特集 2015年8月19日

コピーの型を覚えれば本当にコピーを書けるようになるのか?

不安な出だし。
不安な出だし。
物を売らなければ生活していけない。僕の場合、主に自作のスマホアプリを売らなければならないので、その為のコピーを考えることが多い。個人だと開発からPRまで全部自分の仕事なのだ。

こういう時、自己流だと効率が悪い。コピーライティングってのはもう100年以上の歴史があるわけで、先人達の知恵が蓄積されているはずで、それを利用しない手はない。

付け焼き刃で勉強してコピーを考えてみました。
あばよ涙、よろしく勇気、こんにちは松本です。

1976年千葉県鴨川市(内浦)生まれ。システムエンジニアなどやってましたが、2010年にライター兼アプリ作家として自由業化。iPhoneアプリはDIY GPS、速攻乗換案内、立体録音部、Here.info、雨かしら?などを開発しました。著書は「チェーン店B級グルメ メニュー別ガチンコ食べ比べ」「30日間マクドナルド生活」の2冊。買ってくだされ。(動画インタビュー)

前の記事:あのハワイっぽくなる花の名前を僕はまだ知らない

> 個人サイト keiziweb DIY GPS 速攻乗換案内

「売る」コピー39の型

何事も型から入るのが大事である。本屋に出かけたら、ちょうどそういうタイトルの本があったので買ってきた。

売るためのコピーを39の型として紹介していてわかりやすい。
このタイトルや帯にもコピーライティングの手法がちりばめられている。
このタイトルや帯にもコピーライティングの手法がちりばめられている。
そんなに厚い本でもないし、文章が軽妙なのでサクサク読める。読んだら早速実践してみよう。

まずはしょう油差しで練習といこう。
液だれしないしょう油差し。お気に入り。
液だれしないしょう油差し。お気に入り。
まず大事なのは商品をよく知ることだそうだ。このしょう油差しはもう15年以上使っているお気に入りなのでよく知っている。知り尽くしている。

このしょう油差しは液だれを一切しないのだ。下の写真の様なよくあるしょう油差しは、注ぎ口やキャップの継ぎ目から漏れることがあるが、そういうのが一切ない。
ダダ漏れと言っていいくらい漏れるやつ。
ダダ漏れと言っていいくらい漏れるやつ。
その辺をコピーにしてみる。

『見込み客の了見を試してみる』

件の本に載っている、コピーの型23『見込み客の了見を試してみる』を使うと、こんなコピーになる気がする。
挑発系のコピー。嫌味である。
挑発系のコピー。嫌味である。
ちょっと挑発的に感情を逆撫でしてみると良いそうだ。ホントかよって気もする。

『損をしていると気付かせる』

次は『損をしていると気付かせる』を使ってみる。人は損に敏感で、100円得した事はすぐ忘れるけど100円損した事はいつまでも覚えている。セコイがそういう生き物なので、そこを突く。
実際に肉じゃがを作れるくらい漏れるのかは知らないけど。
実際に肉じゃがを作れるくらい漏れるのかは知らないけど。
よく探せば、「もったない」とか「損してますよ」っていうメッセージを込めたコピーは世の中に溢れている(僕もよく使う)。

『わかりやすく圧縮して訴求する』

コピーは短い方が伝わりやすい。名コピーと呼ばれるコピーは大体短いし、多く人は長いコピーや説明を読んでくれるほど暇じゃないのだ。
あのテーブルに残る茶色い輪っかが本当に嫌でねぇ。
あのテーブルに残る茶色い輪っかが本当に嫌でねぇ。

『ネガティブな事実を突きつける』

匂い関係のコピーは大体えげつないが、日本人は匂いに敏感なのでよく効く。

そこでこういうコピーを突きつける。
しょう油くさいって言う人はそんなにいないと思うけど。
しょう油くさいって言う人はそんなにいないと思うけど。

『うれしい姿を妄想させる』

コピーとか宣伝ってのは物語で、今の時代は商品ではなくシチュエーションを売ってるわけです。その商品を手に入れたらこういう生活が待っている、という想像をさせると効きます。
「ママ友」を「友人」にしてもいいけど、よりターゲットを絞る意味でママ友にしてみた。
「ママ友」を「友人」にしてもいいけど、よりターゲットを絞る意味でママ友にしてみた。
この辺のコピーは本に載っている型を応用すれば誰でも書ける気がする。30分くらいでこのくらいは書けるだろう。

次のページではおよそ商品ではないもののコピーを考えていきたい。
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鳩を売るコピーを考える

商品は鳩である。その辺にいる。鳩レースとかやる人は実際に買うんだろうけど、普通の人は鳩を商品として見る事はないだろう。
これを売りたい。
これを売りたい。
まずは鳩のことを知るためにネットで勉強。鳩の価値は、通信、食用、平和のシンボル、愛玩などである。

