特集 2015年1月23日

16年前の弁当レシピ本に載っていた謎のおかずを作ってみる

久しぶりに弁当作りました。
久しぶりに弁当作りました。
先日本棚を整理していたら古いレシピ本が出てきました。弁当用のレシピ本です。

今から約16年前。結婚して自分と妻の夫婦二人分の弁当を作るようになり、人生で初めて買ったレシピ本です。

当時、色々役にたったこのレシピ本。改めて見直してみたところ、そのころには見落としていた謎のメニューがあったのです。試しに作ってみました。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

人生初の料理本購入

出てきた料理本はこちらの本。
簡単に出来る弁当メニューが色々載っています。お世話になりました。
簡単に出来る弁当メニューが色々載っています。お世話になりました。
素早く簡単に出来る弁当用のメニューが各種載っているムック本です。
1998年発行。まだ20世紀。
1998年発行。まだ20世紀。
結婚当初。務めていた会社の職場近くは店が少なく、昼飯を外に食べに行くのが面倒でした。そこで弁当を持っていくことになり、早起きが得意だった私が自ら弁当を作る事になったのです。1人分も、2人分も作る量を増やせばいいのだろうと、夫婦二人分を作ることにしました。
このメニューよく作ったなあ。
このメニューよく作ったなあ。
しかし、結婚するまで料理は小学校の家庭科でやった程度。とりあえず、何か簡単な料理本でも買ってこようかと思って買ったのがこの本です。
作らなかったがこんなパンメニューもあった。こんな弁当じゃ足らん!
作らなかったがこんなパンメニューもあった。こんな弁当じゃ足らん!
当時は男性が弁当を作るどころか、料理することすら珍しがられた時代。ファンシーな表紙の本が並ぶ料理本コーナーにスーツ姿で立つサラリーマンはかなり目立ったと思います。
このメニューも電子レンジだけで調理出来るからよく作ったな。
このメニューも電子レンジだけで調理出来るからよく作ったな。
そんな思いで買ったこの料理本。出来そう物を選んで材料を買い、下ごしらえを夜のうちに済ませておくなどして、弁当生活はなんとか続けていくことが出来ました。
シイタケ焼くだけ。メニューとしてはいいが、レシピ本に載せるのはどうなのという簡単メニューもあった。
シイタケ焼くだけ。メニューとしてはいいが、レシピ本に載せるのはどうなのという簡単メニューもあった。
その後、何冊かレシピ本を買い足します。そして、理系であった事も手伝い、毎朝それらを活用しながら出来上がる味の予想をして、実際に調理(実験)し、味見(考察)をして、その結果を次に活かす事(考察結果を元に再実験)を繰り返します。
こういう弁当を作る基礎的な話も最初は参考になった。不慣れな頃はメニューから材料を決めますが、材料の組み合わせからメニューを考える。組み合わせで考えればメニューは無尽蔵。いわゆる「ありあわせの物で何か作る」です。
こういう弁当を作る基礎的な話も最初は参考になった。不慣れな頃はメニューから材料を決めますが、材料の組み合わせからメニューを考える。組み合わせで考えればメニューは無尽蔵。いわゆる「ありあわせの物で何か作る」です。
その結果、組み合わせでレシピを作り上げていく方法を考え、本を見なくても冷蔵庫にある物でその場でメニューを決めていくようになり、順調に弁当生活を続けていったのです。

そして、11年経った2009年。テレビで男性が毎朝弁当を作っていると取材され、世に弁当男子ブームなるものがやってきます。今では割と普通の事になりましたが、ブームの頃までは男で弁当を作るなんて完全に変人扱いだったので、時代も変わったものだとこの本を見て改めて思うのでした。

その組み合わせアリなのか?

さて、この料理本に出てくる問題のレシピですが、こちらの項目に出ています。
にんじんの梅おかかあえ、にんじんのかき揚げなど、赤いおかずとしておいしそうだと素直に思えるものの中にあります。
にんじんの梅おかかあえ、にんじんのかき揚げなど、赤いおかずとしておいしそうだと素直に思えるものの中にあります。
にんじんやトマトを使った赤い色のおかずが各種出ている項目です。どのメニューもおかずとしておいしそうなのですが、一つだけ当時見落としていた謎のメニューがありました。それがこちら。
トマトにグラニュー糖と粉チーズ?
トマトにグラニュー糖と粉チーズ?
「シュガートマト」です。グラニュー糖と粉チーズを2対1の割合で混ぜ、切ったトマトに食べる直前にかけるというもの。

トマトにチーズまではいいと思うのですが、なぜグラニュー糖?トマトに砂糖をかけて食べる人がいるとは聞いた事はあります。しかし、おかずとしてどうなんだ?アリなのか、このメニュー?

