったロボ(だんしゃく・第2回)無印良品を意識したコンセプトロボ。自作の値札が高完成度だが、競技が相撲であることを考えると力を入れるポイントを間違えている。
素材にこだわったロボ(だんしゃく・第2回)
無印良品を意識したコンセプトロボ。自作の値札が高完成度だが、競技が相撲であることを考えると力を入れるポイントを間違えている。
上のロボット、6足歩行できててよくできたロボに見えるが、それはそういうタミヤのキットを使っているからである。

以下、よく動いているように見える部分はすべて、タミヤ製部品か、中に既製品のおもちゃが入っているかのどちらかなので、そういうつもりで読んでほしい。
ドローンします(おおかわえつし・まさし・第5回) 親子参加です。「ドローンのように飛ぶものを作りたい」という思いを、ヘリや飛行機のおもちゃを貼ることで表現。もちろん飛ばない。そして前面には「本日はこの辺でドローンします」。子供の不器用さと大人の駄洒落が悪魔合体した怪作。
ドローンします(おおかわえつし・まさし・第5回)
親子参加です。「ドローンのように飛ぶものを作りたい」という製作意図を、ヘリや飛行機のおもちゃを貼ることで表現。もちろん飛ばない。そして前面に「本日はこの辺でドローンします」。子供の不器用さと大人の駄洒落が悪魔合体した怪作。
モーターふぐ(ゆえ・第1回) <br />風船を(手動で)膨らませて相手を威嚇するだけのロボット。移動機能は持たない。(正確にいうと、中になんかギアボックスが入っていたけど空回りして前進できてなかった)
モーターふぐ(ゆえ・第1回)
風船を(手動で)膨らませて相手を威嚇するだけのロボット。移動機能は持たない。(正確にいうと、中になんかギアボックスが入っていたけど前進できてなかった)
トーマス(闇属性)(コーセンセンコーカ・第4回) 小さな機関車トーマスをたくさん内臓していつつ、全体としても大きな機関車トーマスであるという哲学的な作品。あと動きがキモイ。
トーマス(闇属性)(コーセンセンコーカ・第4回)
小さな機関車トーマスをたくさん内臓していつつ、全体としても大きな機関車トーマスであるという哲学的な作品。あと動きがキモイ。
募集中(はむ&たこ・第4回) 先ほど紹介したスイーツロボ。外装にお菓子の箱を使ったことによりぐっとゴミっぽいビジュアルを実現。
募集中(はむ&たこ・第4回)
先ほど紹介したスイーツロボ。外装にお菓子の箱を使ったことによりぐっとゴミっぽいビジュアルを実現。
中身のスイーツはよく見ると、ただのケーキではなくなんとラズベリーパイである。(無粋を承知で説明しますと、ラズベリーパイっていう小型コンピュータがDIY界で流行ってるんです)。既製品ではなく手作りしたところがウリ。
中身のスイーツはよく見ると、ただのケーキではなくなんとラズベリーパイである。(無粋を承知で説明しますと、ラズベリーパイっていう小型コンピュータがDIY界で流行ってるんです)。既製品ではなく手作りしたところがウリ。
最後に紹介したラズベリーパイロボの作者2人は、先日の高専ロボコンにも出場し、一回戦負けしたそうである。

このエピソードからもわかるように、これらのネタ系ロボ、ただ「目立ちたい!」というお調子者精神だけで成り立っているわけではなく、その前段階で「技術では目立てないから…」というあきらめを経由していることも忘れないでほしい。

僕は常々、「ロボコンは工学、ヘボコンは人文学」と言っている。こういう人間の弱さがにじみ出てこその、ヘボコンなのである。

天然系

いっぽうで天真爛漫に己の技術力の低さを謳歌していたのが、この天然系のみなさん。
ペットポトル(みかん・第3回)小学生の作品。ペットボトルにビニールテープで部品をベタベタ貼りまくるというストロングスタイルの工作。作業の雑さも含めて、ヘボとしては王道。ユーモアなのかただの誤字なのかスレスレの名前もよい
ペットポトル(みかん・第3回)
小学生の作品。ペットボトルにビニールテープで部品をベタベタ貼りまくるというストロングスタイルの工作。作業の雑さも含めて、ヘボとしては王道。ユーモアなのかただの誤字なのかスレスレの名前もよい
安全第一(こがお、ちゃせ、いおりん、しおりん・第4回) 大学生くらいの若者グループで参加。女性1「(材料箱を見に行って)基板があったよ〜」女性2「すごい!ボンドで貼ろう!」(この間0.2秒で即答)、そんな会話を聞いたあと、しばらくしてから再度見に行ったら
安全第一(こがお、ちゃせ、いおりん、しおりん・第4回)
大学生くらいの若者グループで参加。
女性1「(材料箱を見に行って)基板があったよ〜」
女性2「すごい!ボンドで貼ろう!」(この間0.2秒で即答)、
そんな会話を聞いたあと、しばらくしてから再度見に行ったら……
ボンドが基盤の穴から派手にはみ出ていたので「最高の青春だ!」と思いました。
ボンドが基盤の穴から派手にはみ出ていたので「最高の青春だ!」と思いました。
きらみん(おかわゆいこ・まさし・第5回) 今回は子供の出場者も多く、全6回中2回は過半数を占めた。子供の特徴は「とにかく盛る」。このロボットも持ってきたときはプレーンなフォークリフトのキットだったのに、改造の時間めいっぱい使って盛り盛りに。おかげでなんだか妙なめでたさがでてきた。正面の一番目立つところに堂々と貼られた黒ガムテープも渋い
きらみん(おかわゆいこ・まさし・第5回)
今回は子供の出場者も多く、全6回中2回は過半数を占めた。子供の特徴は「とにかく盛る」。

