特集 2015年8月6日

掃除機で吸ったらいい音 IN JAPAN

あえて吸い込んで音を楽しんでみよう
あえて吸い込んで音を楽しんでみよう
部屋で掃除機を荒々しくかけていると、思いがけず何か変なものを吸い込んでしまうことがある。「カチャ…」というような音でそのことに気づく。

実生活だとやっかいなシーンだが、 その音や掃除機のパイプ響く感じ自体は意外と気持ちいい。

2015年、夏。その音を吸い比べたい。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。(動画インタビュー)

前の記事:ウイスキーは仕込み水で割るとうまい、ではカルピスはどうか?

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吸い込んだ

一体どのような音色がしたのだろうか。結果は動画にまとめた。
「IN JAPAN」は撮影日にやっていた「ロックインジャパン」をあやかって。
日ごろ掃除機で吸い込んでしまいそうなものの中からピックアップした上で、5つのジャンルに分けたものである。おまけでハーモニカも吸ってみた。
金具
金具
紙
布
豆つぶ
豆つぶ
粉(ハブ粉もあるよ!)
粉(ハブ粉もあるよ!)
+α(ハーモニカ)
+α(ハーモニカ)
以上のラインナップである。

これを撮影していたところ急にセミが鳴き始めたり、雷がなったり、盆踊りの練習の音が聞こえてきたり風流が押し寄せてきた。夏ってうるさいんだな、と思う次第である。

これを振り返ってみたい。
単純に聴き比べるだけなので、地味だと思い看板を急造したが……
単純に聴き比べるだけなので、地味だと思い看板を急造したが……
かえって地味さが際立った気も。左からカーペット鋲、ねじ、ボルト。
かえって地味さが際立った気も。左からカーペット鋲、ねじ、ボルト。

掃除機で吸ったらいい音:金具

はじめは金具。掃除機で吸い込んだときの特徴的な音と言えばこれだろう。カチャっと音を立てて吸い込むこと「おや、何か吸い込んでしまったな?」という具合である。

だが今日は祭りなので吸い放題である。どの金具が最もいい音を出すのだろうか? ボルトなんて吸ったら気持ちが良さそうではないか。やってみよう。
ねじ(小)
音:ピチピチ…
カーペット鋲
音:チリンチリン…
ボルト
音:キンキンキン…
比べてみると、金具は大きいほど音が響いてゴージャスな余韻を残すことが分かる。小さいねじは砂粒か何かを吸い込んだような響きのなさで、あまり面白みを感じなかった。

掃除機のパワーとのバランスがあるだろうが、金具を吸い込む場合は大きめのものを選んだほうがいいだろう。
ちなみに掃除機は洗って綺麗にした。
ちなみに掃除機は洗って綺麗にした。
掃除機ではなく「吸い込む機械」だと思っている
掃除機ではなく「吸い込む機械」だと思っている

掃除機で吸ったらいい音:紙

あぶらとり紙、ティッシュ、コピー用紙。
あぶらとり紙、ティッシュ、コピー用紙。
続いては紙を吸ってみよう。

床に落ちている紙片を吸うのは吸えないおそれがあるので「賭け」のようなところがあるが、今日は堂々と吸おう。
コピー用紙
音:シュゴー!
ティッシュ
音:スボッ
あぶらとり紙
音:シュー…キュボッ
ティッシュとあぶらとり紙はうまく「吸い込み音」を楽しむことができた。

無抵抗のまま掃除機に収まっていくティッシュと、瞬間の抵抗を見せるがそれも虚しく暗黒へと消えていくあぶらとり紙が紡ぎだす音は美しく、甲乙つけがたい。

コピー用紙は大きすぎて吸い込めず。うるさいのでやめたほうがいいだろう。
同じような写真が続くので、近所のマンションの前にあったヌメッとしたライオンを御覧ください
同じような写真が続くので、近所のマンションの前にあったヌメッとしたライオンを御覧ください

掃除機で吸ったらいい音:布

タオル、サテンの布、ゴム手袋。サテンの布は、吸い込むことができるかどうかがポイントか。
タオル、サテンの布、ゴム手袋。サテンの布は、吸い込むことができるかどうかがポイントか。
タオル
音:シュグゥゥゥゥ
サテン
音:ボバっ
ゴム手袋
音:ボっ
続いて布だ。ゴム手袋のシュボッという音も清々しかったが、ここで注目したいのはサテンである。

