特集 2015年4月8日

激辛グルメ日本一決定戦で辛さに勝ちたい

尋常じゃないみたらし団子がある祭り。
尋常じゃないみたらし団子がある祭り。
激辛グルメ日本一決定戦というイベントが京都で開催されるらしい。

なにそれ、すごい行きたい、でも、激辛グルメ日本一というほどだ、それはそれは辛いんだろう。行きたいけれど、辛すぎてツライ…。みたいなことには絶対になりたくない。

激辛って言っても、温泉卵をタップリと絡めたら案外いけたりはしないだろうか。辛さ対策を万全にして日本一に立ち向かってみた。
1983年三重県生まれ、大阪在住の司法書士。
手土産を持参する際は消費期限当日の赤福で受け取る側に過度のプレッシャーを与える。

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> 個人サイト owariyoshiaki.com

激辛グルメ日本一決定戦「KARA-1グランプリ」

激辛グルメ日本一決定戦が行われるのは京都府の向日市。「激辛商店街」と銘打っていろんな業種のお店がそれぞれの激辛メニューを提供しているという関西では有名な激辛の街だ。

その激辛商店街の年に一回のお祭りが、この激辛グルメ日本一決定戦「KARA-1グランプリ」。
予想以上の人出にビックリ。
予想以上の人出にビックリ。
激辛商店街では尋常じゃない辛さの料理が提供されると評判で、それがもう、君、祭りともなると、どうなってしまうのか!?とビビりつつ来たら予想外のホンワカムード。

来るまでの道すがら「きっと激辛すぎて子供とか来れないよな」とか言っていたのが滑稽である。
競輪のレーンの真ん中にまさかテニスコートがあって、和気あいあいとしているとは夢にも思わなんだ。
競輪のレーンの真ん中にまさかテニスコートがあって、和気あいあいとしているとは夢にも思わなんだ。
しかも会場は競輪場なのだ。オッサンとカップ酒のイメージなのに現実はとても和やか。来るイベントを間違えたのか激辛感は無く、うすら甘い。
予想に反してみたらし団子とか売ってたりするし。
予想に反してみたらし団子とか売ってたりするし。
売られている商品も予想とは違い、みたらし団子など激辛とは程遠い商品も売られており…
なにこれ、真っ赤
なにこれ、真っ赤
いや、なんか地獄みたいなのがあるぞ。

唐辛子スイーツ

甘辛い餡に浸かっている団子は入浴中っぽいリラックス感を漂わせているが、激辛餡に漬けられた団子は拷問感がすごい。色んな粘膜が痛そうだし、団子って全体が粘膜みたいな質感だから大変そう。
安心する見た目と、不安になる見た目。
安心する見た目と、不安になる見た目。
いてもたってもいられずに真っ赤なみたらしを買ってきた。見た目にも禍々しいみたらし団子。漬かっている時にはかわいそう、って思ったのに単体で現れると怖い。

しかし、恐る恐る食べてみると美味い。初めに辛味が来るが、スッと流れていって団子の甘みと香ばしさが残る。続く一口で、再度辛味と甘みが出会ってそれぞれが引き立てられる。塩スイーツってあるけれど、唐辛子スイーツって感じ。
三日月マンも美味いって言っていた。
三日月マンも美味いって言っていた。
あんな地獄みたいな見た目に反してそんなに辛くない。激辛には程遠く、ピリ辛といったところ。辛さに対抗したい!と意気込んできたのに、こんな感じなのだろうか。
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大体、程よくピリ辛で美味い

出店ブースはたくさんある。みたらし団子はあまり辛くなかったけれど他は激辛でヤバいのではないか→ 答え:だいたいピリ辛でした~。
これはヤバそうな感じがするぞ。辛そうだぞ、汁なし担々麺。なんたって、汁無いからな。
これはヤバそうな感じがするぞ。辛そうだぞ、汁なし担々麺。なんたって、汁無いからな。
激辛グルメ日本一決定戦というタイトルに惹かれて来たが、「激辛の日本一」を決めるのではなく「激辛グルメカテゴリの日本一」を決めるものだったようだ。
むしろ甘め。美味いけど。美味いけど、むしろ甘め。
むしろ甘め。美味いけど。美味いけど、むしろ甘め。
そして、激辛グルメといってもどの店もそこまで(ほとんど)辛くない物も用意していて子供連れが多いのも頷ける。

