特集 2015年6月13日

中国のロボットレストランに行ってみた

麺切りマシーンは有名だがこれではない
麺切りマシーンは有名だがこれではない
多くの中国人はハイテクが好きだと思う。

麺を扱う屋台や食堂では、たまに客寄せの刀削麺ロボットを見かける。

今は引退したプロレスの鉄人「小橋建太」選手のマシンガンチョップよろしく、包丁を持つ手だけが前後し、その包丁振り回しゾーンに、人の手で切れてない麺の塊をおき、ロボットがサクサク削るというもの。

いろんな会社が量産していて、10万円程度で買えるらしい。日本でも導入すると客寄せになるのではないだろうか。
変なモノ好きで、比較文化にこだわる2人組(1号&2号)旅行ライターユニット。中国の面白可笑しいものばかりを集めて本にした「 中国の変-現代中国路上考現学 」(バジリコ刊)が発売中。

前の記事:中国は変なのか見直した

> 個人サイト 旅ライターユニット、ライスマウンテンのページ

刀削麺ロボットではない

中国のニュースで、ロボットレストランがあることを見た。ここに導入されているのは刀削麺ロボットではないし、また食堂でも屋台でもなくレストランだという。

ロボットレストランといえば、まだ行ったことはないけれど、名古屋でもロボットによるラーメン屋があったし、今は東京新宿歌舞伎町にあるのが有名だ。

歌舞伎町は中国人観光客がよく訪れる場所だ。きっと訪れた後に、誰かが「中国でも作ろうじゃないか!」と起業魂をメラメラと燃やし、作ったのではないだろうか。

中国のロボットレストランの場所は、浙江省寧波にあるという。あるというならそのためだけに行ってきましたよ、寧波に。
海を横切る世界最長クラスの橋「杭州湾海上大橋」を渡って上海から寧波に
海を横切る世界最長クラスの橋「杭州湾海上大橋」を渡って上海から寧波に
橋の入口の巨大風力発電風車群に視界が吸い込まれて圧倒されて萌える
橋の入口の巨大風力発電風車群に視界が吸い込まれて圧倒されて萌える
中国の市はどこでも面積が大きく、人口が数百万人以上いて当たり前。

寧波も例外ではなく、そのロボットレストランは、寧波市の中にある「慈渓市」というところにある。寧波の中心の街よりも小さい地方都市にロボットレストランはあるわけだ。

バスで橋を渡るのが手っ取り早いけれど、新幹線のような高速鉄道「和諧号」で行くこともできる。その場合は、余姚北駅で降りて、そこから路線バスで行くそうな。

こんなところにレストラン

ザ・沿岸部の地方都市の趣。何か歴史的な観光地があるわけでもなく、新しい建物や工場がまばらに広がる
ザ・沿岸部の地方都市の趣。何か歴史的な観光地があるわけでもなく、新しい建物や工場がまばらに広がる
中国語でロボットレストランにあたる「机器人餐庁」で地図検索すると聯盛広場というところにあると教えてくれる。便利だGoogle!じゃなくて百度!(Googleは中国では使えないのだ)

そこで聯盛広場まで、とタクシーの運転手に伝えると、ガテン系の人だらけで、数棟の建築途中のビルがあるところにつれて行かれた。できているビルもあるが、1階に売店が入っているだけだ。
ここでいいのか?
ここでいいのか?
ここでよかった(驚)
ここでよかった(驚)
看板ロボットは喋らないが味のある表情を見せる
看板ロボットは喋らないが味のある表情を見せる
ロボットレストランは、ロボット広東レストランだった。広東料理といえば小籠包やシュウマイやお粥だ。ラーメンとかよりもバリエーションは多いし、作るには難易度は高そうだ。

何人ですか?と来たのは中国の服務員。中に入ると、周りに家もなければオフィスも未完成のこんな場所でもロボットレストランだからだろうか、お客さんが結構入っていた。

注文をして、ロボットがアクションを起こすのを待った。
ファイトクラブ系のロボットレストランか。それはそれで楽しそうだ
ファイトクラブ系のロボットレストランか。それはそれで楽しそうだ
中国での広東料理屋のオーダー基本は、メニューの紙に欲しいモノをチェック
中国での広東料理屋のオーダー基本は、メニューの紙に欲しいモノをチェック

よく動く服務員

伝統的なアナログオーダーで注文を終え、ウエイトレス(人間)がメニューの紙を持ち帰る。

厨房ではコック(人間)が行き来している。ロボットはいない。見ると奥で配膳スタンバイのロボットがある。なるほどロボットが配膳するレストランなのか。

ならばと待っていると。。。なんか来た!でも遅い!
きた!でもなかなかこっちに来ない!
きた!でもなかなかこっちに来ない!
お腹すいている時には早く持ってきて欲しい!
ロボットはゆっくりもってきた。点心を3点頼んだが、2点持ってきた。このロボットは、差し出すことはないが、目の前までくるとくるっとこっちを向き、止まった。

「お待たせいたしました」などと言ったのだろう。金属音の混ざる機械的な声でロボットは語りかける。

ロボットの持つ配膳版から僕の机までのラスト1メートルは、ウエイター(人間)やウエイトレス(人間)が運ぶ。
ロボットは先にいけない。インターネット用語ではこれをラストワンマイルというそうです
ロボットは先にいけない。インターネット用語ではこれをラストワンマイルというそうです
ウエイター(人間)が、ロボットが出発するときに、さりげなく腕をこづいているけれど、そこにセンサーやボタンがあるとか思っては夢が壊れる。目的のテーブルの横まで行くのは、自ら行っているし、その場所でぴったり止まってロボットの面目躍如だ。

中国の写真ニュースでは「どうせ黒い線の上を動くだけのロボットだろ」という感想が結構書き込まれていたけど、そこは言いたいのをこらえるのだ。

ロボット1台に過労させてはいけないと、残りのお皿はウエイター(人間)が持ってきてくれた。ロボットより人間のほうがありがたみがあることもあるよね、将棋で最強の人間が最強のコンピューターに勝つよね、と考えるのだ。
遅いなりに1台で前へ後ろへ仕事をこなす。 言うなればロボット界のおしんだ。見たことないけど。
遅いなりに1台で前へ後ろへ仕事をこなす。 言うなればロボット界のおしんだ。見たことないけど。
「触らないでくださいありがとうございます」と書いてある。リアルなドラえもんのようなのができたら最初はこのようなコントロールパネルがあるのだろうか。
「触らないでくださいありがとうございます」と書いてある。リアルなドラえもんのようなのができたら最初はこのようなコントロールパネルがあるのだろうか。
曲がるときには慎重に。どんなデザインの店でも対応できそうだ。

白いロボットもブラック

名もないロボットは一生懸命働いてた。人間がかなりフォローしてたけど、それでも長く座り、一生懸命働くのを見るにつれ、感情移入してきた。

どうも頑張っている人を応援したくなるのは人間の性か日本人の性か。もう休ませてあげてーと思うほど働く白いロボットの環境はブラックで、ブラックであればあるほど美しく思えてしまい、そう思ってしまった僕をなんとかしてください。
ごちそうさま
ごちそうさま
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