特集 2015年8月7日

地味なお菓子、派手デビュー

よく見ると柿の種。
よく見ると柿の種。
お菓子の中では柿の種がいちばん好きなんだけど、この柿の種、どう贔屓目に見ても地味である。

今日はこれら地味なお菓子を万華鏡に入れて一日だけ夢を見せてあげようと思う。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

地味なお菓子を派手に

お菓子の中では柿の種が好きで、会社でもキーボードの横に置いたA4用紙の上にばらまいてよく食べているんだけれど、よく見たらこれ地味なお菓子である。
これでも若干彩度を上げています。
これでも若干彩度を上げています。
茶色い三日月型のおかきにたまに混じるピーナッツも薄茶。そこにマカロンみたいな可愛さは皆無だ。

今回は柿の種を代表とする地味な食べ物に、派手を教えてやろうと思う。

万華鏡に入れてみる

万華鏡は中に鏡が入っていて、見るものをなんでもキラキラにしてくれる魔法の筒である。

この筒に柿の種を入れたら、やはりキラキラになるのだろうか。
買ってきた。
買ってきた。
材料はたったこれだけ。
材料はたったこれだけ。
万華鏡を思いつく前に、どうやって柿の種を派手にしようか考えていた。

・ライトアップする
・スモークをたく
・服を着せる
・リンダリンダを流す
鏡を組み立てて筒に入れる。作り方はこれだけ。
鏡を組み立てて筒に入れる。作り方はこれだけ。
どれも本質的に柿の種を見ていないような気がしたのだ。こういう地味なタイプは環境を変えただけではダメなのではないか。

そんなことを思いながら作業するうち、万華鏡の心臓部分にあたるミラーの筒が組み上がった。

試しに手元にあったノートを覗いて見て確信した。
これはすごい。
これはすごい。
地味な大学ノートですらこのありさまである。万華鏡こわい。

この万華鏡には付属品としてキラキラの石が入っていた。これを中に入れて覗けということだ。
はじめからキラキラだからキラキラして見えるに決っている。
はじめからキラキラだからキラキラして見えるに決っている。
しかし宝石である。こんなのはじめからキラキラなんだから、万華鏡で見たらさらにキラつくにきまっているだろう。差別だ。
とはいえ敵を知ることも大切である。説明書に従いキラキラを筒の中に入れてみた。
とはいえ敵を知ることも大切である。説明書に従いキラキラを筒の中に入れてみた。
万華鏡に入れたキラキラの石をいちおう覗く。
まあこうなりますよね。
まあこうなりますよね。
納得の派手さである。キラキラがあふれていて心がざわつく。しばらく光にかざしたりしながらくるくる回して見とれていた。

いかん、今回は柿の種である。

とくに何も起きていないが一回ページ分けするからみんなも深呼吸してついてきてほしい。
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柿の種だとどうか

きれいな石が万華鏡でもきれいに見えるのはわかった。その力を使ってちょっと冒険してみないか。

というわけでぼくの好きな地味なお菓子、柿の種を万華鏡に入れてみる。きれいに見えたらバンザイである。見えなかったらまたいつもの日常が始まるわけだけれど。
万華鏡の魔法は地味なお菓子にも通用するのか。
万華鏡の魔法は地味なお菓子にも通用するのか。
トレイに乗せたらつまみみたいになってしまったが、この状態で万華鏡にセットする。
トレイに乗せたらつまみみたいになってしまったが、この状態で万華鏡にセットする。
さっきまで輝いていた宝石たちをどかして柿の種をトレイに乗せてみた。その瞬間ただようおつまみ感。やはり柿の種には柿の種としての生き方があるのだろうか。無理に派手さを求めるのパワハラなのかもしれない。

でも覗いてみて驚いたよね。
え。
え。
まじか。
まじか。
そこには光の中で遊ぶ柿の種がいた。
今日の君はなんだかとってもきれいだよ。
今日の君はなんだかとってもきれいだよ。
一見きれいな万華鏡だが、くるくる回しながらよく見てみると、柿の種のディテイルが見え隠れする。

