ひらめきの月曜日 2015年5月25日
 

少女マンガ誌のTシャツモデルになった日

あこがれのモデルデビュー…?
あこがれのモデルデビュー…?
以前「新しい壁ドン」の記事で縁があった講談社の少女マンガ誌「デザート」の編集部からあるオファーがぼくのもとに届いた。内容は服を着たモデルである。

あまりに唐突な話過ぎて「服を着た」などという冗長な説明を入れてしまった。

もう一度言おう。「モデル」。しかもカラーページで見開き、企画のメインビジュアルだという。……罠か?
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。

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着るのは鯖のTシャツ

罠ではないらしい。

言うまでもなく人生初のモデル仕事の依頼である。しかも少女マンガ誌。たぶん10回くらい人生を繰り返しても初めてのままだろう。

凡夫たるぼくがモデルだなんて身の程知らずとも感じつつ、せっかくのお誘いに是非にと承諾した。

デザート編集部内でどういう紆余曲折があったのかわからないが(きっと相当な紆余曲折があったのだろう)、もしかしたらあの壁ドンがかなりよかったのかもしれない。
実績はこれしかない。(壁ドンする(される)様子)
実績はこれしかない。(壁ドンする(される)様子)
で、なんのモデルかというと、こんどデザート全作品のオリジナルTシャツプレゼントが実施されるそうで、そのTシャツを着るのだという。

そしてそのうち僕が着るのがこのTシャツ。
鯖(さば)
鯖(さば)
「鯖」である。

なんのことやらと思いきや、漫画「3D彼女(リアルガール)」の主人公「つっつん」が作品内で着ているシャツが元だそうだ。いわばコスプレである。
たしかに着ている!©那波マオ/講談社
たしかに着ている!©那波マオ/講談社
彼は「オタクだったがリア充女子と付き合うようになった少女漫画界最弱男子」なのだそう。今回はぼくが彼つっつんになりきって撮影に挑むことになる。

「少女漫画界最弱男子」の通り名(?)には惹かれるものがある。たしかに漫画を読んでみるとセリフに「……」が多くてシンパシーも感じる。
だが根本的にぼくと似ているところといえば、メガネをかけていて髪の毛がぼさっとしているところだけでは……。

大丈夫か?

今日からモデルです

いったん引き受けた仕事である。不安な気持ちと浮かれそうになる気持ちを抑え、きちんとその責務を全うする必要がある。

とりあえずモデルだし、顔パックというものをしておくか(浮かれてる)。
これが本当にダサいTシャツだぞ!と本家に負けない気持ちで。
これが本当にダサいTシャツだぞ!と本家に負けない気持ちで。
パックが果たしてお肌に効果があるのかわからないがなんとなく効いた気がする。

そういえば依頼のメールには「ジーンズとスニーカーは自前のものを用意してください」との指示があった。自前の服はかなり着古しているが大丈夫だろうか。

なので友人数人に「今度モデルやるんだけどさー、『自前の』って言われたんだけど、新しいの買ったほうがいいかなあ……?」と尋ねてみる。

というか質問するフリをした自慢だ。答えは聞いていない。けっきょく服は新品を用意した。
服は新品を揃えた(言われていない靴下も)
服は新品を揃えた(言われていない靴下も)
撮影前数日は浮かれていたのだが、やはり撮影前日となるとかなりそわそわしてきた。こんな自分が紙面に載ってしまっていいのだろうか。

そんな気持ちを落ち着けるように、そして「少しでもキレイに写りたい!」という乙女心から、普段ならちょっと効果を疑っている美容ドリンクにも手を出してしまう。
効くか効かないかじゃなく「効いてくれ」という思いで飲む
効くか効かないかじゃなく「効いてくれ」という思いで飲む
できることはやった(腕の毛を剃るかは当日まで迷った)。

あとはできるだけ自動車にひかれないように撮影当日を待つだけだ。

おこがましさが我を襲う

5月某日講談社打ち合わせスペースで講談社デザート編集長の鈴木さんを待つ。これから漫画の主人公になりきるのだと思うとものすごく緊張する。
凄まじき緊張
凄まじき緊張
ふつうに待っているだけで緊張するのだが、隣の席では漫画の持ち込みが行われているようで、自分とは全然関係ない緊張が流れ込んでくる。緊張の汗でシャツがしっとりしている。

程なくして鈴木さんがやってきた。さっそく撮影スタジオに移動する。
腕の毛は剃りませんでした
腕の毛は剃りませんでした
撮影機材が本気!
撮影機材が本気!
四方がライトで囲まれた撮影スタジオの本気っぷりに驚かされるが、実際本気なのでしょうがない。

撮影→編集→発行→読者へ…という未来を考えると怖気づいてしまうので「へーここがスタジオね」と今だけを楽しむスタイルでいきたい。
中央のイラストは3D彼女のヒロイン。2Dだ。
中央のイラストは3D彼女のヒロイン。2Dだ。

企画の説明を改めて聞く。やはり3D彼女の主人公つっつんになりきって……とのことだった。こ、このぼくが!

主人公に扮するというおこがましさの波がおしよせてきて、今まで我慢していた悪い自意識があふれだす。
おこがましさの波
おこがましさの波
しかも、キャラクターになりきるために、ヘアメイクアーティストさんまでいるのだ。おこがましさよ!

「おこがましい」とは漢字で「痴がましい」と書くそうである。今まさにぼくは痴がましい人、つまり「痴人」である。
鏡の周りに電球に照らされる痴人
鏡の周りに電球に照らされる痴人
当然メイクをされる経験もない。

丁寧にブラシで顔に化粧を施されると、何故だか嫁入りするお嬢さんみたいな気分になるのであった。
ブラシの数も本気だ
ブラシの数も本気だ
お嫁に行きます…
お嫁に行きます…
ぼくの戸惑いとは無関係にメイクは進み、最後にヘアスタイルをつっつんに寄せていく。

ちなみにヘアメイクさんに話を聞くと、彼女は有名な女優さんも担当したことがあるという。同じブラシを使ったかもしれない。

軽い会話でおこがましさもぐんとアップする。
コテで前髪を伸ばすのがポイント
コテで前髪を伸ばすのがポイント
おこがましさに次ぐおこがましさで、何がおこがましくてなにがおこがましくないか分からなくなってきたところでスタイリングが完了。

あとはカメラの前に立つだけだ。
そしてヘアメイクが完成し…
そしてヘアメイクが完成し…
件のTシャツを着て
件のTシャツを着て
撮影へ
撮影へ
新品の服を買ってきてよかったと思った瞬間
新品の服を買ってきてよかったと思った瞬間
僕の心の中の荒れ具合とは無関係にバッチリ撮れているではないか。撮影された写真はリアルタイムで確認できるのだが、ちょっとイケてるかもと自分で思ってしまった。

「服装の乱れは心の乱れ」と中学時代の先生が言っていたが、こういう整いすぎてるのはどうなのか。会って問いただしたい。

だがまだ棒立ちである。真につっつんになりきれているかどうかは、ポージングにかかってくるだろう。

撮影は続く。

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