このロボットも持ってきたときはプレーンなフォークリフトのキットだったのに、改造の時間めいっぱい使って盛り盛りに。おかげでなんだか妙なめでたさがでてきた。正面の一番目立つところに堂々と貼られた黒ガムテープも渋い
WaLL(しょうたろう・第5回) これも子供が盛りまくった系のロボなんだけど、何がすごいって、ベースに使ったタミヤのキットの、説明書を外装に使っているところ。まさに「その発想はなかった」。
WaLL(しょうたろう・第5回)
これも子供が盛りまくった系のロボなんだけど、何がすごいって、ベースに使ったタミヤのキットの、説明書を外装に使っているところ。まさに「その発想はなかった」。
ピヨ志(いっへい・第5回) これは大人の作品。むき出しのギアボックスに、テープで雑に固定されたアヒル3匹。丁寧に作ろうという意思が一切感じられないのがよい。
ピヨ志(いっへい・第5回)
これは大人の作品。むき出しのギアボックスに、テープで雑に固定されたアヒル3匹。丁寧に作ろうという意思が一切感じられないのがよい。
動きも、初期衝動としか言いようがない。
動きも、初期衝動としか言いようがない。
はじらい(くんちゃん・第4回) 上向きに貼ったセロハンテープが相手の機体に絡みつくという攻撃方法。そして移動はチョロQ的に後ろに引っ張って走らせる形式。この取り合わせが最悪で、車に触ろうとした時点で自分の腕にテープが絡みつく(そのくせ敵には絡みつかない)。詰めの甘さでは群を抜いていた。
はじらい(くんちゃん・第4回)
上向きに貼ったセロハンテープが相手の機体に絡みつくという攻撃方法。そして移動はチョロQ的に後ろに引っ張って走らせる形式。この取り合わせが最悪で、車に触ろうとした時点で自分の腕にテープが絡みつく(そのくせ敵には絡みつかない)。詰めの甘さでは群を抜いていた。
今回は子供の参加が多かったことにより、これら素朴系のロボが量産された。とはいえ、いま挙げたロボット、半分は大人の作品であることにも注目してほしい。

不器用な大人たち、考えてみれば彼らは子供たちと同じ年の頃から今までずっと不器用だったわけだ。いわば不器用の大先輩。子供とはキャリアが違うのである。そのことに誇りを持ってほしいと思う。(ただしこの会場内でだけ)

よくできてる系

いっぽうでヘボコンなりによくできた機体を持ち込んだ人もいた。
ポールダンスロボ2(アニポールきょうこ・第6回) ポールダンスをテーマにしたロボで、7月のヘボコンに出場したロボットの続編。人形が高速回転するネタ系かと思いきや、動かしてみるとすごい機能が
ポールダンスロボ2(アニポールきょうこ・第6回)
ポールダンスをテーマにしたロボで、7月のヘボコンに出場したロボットの続編。人形が高速回転するネタ系かと思いきや、動かしてみるとすごい機能が
動画だとちょっと見にくいが、人形の台座の部分で火花が散っている。火打石が搭載されているのだ。これはすごい!すごいけどそれ相撲関係ないだろ
動画だとちょっと見にくいが、人形の台座の部分で火花が散っている。火打石が搭載されているのだ。これはすごい!すごいけどそれ相撲関係ないだろ
めざまし(たかやましろう・第4回) ご覧のとおりの目覚まし時計。実戦では……
めざまし(たかやましろう・第4回)
ご覧のとおりの目覚まし時計。実戦では……
こうやって下向きに置いて戦う。ベルの回転パーツにおもりがついていて、目覚ましの設定時刻になるとおもりが振り回されてその反動で移動する。結果だけ見るとなんだかすごくよくできているのだが、「本当はパンチさせたかったんだけど動いちゃったので移動手段にしました」とのこと。
こうやって下向きに置いて戦う。ベルの回転パーツにおもりがついていて、目覚ましの設定時刻になるとおもりが振り回されてその反動で移動する。結果だけ見るとなんだかすごくよくできているのだが、「本当はパンチさせたかったんだけど動いちゃったので移動手段にしました」とのこと。
板キレ1号(knob.create・第2回) 一見ぬりかべ系の通せんぼロボに見えるのだが
板キレ1号(knob.create・第2回)
一見ぬりかべ系の通せんぼロボに見えるのだが
なんと変形する。……のだが成功率が低く、正確には「運がよければ変形することもある」。(動画中では変形しなかったので手で押してる)
なんと変形する。……のだが成功率が低く、正確には「運がよければ変形することもある」。(動画中では変形しなかったので手で押してる)
パシフィック・ゴム(チーム眼鏡・第6回) 脚が風船になっており、口で息を入れて膨らませることで一歩一歩進む、右足、左足、武器の3つの風船を備え、3人で協力して操縦。
パシフィック・ゴム(チーム眼鏡・第6回)
脚が風船になっており、口で息を入れて膨らませることで一歩一歩進む、右足、左足、武器の3つの風船を備え、3人で協力して操縦。
揃いのユニフォームの完成度が高く、ここだけほんとのロボコンみたいでかっこよかった。(もはやロボットでなく衣装の話だが)
揃いのユニフォームの完成度が高く、ここだけほんとのロボコンみたいでかっこよかった。(もはやロボットでなく衣装の話だが)
「動作はかっこいいが相撲に関係ない」「機能はすごいがちゃんと動いてない」「すごく工夫されてるように見えるが偶然の産物」など、いずれも何か重要な裏づけが足りていないロボットたちであった。

以上、少しのつもりが大量にご紹介してしまったが、これでもまだまだごく一部である。まだ登場していないロボットも含めて、このあとはいよいよ試合の様子を見てみよう。

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