はっけんの水曜日 2015年7月8日
 

花火と有刺鉄線

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みなさまこんにちは、あおむろです。梅雨明けも迫り、夏がやってこようとしておりますが、お元気にされていますでしょうか?

夏と言えば花火大会。というわけで、私が思春期に経験した花火大会にまつわる甘酸っぱいお話をさせていただきますね。
1982年生まれ、関西在住。漫画家・イラストレーター・宅録音楽家。わりと大規模なたこあげ大会で総合優勝した経験を持つが、その才能を活かせず悶々とした日々を送っている。
> 個人サイト あおむろひろゆきのページ

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ちなみに中学生の時に行った花火大会では小学生にカツアゲされて花火が上がる前に泣きながら家に帰ったのですが、今回はそれとは別のエピソードにフォーカスさせていただきます。

当時私は中学高校と男子校に通っていることもあり、女性と会話する機会は皆無でした。この学校では先生も一人を除いて全員男なので、本当に女性と接する機会などなく陰鬱な思春期を過ごしたものです。そんな中、友人が他校の女性たちと夏祭りに行くので、一緒にくる?と言われました。当然答えはYES、かくして私は生まれて初めて夏祭りに女性と行かせていただくことになったのです。
 
 
それで、なにしろ初めてですから、服装も髪型も気合を入れていきますよね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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自分史上最強のファッションでキメました。
 
 
 
 
 
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神戸元町の古着屋で購入したドクロのTシャツにダボダボのカーゴパンツ、ベルトはだらりと垂らして足元はお年玉で購入したスポルディングのバッシュで引き締める。

ヘアスタイリングはジェルで最強レベルに固めます。そして腕にはもちろんハイビスカス柄のタトゥーシール。

そしてさらに自作アクセをON。針金で作ったイヤリングと、それから両手首には有刺鉄線。
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ちなみに針金イヤリングはこんな形をしています。
針金をこんな形に加工してから…
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こんな風に耳に引っ掛けます。日頃のファッションで耳にアクセントが足りなと感じている方は是非参考になさってください。

耳たぶがめちゃくちゃかぶれますけどね。
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話は戻りまして、この最強ファッションにて友人と合流しました。女子と喋るイメトレも完璧です。BOYS BE…も全巻読んできました。

メンバーは女子3人と男子3人(私含む)。花火まで時間があるので、屋台がずらりと並ぶ通りを皆で歩きます。

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…あの、なんといいますか…
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合流して15秒で思いっきりハミりました。


この時初めて「あれ、私もしかして今日の服装ミスった?」と思いました。
皆は私の方には一切振り返ることなく、楽しそうにワイワイおしゃべりをしながら歩きます。
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一行は、駅前にあるCDショップに立ち寄りました。小室ファミリーのCDやSPEEDのCDを見ながら楽しそうに「あ、これ持ってる!」とか「これ欲しいなあ〜!」とハシャいでいます。

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話題に入れない私は、入り口に置いてあるポスターを無料でもらえる箱をディグるしかありませんでした。

CDショップの壁に貼られた尾崎豊の瞳が悲しげにこちらを見つめています。
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そして私がポスターをディグっている間に一行はどこかに行ってしまい、合流後15分でひとりになりました。

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怒りと悲しみが混ざりあい、その場に立ち尽くします。

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そして尾崎豊のポスターをもらって家に帰ろうとした時のことです。

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なんとそこには、今回のグループの中で一番人気の女性が立っていました。
話を聞くと彼女もグループからはぐれてしまい、誰かいるかなと思ってこのCDショップに戻ってきたそうです。
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それでね、なにしろ私は女性と関わる機会が無かったことと、BOYS BE…とHot-Dog PRESSの読みすぎでちょっと思考が普通じゃなかったんですよね。

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「この女、俺の事狙ってるな」と本気で思いました。
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「素直に一緒に行きたいって言えばいいのに、わざわざ迷子になったふりして俺に近づくなんて、かわいいとこあるやん」と本気で思いました。

