特集 2015年7月30日

ドーナツの穴サマーコレクション2015

美しすぎる夏ドーナツ。
美しすぎる夏ドーナツ。
太陽の照り輝く夏がやってきました。
海に山、プールに夏フェスなど、予定が目白押しな皆さんにとっては楽しい季節でしょうが、私自身は暑さに弱くて夏はどうにも苦手です。
こんなに暑いと、アイスかそうめんかドーナツくらいしか食べる気が起こりません。
と思っていたら、なんと夏は他の季節に比べてドーナツの売り上げが落ちるのだそうです。
それは聞き捨てなりません。
夏には夏のドーナツの良さがあるんです。
1980年北海道生まれ。
気が付くと甘いものばかり食べている偏った食生活を送っています。


前の記事:夢のフルーツ列車を自分で作る


夏らしいドーナツの楽しみ方

なぜ夏にドーナツが売れなくなるのか、心底理解に苦しみます。
夏らしいドーナツの楽しみ方を知らずに生きていくのは、人生の損失といっても過言ではありません。
分かりやすいところで言えば、クリスピークリームドーナツの『ドーナツアイス』。
ドーナツアイス キャラメル&ヨーグルト
ドーナツアイス キャラメル&ヨーグルト
ほんのり温かいドーナツに冷たく滑らかなアイスクリーム、カリッとしたポップコーン。多様な食感に、口の中でサンバカーニバルを始まります。

いかにも甘そうな雰囲気ですが、ヨーグルトの酸味が味を引き締めて意外にさっぱりとした後味なのも高ポイントです。なんという取り合わせの妙。

暑さにやられてアイスとドーナツくらいしか食べられないけど、ちょっとさっぱりしたものも食べたい。そんな猛暑日の脳裏に浮かんだ願望を叶えてくれることでしょう。
ドーナツが一口大にカットしてあって食べやすいです。
ドーナツが一口大にカットしてあって食べやすいです。
また、忘れてはならないのが夏の季節限定ドーナツの存在です。
トロピカルなフルーツを使用したり、暑い時でも食べやすいさっぱりした味わいだったりと、各店ともにどことなく『夏らしさ』をうかがわせる工夫が施されるので「今年はどう来るのか」と毎年楽しみにしています。

たとえば、2014年ミスタードーナツではカルピスとコラボしたドーナツを販売していました。

カルピスの持つ、小学生の夏休みを彷彿とさせるノスタルジックな存在感と夏バテにも優しいほのかな甘さと酸味が、派手さはなくとも十分に夏を感じさせるもので大変素晴らしかったです。
misdoカルピス 『Waff』
misdoカルピス 『Waff』
んと美しい穴
なんと美しい穴
カルピス風味のクリームがたっぷり!
カルピス風味のクリームがたっぷり!
優しい甘さと酸味の感じられるカルピス風味のクリームがふかふかしたワッフ生地と絶妙にマッチしていて美味しいのはもちろんですが、ホワイトチョコと粉糖の白さに囲まれたきつね色の穴のなんて可憐なことでしょう。
クリームを挟むために縦にカットのラインが入ったことで、きれいな形を保ちつつも完ぺきではない、そんな儚い美しさを感じます。

ちょっと前置きが長くなりましたが、つまり言いたいことは夏限定のドーナツの穴の美しさについてです。

ミスタードーナツ
『ミスターサマードーナツ』

去年のカルピスコラボも素晴らしかったミスタードーナツは、今年は「冷やして食べても美味しいドーナツ」というまさに夏向けのドーナツをぶつけてきました
カルピスのノスタルジックな雰囲気から一転、華やかできらびやかな『ミスターサマードーナツ』の世界をご覧ください。
『ミスターサマードーナツ』全3種。
『ミスターサマードーナツ』全3種。
奥からベリー、レモン、チョコとなっております。
しっとり軽い食感の生地でクリームを挟み、贅沢なほどたっぷりとアイシングをかけた、まるでケーキのような華やかさ。でも、ケーキとは明らかに違う点、それは穴があるところ。
シズル感って多分こういうことでしょう。
シズル感って多分こういうことでしょう。
穴がちょっとギザっとしている素朴さにギャップ萌え。
穴がちょっとギザっとしている素朴さにギャップ萌え。
純白のヨーグルトアイシングに真っ赤なベリーのソースが、今にもこぼれ落ちそうなシズル感を醸し出しています、

