広告企画♪ 2015年9月30日

平等に痛い「平等バスター」を開発しました

平等!!
平等!!
プロレスは基本的に相手に技をかける。するとどうなるか。

かけられた方は痛い、そのうえ負ける。

それって不平等ではないか。

けんかにならないよう、平等にどっちも痛い技を開発しました。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

プロレスは不平等じゃないのか

プロレスは戦って相手を倒す格闘技なので、基本的にどちらか一方が技をかけ、他方がかけられることになる。

するとかけられた方だけ痛い目に合うだろう。それって不平等ではないか。
片方だけが痛いの不平等。
片方だけが痛いの不平等。参照
椅子まで使って相手を痛がらせるなんて不平等。
椅子まで使って相手を痛がらせるなんて不平等。
痛いうえに片方裸。不平等。
痛いうえに片方裸。不平等。
不平等はよくない。

モラルを尊び不正を許さない空気漂う現代である。こんな不平等な争いをしていたらいつか「やられてる選手がかわいそうなので仲良くしてください」なんて投書がくるかもしれない。

そうなる前に、技をかける側もかけられる側も平等に痛い「平等技」を開発しておいてはどうだろうか。テーマは平等、その末にあるのは平和である。ピース。完成したらノーベル平和賞に応募したい。

信じられないですが証券会社のタイアップ企画です

何を急に言い出したか、と思うだろう。僕も思う。今回の企画はマネックス証券とのタイアップ企画である。マネックス証券のIPO(新規公開株)は顧客に平等、不平等な扱いをゆるしません!と担当の人が言っていたので、ならばとこの企画を提案したのだ。マネックス証券の人も平等です!って勢いよく言っちゃった手前、僕の提案を断れなかっただけなのかもしれない。

やっぱあの話なし、って言われる前に技を完成させよう。

プロレスということでこちらの道場にやってきた。
ここ前にも来たことあるな。
ここ前にも来たことあるな。

本物のプロレスラーにお願いしました

今回協力いただくのはDDTプロレスリングのみなさんである。

前にも無理言ってカロリーメイトを技にしてもらったことがあるので、もしかしたらと思って電話してみたら快諾してくれたのだ。持つべきものは理解力のあるプロレス団体とのつながりである。

とはいえどっちも痛い平等技の開発。それってプロレスの根幹に関わらないか。怒られるかもしれないなと思い緊張しながら道場にやってきた。
そんな僕を待ち構えていたのは
そんな僕を待ち構えていたのは
このお二人である。
すでに100%の状態。
すでに100%の状態。
食われる寸前だ。

群れからはぐれたインパラが猛獣に出会った時の気持ちである。いまなら種を超えてサバンナの掟を実感できる。

大丈夫だろうか。そもそもこの人たち、話は通じるのだろうか。

しかしもう来てしまったからにはやるしかないだろう。今から逃げても遅い気がするし。

今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします(だめかもしれない)。
よろしくお願いします(だめかもしれない)。


プロレスラーと並ぶと「平等ってなんだ」って思う。


マネックスは平等

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まずは顔技から習う

あらためて紹介しよう。今回、平等をテーマにした新技を開発してくれるのはDDTプロレスリングからこの二人である。
DDTプロレス竹下選手。
DDTプロレス竹下選手。
おなじくDDT福田選手。
おなじくDDT福田選手。
なんだろうこれは。

こういうフィギュアです、って言っても通用するインパクトと完成度である。写真から熱波を感じる。

ただ、カメラを向けないと二人ともすごくまじめな人たちなのだ。そのギャップが興味深い。
オフの竹下選手。やさしそうなお兄さん。
オフの竹下選手。やさしそうなお兄さん。
同じくオフの福田選手。親戚に一人くらいいる何やってるのかわからない人、という印象。
同じくオフの福田選手。親戚に一人くらいいる何やってるのかわからない人、という印象。
--今日は無理言って申し訳ありません。

福田選手「いえ」

竹下選手「とんでもないです」

くりかえすが話してみると二人ともものすごく腰が低くて丁寧な人たちなのだ。前に協力いただいた高木三四郎さんも宮武さんも、やはりものすごく丁寧で腰の低い人たちだった。