大きいので吸い込めないかと思いきや、そのしなやかさからギリギリで掃除機に飛び込んだ(中で詰まってしまったが)。

やや苦しげな気な「ズボッ!」という音は、生命の輝きが時として絶望の暗い影を背負っていることを思わせる(何を言っているのか)。

タオルは掃除機への負荷がすごそうだったので試すのは年に1度くらいにしておいたほうがいいだろう。掃除機が壊れそうな音は聞いていてつらい。
同じような写真が続くので、育てるのに失敗した我が家のゴーヤを御覧ください
同じような写真が続くので、育てるのに失敗した我が家のゴーヤを御覧ください
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掃除機で吸ったらいい音:豆つぶ

!
節分でまいて床に散らばった大豆を掃除機で吸うことはもはや風物詩と言っていいだろう。そういうわけで豆つぶでやってみたい(ポン菓子は米だけど)。
あずき
音:チャチャチャ…
大豆
音:チャッ…チャラッ…
ピスタチオ
音:チッ…チリチリッ…
ポン菓子
音:チチチチ……
豆独自の言語で会話しているようになってしまった。

個人的にはパラパラとした音に俗臭(*)を感じてしまい、面白みは湧いてこなかった。もっと量が多ければ楽しかったかもしれない。強いて言えば、重すぎず軽すぎずのあずきが好み。

ところでこのポン菓子、オレンジ色の外装に堂々と「にんじん」と書いてあって、概念で偽装しているのが凄い。

*「掃除機でゴミを吸っているだけなのでは?」という現実感のこと。
ムダにしないようにこれだけは途中にネットを挟んだ
ムダにしないようにこれだけは途中にネットを挟んだ
さらに同じような写真が続くので、近所の小学校のありがたい標語を御覧ください
さらに同じような写真が続くので、近所の小学校のありがたい標語を御覧ください

掃除機で吸ったらいい音:粉

!
吸ってもあまり音はしなさそうだが、同じように吸ってみる。先日たまたま購入したハブ粉もある。

変なものを食べて生きる歓びを感じようとネット通販で買ってみたものだ。レビューを読んだら「翌日ハブになる」と書かれていた。
慣用句じゃない「キモ入」
慣用句じゃない「キモ入」
名称「ハブ粉」原材料名「ハブ粉』
名称「ハブ粉」原材料名「ハブ粉』
まだ未開封なので、とりあえずひとくち食べてみよう。
すごくサラサラとした粉。かなり生臭い。
すごくサラサラとした粉。かなり生臭い。
あつい!
あつい!
舌に乗せた途端、かなりの熱を感じた。細かい粒子が水分を含むときに熱が発生するのだろうか。それともハブのパワーだろうか。

魚の骨とか皮を抽出したような、香ばしい生臭さと言ったらいいのか独特の風味がした。まずいがなんだか効きそうだ。

では心置きなく掃除機で吸ってみよう。

音:(無音)
小麦粉
音:(モソッモソッ…)
ハブ粉
音:ギュオォォォー
ハブ粉を吸うときに皿ごと吸い付いてしまった。もしかしてこれは皿を吸った音かなとも思ったのだが、ハブのパワーを思わせたのでこれをハブ粉の音とした。

今回の撮影でもっとも盛り上がった箇所である。盛り上がりゼロかと思っていたのでハブに感謝だ。
ハブのちから!
ハブのちから!
小麦粉は「モッモッ」というような、小さくくぐもった音がかすかに聞こえ、どことなく神秘的な印象を受けた。心を落ち着けたいときは小麦粉を掃除機で吸うといいだろう。そっと耳を澄まして…。

塩はまったく音がしなかったので吸う価値ゼロである。

掃除機で吸ったらいい音(おまけ):ハーモニカ

やっぱり楽器はおもしろい。
やっぱり楽器はおもしろい。
最後にハーモニカも吸ってみたところ、オルガンやバグパイプのような超常的なニュアンスを感じた。無限に音が鳴り続けるのがすごい。

ネジを吸い込むのとは別次元の面白さだ。練習次第で新しい演奏法になるかもしれない。吹くことができないので、音階の半分しか出せないのがネックだが。
最後にあらためて動画を御覧ください。

思ったより掃除機の先からは色んな音が出ていることがわかった。個人的にはあぶらとり紙の音が好きだ。

好みはそれぞれだろうが、掃除機で吸ったり取り出したりは面倒なので、ぜひこの動画を繰り返し見て欲しい。

ところで今回は記事タイトルを「掃除機で吸ったらいい音IN JAPAN」としている。同タイトルを冠した変な飾り付けのボードも背景にある。

「IN JAPAN」とついているのは、撮影の日に「ロックインジャパン」という音楽イベントが行われていたからである。参加したという妹から自慢めいた写真が送られてきたので知った。

今考えるとこの企画と音楽フェスはあまり(まったく)関係がないが、夏バテで微熱が続く中看板まで作ってすべての撮影を終えてしまった手前、もう後戻りはできない。

ちなみにハブ粉を飲んだら元気になりましたが、ハブにはなりませんでした。人間です。
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