ちしきの金曜日 2015年6月26日
 

蚕から絹を取らずに蛾にする

これが蛾になった蚕です!
これが蛾になった蚕です!
蚕(カイコ)という生き物がいる。彼らは繭を作り、その繭から絹を作る。かつての日本では養蚕が盛んで、2014年に富岡製糸場が世界遺産になったのは記憶に新しい。

そんな蚕を思い切って、絹にするのではなく、繭からかえして蛾にしてみようと思う。イメージ的に蚕は繭がゴールみたいな気がするけれど、蛾になるのだ。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

蚕は家畜

小学生の頃に習った地図記号にいろいろなものがあり、そこには「クワ畑」というものがあった。クワは蚕のエサである。かつての日本では養蚕が盛んで、クワ畑がたくさんあったのだ。
これがクワです
これがクワです
最近の日本ではあまり養蚕が盛んとは言いがたいが、もちろん行っているところもある。そして、学校の教材や個人で蚕を飼う人も少なからずいる。

実は蚕は家畜として改良されていて、比較的飼いやすい生き物なのだ。
これが蚕です!
これが蚕です!
野生の蚕というのは存在せず、人が管理しなければ生きていけない。

ケージに蓋をしなくても逃げもしないし、基本的にはクワしか食べることもない。飼いやすいのだ。

問題はクワを与え続けないとダメなこと。すごい勢いで食べるのだ。
クワを食べる蚕
クワを食べる蚕

蚕を育てる

そんな蚕を飼ってみることにした。私は虫が得意ではないのだけれど、周りに飼っている人が多くて、手に乗せたりしているうちに、可愛く感じるようになってしまったのだ。運命なのかもしれない。
蚕です!
蚕です!
なんかかわいいよね!
なんかかわいいよね!
蚕は大食い選手権で優勝するほどのクワを食べる。タマゴから生まれて繭になるまでのほぼ全ての時間がクワを食べる時間なのだ。

そんなに美味しいのかと思い、私もクワを食べたけれど、そうでもなかったので、結婚したら味の感覚が違い苦労すると思う。
これが幼き蚕です!
これが幼き蚕です!
蚕を育てることで唯一大変なのはクワ問題である。クワ自体は比較的簡単に手に入るけれど、クワを絶え間なく与えることが必要だ。働いていたりすると大変かもしれない。知り合いは職場に蚕を持って出社していた。
そして、こんなに大きくなります!
そして、こんなに大きくなります!
ちなみに私がもらった蚕は、すでに5齢でしかも熟蚕(じゅくさん)という、繭になる直前だった。蚕は1齢から5齢とどんどんと大きくなり、繭になる。

繭になる寸前はもうクワをほとんど食べないので、クワ問題で悩むことは無く、ただただ「蚕、かわいいな」と終始思っていた。
我が家にやって来た蚕
我が家にやって来た蚕
私が働いている大学の研究室に蚕がいて、日々成長を見ていたら蚕を飼いたくなっていた。その感情が芽生えるのが遅くて、マジで繭になる2日前。そのため我が家にやって来た蚕は大きい。
可愛いよね!
可愛いよね!
夜、音が出る物を消して、耳をすませるとザクザクと音がする。蚕がクワを食べているのだ。

その様子を見ていると割とすぐに10分くらい経っている。カップ麺の3分は長いのに、蚕がクワを食べている様子は全然見ていられるのだ。
これは蚕の糞
これは蚕の糞
蚕にクワをあげるとき、これが父になるということなんだな、こんな時間が続けばな、と思ったけれど、2日後には繭になっていた。

糸を吐いて、繭になる準備を始めるのだ。綺麗な繭を作ってもらおうではないか。
紙を丸めて、
紙を丸めて、
綺麗な繭を作ってもらう
綺麗な繭を作ってもらう

繭になる

我が家ではわずか2日だけれど、小さいころから知っていて、もらった2匹には「ソフィー」と「トゥンプク」と名前までつけた。それが繭になっていく。最初の繭は心もとなく、時間が経つと完全な繭となる。
繭になりだしたばかり
繭になりだしたばかり
やがて、姿が見えなくなり、
やがて、姿が見えなくなり、
完全な繭になった
完全な繭になった
養蚕の場合は、ここで絹にする。この糸が絹の元なのだ。緑色のクワしか食べていないのに、こんなに綺麗な白い糸を吐くことが不思議だ。

ちなみに今回はこのまま育てて、蛾にする。2週間ほどすると蛾になるはずだ。
これは蚕が生涯のうちで数回しかしないオシッコ
これは蚕が生涯のうちで数回しかしないオシッコ

待ち時間

繭になったばかりは、触ると柔らかくて取り扱い注意、みたいな感じだったけれど、2日ほどすると硬くなり、形も手伝ってか「落花生」みたいだった。繭を耳に当てても何の音もせず、蛾になるのか不安な日々が続く。
落花生みたいな形
落花生みたいな形
繭になって2週間が経つ頃から、明け方に羽化すると聞いていたので、毎朝5時に一旦起きて、羽化していないか確認をする日々を送った。

ただそれが空振りに終わり心配で詳しい人に「うちの蚕は大丈夫なのか?」と相談したほどだ。だってかわいいのだ。
かえってました!
かえってました!

蛾になる

心配のしすぎだったみたいで、5時に起きて、また寝て11時に起きたら、蛾になっていた。別に明け方が5時とは限らない。

決定的な瞬間を逃したけれど、蚕が無事に蛾になっていた。
蛾
蛾になった瞬間は嬉しくて、バンザイをしたが、冷静に蛾を観察すると、「俺、虫ダメなんだ」と思い出した。蚕の頃は確かにかわいかったが、二週間ぶりの蚕はすっかりと虫だった。二学期デビューだ。
変わっていた
変わっていた
蚕の頃はかわいげがあったが、蛾になるとどうもモスラっぽい。

白くて綺麗だとは思うのだけれど、私は小麦肌の健康っぽい感じが好きなので、どうもダメだ。手に乗せるとオシッコをかけられ、おそらく嫌われている感じも悲しかった。
ここから羽化した
ここから羽化した
中はこんな感じでした
中はこんな感じでした

蚕はかわいい

子供の頃は虫が好きだったが、大人になるとどうにも苦手傾向であったが、ずっと見ていたら蚕がかわいくてたまらなくなっていた。去年から「飼わない?」と言われ拒否していたのが、実にもったいなく思える。

ちなみに大人になった蚕は、口が無く、エサを食べることはなく、交尾をして次世代に子孫を残すだけ。蚕をもらったところに持って行き、この蛾には私の分も交尾をしてもらおうと思う。
フサフサ(お尻にある黄色い粒はフェロモン)
フサフサ(お尻にある黄色い粒はフェロモン)
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