ロマンの木曜日 2015年9月10日
 

「巨樹」が写真のトレーニングに最適すぎる

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さいきん「巨樹めぐり」をはじめた。樹齢何百年というでかい木をめぐって写真を撮るのだ。
そしたらこれが初心者の写真練習にうってつけすぎると思ったので紹介してみたい。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。

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まず伝えたいのは巨樹がすごい、ということ

知り合いから「巨樹がいい。」という噂を聞いたので、ちょっと行ってみることにした。そういえば攻めたことのない分野だ。
こんもりとした茂みを探して、たずねゆく
こんもりとした茂みを探して、たずねゆく
最初は「でかい木って、そんなに面白いのかねえ?」ぐらいで訪れてみたのだが、行ってみて唖然とした。
で、でか!!
で、でか!!
ひと、ちいさっ!
ひと、ちいさっ!
枝のうねり、すご!
枝のうねり、すご!
幹の太さのみならず、うねって、裂けて、ねじれて、はじけとぶ枝のさまがすごい。800年以上のあいだ一個体の生物が命を保つということは、でかい以上のとんでもないものを生み出す。

こうして撮影に夢中になっているうちに、「巨樹の撮影って写真の練習にすごい向いてるな……」と思ったので、今日はそれを紹介したいと思う。
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こんにちは、巨樹じいです。左上のアイコンはワシの顔じゃ。元はこういう顔に見える巨樹のコブじゃ。
「水木しげるの妖怪みたいだ」とよく言われるぞよ。さて今日はモデルとしてのワシの素晴らしさを紹介するぞい。

キャラ戻します

まず何よりいいのは、巨樹が動かないことだ。ネコみたいに勝手にどこか行ったりしないし、鳥みたいに延々と待つことも無い。
巨樹はいつもそこにあり、いつまででも好きなだけ回り込んでアングルを追える。
  いいねー、巨樹、そのアングルいいねー!
いいねー、巨樹、そのアングルいいねー!
これなら初心者でも不完全燃焼におちいることなく、自分の腕に納得がいくまで被写体の魅力を追うことができる。
すばらしい。
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800年のあいだ生き続けた巨樹の樹皮は、もはや只ならぬ様相を見せる。
1個体の植物がどう育ったらこんな重厚に絡み合うのか
1個体の植物がどう育ったらこんな重厚に絡み合うのか
そして、そばに近づける立地の巨樹なら、その樹皮にぎりぎりまで迫っても面白い。
さらにこの割れ目にカメラを差し込んで……
さらにこの割れ目にカメラを差し込んで……
こんなのとか。
こんなのとか。
他にも、巨樹の上に全然違う木がさらに生えてたりするし、迫って見たときの面白さも一本一本が全然ちがう。
ガイドブックには太さ・高さ・樹齢ぐらいしか書いていないが、行ってみるとその面白さはまさに無限である。
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カメラを使い始めた人に露出のことを教えるのはちょっと大変なんだけど、巨樹は露出のわずかな違いで仕上がり感がガラッと変わる面白い被写体だ。
この2枚の違いはもちろんのこと……
この2枚の違いはもちろんのこと……
この2枚の違いを考えてみるのもおもしろい。
この2枚の違いを考えてみるのもおもしろい。
これよりももっと微妙な違いでも、樹皮の見え方が全然変わるので、露出を考える必然性がぐっと身近になる。
自分が見たい、見せたい、巨樹の姿を追って露出を工夫するのは最高に楽しい。
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と、このように被写体として最高すぎる巨樹なのに、なぜか訪れる人がものすごく少ない。
ここまで日曜日に6か所の巨樹を回ったのだが、ほかのカメラ人と遭遇したのはたったの2人である。
ライバル不在でいくらでも撮影できる心やすさ
ライバル不在でいくらでも撮影できる心やすさ
こんな記事を書いて巨樹ブームでも起こったら思う存分撮影できなくなりそうで不安なのだが、とりあえず今はブームも無いおかげで、僕でもこんなかっこいい写真が撮れたりする。
20枚以上挑戦しての結果!
20枚以上挑戦しての結果!
春にお花畑のある公園に行ったら、もう人ばっかりだった!とか聞くが、巨樹ならそんながっかりも無い。
ていうか、おおむね「寄って撮る」か、「全景を撮る」しか変化のない花畑よりも、ずっと被写体との駆け引きが楽しめる。巨樹撮影は至高の撮影時間だと言えると思う。
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と、いつまでも変わらずに、僕らがカメラをもって訪れるのを待ってくれているような巨樹だが、彼らも生き物だ。
春夏秋冬で次々にその様を変える。
初夏、ムクの木に実る果実。寄って撮るのが楽しい。
初夏、ムクの木に実る果実。寄って撮るのが楽しい。
夏までは緑が美しいケヤキを回ってみたが、晩秋にはイチョウを回ってみたい。
そして季節だけでなく、年月によって消えてゆく巨樹も少なくない。
いまは亡き「静神社のヒノキ」の跡地
いまは亡き「静神社のヒノキ」の跡地
上記に青で示した巨大な切り株は「静神社のヒノキ」という巨樹の跡地である。
東日本で最大級、全国でも8位の幹周を誇ったらしいが、9年前に枯れてしまったそうだ。
右上が明らかに欠失した「府馬の大クス」
右上が明らかに欠失した「府馬の大クス」
こちらも同じく東日本屈指のクス「府馬の大クス」。
何だかガイドブックとずいぶん違うなと思ったら、2年前の台風で激しい裂傷をうけたらしい。(市のホームページ
もう少し早く巨樹めぐりを始めていたら、と悔やむばかりである。

このように巨樹は季節や時代で変化してしまう。早く行かなきゃと微妙にせかされる気持ちになるのが心地よい。
これは仏像や地蔵には無い魅力だ。

やっぱり渋すぎるだろうか。

と、ここまで夢中になって書いてきたが、カメラを買ったばかりの人に「巨樹を撮れ」というのは余りに渋すぎる要求なのではないかと不安になってきた。
ふつう、猫とか花とか撮りたいだろう。
なので写真の練習なんてことはもういいから、とにかく、巨樹をことの撮る楽しさが少しでも広まればいいと思う。
iPhoneのパノラマでタテに撮影した巨樹。
iPhoneのパノラマでタテに撮影した巨樹。

出てくる巨樹

府馬の大クス(千葉県・香取市)
静のムクの木(茨城県・那珂市)
三嶋神社のシイ(茨城県・那珂市)
若宮八幡宮のケヤキ(茨城県・常陸太田市)
空禅寺のイタジイ(茨城県・土浦市)
波崎の大タブ(茨城県・神栖市)
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