フェティッシュの火曜日 2015年9月15日
 

完成度の低いロボット大集合!水ヘボコン・ミニヘボコン レポート

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技術力の低い人限定ロボコン、通称ヘボコン。
名前のとおり、ロボットなんて作る技術のない人たちが集まり、自作の「自称:ロボット」を戦わせるイベントである。

今回はいつものロボット相撲にくわえ、夏ということで「水ヘボコン」の競技も追加された。
新ルールの導入により、繰り広げられたのはこれまで以上に低レベルな戦いである。そんな、ぬるま湯の2日間の様子をレポートします。

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9/19-20 山口10/12 富山の出場者も募集中!
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。

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水ヘボコン、レースに見えない

新競技・水ヘボコンの舞台は、長さ3mのプールだ。ルールはコイン運びレース。プールの端から反対側の端まで速くたどり着いたほうが勝ちで、ただしロボット(というか船というか)の上に乗せたコインを途中で落としてしまうと負け。スピードとバランス、2つの性能が求められる、難度の高い競技だ。
障害物として下から水が噴き出したり、上からの放水が飛んできたりする
障害物として下から水が噴き出したり、上からの放水が飛んできたりする
事前にルールを決めるとき、3mってちょっと短すぎないかな…と思って、けっこう悩んだ。しかし結果的に、それは完全な杞憂であった。
まずはひとつ、試合の様子を動画で見てみてほしい。
ガンバ号(チームめがね) vs ヒゲライブ!(わわわ)
これが「スピードとバランス、2つの性能が求められる、難度の高い競技」のようすだ。
感想を一言でいうと「プカプカしてるなー」である。リゾート感覚かよ。
くわえてロボットのデザインがスイカだったりガーデニング風だったりしてなおさらのリゾート()
くわえてロボットのデザインがスイカだったりガーデニング風だったりしてなおさらのリゾート(スイカフグ(こがもハウス) vs カエルとヘビのいる庭(ダメリーマン))
以前、マンガ家のカラスヤサトシさんがマンガで水ヘボコンに触れてくれたのだが、その時の感想にも「何してるのか全然わからねえ!」と書いてあった。
平和すぎて、ルールを知らずに見るとレースに見えないのだ。
別の試合から。左のロボはスピードが遅いだけでなくバランスの悪さも兼ね備えている(桃太郎(松本ジュンイチロー) vs ガンバ号(チームめがね))
別の試合から。左のロボはスピードが遅いだけでなくバランスの悪さも兼ね備えている(桃太郎(松本ジュンイチロー) vs ガンバ号(チームめがね))
スピードが遅いだけでなく、各機ともまっすぐ進めないというのも、レースらしく見えない原因か。

これらの特徴はもちろん参加者の技術力のなさゆえのこと。つまりは「ヘボい」のだ。
ただ、無理に良くいえば、「レース=速い」という先入観を打ち壊した画期的な競技であったといえよう。

工夫が命取り

水ヘボコンを語るうえで欠かせない製品がある。タミヤの水中モーターだ。
写真手前側の黄色い部品。モーターに防水ケースと、スクリューが付いている
写真手前側の黄色い部品。モーターに防水ケースと、スクリューが付いている
小さな部品だが思いのほか強力な推進力があって、たとえば空のペットボトルにこれをくっつけてやれば、それだけで高速艇ができあがる。

水ヘボコンでもFacebook等で水中モーターの紹介をしたので、出場者はみんなその存在を知っているはずである。なのになんでこんなに遅いのか。
水中モーターの代わりに、電動歯ブラシを使っているから(3人家族(ツカヤ))
水中モーターの代わりに、電動歯ブラシを使っているから(3人家族(ツカヤ))
歯ブラシを3本も搭載しているのに、推進力はほぼ皆無だった。
水中モーターの代わりに、風船の空気を噴射して進んでいるから(クイーントマトマン1号(ホイコーロー))
水中モーターの代わりに、風船の空気を噴射して進んでいるから(クイーントマトマン1号(ホイコーロー))
推進力が低いうえに、開始数十秒で空気が切れる。
水中モーターの代わりに、風船の空気を噴射して進んでいるから(2)(ガンバ号(チームめがね))
水中モーターの代わりに、風船の空気を噴射して進んでいるから(2)(ガンバ号(チームめがね))
前進するだけでなく、ネズミのおもちゃに舵がつながっており、その動きに応じて進行方向が変わる。はずだったがそれも効いていなかった。
水中モーターの代わりに、帆をうちわで扇いで進めているから(名称不明(うちだじゅり))
水中モーターの代わりに、帆をうちわで扇いで進めているから(名称不明(うちだじゅり))
モーターとかじゃなくて操作者の筋力で頑張るタイプ。
水中モーターの代わりに、足踏みポンプで空気を送って進めているから(へまぼこ(アバ))
水中モーターの代わりに、足踏みポンプで空気を送って進めているから(へまぼこ(アバ))
こちらも筋力で頑張るタイプだが、送風方法が効率化されているのでちょっと速かった。
水中モーターの代わりに、ドライアイスの煙を推進力にしているから(和風きのこパスタ(明比建))
水中モーターの代わりに、ドライアイスの煙を推進力にしているから(和風きのこパスタ(明比建))
「攻撃を受けるほど(ドライアイスに水がかかって)パワーアップする」という設定までは完璧だったのだが、いかんせん推進力としては一切作用せず、水流に流されながらモクモクするのみであった。
水中モーターの代わりに、ヒモで引っぱろうとしたらすぐ切れたから(ちくわ号(チームいしはら))
水中モーターの代わりに、ヒモで引っぱろうとしたらすぐ切れたから(ちくわ号(チームいしはら))
船体につないだヒモをUSBファンで巻き上げて前進する予定だったが、瞬時にヒモがはずれ同時に船体がバラバラになるという壮絶な最期を遂げた。
……などなど。総じて、すべて水中モーターを使わず、自分で工夫したせいで、著しく性能が低い。

人類は工夫をする生き物。文明の発展は、言い換えれば何千年にもわたる工夫の積み重ねであった。
しかし技術力の低い人に限っては、「工夫」は「台無し」と同義なので気を付けてほしい。

「よっしゃ、ここは一丁、俺が工夫したるか!」

その心意気が命取りなのである。

水中モーターを使ったとて

「工夫」は水中モーターを使わないことだけにとどまらない。
下記のロボットは、いずれも水中モーターを使っている。それなのに、なぜ速く動かないのだろう?
水中モーターを使っているけど、上にダンスステージがあるから(ヒゲライブ!(わわわ))
水中モーターを使っているけど、上にダンスステージがあるから(ヒゲライブ!(わわわ))
よけいなものを乗せたせいで図体がでかくなり、水の抵抗が大きすぎるのだ。障害物にもすぐ引っかかる。
水中モーターを使っているけど、上で人形が高速回転しているから(水ポールダンスロボ(アニポールきょうこ))
水中モーターを使っているけど、上で人形が高速回転しているから(水ポールダンスロボ(アニポールきょうこ))
遠心力がかかってせっかくの推進力が相殺されてしまう。

工夫にもいろいろな方向性があるが、不器用な人たちはどっちを向いてても結局裏目に出る、ということがわかっていただければ幸いである。

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