きれいに着飾ってメイクも決めたけど地元の方言が抜け切れていない、そんな感じで趣がある。

地味お菓子、万華鏡デビュー

柿の種だけ抜け駆けして万華鏡デビューしては、ほかの地味なお菓子たちがだまっていないだろう。

たとえばこちらの方はどうか
地味の極北。
地味の極北。
干し梅である。
これはひどい。
これはひどい。
干し梅も大好きだ。特にこのバニラ味の半乾燥タイプがフェイバリット。二袋くらい一気食いできる。中毒性のあるなにかが入っているんじゃないかといつも疑っているほどだ。

万華鏡に入れて覗いてみた。
まさか干し梅センパイだけは派手になっておれたちのこと忘れたりしませんよね。
まさか干し梅センパイだけは派手になっておれたちのこと忘れたりしませんよね。
センパイ、照れ屋だからなかなか視界に入ってこない。やはり干し梅に派手デビューは無理だったのか。そう思って筒を回転させてみたところ
あ
センパイ、ちーっす。
センパイ、ちーっす。

おそるおそる出てきた。

回すと光の中から干し梅が出てくるおかしさよ。

ただ柿の種にくらべてやはり地味さの度合いが桁違いというか、どうキラつかせても干し梅っぽさを消すことはできていなかった。鏡に写ってもなお粉ふいてるのがわかるのだ。闇は深い。

他にもいくつか地味目なお菓子を選んでみた。どれも味は一級品である。

プレッツェル

アメリカの心、プレッツェル。日本でいうところのえびせんべいとかそういうポジションだろうか。前に大統領がノドにつまらせたお菓子としても有名。
美味しいけど、まあ派手さはない。
美味しいけど、まあ派手さはない。
枯れた茶色のホイールである。ときめきは家を出るときオクラホマに置いてきた。

しかし、である。これが万華鏡に
ぴったりなのだ。
ぴったりなのだ。
これが万華鏡のサイズにピッタリなのだ。運命(さだめ)か。

期待を込めて覗いてみる。
キシャー。
キシャー。
万華鏡でのぞいてもなおこの地味さはすばらしい。木綿のハンカチーフでは東京に旅だった彼が都会に染まってしまったが、あれがプレッツェルならば太田裕美も泣かずにすんだ。なにを言っているんだおれは。

回転させても揺るがないその姿をGIFアニメでもどうぞ。
積極的に夢に出るタイプ。
積極的に夢に出るタイプ。

中のお菓子はなんでしょうか、クイズ

ここから先は先に万華鏡化された写真から紹介します。元のお菓子がなんだかわかった人は手を上げてから答えてください。

まずはこちら!
クローバーみたい。
クローバーみたい。
見上げた空に可愛いクローバーが浮かぶ。これなーんだ。
答え:ミンティア
答え:ミンティア
ミントタブレットは色彩がないので難しいかと思ったが、その形状の可愛さが万華鏡では生きた。

次は一転カラフルさんのおでましである。
ほぼあの世。
ほぼあの世~。
答えはこちら、伝統的お菓子のこんぺいとう。こんぺいとうは最初から派手だからずるいといえばずるい。
答え:こんぺいとう
答え:こんぺいとう
最後はステンドグラスみたいな落ち着きのある色合いが美しいこちら。
かわいー。
かわいー。
答え:ドライフルーツ。
答え:ドライフルーツ。
現場からは以上です。

つかの間の派手を満喫

ケーキとかプリンとか、派手で可愛いお菓子に押されて地味で謙虚なやつらがかわいそうだ、そう思って万華鏡に入れてみたら地味なりに派手になった。よかったと思う。その温かい思い出を胸に、明日からまた地味な存在として僕たちをほっとさせてほしい。
サイケデリック!
サイケデリック!
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