フェティッシュの火曜日 2015年2月17日
 

氷見のガラパゴス喫茶で出会った焼きカレーうどん他

初めて見るタイプの食べ物に出会いました。
初めて見るタイプの食べ物に出会いました。
はじめて訪ねる場所に新鮮な感動を覚えるような旅行も楽しいが、同じ場所へ何度か通うことで少しずつ掘り下げるのもまた旅の楽しみだ。

ここ数年で富山湾に面した能登半島の付け根に位置する氷見市に何度も訪れたのだが、次第に観光情報誌には載っていないような独自の発展を遂げた「なにか」を知ることが楽しくなってきた。

今回はそんな「なにか」を紹介させていただきたい。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。
> 個人サイト 私的標本 趣味の製麺

たまたま入った喫茶店で驚いた

富山氷見市という場所は、それはもう都心から遠く離れているのだが、東京、新宿、池袋あたりから乗れる長距離バスが出ているので、乗り継ぎなしでいけてしまったりする。片道8時間とか掛かるけど。

今回そんな氷見にバスでやってきたのには、ある巨大生物を捕まえて食べたいという目的があったのだが、そんなことよりも紹介すべきは帰りのバスに乗る直前に出会ったランチである。
元々はこのでかいイカを浜辺で探すという目的があってやってきたのですが、接岸のタイミングを完全に読み間違えて来年の課題になりました。
元々はこのでかいイカを浜辺で探すという目的があってやってきたのですが、接岸のタイミングを完全に読み間違えて来年の課題になりました。
目撃者によると、こんな感じでミミをパタパタさせながら、ラッコのように浅瀬を泳いでいるらしいです。
目撃者によると、こんな感じでミミをパタパタさせながら、ラッコのように浅瀬を泳いでいるらしいです。
今の日本では、ある程度遠くの地方までいったとしても(たとえば佐渡島とか)、新しく整備された幹線道路沿いにはおなじみのチェーン店が並び、私の住む埼玉と対して変わらないような景色が続いている場合が多い。

しかし、昔から続く独自色の濃い商店街というのも探せばまだまだ残っているもので、氷見の街にも1キロくらいはありそうな長い商店街が健在だ。

だいぶシャッターの降りてしまった商店街で、氷見最後の食事となるランチを食べられそうな店を探し歩いてたどり着いたのが、マイケルという喫茶店だったのである。
商店街の端っこにある喫茶店、マイケル。
商店街の端っこにある喫茶店、マイケル。
きっと「ママさん」と呼ぶべきであろうおねえさんがキッチンに立つこの店は、話題のブルーボトルコーヒーの創業者も知らないであろう、ある意味で日本の古き良き喫茶店の空気が流れていた。

なんとなく誰かの実家っぽい雰囲気が、旅先ながらも落ち着く喫茶店なのである。
カウンターでは地元のおねえさま達がヒルナンデスを見ていた。
カウンターでは地元のおねえさま達がヒルナンデスを見ていた。
畳の席には、実家の床の間や玄関先っぽいディスプレイ。
畳の席には、実家の床の間や玄関先っぽいディスプレイ。
漫然と積まれた漫画本はワンピース。
漫然と積まれた漫画本はワンピース。

まず、これがマイケルのカレーライスです

このようにとても居心地の良い喫茶店なのだが、昼食にと予定していたお寿司屋さんが満席で入れず、さまよった末のマイケル来店だったので、残念ながらあまり長居をしている時間がない。

そこで私は早く出てきそうなカレーライスを頼んでみた。
遠くまできたものだなあと感じるカレー。写真が雑ですまない。
遠くまできたものだなあと感じるカレー。写真が雑ですまない。
ご飯が隠れるほどにたっぷりと掛かったルーには、マッシュルームやコーンが入っていた。量はともかく、見た目がお子様用カレーっぽい。

しかし食べてみると、意外なことにしっかりとスパイシーで、目指しているベクトルが私の知っているカレーの範囲を超ええつつも、きっちりと美味しいカレーになっていた。家のカレーでもなく、ココイチのカレーでもなく、まぎれもなくマイケルのカレーだ。

確か氷見には「氷見カレー」というB級グルメがあり、その条件が氷見産のニボシを使うことなのだが、これはその氷見カレーの輪に入っているのだろうか。

なんだろう、焼きカレーうどんって

ここまでは、まあよくある話の範疇なのだが、一緒に来ていた友人が頼んだメニューが、「焼きカレーうどん」だったのだ。なんだよ、焼きカレーうどんって。

焼きうどんは知っている。カレーうどんも知っている。でも焼きカレーうどんは知らない。焼きうどんのカレー味ならイメージできるが、カレーうどんを焼いたものだとすると謎である。わかった、焼きうどんにカレーのルーを掛けたものだ!

そんな想像を楽しんでいたのだが、私の頼んだカレーライスから少し遅れてやってきたそれは、予想を遥かに超えた存在だった。
これが衝撃の焼きカレーうどん!
これが衝撃の焼きカレーうどん!
なるほど、こう来たのかと膝を叩いた。

思わず「焼きカレーうどん」という言葉の意味を考えてしまうルックスである。どうも焼きうどんのソースの代わりに、カレーのルーをたっぷりと使ったようだ。子供の頃に母親が作った、ミートソースと炒めたスパゲティみたいである。

「こってりして香ばしくて美味しかったです。モチモチした麺がカレーに負けていませんでした」

これが後から聞いた食べた人の感想である。一口もらえばよかったなと思いつつ、友人をマイケルに残して帰りのバスへと向かったのだった。

実は焼きカレーというのも存在している

この話を氷見在住の友人にしたところ、マイケルには「焼きカレー」というメニューもあり、そっちの方が有名らしい。

せっかくなのでその焼きカレーの写真を送ってもらったのだが、これがなかなかすごかった。
ドリア的なアプローチなのだろうか。
ドリア的なアプローチなのだろうか。
なんだろう、この「カレー」と「焼きカレー」と「焼きカレーうどん」の力関係は。どういう進化の過程を経てのメニュー展開なのだろう。

この調子だと、もしかしたら独自の「カレーうどん」と「焼きうどん」もあるのかもしれない。メニューをちゃんと撮影してくればよかった。

多くの喫茶店では、いろいろなお客さんをもてなそうとするあまりに、どうしても無難かつ似通ったメニューになっていくものだが、立地的に常連さんしかこないような店では、独自の進化を遂げる場合があるようだ。ちなみに氷見駅前にもこの商店街にも、チェーンの喫茶店は一軒も見当たらなかった。
そしてマイケルのすぐ近くには、サンプルが手芸作品の「食事処よしだや」もある。この店のメニューも謎が多い。
そしてマイケルのすぐ近くには、サンプルが手芸作品の「食事処よしだや」もある。この店のメニューも謎が多い。
友人の話だと、氷見の喫茶店は独自メニューがやたらと多いそうで、この現象を「喫茶店のガラパゴス化」と呼んでおり、喫茶店に限らず「なんでこうなったんだろう?」と首を傾げたくなる文化が多数あるのだとか。

またこの街に来た際は、ダーウィンになった気分で、氷見のガラパゴス喫茶におけるメニュー進化の謎を解明したいと思う。

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