特集 2015年1月22日

ものすごく動く錯視

ガン見してもぐるぐる回る
ガン見してもぐるぐる回る
Facebookなんかで定期的にシェアがまわってくるネタのひとつに「錯視」があると思う。目の錯覚で、たとえば本当は同じ長さなのに違って見える線とか、平行なのに角度がついて見える線とか、止まっているのに回っているように見える円を見たことがある人も多いだろう。

「もう分かった、じゃあ本当に回そうよ。」

何度目かの錯視のシェア情報が僕のタイムラインに流れてきたとき、そう思ったのだ。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

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錯視のふしぎ

錯視はおもしろい。単なる平面的で規則性のある絵や図形なのに、平衡感覚がおかしくなったり、止まっているのに動いているように見えたりする。

危険ドラッグなんてやらなくても安全にキマれるのだ。確かにシェアしたくなる。

もし見たことない、という人がいたらぜひネットで検索してみてほしい(立命館大学の北岡教授のホームページが情報量すごいです→こちら)。

そんな、錯視がすごい!という記事のシェアが定期的に届く。確かにすごいのだけど前にも見たことあるやつ。じゃあ、実際に動かしてみたらもっと面白いのでは、と思ったのだ。

それで、こんなものを作ってみた。
凝視しても回らないけど僕の目にはうねうね動いて見える
凝視しても回らないけど僕の目にはうねうね動いて見える
これは上で紹介した北岡先生のホームページに載っていた「フレーザー・ウィルコックス錯視」という模様を僕がてきとうに描いたもの。本当は2枚横に並べると交互に回るように見えるらしいんだけど、あまり説明を読まなかったので1枚しか作らなかった。これじゃあ回らない!

なら、強引に回してしまおう!
すごい!超まわる!

うっかり錯視できた?

かなりラフに描いた模様だけど、動画を見ると時計回りに回っているはずなのに反時計回りに回っているようにも見える。なんだか不思議な見た目だ。

あれ、錯視の画像を本当に回す、なんて思いっきりふざけたつもりが、うっかり新しい錯視作っちゃった?と思ったけど、肉眼ではそう見えなかったので錯視というよりアニメーションの原理かも知れない。

それにしてもこの模様、回っているのを見ると激しく目が回る。
じっ
じっ
くらくらくら...
くらくらくら...
次ページでは、この回る錯視装置の作り方をご覧ください。
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回る錯視装置の作り方

誰も作らないと思うけど(そして説明するほどの構造でもないけど)、回る錯視装置の作り方を説明しよう。

まず必要なのは錯視の画像。検索するとネット上にもたくさんあるけど、いちおう著作権もあるのでここでは自分で描いた。
何とかしてこういう模様を描き、それを縮小してずらして重ねて...を繰り返した
何とかしてこういう模様を描き、それを縮小してずらして重ねて...を繰り返した
画像が描けたらプリントアウトして厚紙に貼る
画像が描けたらプリントアウトして厚紙に貼る
続いて肝心の駆動部だけど、これはむしろいい方法あったら僕が教えてほしいくらいである。

間違いなく必要だと思ってモーターを買ったはいいけど、モーターから出ている軸から、どういう部品を使ったら力を取り出せるのか分からなくて新宿駅近くのプラモデル屋を数軒ハシゴした。
ここに何をつければいいのか2時間歩き回って分からず
ここに何をつければいいのか2時間歩き回って分からず
結局、3速クランクギヤボックスセットというのを買った。図にあるクランクアームが切り抜いた錯視の厚紙を貼り付けられそうだったのが決め手だけど、絶対にもっと簡単な方法があったと思う。
ぜったいオーバースペックだ
ぜったいオーバースペックだ
特に重要視した部分
特に重要視した部分
組み立ても苦戦して投げ出しそうになった
組み立ても苦戦して投げ出しそうになった
ギヤボックスが組み上がったら土台に固定(ここではお菓子の箱を使った)し、回転軸の先に取り付けたクランクに錯視画像を貼りつけるだけ。全体的に固定はガムテープである。
装置の全体像
装置の全体像
クランクの平らな部分に錯視画像を貼りつけた
クランクの平らな部分に錯視画像を貼りつけた
これで完成。モーターに接続した電源コードに電池を繋げれば錯視画像が回転するのだ!

のだ!なんて偉そうに書いてるけど内容は小学校低学年並みの工作である。
ブィーン
ブィーン
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もうひとつ作った

今回、ひとつだけではあんまりだと思ってもうひとつ錯視の画像を作った。それが「オオウチ錯視」である。

塗り分けの違う真ん中の円の部分が小刻みに動くように見える、という。
真ん中の部分が動く
真ん中の部分が動く
これも比率とか考えないでてきとうに描いたのだけど、動いて見えるだろうか。
動かない?やっぱり専門的に設計し直さないとダメか。

というわけで専門的に設計し直し、こういうものができた。
段差がついているせいか、こっちの方が動いて見える気がする
段差がついているせいか、こっちの方が動いて見える気がする
これがどうなるのかというと、こうなる。
もはや錯視まったく関係ない
本当は、クランクを利用して真ん中の部分がガタガタ動くようにしたかったのだけど、僕の技術力では実現できず。でも回したらなんか満足した。もう錯視とか何も関係ない。

これはこれで意味がわからなくて面白いからいいか、とも思う。

いんちき錯視

今回の企画、動いて見える錯視の絵を実際に動かしちゃったら面白いのでは?と思って取りかかったのだけど、実現には非常に高い工作スキルが必要だということが分かった(レベル低すぎ)。

でも錯視にはほかにも多くの種類があるので、いろいろな動きを実際に動かしちゃう「いんちき錯視」を作るために工作スキルを磨きたい、と思った。
何かで使うかも、と思って買ったけど使われなかったプーリーセット
何かで使うかも、と思って買ったけど使われなかったプーリーセット
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