勘違いとは、怖いものです。
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花火までまだ時間があるので、一応みんなを探します。
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訂正します。

一応みんなを探すフリをしながら、絶対にみんなと遭遇しないようにわざと人目につかない道を歩きわまります。

とにかく、花火の時間まで逃げ切りたい一心でした。
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ちなみにせっかくの二人きりのシチュエーションですが、緊張して完全に頭が真っ白になってしまい、まったく会話はありませんでした。
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「…みんな、いないね」
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「…えっ、あ、はい、オウッ」
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「…花火、始まっちゃうね」
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「…え、あっ、はな、はなびっ、花火オウ」
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「…あおむろくん」
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「えっ、オウ」
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「…みんなと合流しなきゃ、ダメかな?」
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「えっ」
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「もう、ふたりで見よう。花火」
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「え、あっ、オウ」
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心の声「ギョエエエエエエエエエエエーッ!!!!」
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「あそこに座ろう」

こうして彼女が指差す先にあった人気のない茂みの中に腰掛け、花火を見ることになりました。
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その時私の中で何かが覚醒しました。

雑誌や漫画で仕入れたあらゆる恋愛知識がギュンギュンと音を立てて、脳の中を走り回ります。
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余談ですが、有刺鉄線のせいでこの時点で両手首は血まみれです。
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(心の声)「今日の目標決定」
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(心の声)「KISS」
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花火が始まる15分ほど前に、彼女がかき氷を買いに行きました。

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花火が始まる直前になっても、彼女はまだ帰ってきません。
 
 
 
 
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とうとう花火が始まってしまいました。


花火を眺めながら、彼女の帰りを待ちます。
 
 
 
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時間にして約30分、2000発以上の花火が夜空を鮮やかに染め上げたのですが、彼女はまだ帰ってきません。

念のため、そこから1時間その場で待機しましたが全然戻ってくる気配がなかったので、「迷子になったんだな…」と思い、家に帰ることにしました。残念ですが仕方ありません。

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帰り道にある本屋さんで、発売されたばかりのBiDaNという雑誌を買って帰ります。
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表紙がGacktの号でした。
 
 
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その本屋さんの駐輪場の裏で、先ほどかき氷を買いに行ったはずの彼女が思いっきり誰かとチュウしていました。
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両手の有刺鉄線を引きちぎり、泣きながら走って帰ったあの夜の事は、今でも忘れられません。

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そんな甘酸っぱい思いも経験しつつ私は年を重ね、やがて大学生になりました。
 
 
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この日私は友人の付き添いで、とあるアイドルのライブに来ていました。
とはいいつつ、実はアイドルに全く興味がなかったので、この日のライブも会場に行くまでは誰のライブなのかを一切知りませんでした。
 
 
 
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しかし、私はライブを見た瞬間、固まってしまいました。
 
 
 
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その日ライブをしていたアイドル…。
 
 
 
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高校生の時に行った夏祭りで一見優しく接してくれたかと思いきやかき氷を買いに行くフリして私をまいて、その後本屋さんの駐輪場裏で誰かと思いっきりチュウしてたあの女性!

念のため、その場でそのアイドルのホームページを確認して、本人であることを確認します。

まさかアイドル(しかも結構有名)になっているだなんて知りませんでした。
 
 
 
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この時なぜか私は運命だと勘違いしてしまいます。
 
 
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この時なぜか私は運命だと勘違いしてしまいます。
 
 
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(ジョークのつもり)
 
 
 
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泣きながら走って家に帰ったあの夏祭りの夜のように、ライブハウスから家までの道を全力疾走して帰りました。

いつもは賑やかすぎる大阪の街も、この日ばかりは優しく私を包み込んでくれた気がします。


みなさまにおかれましても、異性の方と関わられる際はくれぐれも勘違いをなさらないよう、節度ある思想と行動をとっていただきますよう、お願い申し上げます。

ちなみに当時の最強ファッションのことを歌ったオリジナルソングがございますので、もしよろしければお聴きになってください。

『有刺鉄線 / あおむろひろゆき』
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