ひらめきの月曜日 2015年3月16日
 

プリンターの残インクで鳥獣戯画を描く

使用済みインクカートリッジに残ったインクの、有効な活用方法です
使用済みインクカートリッジに残ったインクの、有効な活用方法です
仕事で使っているプリンターの、使用済みインクカートリッジが溜まりに溜まってきた。せっかくいっぱい溜まったので、そのまま処分してしまうのは何だか忍びない。

そこで、インクの搾りかすを集めて、鳥獣戯画を描くことにした。
1980年生まれ埼玉育ち。東京の「やじろべえ」という会社で編集者、ライターをしています。ニューヨーク出身という冗談みたいな経歴の持ち主ですが、英語は全く話せません。
> 個人サイト Twitter (@noriyukienami)

あの鳥獣戯画を描く、絶好のチャンス

なぜ鳥獣戯画なのか? そう聞かれると困るが、本来捨てるはずのインクの搾りかすを使うのだから心置きなく無駄遣いしたいと思ったのだ。今回を逃せば、鳥獣戯画を描く機会は二度と訪れないと思う。訪れなくても全く困らないけど。

ともあれ、まずはいつも仕事で使っているプリンターをご紹介しよう。
業務用と家庭用の中間くらいのやつです
業務用と家庭用の中間くらいのやつです
A3の出力やスキャンもできて重宝しているのだが、インクカートリッジの容量が小さく、すぐにインクが切れてしまうのが難点だ。気を抜くと、空のカートリッジが山のように溜まってしまう。
半年集め続けた空カートリッジの山
半年集め続けた空カートリッジの山
まあ集めたというよりは、捨てるのがめんどうで溜まってしまっただけなのだが、それでもこれだけ数が揃うとちょっと凄いぞ。
並べてみると、なんだか壮観だ
並べてみると、なんだか壮観だ
分解してみた
分解してみた
カートリッジを分解してみると、中は内部はいくつかの小部屋に分かれていた。なんか無駄なスペースが多いような(=もっといっぱいインクが入るような)気もするが、きっとこれがインクを効率よく充填するための絶妙な設計なのだろう。
真ん中の方にインクが少し残っているのが分かる
真ん中の方にインクが少し残っているのが分かる
ちなみに、本題とは関係ないが、カートリッジの側面についていたICチップがかっこよかったのでひとつひとつ外して並べてみたら、思った以上にフォトジェニックだった。(※基盤には素手で触らないでください)
ひとつひとつはゴミでも、数集まるとアートっぽくなるという発見
ひとつひとつはゴミでも、数集まるとアートっぽくなるという発見
人類に反旗を翻すコンピューターの図(に見えなくもない)
人類に反旗を翻すコンピューターの図(に見えなくもない)
『火の鳥』のロビタを思い出しました
『火の鳥』のロビタを思い出しました
ちなみに半年間で溜まった空のカートリッジの数は、ブラックが12個、イエローが17個、シアン(青)が17個、マゼンタ(赤)が19個だった。これだけあれば、搾りかすといえどもかなりの量になるんじゃないだろうか。
というわけで、ひとつひとつ分解し、
というわけで、ひとつひとつ分解し、
フィルムを剥がして中に残ったインクを取り出していきます
フィルムを剥がして中に残ったインクを取り出していきます
しかし、途中からいちいちフィルムを剥がすのがめんどうになってきたので、インクが溜まっている部分のフィルムをカッターで切るスタイルに変更した。
残インクが溜まっているのは、空カートリッジのこの部分
残インクが溜まっているのは、空カートリッジのこの部分
マグロでいうところのトロの部分である。ここに刃を入れると、うまみ成分、ではなくインクがじゅわーっとしみだしてくる。
トロだ!
トロだ!
こんな感じでコツコツインクの残りかすをかき集めていったところ、19個のカートリッジから推計10ミリリットル程度のインクが採取できた。カートリッジの容量が30ミリリットル程度らしいので、あと38個で満タンになる。
ちなみに他の色もほぼ同じくらいの量が
ちなみに他の色もほぼ同じくらいの量が
ちなみにインクが切れたからといって
ちなみにインクが切れたからといって
空のカートリッジに充填しても再利用はできませんのでご注意ください(というか、そもそも充填できない)
空のカートリッジに充填しても再利用はできませんのでご注意ください(というか、そもそも充填できない)
さて、本題に入ろう。鳥獣戯画である。

鳥獣戯画は墨だけで描かれているので、本家にならいブラックのインクを使用する。ちなみに鳥獣戯画は全4巻から成る壮大な絵巻物。12個の使用済みカートリッジから絞り出したわずかなインクで、どこまで描けるのか? 読者のみなさんも大いに気になるところだろう。
搾りたての新鮮なインクをたっぷりつけて、
搾りたての新鮮なインクをたっぷりつけて、
甲の巻から描いていく
甲の巻から描いていく
あ、ひとつ断っておくが筆者の絵は小二で成長のピークを迎え、その後まったく上達していない。つまり、ド下手なので間違っても出来栄えに期待なんてしないでください。
鳥獣戯画、甲巻はウサギやサル、カエルたちが登場。人間さながらユーモラスに遊ぶ姿が描かれる
鳥獣戯画、甲巻はウサギやサル、カエルたちが登場。人間さながらユーモラスに遊ぶ姿が描かれる
日本最古の漫画ともいわれるだけあって、非常にユーモラスなシーンが多い。セリフがないぶん、大いに想像力を掻き立てる名作だ。いやまあ、名作どころか国宝なんだけど。

要するに鳥獣戯画はすごく面白いということだ。ジャンプだったら早々にアニメ化されていることだろう。
小2の画力でも伝わるほどユーモラス
小2の画力でも伝わるほどユーモラス
猿の僧侶に鹿の貢物をする兎。ナゾの階級制度がそこにある
猿の僧侶に鹿の貢物をする兎。ナゾの階級制度がそこにある
残念ながら甲の巻を半分ほど描いたところでインク切れとなった
残念ながら甲の巻を半分ほど描いたところでインク切れとなった
法要のシーン。お経を読む今袈裟姿の猿と、本尊に扮した蛙。涙をぬぐう狐の参列者。カオスである
法要のシーン。お経を読む今袈裟姿の猿と、本尊に扮した蛙。涙をぬぐう狐の参列者。カオスである
鳥獣戯画の有名なひとコマ。兎と蛙の大相撲。愉快だ
鳥獣戯画の有名なひとコマ。兎と蛙の大相撲。愉快だ
1巻の半分を描いたところで残念ながらインクが切れた。カートリッジ12個分の残インクで1巻半だから、全巻描き切るには空のカートリッジが少なくともあと84個必要ということになる。続きを描くためにも、仕事を頑張ろうと思った。
また空のカートリッジが溜まるころには、鳥獣戯画を床いっぱいに並べられるオフィスに引っ越していたいです
また空のカートリッジが溜まるころには、鳥獣戯画を床いっぱいに並べられるオフィスに引っ越していたいです

完成まであと3年以上かかる

というわけで、使用済みインクカートリッジの中には、じつはけっこう余力が残っているということが分かった。

ちなみに半年で溜まったのが12個だから、全4巻の完成に至るまでには最低あと3年半はかかることになる。これは思った以上の大作になりそうだ。

そんなに待てないという人は、2015年4月28日〜6月7日にかけて、上野の東京国立博物館にて「鳥獣戯画展」が開催されるそうなのでそちらを観に行くといいだろう。
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