はっけんの水曜日 2015年4月29日
 

スマホを持って墓巡りすると超楽しい

地味な写真が続くぞー
地味な写真が続くぞー
どういうわけか、切手を集めるとか、古地図を持って廃線跡とたどるとか、そういう地味な趣味に心ひかれる。

墓巡りもまた地味と言われがちな趣味だと思う。

今日は、そんな地味の塊のような墓巡りという趣味にスマホを持っていくだけで何十倍も興奮できるぞという、ライフハックをプレゼンしたいと思う。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。
> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

墓碑=QRコードという考え方

有名人のお墓をお参りするという趣味はむかしからあり、かつては「掃苔(そうたい)趣味」などと言ったらしいが、今では「墓マイラー」なんて言葉もあるほどのメジャーな趣味である。
これぐらい有名だったら検索しなくて知ってるけど……
これぐらい有名だったら検索しなくて知ってるけど……
ただ、大きな霊園に行くと、名前がよく知られた、歴史の教科書に載ってるような有名人の墓だけではなく、墓地はやたら立派なのに失礼ながらお名前を存じ上げない方のお墓もたくさんある。

そんなとき、むかしは己の知識の浅さをうらみつつ手を合わせて立ち去るだけだったのだが、スマホが登場してから様子がガラリとかわった。

その場で検索できるのだ。

墓碑に書いてある名前を頼りに、スマホで検索すると、その方がどんな方だったのか、たちどころにわかる。

よく、街なかに観光案内用のQRコードが貼り付けてあるポールが立っていたりするけれど、お墓に刻まれた名前も同じことである。

スマホがあれば、知らない人でも検索してその人の遺徳が偲べるという、スマホとインターネットの有能さここに極まれりといったライフハックである。

谷中霊園でお墓巡り

というわけで、谷中霊園にやってきた。
都会のオアシス、谷中霊園
都会のオアシス、谷中霊園
谷中霊園に埋葬されている有名人というのは、事前に予習して行けばわかるのだが、それでは面白くないので、予習せずに墓地内を散策し、気になったお墓の名前を検索してお参りするのがいい。

そうすると、偶然見つけたこのお墓が、実はあの人のお墓! という「探し当てた感」が味わえるので、面白さが増すのだ。

例えば、こちらの墓石。「理学博士矢田部良吉」と書いてある。
りっぱなお墓だけど、存じ上げない方のお墓
りっぱなお墓だけど、存じ上げない方のお墓
失礼ながらぼくは存じ上げないのだが、理学博士ということはおそらく何らかの名を残されている方に違いない。

そこでスマホの登場である。

調べてみると、明治時代の植物学者、詩人で、東京大学の初代植物学の教授。1899年に鎌倉沖で遊泳中に溺死。47歳で死去。というところまでわかってしまった。
おー、ウィキペディアに載ってるひとだ!
おー、ウィキペディアに載ってるひとだ!
さすがウィキペディア、肖像写真まで載っている。

「これ、この感覚ですよ、なんかうおぉーってなりません?」 と、同行してくれたライターのきだてさんに聞いてみた。
あー、なるほど
あー、なるほど
「あー、なるほど」と、微妙な同意。

きだてさんの気持ちがまだグルーヴしないのは仕方ない。わかります。

もっと「これ」っていうお墓見ないと、うぉーってならないですよね、探しましょう。
とりあえず、ネットに情報があってもなくても、手は合わせておく
とりあえず、ネットに情報があってもなくても、手は合わせておく

お相撲さんのお墓があった

めぼしい墓石を検索しながら歩いていると「出羽海谷右衛門」と書いてある墓石を見つけた。
「出羽海」ってどう考えてもお相撲さんだよなー
「出羽海」ってどう考えてもお相撲さんだよなー
相撲にあまり詳しくないぼくでも「出羽海」といえばお相撲さんかな? ぐらいはわかるのだが、谷右衛門ってのがわからない。

お相撲さんならネットに情報があるのでは? と、調べた結果、なんと横綱・常陸山のお墓であることがわかった。
明治時代の横綱だー
明治時代の横綱だー
おもわず「わー!横綱だ!」と素直すぎる感想を絶叫をしてしまう。

常陸山といっても、われわれにはピンとこないけれど、好角家にとっては「角聖」と呼ばれるほどの人物で、興行にすぎなかった相撲を国技とよばれるほどの人気スポーツに押し上げた人物として知られているらしい。(ウィキペディア情報)

私鉄の鉄道会社で例えたら、たぶん阪急電鉄ぐらいかな? と思ったけど、余計わかりづらい例えになってしまった。
よくみると寄進した横綱や大関の名前が彫ってある
よくみると寄進した横綱や大関の名前が彫ってある
常陸山は戦前、弟子とともに渡米し、ホワイトハウスで横綱土俵入りをしたとか、そういうどうでもいい小ネタが読めるのも、スマホで検索しながら墓巡りの楽しさである。

おっちゃんに長谷川一夫の墓を案内してもらう

常陸山の墓の前で手を合わせていると、知らないおっちゃんがやってきて、親切に「ここね、横綱のお墓なんだよ」と教えてくれた。

「今、お墓の名前を検索しながらお墓めぐりしてるんです」と伝えると「じゃあ、長谷川一夫の墓みたか? 案内しようか?」と案内役を申し出てくれたので、案内してもらうことに。
こっちの方だよ
こっちの方だよ
このおっちゃん、散歩がてらに墓巡りしている観光客によくお墓を案内しているようだ。

しばらく歩くと、おっちゃんの指差す先に小さな墓石。たしかに「長谷川家」と書いてある。
知らないおっちゃんと一緒に手を合わせる
知らないおっちゃんと一緒に手を合わせる
長谷川一夫。名前は知っているけれど、われわれより下の世代はよく知らない俳優である。「スター」を「スタア」と書いていたころの俳優だ。

こういう時にもやはりスマホの検索が役立つ。
反射して見づらいけど、長谷川一夫を検索しています
反射して見づらいけど、長谷川一夫を検索しています
長谷川一夫の当時の人気ぶりはものすごく、「ミーハー」という言葉が「みつまめと林長二郎(長谷川一夫が昔使っていた芸名)大好き人間」を略したのが語源という説があるほどだ。

もっともこの語源にかんしては、おそらく後世のこじつけだと思われるが、それほどの人気があったという証左である。

その人気をコンビニに例えたら、セブンイレブンかローソンレベルであり、決してセーブオンやポプラのそれではない。

偶然見つける超有名人の墓

俳優といえばこんな人の墓もみつけた。
森繁……まさかなー
森繁……まさかなー
墓石に書かれた「森繁家」の文字。

森繁ってもしかしてあの? いやまさかと思い、念のため墓誌を確認してみると「平成二十一年十一月十日没 森繁久彌 享年九十六歳」と書いてある。

やっぱり、あの森繁久彌のお墓だ。
長谷川一夫と違い、写真がカラー
長谷川一夫と違い、写真がカラー
森繁久彌はさすがに知っているし、テレビで何度も見たことがある。知床旅情は大好きな歌だ。

こんなところで会えるとは感激です! 合掌。
合掌
合掌
町で有名人に偶然出会うとうれしい感覚と同じである。予習せずに墓巡りする楽しさはここにある。

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