特集 2015年2月17日

ヤドカリを食べた後に水を飲むと甘く感じる?

てめーの引越し先は貝殻→丼→俺の胃袋に決定したぜ…。
てめーの引越し先は貝殻→丼→俺の胃袋に決定したぜ…。
磯遊びをしていると、たまにやたらとデカいヤドカリに遭遇することがある。大きなサザエとか、時にはホラガイなんかの殻を背負っているようなやつらだ。

ヤドカリもエビやカニに近い動物なので、これだけ大きければ食べられるのではないかと思いリサーチしてみたところ、やはり食用にできることがわかった。

しかも、かなりおいしいらしい。しかもしかも、彼らを食べた後に水を飲むと、ただの水がまるで砂糖水のように甘く感じられるというのだ。これは試してみなければ。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。(動画インタビュー)

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神奈川県の城ヶ島で食べられるらしい

とはいえ、磯へ行けばいつでも見つかるというものではないし、一般的な市場や鮮魚店で買うこともできない。食べようと思ってすぐ食べられるものではないのだ。

が、しかし。さらにリサーチを重ねると、このヤドカリを使った料理を新名物として売り出そうとしている地域があることが判明した。神奈川県は三浦半島の南に浮かぶ城ヶ島である。
城ヶ島は漁業と観光の島。城ヶ島大橋のおかげで本土へのアクセスも良好。
城ヶ島は漁業と観光の島。城ヶ島大橋のおかげで本土へのアクセスも良好。
平日の昼時、京急線三崎口駅から路線バスに乗り込み30分弱。城ヶ島大橋を渡ると、そこは漁業と観光の島・城ヶ島。
三崎にほど近いこともあり、島内のあちらこちらに「まぐろ」の文字が踊る。
三崎にほど近いこともあり、島内のあちらこちらに「まぐろ」の文字が踊る。
もちろん観光客向けにマグロ料理を出すお店も多数で、
もちろん観光客向けにマグロ料理を出すお店も多数で、
マグロメニューのバリエーションも豊富。
マグロメニューのバリエーションも豊富。
マグロのかき揚げ丼なるものまで。
マグロのかき揚げ丼なるものまで。
城ヶ島の名物はマグロだけではない。あちこちに「磯料理」の看板が見られるように、サザエや海藻といった磯の幸だって有名だ。
城ヶ島の名物はマグロだけではない。あちこちに「磯料理」の看板が見られるように、サザエや海藻といった磯の幸だって有名だ。
事前の調べで、漁協の水産物直売所でその食用ヤドカリを購入できることや、島内の数件の店でヤドカリ料理を提供してくれることはわかっている。何の苦も無くヤドカリを、そして「甘い水」を味わえるに違いない。

直売所は定休日。さかなクンの絵を見て現実逃避。

まずは直売所で生きたヤドカリを拝もう。なんなら、何匹か購入して持ち帰り、自分で調理してみてもいい。夢は膨らむ。
ヤドカリを求めて漁協の直売所へ!
ヤドカリを求めて漁協の直売所へ!
し、閉まっておる…。
し、閉まっておる…。
ところが、直売所前に行ってみて拍子抜け。お休みだ。この日は平日だったのだが、この直売所は土日祝日のみ営業するスタイルをとっているらしい。しまった。リサーチ不足だったな。
魚の絵が描かれた船型水槽を発見。
魚の絵が描かれた船型水槽を発見。
いきなり出鼻をくじかれて途方に暮れていると、船を模した水槽(いけす?)がいくつか目に入った。

そのうちのひとつにはかわいい魚の絵が描かれている。地元の子供が描いたのかな?とよく見てみると、様子がおかしい。素朴なタッチで描かれてこそいるが、妙に上手いし魚のチョイスや内容が凝っているのだ。
クジラやイルカやサメなどのスター格を差し置いて磯場のウツボにダンゴウオというチョイス。
クジラやイルカやサメなどのスター格を差し置いて磯場のウツボにダンゴウオというチョイス。
集団でクラゲをついばむウマヅラハギなど、描写やシチュエーションの細かさが描き手のただ者でなさを感じさせる。
集団でクラゲをついばむウマヅラハギなど、描写やシチュエーションの細かさが描き手のただ者でなさを感じさせる。
署名を見て納得。さかなクン画伯の作でした。
署名を見て納得。さかなクン画伯の作でした。
それもそのはず、さかなクンの作だった。
反対側にもかわいらしい絵が盛りだくさん。
反対側にもかわいらしい絵が盛りだくさん。
ヤドカリこそ買えなかったが、これを見られただけでも今日ここへ来てよかった。
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ヤドカリの存在感はビシバシ伝わってくる