ただ、ひとたびカメラを向けると豹変する。
きっと瞬時に体温が2度くらい上がるんだと思う。
きっと瞬時に体温が2度くらい上がるんだと思う。

レスラーに聞く、瞬時にテンションを上げるコツ

まずこの振れ幅が面白かったのでテンションを急に上げるコツを聞いてみた。この記事の中でぎりぎり日常生活において役に立つ情報かもしれないので心してチェックしてほしい。

それでは福田選手から。
普段はものすごくおとなしい人という印象である。
普段はものすごくおとなしい人という印象である。
それではお願いします。
カコーン!!
カコーン!!
テスターをつないでおいたら振り切れただろう。

顔からつま先まで、パーフェクトである。なかなか人間ここまで上げられるものではない。福田選手に瞬時にスイッチを入れるコツを聞いた。

「頭の芯から変な物質を出すイメージですね。イメージというか、実際出します。」

出し方までは教えてもらえなかったが、たしかにこれは何か出ていそうだ。その出た物質、錠剤にして親に飲ませたい。

竹下選手はその好青年な風貌も手伝ってさらに常識人に見える。
こんな恰好で申し訳ありません。
こんな恰好で申し訳ありません。
ではカメラ入りまーす。よろしくお願いします。
やっちまうぞほーい!
やっちまうぞほーい!
竹下選手にもコツを聞いた。

「私は重いものをやっと持ち上げた時のことをイメージしていますね」

なるほど。そうすると全身に力がみなぎっている瞬間が出せるのだとか。見よう見まねだが、僕もひとつやってみた。
重いものを
重いものを
ほーい!
ほーい!
ぜんぜんダメだ。僕もわりと体を動かすのが好きな方なので人より気合入ってると思っていたのだけれど、レスラーの二人の前では見るにたえない。出直して来いと言いたい。

撮影係として付き合ってもらったライター玉置さんには福田選手方式で頭の芯から変な物質を出してもらった。
普段の玉置さん。うどん好き。
普段の玉置さん。うどん好き。
玉置さん。変な物質バージョン。
玉置さん。変な物質バージョン。
うまい、出ている。出ているが、これは隣にいる福田選手が出して玉置さんに浴びせかけているように見えなくもない。もしかしたら福田さんの写真写りがよすぎるだけなのかもしれない。
トレーニングする竹下選手を応援する福田選手。いつなんどきでも目立つ。
トレーニングする竹下選手を応援する福田選手。いつなんどきでも目立つ。
とにかく二人のすごさはわかった。準備運動も済んだとのことだし、それではさっそく平等技の開発にかかっていただきたいと思います。
二人のリングに向かう背中のかっこよさよ。
二人のリングに向かう背中のかっこよさよ。


最終的にとんちで解決、とかにならないといい。


マネックスは平等

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ドキュメント、平等技開発

まずはレスラーの二人に、長いプロレスの歴史の中で、平等技に近いと思われる技をピックアップして披露してもらった。というかそんな技があるのか。

まずはこちら。「河津落とし」という技である。なんでもジャイアント馬場さんが得意としていた技なのだとか。
河津落としは、仲のいいカップルのような状態から。
河津落としは、仲のいいカップルのような状態から。
足を引っ掛けて一気に後ろに倒れ込みます。
足を引っ掛けて一気に後ろに倒れ込みます。
ごーん。
ごーん。
この河津落としという技、不思議なのは
痛くなーい。
痛くなーい。
なんと、かけた竹下選手だけが痛いという特殊な技だったのだ。かけられた福田選手は竹下選手にうでまくらされる形で倒れるのでほぼ無傷。ジャイアント馬場さんは背が高かったため、その身長差を生かしてこの技を有効にしていたようだ。

