特集 2015年1月19日

東京駅の中を観光する

東京駅をじっくり観光してみた
東京駅をじっくり観光してみた
昨年12月、東京駅が開業100周年を迎えた。改めて注目してみると、この駅はなんとも多様な魅力を備えている。旅の玄関口という役割以上に、もはや駅そのものがひとつの観光スポットとして成立しているのだ。

駅だけで満足できる、お手軽なレジャーをご紹介します。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。

前の記事:丼にしてもウマい鍋「鍋丼」食べ比べ

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地味に楽しい東京駅構内散歩

東京駅といえば、開業100周年記念Suicaの狂騒も記憶に新しい。しかし、今回はテレビでは報道されないけど、地味に楽しい東京駅の魅力に迫ってみたいと思う。

まずやってきたのは1番線・2番線ホーム。丸の内側に最も近いホームだ。
中央線が乗り入れる1番線ホーム
中央線が乗り入れる1番線ホーム
ホームについたら、1番線側に注目してほしい。赤レンガの「丸の内駅舎」を間近に眺めることができるのだ。それも、駅舎の「ウラ側」が見られるビュースポットはこのホームしかない。

なかでも有楽町寄りのホームには駅舎を遮る壁がなく、その趣あるたたずまいをまじまじと目に焼き付けることができる。100年前の姿を今に伝える特徴的なドーム部分を、最も至近から撮影できるのがこの場所だ。
間近に迫る南ドーム
間近に迫る南ドーム
一方で、中央線ホームには近未来的な外観の駅長室もあって、赤レンガとの対比を楽しめる
一方で、中央線ホームには近未来的な外観の駅長室もあって、赤レンガとの対比を楽しめる

100年前の柱が現存

赤レンガ駅舎に並ぶ「100年モノシリーズ」でいうと、5番線、6番線ホームにある柱も外せない。現在、山手線、京浜東北線が乗り入れるこちらのホームには、開業当時から屋根を支え続ける14本の柱が今も現役で残っている。
漂いまくる100年の風格
漂いまくる100年の風格
柱頭のレリーフが「100年柱」の目印
柱頭のレリーフが「100年柱」の目印
並び立つ新旧の柱。後輩に偉大なる背中を見せつけているようでもある
並び立つ新旧の柱。後輩に偉大なる背中を見せつけているようでもある
漱石先生も触ったかもしれない柱。100年の時を経て、いま邂逅
漱石先生も触ったかもしれない柱。100年の時を経て、いま邂逅
古い樹木には精霊が宿るというが、この柱にも何がしかのパワー的な雰囲気のアレを感じなくもない。ホーム界唯一のパワースポットといえるだろう。

ただ、この柱たち、残念ながら老朽化を理由に今年の春までに撤去されてしまう。2本はモニュメントとして残されるとのことだが、現役としての有志を見られるのはあとわずかだ。
そんな6番線ホームの線路脇には、その路線の起点であることを示す「ゼロキロポスト」もある
そんな6番線ホームの線路脇には、その路線の起点であることを示す「ゼロキロポスト」もある
こちらは中央線のゼロキロポスト。なんかかわいい
こちらは中央線のゼロキロポスト。なんかかわいい

首相が遭難しがち

さて、100年にわたる歴史の中では、さまざまな事件も勃発している。東京駅では過去、2度も時の首相がテロに見舞われているのである。一度は大正10年の原首相、二度目は昭和5年の浜口首相。現場には悲劇の歴史を伝える碑が残されている。
合掌
合掌
現在の東北新幹線乗り場前付近。旅行者が行き交うこんな浮かれた空間に、そんな戦慄の歴史があったとは
現在の東北新幹線乗り場前付近。旅行者が行き交うこんな浮かれた空間に、そんな戦慄の歴史があったとは
ほかにも、京葉線ホームに向かうコンコースにある「天地創造」のステンドグラスや
ほかにも、京葉線ホームに向かうコンコースにある「天地創造」のステンドグラスや
日本を代表する彫刻家、故・圓鍔勝三氏の作品「仲間の像」など、美術館的要素も
日本を代表する彫刻家、故・圓鍔勝三氏の作品「仲間の像」など、美術館的要素も
ここまで建築、歴史、アート、観光の王道をすべて堪能している。それも駅から一歩も出ずに、である。もう東京駅だけで一冊ガイドブックが作れてしまうんじゃないだろうか。