港のあちこちには大量のサザエの殻が。
港のあちこちには大量のサザエの殻が。
足元に転がっていたサザエの殻の山。これがさかなクンの癒し効果によって辛い現実を忘れかけた僕の目を覚ましてくれた。
散乱する貝殻に混じって朱色の物体がちらほら。
散乱する貝殻に混じって朱色の物体がちらほら。
これは…!
これは…!
ヤドカリの死骸だ。
ヤドカリの死骸だ。
おびただしい数のサザエの殻に混じって、カラカラに乾いたヤドカリの死骸がいくつも混じっているのだ。

そうだ。僕はヤドカリを探しに来たんだ。ヤドカリを食べに来たんだ。そして近いぞ。この島から確かにヤドカリの気配をビンビン感じるぞ。

そうだ、直売所がダメでも磯料理のお店で食べるという手段が残っているじゃないか。

城ヶ島での呼び名は「アマガニ」

たまたま通りがかった直売所近くの食堂。
たまたま通りがかった直売所近くの食堂。
ヤドカリを食べられるお店を探してうろついていると、こんなのぼりが目に入った。
のぼりに「アマガニ」の文字が!!
のぼりに「アマガニ」の文字が!!
アマガニ祭り参加店。何を隠そう、この「アマガニ」こそ城ヶ島における食材としてのヤドカリの呼び名なのである。

この「甘さ」をフォーカスした呼び名はもちろん身そのものの甘さにも由来する部分が大きいが、やはり食後に水を飲むとその味が甘く変化するという特性も絡んでいるのだとか。
残念ながらアマガニは無かったが、代わりにウツボのから揚げ丼というメニューを食べてみることに。
残念ながらアマガニは無かったが、代わりにウツボのから揚げ丼というメニューを食べてみることに。
「アマガニ祭り」とはアマガニの普及を促すイベントのことらしい。城ヶ島では伊勢エビ漁などで混獲されるヤドカリ類を新たな名物として売り出そうとしているのだ。「海のカリスマ(借り住ま)」というキャッチフレーズまでついているほど積極的に。

こののぼりが出ているということは、ここでアマガニを食べられるに違いない。そう思って戸を叩いてみるが、残念ながらちょうどアマガニのストックが切れたところだという。
残念。
ウツボのから揚げ丼。ウツボ料理につきものの小骨が無く、すっっごく美味い。
ウツボのから揚げ丼。ウツボ料理につきものの小骨が無く、すっっごく美味い。
しかし、他の「アマガニ祭り参加店」に連絡してみるも、いずれもアマガニ在庫なし、もしくは電話への応答なし。

早々に万策尽きて肩を落とすが、面白いメニューがあるのに気づく。「ウツボのから揚げ丼」だと。
こってり煮込まれたおでんもついてくる。この季節にはありがたい。
こってり煮込まれたおでんもついてくる。この季節にはありがたい。
実は城ヶ島ではアマガニことヤドカリと同じく、ウツボも「海のギャング」と名づけて新名物として絶賛売出し中なのだ。本来の目的からはそれるが、これは単純に美味そうなので食べておこう。

衣はサクッと軽く、その下にはもちもちととろける皮、そしてふわふわの身が三相構造で重なっている。味も申し分ないが、ウツボ特有の硬くて鋭い小骨もびっくりするほど綺麗に取り除かれていて、非常に食べやすい。

「海のギャングの方が」がこれだけ美味いなら、「海のカリスマ」にも期待してよかろう。こうなったらなんとしても食べなければ。

もう自力で探す!