想像では、どのお店も激しく辛くて「めっちゃ辛いけどあっちよりマシ」とか、「ここだけはムリ」みたいなところが多くて、食べていくごとに体力が削られていく、みたいなのを想像していたので安心したんだけれど、あまり辛くないと肩透かしを食ったようで、もっと辛いのは、辛すぎるのは無いのか!と求めてしまう。
アンコを薄切り豚肉で巻いて揚げた食べ物。揚げまんじゅうに動物性油脂とタンパクの旨みが加わった感じで普通にうまい。
アンコを薄切り豚肉で巻いて揚げた食べ物。揚げまんじゅうに動物性油脂とタンパクの旨みが加わった感じで普通にうまい。
が、見て回るほどに、食べ進めていくほどに、まぁ、いいかと思わされる。辛さに釣られてやってきたけれども辛さよりも安さが凄いのだ。

良心的すぎるイベント価格

カレー100円。というか、なぜドン・キホーテがいる。
カレー100円。というか、なぜドン・キホーテがいる。
イベント事だからある程度のお祭り価格は覚悟していたのだが、見事に裏切られた。カレーが100円。担々麺も100円だった、汁なし担々麺は200円。まさかの町内会の夏祭りレベル。
チキン南蛮。200円。
チキン南蛮。200円。
本当に何品も食べ周りが出来る価格と量。食べ比べて投票するイベントで一品800円位して、「そんなの、たまたま買った一商品にしか投票出来ないだろ…」というようなイベントとは違う。
麻婆丼でも300円。全体的に見た目は地獄っぽい。
麻婆丼でも300円。全体的に見た目は地獄っぽい。
一律の値段が決められてないが故に、ガチでナンバーワンを取りに来た勢力がサービス価格で攻めて、ライバルも対抗して、そっちにばっかり客が集まるから周りも値下げをして…。という状況が発生していて、過当競争…!と思わされる。
なんか、肉盛り盛りのわさびいなり。200円。
なんか、肉盛り盛りのわさびいなり。200円。
採算がとれているのか、とれてないと思うんだけど、人気投票上位だったらそんないいことあるのかな?と考えながらも単純に食べ歩きを楽しんでいる。
色々食べられて、楽しさ溢れる。
色々食べられて、楽しさ溢れる。
辛い。という一つの方向性を作るとこんなにも沢山の人が盛り上がれる、とても素晴らしいことだと…
あっ、すごいの来た!!!!!!!
あっ、すごいの来た!!!!!!!
とか、思っていたら段違いに辛いヤツがあった。ヤバいやつがあったぞ…ッ!!
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危険なレベルの辛さが現れた

心臓麻痺たこ焼き。美味さ、とかいう部分は捨て去っている。
心臓麻痺たこ焼き。美味さ、とかいう部分は捨て去っている。
イベントの楽しさに緩んでいた気持ちにズバッと来たヤバい辛さ。それが心臓麻痺たこ焼きだ。商品名からして「病名+料理名」である。味とか説明する気が無い。
20年前のギネス記録、ハバネロは「辛いもの好きの方なら全く辛くないレベル」らしい。20年前の辛いもの好きの方は、辛いという感覚を覚えたことがなかったことにならないか。
20年前のギネス記録、ハバネロは「辛いもの好きの方なら全く辛くないレベル」らしい。20年前の辛いもの好きの方は、辛いという感覚を覚えたことがなかったことにならないか。
説明を見ると、ギネス記録レベルの辛さらしく、数字で攻めてくる。ハバネロの約8倍の辛さ。辛さを何倍とか言われても想像がつかない。
リアクションの薄い人の辛がりかた
リアクションの薄い人の辛がりかた
試しに食べてみると、初めはどうということはなく辛いというよりも酸っぱい。が、しばらくしてからドッと頭皮の毛穴が開くのが分かる。辛い、熱い、痛い、全身が興奮状態になっているのが分かる。やばい、これはやばいぞ。
リアクションのいい人の辛がりかた。
リアクションのいい人の辛がりかた。
たしかにこれは辛い。暴力と紙一重の辛さ、Wikipediaによると、護身用の唐辛子催涙スプレーよりも辛いらしい。これ、食べていいんだろうか。やはり、こういう一面も持ち合わせていたか、kara-1グランプリ。