もう一つ、四の字固めの変形パターンも平等技に近いかもしれない、ということで実践してもらった。
今度は福田選手が竹下選手に四の字固めをかける。
今度は福田選手が竹下選手に四の字固めをかける。
四の字固めは有名な関節技だが、それをひっくり返すと裏四の字という技になるのだという。
この状態だとかけられている竹下選手だけが痛い。つまり不平等な技である。
この状態だとかけられている竹下選手だけが痛い。つまり不平等な技である。
ところが竹下選手が痛みに耐えてこれをひっくり返すと、かけていた福田さんが逆に苦しみだしたではないか。
足が決まった状態でひっくり返すと攻守逆転します。
足が決まった状態でひっくり返すと攻守逆転します。
そういうことってあるのだ。
ただ、これだと竹下選手の痛みが半減してしまうので「平等に痛い」というコンセプトからは外れてしまう。
ただ、これだと竹下選手の痛みが半減してしまうので「平等に痛い」というコンセプトからは外れてしまう。
あと足の絡まり方が複雑すぎて説明されても理解できなかった。
あと足の絡まり方が複雑すぎて説明されても理解できなかった。
悩ましい。

やはり伝統的なプロレス技は基本的にどちらか一方だけが痛い不平等技ばかりなのだ。まあ相手を倒すための技なので、それで正しいのだけれど。

しかし今回求められているのはどちらも痛い平等技である。これは一から作るしかないのか。
悩む二人。そしてどんな時でも絵になる福田選手。
悩む二人。そしてどんな時でも絵になる福田選手。
ところで福田選手のキャラが濃すぎるのだが、一方の竹下選手はというとDDTが誇るスーパールーキーである。日本武道館で現役高校生レスラーとして華々しくデビュー、という経歴はプロレスを知らなくてもすごいことだとわかる。

そんな今後のプロレス界を背負って立つであろう人材に考えてもらっているのはどっちも痛い平等技である。恐縮です。
その後も試行錯誤を繰り返す二人。
その後も試行錯誤を繰り返す二人。
これだと福田選手だけ痛い。だめ、不平等。
これだと福田選手だけ痛い。だめ、不平等。
技を試すたびにマットに大男がたちが叩きつけられていく。その衝撃たるや、リングサイドで見ていても痛さが伝わってくる。

そしてこの「痛い」のアピールが二人ともすごいのだ。もちろん本当に痛いんだろうけど、観客にもその痛みを的確に伝える技術、これは素人には真似できない匠の技である。

突破口がひらく

試行錯誤していくうち、竹下選手の得意技「ブルーサンダー」から一つヒントが得られた。
ブルーサンダーは相手を持ち上げた状態から
ブルーサンダーは相手を持ち上げた状態から
落とす。これも福田選手だけが痛いから不平等である。
落とす。これも福田選手だけが痛いから不平等である。
竹下選手いわく、この技の変形で平等技ができるかもしれないというのだ。
わかりましたよ!
わかりましたよ!
福田選手は「でもちょっと痛いから」とマットを1枚増やしていた。
福田選手は「でもちょっと痛いから」とマットを1枚増やしていた。
いよいよ平和の証、平等技の完成披露である。


迫力の平等技が完成しました。


マネックスは平等

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垂直落下式平等バスター

こうして堂々、平等技が完成したのでここに披露させていただきたい。命名「垂直落下式平等バスター」である。
解説しよう。

平等バスターはプロレス技である。今回、竹下選手が福田選手に平等バスターをかけるかたちで披露してもらった。
どちらも痛いのでかけるかけられるどっちでもいいんだが。
どちらも痛いのでかけるかけられるどっちでもいいんだが。
福田選手の背後をとった竹下選手がわきの下に頭をもぐりこませ、体制を整える。その勢いのまま福田選手を頭の高さまで持ち上げる。
このとき高ければ高いほどダメージが大きい。ただし両者に。
このとき高ければ高いほどダメージが大きい。ただし両者に。
持ち上げたら重力にまかせて垂直落下させる。
ここからが平等技の神髄である。
ここからが平等技の神髄である。
落下の際、福田選手だけを落とす、もしくは膝に叩きつけるなどすると一人だけが痛いことになる。それでは不平等である。