食堂の店員さんや港の漁師さんらに相談すると、「もう自分で採って食っちゃえば?」という意見がちらほら出た。夜に漁港のヘチや磯の潮溜まりを照らして歩くとちょくちょく見つかるのだそうだ。ああ、その手があったね。そういえば。そういうわけで夜の海へ出向いてみよう。
磯のヤドカリ事情に詳しい友人Wさんに案内してもらう。
磯のヤドカリ事情に詳しい友人Wさんに案内してもらう。
一般人の採取が厳しく禁じられているイセエビやサザエなどと違い、城ヶ島の漁師さんもヤドカリを狙って採っているわけではない。だが、いまやヤドカリは一応、彼らの商売に結びついている、あるいは今後結びつくかもしれない獲物である。

また、地元民の話だと、城ヶ島の釣り人はイシダイという魚を釣るための餌として夜の漁港や磯でアマガニの類を採り集めているのだとか。こうした実情を勘定すると、僕のようなよそ者の素人が手を出してしまうのはあまりよろしくない気がした(たぶん、実際はほとんど誰も気にしないだろうが)。

なので、磯遊びに明るい友人を頼って、城ヶ島から遠く離れた地方の磯へ足を運んだ。
磯で特大ヤドカリを発見!が、既に死んで干からびていた。
磯で特大ヤドカリを発見!が、既に死んで干からびていた。
真冬の磯はヒジキなど海藻類の密漁が絶えないようで、この晩もパトロールの方々に遭遇した。「何探してるのー?」と聞かれたので「ヤドカリです!」と堂々宣言すると「ああ、そう…。」と心の底からどうでもよさそうに踵を返していった。
ようやく、サザエに入ったそこそこ大きなヤドカリを捕まえることができたが、ちょっと食べるには小さい。逃がしてやることに。
ようやく、サザエに入ったそこそこ大きなヤドカリを捕まえることができたが、ちょっと食べるには小さい。逃がしてやることに。
オニヤドカリの類は水中だと脚が毛でモコモコしててかわいい。
オニヤドカリの類は水中だと脚が毛でモコモコしててかわいい。
その後、一晩中アマガニを探し続けてようやく一匹だけ捕まえることができたが、食べるにはやや小さい。
食べてしまいたいのは山々だが、そこはぐっとこらえて逃がしてやることに。

うーん、やはり日を改めて城ヶ島へ出向き、ちゃんとお金を払って食べさせてもらおう。
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ついに確保!

そう日も経たぬうちに再訪した城ヶ島。今回は狙い澄まして週末に上陸したのだが、とにかく人の多さが段違いである。前回はがら空きだった三崎からの路線バスも満席だ。なるほど。漁協の直売所が休日オンリーの営業になるのも頷ける。
先日とは打って変わって活気づいている直売所。
先日とは打って変わって活気づいている直売所。
一目散に向かったその直売所であるが、今日は店内に明かりがともり、周囲にはたくさんののぼりがはためき、活気を感じさせる。よかった!営業してる!
常時新鮮な海水がかけ流しになっている生簀にはワカメや
常時新鮮な海水がかけ流しになっている生簀にはワカメや
ナマコ、貝類のほか、魚やイカ、イセエビなどさまざまな魚介類が良好な状態でストックされている。
ナマコ、貝類のほか、魚やイカ、イセエビなどさまざまな魚介類が良好な状態でストックされている。
店内の新鮮な魚介類に目を奪われ、一瞬だけ本来の目的を忘れそうになる。いかんいかん。任務を遂行しなくては。

「すみません。アマガニをいただきに来ました!」
「はいはい、アマガニね。イシダイ釣るの?あ、食べるの。そうなの」
「はいはい、アマガニね。イシダイ釣るの?あ、食べるの。そうなの」
さすがにもう空振りはごめんなので、実は朝一番で直売所にアマガニの在庫を電話確認しておいたのだ。ははは、「事前の電話確認」というメソッドを覚えた私に死角は無いよ。

いや。むしろこんな基本的な作業もできていなかった辺りに、人間としての程度の低さを自覚して落ち込む。
「はい、アマガニ」 よし、きたあ!
「はい、アマガニ」 よし、きたあ!
だが、これで確実に手に入るぞ。アマガニが。
店員さんは奥まったところにある生簀から、「今日はあんまり大きいの無いけど…。」
と言いつつ大きな貝殻を取り上げた。
小さめ、と言いつつもこの大きさ。一般的なヤドカリ観からすれば十分に大物と言えよう。
小さめ、と言いつつもこの大きさ。一般的なヤドカリ観からすれば十分に大物と言えよう。
「はい、アマガニ」
やった!ついにゲットだ。しかも、謙遜するほど小さくはないぞ。十分食べられるサイズだ。