こうなったら負けるわけにはいかないな。

温泉卵のまろやかさで対抗

危険なくらいの辛さがついに登場した。辛い思いをしたくない!と対抗策を用意してきたが、せっかく持ってきたんだから使いたい、待ってました!という気持ちも大きい。俺はギネス記録レベルの辛さと戦うのだ。
絶対にまろやかに見えるだろう。
絶対にまろやかに見えるだろう。
まず一つ目の対抗策は温泉卵。辛さ対策の定番で、カレーの辛さ調整などにも使われる。半熟卵の黄身のまろやかさ、これなら辛さを押さえ込めるだろう。
遠くを見てしまうよね。
遠くを見てしまうよね。
いけたッ!と思った。食べた瞬間すごくまろやか。が、それもつかの間、あっさりとまろやかの衣を突き破ってくる辛さの暴力に為す術もなかった。薄い、温泉卵のまろやかさの防護壁はものすごく薄い。

温泉卵はオブラート位の効力しか無かった。
温泉卵だと思ってゆで卵割った。
温泉卵だと思ってゆで卵割った。
二個買っておいてよかった。
二個買っておいてよかった。
ちなみに、温泉卵とゆでたまごを同じ列の前後の位置で陳列していたファミリーマート許さない。
辛さの抑えられ具合
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(1割位は押さえられた)

チーズのまろやかさで以下省略

温泉卵が敗れたか…。しかし奴はまろやかさ四天王でも最弱…。とか言いながらチーズを出してきた。チーズのまろやかさならどうだろうか。
手巻き寿司感がすごい
手巻き寿司感がすごい
が、チーズもあっさりと辛い。全然、普通に辛い。まろやかに包み込む、みたいな方向性では抑えきれない鋭さ。ギネス級の辛さとは、切れたナイフみたいな存在である。
辛さの抑えられ具合
★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(1割位は押さえられた)

最辛には最甘で

これくらいの、サーモマグに
これくらいの、サーモマグに
いっぱいまで砂糖を入れます。
いっぱいまで砂糖を入れます。
辛さ対策が予想外に歯が立たなくて驚く。相手は今まで知っている辛さではない。こっちも限界を超えなければならないのではないか。
そこに、少しだけお水を入れます。ぜんっぜん溶けない。
そこに、少しだけお水を入れます。ぜんっぜん溶けない。
「辛さ対策には何がいいでしょうか?」と当サイトライター達に聞いてみたら文具ライターのきだてさんが「ものすごく甘い砂糖水が一番ですよ」というので作ってみた。
飲みくちが砂糖で埋まりそう。
飲みくちが砂糖で埋まりそう。
ギネス級の辛さは超えられるか。
ギネス級の辛さは超えられるか。
どれくらい砂糖を入れたらいいのかわからなかったのでいっぱい入れてみたら全く溶けていないが、効果としては同じだろうか。
うょえ~~~~~~
うょえ~~~~~~
衝撃的な甘さ!舌が感じられる甘さの限界を超えて脳が溶け出していく。何も考えられず、なんの刺激も感じない、バカになっていくのが分かる。脳がバカになって辛さすらわからないのだ。

すごいぞ、砂糖水!辛さに対して甘さだ!って発想、アホっぽいな…。と思っていたが、砂糖水を飲んだらそれ以上のバカになってギネス級を超えたッ…!
辛さの抑えられ具合
★★★★★★★★☆☆
(8割位は押さえられた(ただしバカになる))
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たこ焼きにチョコ乗っけると意外とうまい

甘さでの対抗が効果的だとわかった。ならば、手軽にチョコレートだとどうだろうか。
チョコレート落としちゃった感が否めない。
チョコレート落としちゃった感が否めない。
キワモノっぽい見た目だが、なんと、食べてみると美味しかった。チョコの甘さと脂肪分で辛さのトゲが取れて、マイルドに辛い。辛さは感じるけれど、スパイシーなイメージでこれなら食べやすい。