そこら辺をウリにしていきたい。

まずは通信手段として鳩を売り込む。
常に鳩を持ち歩けば、災害時に家に飛ばせる。
常に鳩を持ち歩けば、災害時に家に飛ばせる。
愛とか性に関するキーワードを使うのも有効と書かれていたので、ラブレターを鳩に届けさせるというコピーである。

その為には相手の家で鳩を飼わなければならないので、そこが最大のハードルであろう。
無理難題。
無理難題。
『見込み客の感動の声のように伝える』という型を使ってみると、こんなコピーになるだろうか。
正直に言えば、鳩を飼ったことはないので気持ちや生の声は知らない。
正直に言えば、鳩を飼ったことはないので気持ちや生の声は知らない。
男性用のちょっとセクシーで格好いい下着を売る場合は、彼女や妻に『あなたの彼は、セクシーですか?(ワコール)』と迂回して問いかけるのが効くそうだ。

なので妻から夫に鳩を勧めてもらうコピーを考えた。
ザ、漠然。
ザ、漠然。
『素敵』の便利さたるや。大体なんでも素敵になるので使いすぎると陳腐になる。というか、既に上のコピーが陳腐である。

ところで、コピーの型の本にはダジャレ系のコピーについて書かれていなかった。
こういうコピーを採用しがち。
こういうコピーを採用しがち。
おそらく、ダジャレ系のコピーはコピーライターとしては推奨してないのだろう。でも使うコピーを最終的に選ぶのはクライアントのおじさん達なので、うっかりダジャレが採用されたりするんだろうな。

『優越感を持たせる』

仮想の見込み客が買った後に抱く感情を想像してコピーにしてみた。知らない人にしてみればただの鳩でも、飼い主にしてみれば大事な家族で、エサを与えるのは飼い主の特権なのだ。
正直、飼っている鳩が昼間にこうやってその辺にいるのかどうかは知らない(多分いない)。
正直、飼っている鳩が昼間にこうやってその辺にいるのかどうかは知らない(多分いない)。
ネットやLINEなどインスタントなコミュニケーションツールと比べてみる。
ネットやケータイと比べて温かみがあると主張。
ネットやケータイと比べて温かみがあると主張。
まぁ大体こういう手法が身についたとして(仮定)、色んな物に勝手なコピーを付けていきたい。
夕陽のコピーを考えてみた。
夕陽のコピーを考えてみた。
早起きして見る朝焼けとか、旅行で見る絶景と比べてみた。
見ないのは損だというアピール。
見ないのは損だというアピール。
次はカレーカツ丼。
『ヨーグルト?いいえケフィアです。』をアレンジした感じ。
『ヨーグルト?いいえケフィアです。』をアレンジした感じ。
『見込み客にとっての「新しい」を提案する』
『見込み客にとっての「新しい」を提案する』
夏は春に生まれた子猫がいい具合に育って、特に夜は親と出歩く季節である。そういう猫を愛でる事が出来るのは今だけというスピード感を出してみた。
実際のとこは知らないけど、こういうコピーよくありませんか。
実際のとこは知らないけど、こういうコピーよくありませんか。
『逆説を使って強調する』パターン。
『逆説を使って強調する』パターン。
まさかのパクリ。生命起源的な意味でのno life。
まさかのパクリ。生命起源的な意味でのno life。
昨今はパクリだなんだとうるさい世の中なので、こんなコピーを発表して賞でも取ったら大炎上必至である。

もうちょいコピーを考えていきたい。
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わたくし、パクる事にいたしました

どうも僕にはコピーの才能がないし付け焼き刃は所詮付け焼き刃なので、このページでは積極的に名作をパクっていきたい。
糸井重里氏からパクる暴挙。
糸井重里氏からパクる暴挙。
早くも変な汗が出てくる。
あまりにも有名どころ。
あまりにも有名どころ。
手が震えてお腹が痛くなってきた。
ネスレ様ごめんなさい。
ネスレ様ごめんなさい。
全方位に向けて土下座である。360°回転土下座をしつつ、パクる。
もはやパクりたいだけ。
もはやパクりたいだけ。
意味も無くパクる。
ルミ姉さんごめんなさい! 尾形さんすんませんっした!
ルミ姉さんごめんなさい! 尾形さんすんませんっした!
いいんだろうか(ダメだろ)。
パクリきったという達成感。
パクリきったという達成感。
ありがとうございました。

一朝一夕に書けるもんじゃない

白状するが、この原稿の締め切りを1週間間違えていて、なんの準備もなく24時間くらいで書いた。24時間の間に本を探して買って読んで写真を選んでコピーを考えてパクって記事をこさえた。

(メールが)来た、見た、書いた、ってなもんだ。

そんな短時間で上手いこと書けるほどコピーってのは甘くない。っていうか、名作と呼ばれるコピーを見ると、あんまり型にはまってない。ああいうの書けるようになるのは、型を極めてからの、相当先なんだろうな。

コピーは一日にしてならず、じゃ。
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