ちしきの金曜日 2015年5月22日
 

長さ1km超・日本四大防壁団地

東京には長さ1.1kmの団地があります。しかもこれ、ファイアーウォール!
東京には長さ1.1kmの団地があります。しかもこれ、ファイアーウォール!
東京は墨田区に直線距離にして長さ1.1kmあまり、高さ40mの「防火壁」がある。上の写真がそれだ。

そう、これ団地なのだ。いざというときファイアーウォールにトランスフォームするというびっくり団地。

今回はこれに加えほか3つの巨大壁団地をご紹介したい。名付けて「日本四大防壁団地」だ。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。

前の記事:「香港は滑りがち 〜「小心地滑」観察」
人気記事:「高級マンション広告コピー「マンションポエム」を分析する」

> 個人サイト 住宅都市整理公団

すごい。

この防火壁団地は都営白髭東アパートという(一部 東京都供給公社)。その名の通り、東京都によってつくられた。ちなみに都営の団地はみんな「アパート」と名付けられている。つまりこれは長さ1km超の「アパート」だ。すごいアパートだな。

1975年着工、1982年竣工。東京で暮らしている人でも、あまり知らないと思う。みんな一度は見た方がいいと思う。ほんとびっくりだから。
ぼくは初めて見たとき、震えた。
ぼくは初めて見たとき、震えた。
真ん中あたりで左右を180度ぐるりと見ると、こんな感じ。すごい。
真ん中あたりで左右を180度ぐるりと見ると、こんな感じ。すごい。
ほんとすごい。何度見ても感動。何度も見に行ってるんですよ、ぼくは。

最寄り駅は鐘ヶ淵駅。カネボウ創業の地である(もとは「鐘淵紡績」でカネボウ。カネカも「鐘淵化学」だったのでこの名に)。
赤い線で囲った部分が白髭東アパート。
「淵」の名の通り、河が蛇行して複雑に水っぽい。航空写真を見てもそれが分かるだろう。古くから川が氾濫して水害に悩まされた場所で、上の航空写真東側の荒川はその対策として掘られた人工の河だ。

よく見ると東武スカイツリーラインの堀切駅から鐘ヶ淵駅までの荒川沿い部分が妙に無理してる感じ。これはあとからできた荒川放水路によって進路を変えられた跡だ。
iPhoneアプリ「時層地図」で当該エリアの「大正5年〜10年」を表示した様子。荒川放水路をまさに作ってる最中。東武線が荒川によってルートを変えられようとしているのが分かる。
iPhoneアプリ「時層地図」で当該エリアの「大正5年〜10年」を表示した様子。荒川放水路をまさに作ってる最中。東武線が荒川によってルートを変えられようとしているのが分かる。
で、水害だけじゃなくて、ここらへんは大地震の際にはたいへんな火事になることが予想されていて、その対策としてつくられたのがこの防火壁団地というわけだ。

この団地と隅田川の間部分は広い公園になっている。ここはいわゆる防災公園で、付近住民がいざというときはここに避難する。
西側、隅田川サイドの公園から見た様子。こっちがわの眺めもすごい。
西側、隅田川サイドの公園から見た様子。こっちがわの眺めもすごい。
延焼を食い止め、避難してきた住民を火の手から守るのがこの団地というわけだ。関東大震災では火の手に追われ追い詰められて隅田川に落ちてなくなった方が1万人もいた。その教訓が物体となって表れているのがこの団地というわけだ。荒川放水路といい、東京は災害の記録媒体だな。
あらゆる開口部が防火シャッターで塞がれる。
あらゆる開口部が防火シャッターで塞がれる。
東側と西側を通り抜ける箇所にはこんな門が。これもいざというときには「ゴゴゴゴ……」って閉まる。デザインもいかにもって感じですごい。
東側と西側を通り抜ける箇所にはこんな門が。これもいざというときには「ゴゴゴゴ……」って閉まる。デザインもいかにもって感じですごい。
一箇所、都道が貫いている部分があるんだけど、そこもこんな。
一箇所、都道が貫いている部分があるんだけど、そこもこんな。
ベランダにもシャッターが付いていて、いざというときは降りてくる。この団地はほんとうに完全に一枚の壁になるのだ。可動式のプラモデルとか欲しい。「1/144 白髭東アパート」。
ベランダにもシャッターが付いていて、いざというときは降りてくる。この団地はほんとうに完全に一枚の壁になるのだ。可動式のプラモデルとか欲しい。「1/144 白髭東アパート」。
で、さらにすごいのはこの団地、攻めの活動も行うのだ。なんと放水銃が各所に付いている。

 ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