さらにきつね色の生地、生地の間から覗くたまご色のカスタードホイップと、ひとつのドーナツにここまで多彩な色合いを感じられるなんて、ベルサイユ宮殿にも負けない豪華絢爛なドーナツと言えましょう。色彩を持たない多崎つくるに見習わせたいですね。
これまた、こぼれ落ちそうなシズル感。
これまた、こぼれ落ちそうなシズル感。
よく見たらアイシングがハート型に見えるのもかわいい。
よく見たらアイシングがハート型に見えるのもかわいい。
アイシングだけじゃなく、レモンソースもこぼれそう。
アイシングだけじゃなく、レモンソースもこぼれそう。
『ミスターサマードーナツ』シリーズで、私が一番好きなのがこのレモンです。
白いヨーグルトアイシング、白いホイップクリーム、透明感のある淡い色合いのレモンソースが、まるで高原にたたずむ深窓の令嬢のような清純な美しさを感じさせます。

あと、ソースがベリーよりもやわらかそうでこぼれそうで、その危うさも穴の美しさを高めていると思います。
華やかだけど派手すぎない、爽やかな雰囲気と美しさを感じる素晴らしい穴でした。
チョコアイシングのコーティングが真ん中で切れてる。
チョコアイシングのコーティングが真ん中で切れてる。
たっぷりかかったチョコアイシングに無造作に散りばめられたスライスアーモンドの色合いと相まって、クリームを挟むために半分にカットされた部分が断層のように見えてきませんか。
レモンでテンションあがりすぎてチョコまで来ると若干息切れしていますが、これも良い穴です。

こんな写真ばかりをミスタードーナツ新作試食会にお邪魔した時に撮っていたら、同行してくれた編集部・橋田さんが「広報の人の説明も聞かずに穴の写真を撮ってる…」と引いてました。
ミスターサマードーナツ(ベリー)
ミスターサマードーナツ(ベリー)
ミスターサマードーナツ(レモン)
ミスターサマードーナツ(レモン)
ミスターサマードーナツ(チョコ)
ミスターサマードーナツ(チョコ)
食べてよし冷やしてよし撮ってよし、三拍子そろった王者の風格を感じさせるドーナツ。私の一押しはレモンです。

クリスピークリームドーナツ
『AMERICAN HOMEMADE DOUGHTUTS』

かわいらしい見た目とはっきりした甘さが魅力的なクリスピークリームドーナツ。
この夏のテーマは「アメリカのママの味」をイメージした『AMERICAN HOMEMADE DOUGHNUTS』ということで、アメリカンな印象の強いクリスピークリームらしいテーマだと思います。
別に文句じゃないけどあまり夏っぽいテーマじゃないなぁ、と思っていた時期が私にもありました。
レッドチェリーパイ
レッドチェリーパイ
チェリーソースとナパージュによる赤の濃淡の対比が美しい。
チェリーソースとナパージュによる赤の濃淡の対比が美しい。
チェリーパイ自体をあまり食べたことがないので味の再現性などはさておき、この色合いは夏にふさわしい鮮やかさです。
チェリーソースの濃い赤とナパージュの透明感のある淡い赤の対比もいいですが、つるりとした質感の穴と固さのあるチェリーソースの作り出す立体感との対比も素晴らしい。
食欲が落ちがちな夏に敢えて視覚的に訴えるドーナツをぶつけてきたのならば、さすがクリスピークリームドーナツです。これは、自身を持って夏のドーナツだと断言できます。
マザーアップルパイ。
マザーアップルパイ。
いやいや、アップルパイって完全に秋のイメージでしょ、などという細かいことはどうでもよくなるこのビジュアル。
こんもりと盛られたアップルフィリング。
こんもりと盛られたアップルフィリング。
本来凹んでいるはずの穴にアップルフィリングが詰め込まれて、本来の凹凸を逆転させるかのようです、穴の存在意義について見つめ直す、哲学的なドーナツと言えましょう。
フィリングはビスケットで止められています。
フィリングはビスケットで止められています。
裏から見ても景観を損ねないのも素晴らしいです。
生地にりんごを練りこむのではなく、どうしても穴にりんごを詰め込みたかった努力の跡が感じられるところがいじらしい。
レッドチェリーパイ
レッドチェリーパイ
マザーアップルパイ
マザーアップルパイ
見た目はチェリーパイに軍配が上がりますが、味と精神性はアップルパイが好きです。

