フェティッシュの火曜日 2015年2月24日
 

雪に閉ざされた廃村で雪下ろしをしてきた

冬季封鎖された道路を歩き、古民家の雪下ろしをしてきたという話です
冬季封鎖された道路を歩き、古民家の雪下ろしをしてきたという話です
長野県飯田市に「大平宿」という廃村が存在する。

かつては飯田と木曾を繋ぐ大平街道の宿場町として賑わったものの、昭和45年(1970年)の集団移住で無人となった集落だ。

廃村とはいえ江戸時代から明治時代の古民家が建ち並ぶ町並みは素晴らしく、しかも一泊2000円でそれらの古民家に泊まることができる、“宿泊できる廃村”である。

ただ、大平は山の中にあるので冬季は雪が積もり、大平へと通じる道路は閉鎖となる。その雪によって閉ざされた真冬の大平に、雪下ろしをしに行ってきました。
1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。
> 個人サイト 閑古鳥旅行社 Twitter

四度目の大平宿はまさかの冬季

私は大平宿が好きである。これまでにも三度訪れ、そのうちの二回について記事にさせて頂いた(「廃村に泊まる」「熟練者と行く廃村体験〜大平宿リベンジ」)。
五月の大平宿はこんな感じ
五月の大平宿はこんな感じ
石置屋根の古民家が並ぶ、素晴らしいたたずまいの廃村である
石置屋根の古民家が並ぶ、素晴らしいたたずまいの廃村である
先日、大平宿の保存活動をされている「大平宿をのこす会」(以下「のこす会」)のメンバーの方から「大平宿の雪下ろしをします」とのご連絡があり、それならばと私も参加させて頂くことになった。

なんでも、大平宿へと通じる県道は冬季封鎖中であり、途中から大平までは山道を歩くという。ちょっとした冬山登山になるとのことで、大変そうだが面白そうだ。

四度目の大平が真冬になるとは思ってもみなかったものの、雪に閉ざされた大平の光景は貴重だろうし、全力で楽しみたいと思った。

行けるところまで車で進み、そこから歩く

今回の雪下ろしの参加者は、私を含めて計9人。「のこす会」の方々以外にも、前述の記事の際にご一緒した中山さんなど、一般からの参加者も数多い。

大平街道の入口に集合した後、軽トラ二台と乗用車の三台に分かれて乗車。そのまま車で入れるところまで進み、そこから荷物を背負って大平まで歩くという寸法だ。
軽トラに荷物と装備を積み込み、いざいざ出発
軽トラに荷物と装備を積み込み、いざいざ出発
飯田の市街地にはほとんどなかった雪も……
飯田の市街地にはほとんどなかった雪も……
山道を進むにつれて多くなってきた
山道を進むにつれて多くなってきた
「のこす会」が持っている鍵で、冬季封鎖のゲートを開ける
「のこす会」が持っている鍵で、冬季封鎖のゲートを開ける
本来はこのゲートの辺りから歩く予定だったのだが、幸いにも前日に別の団体の方々が除雪車を入れており(大平で宴会をしたそうだ)、かなり奥まで車で進むことができた。
ありがとう、別の団体の方々とその除雪車
ありがとう、別の団体の方々とその除雪車
除雪されていない区間の少し手前で車を停め、準備する
除雪されていない区間の少し手前で車を停め、準備する
この装備で大平まで歩きます
この装備で大平まで歩きます
雪の上は、「のこす会」からお借りしたスノーシューとストックを使って歩く。スノーシューは登山靴に装着する現代版のかんじきで、足が雪に沈み込まず、かつ滑らないという優れものだ。

ちなみに私が被っている妙ちくりんな帽子は、インドのダージリンで買ったものである。見た目は変だが、とても温かい(歩き始めたら暑くなりすぎたのですぐに脱いだ)。
スノーシューの裏にはこのように歯がついている
スノーシューの裏にはこのように歯がついている
雪に足が沈まず、なおかつ雪を噛んでしっかり進める
雪に足が沈まず、なおかつ雪を噛んでしっかり進める
私以外の参加者は冬山登山の経験も多く、テキパキと準備を終えていた。一方で冬山登山の経験など皆無な私はスノーシューの装着にかなりもたつき、お待たせしてしまった。

結局は中山さんに助けて貰いながらスノーシューを履いていると、どこからともなく「左右を間違えていないだけでも大したものだ」という声が聞こえてきたりもした。

……スミマセン、正直いうとスノーシューに左右があること自体知りませんでした。左右が合っていたのは、完全にまぐれです。
それでは、大平に向けて出発進行
それでは、大平に向けて出発進行
道路に雪が1メートル以上積もっており、その断面がえらいコトになっていた
道路に雪が1メートル以上積もっており、その断面がえらいコトになっていた
途中の電柱には「送電するな」の文字が
途中の電柱には「送電するな」の文字が
電柱に対して「送電するな」とは何事かと思うが、その理由はすぐに判明する。程なくして道路にデデンと横たわる巨木が現れたのだ。
道の至る所で木が倒れているのである
道の至る所で木が倒れているのである
頑丈なフェンスもぐんにゃりと
頑丈なフェンスもぐんにゃりと
それも一箇所や二箇所ではなく、あちらこちらで倒木が起こっている。中には電線に引っかかっているものもあった。

これらの倒木によって電線が切れてしまい、送電を止めているのである。当然ながら、大平宿は停電中とのこと。
倒木ではその下を潜って進む
倒木ではその下を潜って進む
電線に引っかかっている倒木も。こりゃ送電できないワケですな
電線に引っかかっている倒木も。こりゃ送電できないワケですな
冬の大平街道の険しさを実感しつつ、どこまでも雪の積もった車道を歩く。

途中ではニホンカモシカを見たり(動きが早くて写真が撮れなかった)、雪の上に動物の足跡を見つけては、詳しい方が解説してくれたりと、楽しみながら歩くことができた。
出発から1時間半程で飯田峠(1235メートル)に到着。ここからは下り坂
出発から1時間半程で飯田峠(1235メートル)に到着。ここからは下り坂
大平の周りは落葉樹が多いので冬は眺めが良く、気分が昂揚する
大平の周りは落葉樹が多いので冬は眺めが良く、気分が昂揚する
ベテランの方は、スノーシューではなくスキーで滑っていた。楽しそう!
ベテランの方は、スノーシューではなくスキーで滑っていた。楽しそう!
3時間足らずで大平宿に到着した
3時間足らずで大平宿に到着した
予定では大平宿への到着は午後2時くらいだったのだが、前日に除雪車が入ってくれたこともあって、結局は正午前に到着することができた。

さぁさぁ、冬の大平はどのようになっているのだろうか、集落を散策してみよう。

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