値段は時期やサイズにもよるようだが、一匹あたり150円程度が相場らしい。この日は型が小さいからということで3匹で400円にまけてくれた。

ちなみに、この直売所では食用目的以外に、やはりイシダイ釣りの餌用に購入していく人もいるのだとか。

通称「アマガニ」には複数の種が含まれる

ところで、生簀の底を這っているアマガニたちをよく見てみると、明らかに二種類以上のヤドカリが混在していることに気づく。ぱっと見たところ、ハサミが平べったく、全体的に毛深いタイプと毛が少なく、ハサミに丸みのあるタイプがいるようだ。
こちらは腕毛が濃く、ハサミが平たいタイプ。オニヤドカリだろうか?イシダタミヤドカリっていうやつだろうか?うーん、わからん。ヤドカリ類は意外と素人には判別が難しい。
こちらは腕毛が濃く、ハサミが平たいタイプ。オニヤドカリだろうか?イシダタミヤドカリっていうやつだろうか?うーん、わからん。ヤドカリ類は意外と素人には判別が難しい。
すね毛も濃いっす。
すね毛も濃いっす。
こちらは比較的毛が薄く、ハサミに波のような模様が入っている。
こちらは比較的毛が薄く、ハサミに波のような模様が入っている。
ケスジヤドカリという種類か?猟師さんや釣り人には「タランチュラ」と呼ばれているそうだ。より深場で捕獲されるタイプで、「アマガニ」の中でも最も大型になるようだ。
ケスジヤドカリという種類か?猟師さんや釣り人には「タランチュラ」と呼ばれているそうだ。より深場で捕獲されるタイプで、「アマガニ」の中でも最も大型になるようだ。
漁師さんも正確には把握していないようだが、この二タイプ以外にも、あと一、二種類くらいはバリエーションがあるらしい。ただし、味はいずれも大差無く、単に大きな個体が好まれるのだとか。

ついに試食!…しかし

よし!アマガニは確保できた。早く食べたい!
というわけで、前回ウツボのから揚げ丼をいただいた食堂へ直行する。買ったばかりのアマガニを調理してもらうのだ。

「この間はどうも!今日はアマガニ持って来たんで料理してください!」
「えー、今日ウチもアマガニたくさん仕入れたから買ってこなくてもよかったのに…。」

ああ、「事前の電話確認」忘れてたわ…。
アマガニの味噌汁一杯350円。今回は「ダシがよく出るように殻を割ったもの」と「身から味が逃げないように殻を割らずにおいたもの」の二通りを用意、食べ比べることに。
アマガニの味噌汁一杯350円。今回は「ダシがよく出るように殻を割ったもの」と「身から味が逃げないように殻を割らずにおいたもの」の二通りを用意、食べ比べることに。
まあいいや。買った分をどうするかは後で考えよう。とりあえず、このお店で提供している唯一のアマガニメニューである味噌汁を作っていただくこととしよう。

ここで店主から貴重な情報が。「ウチの店ではよくダシが出るようにアマガニの殻を割ってから煮るんだけど、それだとなぜか食後に水を飲んでも甘く感じられないことが多い。甘い水を体験したいなら割らずにおいた方がいいかもよ?」というのだ。

おー、そうなのか。じゃあどっちもお願いします!
殻を割っていないもの。下半身がセクシー。茹でヤドカリとしても食べられる。これでも結構いいダシが出ているが…。
殻を割っていないもの。下半身がセクシー。茹でヤドカリとしても食べられる。これでも結構いいダシが出ているが…。
殻を割ったものは一際強く味が出ている。汁を味わうなら、こちらのほうがおいしい。
殻を割ったものは一際強く味が出ている。汁を味わうなら、こちらのほうがおいしい。
食べ比べてみると確かに、殻を割って煮立てたものの方が明らかに濃いダシが出ている。味噌汁としてはこちらのほうがおいしい。
腹の身はイセエビを髣髴とさせる歯ごたえと甘み。
腹の身はイセエビを髣髴とさせる歯ごたえと甘み。
だが、「食後の甘い水」は捨てがたい。店主が言うには、殻を砕いてしまうとアマガニのただの水を甘く感じさせる、つまり「舌の感覚を狂わせる」成分が汁に溶け出して薄められてしまうのではないかとのことだった。

なるほど、じゃあ丸のまま似たアマガニの身をしゃぶり尽くせばきっと「甘い水」を味わえるはずだ。
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水、甘くならず