ドーナッツプラント
『EARLY & MID SUMMER DOUGHNUT』

ドーナッツプラントでは、6月8日~7月16日の『EARLY SUMMER DOUGHNUT』、7月17日から発売中の『MID SUMMERDOUGHNUT』と夏限定を二段階に分けて展開しています。
ケーキドーナツとベーカリドーナツでそれぞれ限定品を出すので種類が多いのですが、その中でも特にお勧めの穴をご紹介します。
まず、もう販売は終了してしまいましたが、EARLY SUMMER DOUGHNUTから2点。
ベーカリードーナツ・ピーカンナッツ&キャラメル。
ベーカリードーナツ・ピーカンナッツ&キャラメル。
初夏限定ドーナツのわりにまったく夏らしさを感じない上、ピーカンナッツの存在感が強すぎてドーナツの存在がおまけのようにすら思えてきます。
だが、それがいい。
寄れば寄るほどドーナツらしさを感じなくなる。
寄れば寄るほどドーナツらしさを感じなくなる。
初見では一切可愛さを感じませんでしたが、何度も見返すとだんだん愛着が湧いてきて、こういう怪奇派レスラーみたいな存在もいいよなぁと思えてきます。
ケーキドーナツ・ココナツ&パイナップル
ケーキドーナツ・ココナツ&パイナップル
パイナップル自体が好きなんですが、それを別としても穴として魅力的だと思います。
少し凹凸のあるナチュラル系の穴、きつね色の生地にうっすらとかかったグレーズ、ところどころに見えるココナツ、そしてシンプルな中に立体感をもたらすパイナップルの存在。
一見地味な印象ですが要所要所でポイントを押さえていて、まるで地味ながらも高いグランドテクニックを誇ったいぶし銀の技巧派レスラー・木戸修のよう
ところどころ主張するパイナップルが愛しい。
ところどころ主張するパイナップルが愛しい。
最後に、現在も発売中のMID SUMMER DOUGHNUTから1点紹介します。
ケーキドーナツ・京都宇治抹茶。
ケーキドーナツ・京都宇治抹茶。
世の抹茶系ドーナツは生地自体に抹茶が練りこまれているか抹茶チョコレートをコーティングした淡い色のものが多いのですが、これはナパージュに抹茶を混ぜているのか、抹茶そのものをコーティングしたかのようなダイレクトな抹茶感が楽しめます。
滑らかな穴へと延びる白いラインが深い緑色の中から浮かび出ているようで、夏の暑さを和ませる涼やさと上品さを感じる穴です。
色合い、形ともに上品さが漂う雅な穴。
色合い、形ともに上品さが漂う雅な穴。
ピーカンナッツ&キャラメル
ピーカンナッツ&キャラメル
ココナツ&パイナップル
ココナツ&パイナップル
京都宇治抹茶
京都宇治抹茶
アメリカンなイメージのお店なのに、シックな色合いのものを中心に選んでしまいました。すみません。

夏限定のドーナツ、今だけのお楽しみです

『日本人は限定品に弱い』というのはよく聞く話ですが、その説に積極的に乗っかって、今こそ季節限定ドーナツをガンガン買うべきではないでしょうか。
今を逃したら来年まで、下手したら一生会えなくなるかもしれません。
時は来た、それだけだ。

私の夏の総合1位はミスターサマードーナツのレモンですが、哲学的なアップルパイや怪奇派ピーカンナッツなどの一筋縄ではいかないドーナツたちも魅力的です。
皆さんもドーナツたちとのひと夏のアバンチュールをご堪能ください。
関係ないですが、ドーナツの穴写真をピンぼけさせると『街はきらめくパッションフルーツ』って感じがします。
関係ないですが、ドーナツの穴写真をピンぼけさせると『街はきらめくパッションフルーツ』って感じがします。
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