不平等はよくないので竹下選手も一緒に飛びあがって尻から落ちるのだ。ここがポイントである。
持ち上げていた高さから相手と一緒に自分も落ちる。なんで?という気持ちがリング上をたゆたう。
持ち上げていた高さから相手と一緒に自分も落ちる。なんで?という気持ちがリング上をたゆたう。
頭まで持ち上げられ、落とされた福田選手はもちろん痛い。ところがこの時竹下選手も尻から落ちている。つまり持ち上げた福田選手の体重と自分の体重との合算が、技をかけたはずの竹下選手の尾てい骨を砕くのだ。
ばかな願いが二人の尻を同時に砕く。
ばかな願いが二人の尻を同時に砕く。
技をかけられた福田選手は高さにより、かけた竹下選手は二人分の体重により、互いに尻が砕ける。

一つの技で同じダメージ、これぞ平等である。
……。
……。
決まった。

技が決まった瞬間、時が止まった。

なぜこの人たちは二人とも痛がっているのか、どちらがどちらに技をかけているのか、そもそも何のための技なのか。全ての範囲で理解を超えてしまっているのだ。
この中に勝者はいない。
この中に勝者はいない。
それでも無事に新しい技ができたことは確かである。しかもこれまでのプロレスでは考えられなかった平等技が。

僕たちはいま、プロレスの歴史が動いた瞬間を見た。
平等!!
平等!!

平等バスター以降の流れを予想しよう

ところで平等バスターが決まった後の流れはどうなるのか。竹下選手と福田選手にそのまま試合が続いた場合を想定して続けてもらった。
この後である。
この後である。
技をかけられた福田選手としては、ある程度の痛みは予想していただろう。しかし(え、そこ君も落ちるの?)という疑問が残るはずである。

技をかけた竹下選手はそれを理解しているので痛いけど先に立ち上がる。そして油断している相手に次の技を繰り出すのだ。
「平等バスターのあとは必殺技で決めたいと思っています。」
「平等バスターのあとは必殺技で決めたいと思っています。」
必殺技「ウォール・オブ・タケシタ」である。
必殺技「ウォール・オブ・タケシタ」である。
これは平等技ではないので圧倒的に福田選手が痛い。
これは平等技ではないので圧倒的に福田選手が痛い。
リングサイドからの解説は玉置さんである。

「この展開はありえますね」
実況はプロレス大好き玉置さんである。
実況はプロレス大好き玉置さんである。
「竹下選手と福田選手のようにお互いのことをよく知っている者同士で試合をする場合、次の展開の探り合いになってしまうことがあるんです。」

これは相手選手を研究し尽くしている頭脳派レスラーにおいても同じことが言えるのだとか。

「そんな時に竹下選手がこの平等技を出すとしましょう。」

はい

「竹下選手が後ろに回った時点で福田選手としては(これは竹下選手得意のブルーサンダーがくるな)と構えるわけですよね。」

そうですか

「そこでこの平等バスターなわけです。これは福田選手としては唖然とするはずです。おれが落ちるのはわかる、でもお前も落ちるのかと。痛いだろう、と。」

意表を突かれるわけですね

「そうです。この技を有効に使うため、竹下さんは試合序盤から福田さんの腰を狙ってダメージを与えておくといいでしょうね。竹下さんとしては平等バスターで平等にダメージを受けても、なんとか先に立ち上がってウォール・オブ・タケシタに持ち込むことができれば勝利です。」

前半から腰をやっておくというのは平等の精神に反しませんかね
あと最終的に負かすんだったら平等じゃなくないか。
あと最終的に負かすんだったら平等じゃなくないか。
「今回の企画的にはどうかと思いますが、どちらかが勝たないと試合が終わらなくてお客さん帰れないですからね」

たしかに。よく考えたらお客さんはレスラーの真剣勝負を見に来ているわけだ。平等はいいけど試合が決まらないのはちょっと困る。

プロレス深い。

平等はいい

勝ち負けはともかくとして、今回、プロレス界に新たな一歩が踏み出されたと思う。すべての技を平等にして、ずっと勝負のつかないプロレスを深夜枠あたりで見たいなと思いました。
 福田選手、竹下選手、ありがとうございました。
福田選手、竹下選手、ありがとうございました。
竹下選手、福田選手試合情報

9/27 東京・後楽園ホール「Who’s Gonna Top?~DDTドラマティック総選挙2015~
10/4 東京 後楽園ホール「ユニオン10周年記念興行


平等とはいえ、痛そうなことに変わりはない。


その点マネックスは平等

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