全く予想がつきません。これは実験してみるしかない。
いままで合わせることがなかった組み合わせ。
いままで合わせることがなかった組み合わせ。
トマトとグラニュー糖と粉チーズを用意しました。混ぜ合わせて、切ったものにかけるだけで出来ます。
醤油、酒、みりん、豆板醤を混ぜたタレに漬けて焼くだけ。
醤油、酒、みりん、豆板醤を混ぜたタレに漬けて焼くだけ。
弁当レシピの本に載っていたものなので、どうせならば弁当に入れて味見してみることにしました。同じレシピ本に出ていた「豚肉のピリ辛焼き」に野菜を追加したものをメインとします。
卵2個。二人分の玉子焼きをつくるのに丁度いいサイズだった。
卵2個。二人分の玉子焼きをつくるのに丁度いいサイズだった。
弁当作りに長く使っていたフライパンを出してきて副菜として玉子焼きも作ります。
おかずが380ml。ごはんが520ml(約茶碗2杯半)入る、ビジネス鞄に入れやすい横長タイプの弁当箱。
おかずが380ml。ごはんが520ml(約茶碗2杯半)入る、ビジネス鞄に入れやすい横長タイプの弁当箱。
弁当箱も当時使っていたものを出してきました。これに詰めてみます。
弁当は色々おかずを作らないといけないと思っている人が多いですが、定食屋を考えればメインがドンと入っているだけでも大丈夫ですよ。
弁当は色々おかずを作らないといけないと思っている人が多いですが、定食屋を考えればメインがドンと入っているだけでも大丈夫ですよ。
トマト以外に豚肉とアスパラのピリ辛炒め、玉子焼き、蒸したほうれん草を入れました。ここにトマトにかけるグラニュー糖粉チーズを添えます。
グラニュー糖と粉チーズ。経験の無い組み合わせで味を予測できず。
グラニュー糖と粉チーズ。経験の無い組み合わせで味を予測できず。
グラニュー糖粉チーズは、グラニュー糖が小さじ2、粉チーズを小さじ1入れて混ぜ合わせます。
グラニュー糖より黒胡椒とかの方がいいのではないだろうか。
グラニュー糖より黒胡椒とかの方がいいのではないだろうか。
混ぜたものはラップに包んで弁当に入れます。
久しぶりに作ったのでちょっと手間取った。
久しぶりに作ったのでちょっと手間取った。
これで弁当完成です。では早速シュガートマトを食べてみましょう。添えていたグラニュー糖粉チーズをかけます。
見た目は大丈夫そうなのだが、グラニュー糖・・・
見た目は大丈夫そうなのだが、グラニュー糖・・・
大丈夫なのか・・・
大丈夫なのか・・・
トマトにグラニュー糖と粉チーズ!
トマトにグラニュー糖と粉チーズ!
大丈夫なのか!
大丈夫なのか!
あっ、まあまあイケるぞ。
あっ、まあまあイケるぞ。
シュガートマト、予想外に割とイケます。トマトの青い酸味とグラニュー糖の甘味が結構合います。そこにチーズのクセのある風味が加わってくる。

甘さとチーズの香りが穏やかなチーズケーキの上に、酸味の強い果物を乗せた感じとでもいいましょうか。アリかナシかで言えばアリです。レシピ本に載っているだけの事はある。おいしく食べられます。

では、おかずとしてごはんに合わせてみます。
赤いおかずコーナーに出ていたからね。おかずとしてごはんにも合うのだろう・・
赤いおかずコーナーに出ていたからね。おかずとしてごはんにも合うのだろう・・
いや、ダメ。こりゃー無いわー
いや、ダメ。こりゃー無いわー

デザートとしてならアリ

シュガートマトはごはんに全く合いませんでした。グラニュー糖の甘さ、チーズの香り、トマトの酸味。これら全てがごはんの味を取り囲み混沌とさせる。

そしてお互いを全力で拒絶しあって口のなかで暴れつづけます。駄目です。これはおかずとして無理。ごはんと一緒に食べると痛い目をみます。

しかし、デザートとして最後に食べるならばいいです。ちょっと変わった味わいで楽しめると思います。レシピとしてはアリで、おかずとしてはナシということで。
豚肉とアスパラのピリ辛炒めはごはんに非常によく合いました。店を始めて弁当が不要な生活になったが、たまには作って何処かに持っていくのもいいかもしれない。
豚肉とアスパラのピリ辛炒めはごはんに非常によく合いました。店を始めて弁当が不要な生活になったが、たまには作って何処かに持っていくのもいいかもしれない。
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