手軽さを考えるとかなり効果的な気がするぞ。
辛さの抑えられ具合
★★★★★★☆☆☆☆
(6割位は押さえられた(先入観をなくせば美味い))

美味くしちゃえばいいのでは

ここまで食べてきて思ったが、ムリに辛みを抑えようとするよりも別の要素を強くするほうがいいのではないかと思い始めた。
魔法の粉で勝負だ。
魔法の粉で勝負だ。
芸能人を生で見るとすっげぇ可愛い!とか思うけれど、芸能人だらけのテレビの中だと特定の一人だけ飛び抜けて可愛いとは思わないだろう。飛び抜けるからこそ目立つのだ。

異常なほど美味くしちゃえばそこまで辛さだけを感じないのではないだろうか。
うっめぇ!すっげぇうめぇ。
うっめぇ!すっげぇうめぇ。
その仮説のもとに、味の素をいっぱい振りかけて食べてみると、美味い。ビックリするほど美味い。旨み!旨み!

旨みも先ほどの仮説と同じで、味の素だけ食べると美味くないのにいっぱいかけたたこ焼きはめちゃくちゃ美味い。辛味が旨みと上手く拮抗して美味くなっているのだろうか。
上手く拮抗して辛い。
上手く拮抗して辛い。
これは、来たぞ、仮説通りか!?と思ったら辛い。結構辛い。あっ、かなり辛いわ。飛び抜けてはなくともきちんと実力は見せてくる。
辛さの抑えられ具合
★★★★旨旨☆☆☆☆
(4割位は押さえられた(かなり美味い))

辛いならご飯を食べればいいじゃない

たこ焼きがすごく辛い、ならば、ご飯を食べればいいんじゃないか。
ただのペース配分の問題なのではないか
ただのペース配分の問題なのではないか
たこ焼きを単体で見るからダメなのではないか。考えてみるに、塩鮭なんて単体で見るとかなり塩っ辛い。塩鮭だけで食べようとするとムリ!ってなるが、ご飯と一緒だと最高だろう。
ご飯配分多めにしたらイケるはず。
ご飯配分多めにしたらイケるはず。
このたこ焼きも同様で、そもそも単体で食べるものじゃなかったのではないか。おかずだったのだ。味が濃い目ですごくご飯の進むおかずなのだ。
あっ、これ、辛くない。
あっ、これ、辛くない。
たこ焼きの攻撃力が高いために、かなり多めのご飯といくと辛くない。ご飯からたまに攻撃性の高い部分が現れるが、その後ご飯を食べると癒やされていくのが分かる。

美味いし、優しい。ご飯は優しい。たこ焼き一個でお茶碗一杯分以上のご飯が必要となるが、そこさえクリアすればご飯はかなり有力ではないかと思う。
辛さの抑えられ具合
★★★★★★★★☆☆
(8割位は押さえられた)

じゃあ全勢力を投入すれば?

ギネス級の辛さだというたこ焼きだけれど、意外にも身近なご飯とか砂糖である程度辛さを抑えることが出来た。ならば、全勢力をかけたらば完全に抑えられたりはしないだろうか。
何だこの見た目は
何だこの見た目は
完全に並べる順番を間違えた状態だが、辛味抑え効果は同じである。チョコの甘味、味の素の旨み、砂糖と温泉卵のまろやかさ、ご飯の優しさを合わせたら、ギネス級の辛さにも…。

勝てませんでした。辛くて甘くてまろやかなあまり美味しくないものになってしまった。単体の能力だけでなくバランスも重要だったようだ。

辛さ対策といえばチーズ、温泉卵、そう思っていたがそれは通じぬ領域があるということを今回はじめて知った。辛味を感じづらくするにはまろやかさなどで抑えるのではなく他を強めて紛らわせる。

なので他の手法としては、熱湯に入りながら辛いものを食べる。とか、鎮痛剤を飲む。とかいう方法もあるんじゃないかと思うけれどでも完全にオススメしません。

ベストは、自分の許容範囲以上辛いものを食べなければいいと思います。
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