それに加えて、もちろんショッピングやグルメも充実している。わざわざ電車に乗っていかなくても、おいしいものは食べられるし、土産も買い放題だ。
なんだかお洒落な雰囲気の「NewDays」。赤を基調としたいつもの店舗とはちょっと様子が違う
なんだかお洒落な雰囲気の「NewDays」。赤を基調としたいつもの店舗とはちょっと様子が違う
秩序よく並べられたパンコーナー。店長の美意識の高さを感じる
秩序よく並べられたパンコーナー。店長の美意識の高さを感じる
全国の旨いものが集まるノースコートは、さながらデパ地下のようだ
全国の旨いものが集まるノースコートは、さながらデパ地下のようだ
ここはどこのデパ地下だい? と尋ねたくなるほどの充実ぶりを誇る惣菜コーナー。駅弁もいいが、ここで好きなおかずをちょっとずつ買ってオリジナルの駅弁をつくると楽しい。
好きなおかずだけで固めた夢の駅弁
好きなおかずだけで固めた夢の駅弁
また、東海道新幹線19番線ホームには、立ち食いそば「グル麺」もおすすめだ。ここ、東京駅のホームでは唯一のそば屋なのだが、看板として推されているメニューが意外すぎて面白いのだ。
東京駅では貴重な立ち食いそば屋
東京駅では貴重な立ち食いそば屋
看板はこれ「カツ煮そば」。名前の通り、そばの上にカツ煮が乗ってる、なかなか挑戦的なメニュー
看板はこれ「カツ煮そば」。名前の通り、そばの上にカツ煮が乗ってる、なかなか挑戦的なメニュー
カツ丼の下をそばに代えるという大胆な発送が光るこのメニュー。肉厚のカツは食べ応えがあり、甘めのつゆをたっぷり吸った衣もうまい。新幹線に乗る用事がなくても、わざわざ入場券を買って食べにくる価値はあると思う。

プレミアムなキオスクとは?

また、昨年12月には同じく東海道新幹線の14番線・15番線ホームに「プレミアム キオスク」なるものができたという。果たしてどれだけプレミアムなのか、覗いてみよう。
こちら普通のキオスク
こちら普通のキオスク
そしてこちらがプレミアムキオスク
そしてこちらがプレミアムキオスク
外観からしてプレミアムな雰囲気をビンビンに感じさせるたたずまい。見た目だけでなく、商品も高級なものしか置かないというプレミアムっぷりである。
おつまみもプレミアム
おつまみもプレミアム
ビールもプレミアム
ビールもプレミアム
東海道新幹線のホームへは、入場券で入りましょう
東海道新幹線のホームへは、入場券で入りましょう

新幹線を肴に一杯

鉄道が特別好きでなくても、新幹線を見るとワクワクする人は多いのではないだろうか。わずか140円を払って入場券を買えば、新幹線をかぶりつきで眺め放題なのも嬉しい。先ほど買ったプレミアムなつまみで一杯やりながら、新幹線のやわらかなボディを目でなめまわす。大人の贅沢な時間とはこういうものだ。
18番線、新大阪寄りのホーム先端がベストビューポイント
18番線、新大阪寄りのホーム先端がベストビューポイント
背後には新幹線の開通記念碑もある。銅板のレリーフは東海道新幹線開通に尽力した十河信二氏
背後には新幹線の開通記念碑もある。銅板のレリーフは東海道新幹線開通に尽力した十河信二氏
ちなみに、新幹線には「のぞみ」「こだま」など停車駅によって異なる名称がつけられている。それぞれの種別がどのホームに発着するかはランダムなので、次に到着するのが「のぞみ」なのか「ひかり」なのか、はたまた「こだま」なのか当てる新幹線クイズもできる。
どっちかなー
どっちかなー
なんと、「ひかり」でした~!
なんと、「ひかり」でした~!
意外と楽しかったので、みなさんもぜひやってみてください。
弁当は待合室で食べた
弁当は待合室で食べた

4~5時間いられる

プラットホームの数日本一、東京ドーム約3.6個分の面積を誇る東京駅。その見どころは多彩で、4~5時間は余裕で時間をつぶせてしまう。単なる旅の中継地点にとどまらない駅の端から端まで、じっくり探訪してみるのもいいものですよ。
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