これ美味いなー!
これ美味いなー!
真っ赤に茹で上がったアマガニを味噌汁から取り上げ、腹の身を、ミソを、ハサミの肉をしゃぶり尽くし、下品だが舌に塗りつけるように執拗に味わう。イセエビに似た甘みがあってとてもおいしい。そして、ここからが本番だ。
いよいよお楽しみの水飲みタイム。
いよいよお楽しみの水飲みタイム。
水を口に含み、飲み下す。
甘いか…?甘いかな…?甘いような気もするけど…。
甘いか…?甘いかな…?甘いような気もするけど…。
…甘い…のか、これ?ほんのちょっぴり甘いような気もする…。いや、たぶんこれプラシーボとかいうやつだな。甘くなったような気がしちゃってるだけだ。

変だな。殻を割った方と割ってない方、計二匹も味わったのに水の変化を実感できない。なぜ。

割った方も割ってない方も、「味覚をおかしくする成分が」汁の中に溶け去ってしまったのだろうか。

刺身で食べると甘くなる?

店主に水の味に変化が無かった旨を伝えると、とても残念そうにしていた。せっかく島外からやってきた客なのだから、期待に応えたかったのだろう。いい人だ。

実のところ、水を甘く感じられるか否かを分ける要因は不確かで、彼にもその法則が完全にはわからないのだそうだ。

たとえば、以前にアマガニでダシを採って味噌ラーメンを作ってみたところ、スープが妙に甘くなってしまったことがあるという。

しかし、数え切れないほど作ってきたアマガニの味噌汁が甘くなってしまったことは無いのだとか。
アマガニの刺身を作る。サザエの殻をかなづちで叩き割り、本体を外へ追い出す。生の状態でもこの赤さ。
アマガニの刺身を作る。サザエの殻をかなづちで叩き割り、本体を外へ追い出す。生の状態でもこの赤さ。
と、思い出したように「そういえば、刺身で食べると比較的高確率で水が甘くなる気がする」というようなことを教えてくれた。刺身か。購入した三匹のヤドカリの用途が決まった。
刺身でおいしい身はこのくるっとカールした腹部に詰まっている。ほかの部位と違って硬い甲に覆われておらず、プニプニしている。
刺身でおいしい身はこのくるっとカールした腹部に詰まっている。ほかの部位と違って硬い甲に覆われておらず、プニプニしている。
皮を剥くと、美味そうな身がプリッと!
皮を剥くと、美味そうな身がプリッと!
ちょんと醤油をつけて、いただきます!
ちょんと醤油をつけて、いただきます!
腹の皮を剥いて、腹の身を引っ張り出す。ミソは生で食べるのは避けたほうがいいと聞いたので除く。これで刺身の完成。一匹からちょうど一口分の身が取れる。三匹分でもたった三口。

量としては物足りないが、味はねっとり甘く抜群においしい。やはりイセエビに通じるものがある。
やっぱり味はイセエビに似て最高!
やっぱり味はイセエビに似て最高!
さあ、今度こそ「甘い水」を体験できるに違いない!
食後に水を飲むと…!
食後に水を飲むと…!
ん~~~。やっぱり…。
ん~~~。やっぱり…。
…と信じていましたが、結果は同じでございました。うーん、この半端な結末は悔しい!!

内臓を食べるべきだった

アマガニこと城ヶ島のヤドカリは味噌汁でも刺身でもとてもおいしい食材だった。

しかし、食後に飲む水が甘くなるという事実を確認できぬままに原稿の締め切りを迎えてしまったのはとても残念で、悔しく、申し訳ないことである。

それでも城ヶ島へ出向くことはできないながらも情報を集め続けたところ、甘い水現象を味わうのに肝要なのはアマガニの内臓であることが分かった。ここにミラクルフルーツと似たような効果が得られる成分が含まれているそうだ。

よって、貝殻から取り出したアマガニを丸焼きにし、腹の身をミソとともに食べると、食後の水が甘くなりやすいとか。この記事を読んでアマガニに興味を持たれた方は、ぜひ一度試してみてほしい。僕も近々試します。
今度城ヶ島に行ったらアマガニやウツボ以外の魚介も食べたいな。これとか絶対美味いだろう…。
今度城ヶ島に行ったらアマガニやウツボ以外の魚介も食べたいな。これとか絶対美味いだろう…。
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